QUESTIONS質問主意書

第162回国会 「教科用図書採択の公正確保と検定申請図書流出問題に関する質問主意書」(2005年7月26日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

質問主意書

質問第四〇号

教科用図書採択の公正確保と検定申請図書流出問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十七年七月二十六日

福島 みずほ   

       参議院議長 扇 千景 殿

   教科用図書採択の公正確保と検定申請図書流出問題に関する質問主意書

 本年四月五日、文部科学省は、来年度から義務教育諸学校において使用される教科用図書の検定結果を公表した。翌六日に行われた衆議院文部科学委員会では、検定中にもかかわらず一部検定申請図書が流出していたことや、非公開とされた情報が恣意的に公表されていたことについて、文部科学省が教科用図書検定規則実施細則違反として、関係者に指導や厳重注意の処分を行っていたことが明らかとなった。

 既に、全国の市町村教育委員会が教科用図書採択に向けた作業を進めているところであるが、今後文部科学省の検定が静ひつな環境で行われ、採択が公正に行われるよう、再発防止策を講じることが不可欠と考える。この件に関して、文部科学省が一部の申請者の違法な行為を追認しているのではないかというそしりを受けることのないよう厳正に対処し、公正に教科書採択が行われることを強く求める立場から、以下質問する。

一、検定申請図書流出に関する調査について

 扶桑社の検定申請図書が流出していたことが明らかになったことについて、本年四月六日の衆議院文部科学委員会において中山文部科学大臣は、「教育に携わる方々がルール違反をするようなことは本当に問題なわけですから、そこをまずきちっとやるということは当然の前提なので、指導をされること自体が本当はおかしいというふうに、私はそういう意味で当事者の自覚をまちたいなと思っておりますし、文部科学省としてはそういうことにならぬように指導を徹底するということにさせていただいた」と答弁している。文部科学省は扶桑社から事情聴取を行うなど、検定申請図書流出について調査を行っているが、その再発防止のためにもさらに徹底調査が必要と考える。既に文部科学委員会でも指導時期等が明らかになっているが、文部科学省が把握している検定申請図書の流出数、流出先、流出経緯の詳細をそれぞれ改めて明らかにされたい。また、その流出先に国会議員、地方公共団体の首長及び議員、教科書採択に関与する教育委員や教科書調査員経験者があったかどうか、それぞれについて明らかにされたい。

二、申請図書流出に関する処分について

 四月六日の衆議院文部科学委員会において、銭谷文部科学省初等中等教育局長の答弁により、検定申請図書を流出させた扶桑社及び情報を検定前に公表した関係者に対しては、指導や厳重注意を行ったことが明らかにされた。

1 指導や厳重注意は、どのような方法で行われたのか。

2 指導や厳重注意を行った後の文部科学省の対応について明らかにされたい。

3 昨年七月以降の検定図書流出に対する文部科学省からの指導に対する、申請者からの報告内容を明らかにされたい。

三、申請図書流出先での調査の必要性について

 本年四月十二日付けで、全国の都道府県教育長あてに、文部科学省初等中等教育局長名で「平成十八年度使用教科書の採択について(通知)」が送付され、採択の公正確保を一層徹底させることが重要であるとしている。そのためにも、申請図書流出先とされる都道府県教育委員会及び市町村教育委員会においても徹底した調査を実施する必要があると考えるが、いかがか。

四、再発防止策について

 今回の申請図書流出問題については、文部科学大臣の答弁でも「文部科学省としてはそういうことにならぬように指導を徹底する」としている。文部科学省は再発防止策としてどのような対策を検討しているのか。また、既に実施している対策の進捗状況を明らかにされたい。

五、執筆者及び監修者としての申請について

 四月六日の衆議院文部科学委員会で、扶桑社の公民教科書の監修者が二〇〇四年十二月六日付けで削除申請された事実が明らかとなった。情報公開された「著作編集関係者名簿記載事項変更届」によると、届出者は「株式会社扶桑社」、申請図書名は「中学社会新訂版新しい公民教科書」、著作者の氏名は「代表者八木秀次」、訂正箇所は「高橋史朗 明星大学教授 教育学 政治の監修→削除」となっている。

 二〇〇四年十二月六日は高橋史朗氏が埼玉県教育委員に起用された日付であることから、その削除の理由と監修の事実の有無が注視されている。

1 実際に執筆及び監修をしていないにもかかわらず、執筆者及び監修者として申請することは虚偽に当たると考えるが、いかがか。

2 執筆者及び監修者として申請され、実際に執筆及び監修をしているにもかかわらず、執筆者及び監修者から登録を削除された場合も、また事実に反することから虚偽に当たると考えるが、いかがか。

3 過去に監修者の削除を申請されたケースがあるかどうか、明らかにされたい。

  右質問する。

答弁書

答弁書第四○号

内閣参質一六二第四○号

  平成十七年八月五日

内閣総理大臣 小泉 純一郎   

       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員福島みずほ君提出教科用図書採択の公正確保と検定申請図書流出問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員福島みずほ君提出教科用図書採択の公正確保と検定申請図書流出問題に関する質問に対する答弁書

一について

 株式会社扶桑社(以下「扶桑社」という。)からの報告によれば、扶桑社は、平成十六年度の検定申請図書についての意見を聴取するために、検定の決定前に十九都府県の教員等に対して当該検定申請図書合計七十冊を貸与又は閲覧させたとのことである。これらの貸与又は閲覧に関する事実関係の詳細については、確認していない。

二の1について

 文部科学省において、扶桑社に対して口頭により指導を行った。

二の2について

 文部科学省において、扶桑社を含む教科用図書の発行者に対して通知を発出し、教科用図書の採択に関する宣伝行為等について指導を行ったところである。

二の3について

 扶桑社からは、一についてで述べた事実関係及び扶桑社の職員に対する指導を徹底し、教科用図書の公正な宣伝に努める旨の報告が行われた。

三について

 現在、都道府県教育委員会及び市町村教育委員会において、検定の決定が行われた教科用図書の見本に関する調査研究に基づき適正かつ公正に教科用図書の採択に係る手続が行われており、御指摘のような調査を実施する必要はないと考えている。

四について

 文部科学省において、教科用図書の発行者に対して通知を発出し、教科用図書の採択に関する宣伝行為等について指導を行ってきたところであり、教科用図書の採択が公正に行われるよう、引き続き教科用図書の発行者に対し必要に応じて指導してまいりたい。

五の1及び2について

 教科用図書の検定の申請者は、検定申請図書の著作編修に関与したすべての者の氏名、職業等を記載した著作編修関係者名簿を文部科学大臣に提出することとされている。検定申請図書の著作編修関係者については、その著作編修の実態を踏まえて、申請者において正確に記載すべきものであると考える。

五の3について

 御指摘の事例のほかにも著作編修関係者名簿における監修者の記載を削除する届出が行われた事例はある。

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