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2018年03月23日 厚生労働委員会で旧優生保護法下における強制不妊手術について質問 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
第196回国会 参議院 厚生労働委員会 003号 2018年03月23日
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
質問通告しておりませんが、今朝の新聞にあったので。
昨日、野党合同ヒアリングの中で裁量労働制のデータに関してずっと議論してきましたが、裁量労働制の方が労働時間が短いという中で、一時間以下というのが二十五件あって、これは一体何だということで随分議論になってきました。
厚労省の調査で十五件は確認できたがいずれも一時間以下のものは一件もなかったということで、一時間以下、二十五件あったので、裁量労働制の方が短いという一つの理由になっていたわけですが、こんなでたらめを許していいんでしょうか、加藤大臣。
○国務大臣(加藤勝信君) そもそも、今御指摘の点は、異なる仕方で選んだ数値をまずそもそも比較していたというところにおいても不適切であったわけでございます。また、その上で、この裁量労働制の平均的な者の一日の労働時間の状況について、一時間以下が二十五件と、こういうことでございました。それについてはもうちょっと省略いたしますけれども、今委員御指摘のとおりでございまして、私どもも最終的にチェックをさせていただいたもの、十五件の事業所全てにおいて裁量労働制で働く労働者の労働時間の状況が一日一時間程度ということはなかったと。
したがって、裁量労働制で働く平均的な者の労働時間の状況が一時間以下というデータは実態を反映したものとは言えない、こういうことを結論付けたところでございます。
○福島みずほ君 裁量労働制の拡充は削除されましたが、同じパックでやってきたホワイトカラーエグゼンプションも削除すべきだということを強く申し上げます。
優生保護法下における強制不妊手術についてお聞きをいたします。
二〇一六年三月二十二日、この厚生労働委員会で塩崎前厚生労働大臣へ当時質問をいたしました。厚労省が会って、ヒアリングをやりますよと言ってくださって、これまで六回が終了をしております。そういうことをやっていただいたことには深く感謝をいたします。
優生保護法下において強制不妊手術が行われたとして、今年一月三十日に仙台地裁に国家賠償請求訴訟が提起をされました。この裁判についてどのように受け止めていらっしゃるか。新聞報道によると国は争うとなっておりますが、早期の救済こそやるべきではないでしょうか。
○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。
旧優生保護法、議員立法により制定され、平成八年に議員発議により母体保護法に改められ、精神疾患等を理由とした同意によらない不妊手術に関する規定も削除されたものでございます。
厚生労働省といたしましては、こうした改正の趣旨を踏まえて、全ての人々がお互いの人格と個性を尊重し合いながら共生できる社会を実現できるように現在取り組んでいるところでございます。
その一方で、今御指摘いただきました旧優生保護法下で行われた同意によらない不妊手術について現在提起されております訴訟については、関係省庁と協議しつつ適切に対応をさせていただきたいと思っております。
○福島みずほ君 早急に補償なり国家賠償請求を認めるべきだというふうに思います。
優生保護法は、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するという目的のために強制的な不妊手術を合法化しておりました。四条では、疾病の遺伝を防止するため優生手術を行うことが公益上必要であると認めるときは、審査会に審査を申請することとなっております。
強制的な不妊手術ですよね。これは日本国憲法がありますから、憲法十三条が保障する個人の尊重、幸福追求権をまさしく侵害するものではないでしょうか。
○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。
旧優生保護法は、昭和二十三年に国会にて議員発議により可決、成立しておりますが、政府としては、立法府にて、その時点、憲法には違反しないとの判断の下に制定された法律であると考えております。
○福島みずほ君 これが一九九六年まで続く、明確に憲法違反だというふうに考えます。
また、十二条は、遺伝性のもの以外の精神病又は精神薄弱にかかっている者について、後見人や保護者の同意があった場合に審査会に審査を申請するとしています。そもそも遺伝性がない場合に手術を認めていることは問題ではないでしょうか。
○政府参考人(吉田学君) 私どもとしては、旧優生保護法第十二条、今委員御指摘いただきましたように、精神病者等に対する優生手術についての規定に基づいて、当時の規定によりますれば、医師は、別表第一号、第二号に掲げる遺伝性のもの以外の精神病、精神薄弱に罹患している者について、保護義務者の同意があった場合には、都道府県優生保護審査会に優生手術を行うことの適否に関する審査を申請することができるとされ、この手術の適否につきましては、都道府県優生保護審査会が規定されている疾患にかかっているか及び本人保護のために必要かどうかを審査の上、決定するということが旧法第十三条に規定されていたというふうに承知をしてございます。
○福島みずほ君 遺伝性のものであっても強制不妊手術は問題ですが、遺伝性がないということが明確でまた強制不妊手術というのも、十二条も更に問題だと思います。
お手元に別表をお配りしております。
これは、遺伝性があるものというふうになっておりますが、本当にこれは遺伝性のあるものでしょうか。遺伝性のものでも強制不妊手術は問題だと、憲法違反だと思いますが、これは遺伝性なのでしょうか。別表、これは条文に付いている別表ですが、遺伝性精神病として、例えば躁うつ病などがあります。また、顕著な遺伝性精神病質として顕著な性欲異常、顕著な犯罪傾向、これって遺伝性なんでしょうか。また、例えば、遺伝性の難聴又は聾なども遺伝性って簡単に言っていいんでしょうか。これは極めて問題だと思います。
この別表、いかがでしょうか。
○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。
別表の中に様々な疾患が含まれていること、委員御指摘のとおりかと思います。
それなので、一概にお答えすることはなかなか困難でございますけれども、まず、現在の医学的知見に照らすと、例えば、一般に専門家の文献などによれば、精神疾患の発症には環境的要因などの様々な要因が関係していると考えられておりまして、一部の精神疾患では、原因は不明であるものの、何らかの遺伝的要因が関与をしていると考えられる疾患があるという記述を私ども承知をしております。
また、一方、当時のといいましょうか、この法律、別表が規定された当時ということでも考えさせていただきますと、これはまた一概にお答えさせていただくことは困難でございますけれども、例えばこの旧優生保護法の立案された方が執筆されました「優生保護法詳解」という著作によりますと、例えば、双子、双生児の研究において、当時の言葉で恐縮ですが、精神薄弱、精神分裂病、躁うつ病、てんかん等が、いずれも一卵性双生児における相似率が高く、二卵性双生児における相似率が低く、遺伝性があると、これは当時の立法者が執筆された本には書いてあるということを私どもとしては承知をさせていただいているところでございます。
○福島みずほ君 極めて問題ですよね。しかも、これは立法不作為にもなるわけですが、まさに、一九九六年まで、これが遺伝性のものだ、遺伝性のものでも私は強制不妊手術することは憲法違反だと思いますが、このずさんな認定でやっているんではないかと思います。
資料にお配りしておりますが、遺伝調査書というものがあります。これに、本人の血族中遺伝病にかかった者がいるかどうか書く欄があるんですが、記載上の注意で驚くべきことは、自殺者、行方不明者、犯罪者、酒乱者等について記入すると。こんなの遺伝と関係ないじゃないですか。何でこういうものを書かせるんですか。差別と偏見だと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。
今御指摘いただきました、これ、旧優生保護法施行規則に定められた遺伝調査書という様式でございます。
この様式が定められたときのいろんな経緯、記録等、私ども確認できませんので、私どもとしてはそこはなかなかお答えしづらいところでございますが、この遺伝調査書の位置付け、都道府県優生保護審査会において、旧優生保護法の別表に定められた疾患への該当性の有無を判断するための参照されたものというふうに理解させていただいております。
○福島みずほ君 この調査書、厚労省からいただいたものなんですよ。そして、この血族中と書いてあるのも変だし、そして、その中に犯罪者とか行方不明者、酒乱とか、自殺者とか書くのも、これは遺伝と何の関係があるのか。極めて差別的で、当時、差別的な運用がまさにこういうことでされていたのではないかというふうに思います。
それで、今日は法務省にも来ていただきました。というのは、国が旗振ってやっていたという部分でなんですが、一九四九年、昭和二十四年十月十一日、当時の法務府がまさにこれを出しておりまして、厚労省より先に、当然に本人の意思に反しても手術を行うことができるものと解さなければならない、したがって、本人が手術を受けることを拒否した場合においても手術を強行することができると解さなければならない、真に必要やむを得ない限度において身体の拘束、麻酔薬施用又は欺罔等の手段を用いることも許される場合があるものと解すべきである、すさまじいわけですが、実際、盲腸の手術だと言われるとか生理が軽くなるよと言われて手術を受けさせられたりしている例があるんです。
法務省、これ、もう極めて問題ではないでしょうか。
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
委員御指摘の回答につきましては、当時の法務府が、法律問題に関し、内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べる事務として行ったものと思われますが、昭和二十七年八月一日施行の法務府設置法等の一部を改正する法律及び同日施行の法制局設置法によりまして、当該事務が法務省の所管外となったものと承知しており、回答の理由について現在法務省としてお答えすることができないということでございます。
○福島みずほ君 この通知によると、一九四九年十月十一日、法務省が、欺罔してもいいんだ、強制でいいんだ、麻薬使ってもいいんだとやって、その後、十月二十四日に、今度は厚労省自身が、厚生省自身が、厚生省公衆衛生局長による通知が出されております。見にくいですが、この通知が資料としてお配りしているものです。それによると、やっぱり同じように、この法務省のを受けて、欺罔でいいんだと同じことが書いてあるんですね。だましていいんだということが書いてある。
これ、強制してもいい、これ、極めて問題ではないでしょうか。つまり、優生保護法が憲法違反だという面、それから、この優生保護法を超えて、欺罔でもいいんだというのを通知でやっている、これは優生保護法を超えていませんか、どうですか。
○政府参考人(吉田学君) 旧優生保護法下での審査を要件とする不妊手術につきましては、本人の意見に反してもこれを行うことができるという形で、当時の通知において、今引用されましたような形で記載されていたと承知しております。
御指摘の欺罔につきましては、今のような形で手術を行うことが適当である旨の決定がなされる場合に許される強制の方法として示されたものというふうに考えておりまして、私ども、当時の判断、運用といたしましては、法が認めた適用範囲における運用として行われたものというふうに理解をさせていただいております。
○福島みずほ君 問題ではないですか。法の趣旨、超えていませんか、欺罔してもいいって。
○政府参考人(吉田学君) 重ねてではございますが、今御指摘いただきました通知におきましては、手術の実施に当たって強制の方法は必要な最小限度のものでなければならないので、なるべく有形力の行使は慎まなければならないが、それぞれの具体的な場合に応じては、真にやむを得ない限度において、身体の拘束、麻酔薬施用又は欺罔等の手段を用いることも許される場合があると解しても差し支えないことというふうに通知なされていたということを承知をしております。
○福島みずほ君 すさまじい通知ですよね、これ、一九九六年まで続くわけですから。
厚労省は、この質問をすると、優生保護法について質問すると、当時適法だったと今まで答えているんです。でも、本当に適法でしょうか。だって、強制力使っていいし、拘束していいし、だましてもいいんですよ。だましてもいいんですよ。これ、いいんでしょうか。だまして、盲腸の手術だとか生理が軽くなるからと言って、その人が一生子供をつくれないようにして、望んでもですよ、それが本当にいいんだろうか。憲法違反だと思いますし、法律の趣旨を超えているというふうに思います。
また、手術の方法については、施行規則一条で、一号、精管切除結紮法、二号、精管離断変位法、三号、卵管圧挫結紮法、四号、卵管間質部楔状切除法というのが決められております。しかし、手術の方法として放射線照射や子宮まで取る手術が行われている例があります。
最近の出てきた公文書で、厚生省が一九四九年、京都府に対し、法律や通知が認めていない放射線照射による措置を学術研究目的で許可をしていたという公文書が明らかになりました。実際、放射線治療を受けたというふうに証言している人もいるんですね。これは明らかに法律を超えていませんか。
○政府参考人(吉田学君) まず、旧優生保護法下で認められておりました優生手術の術式につきましては、今委員の方から御紹介いただきましたようなものに、旧優生保護法施行規則第一条において限定列挙されております。その中には、御指摘いただきました放射線照射、あるいは、これまでの報道の中では子宮を摘出するというようなことも報道の中には出てきてございますけれども、施行規則に定める術式には該当しないというふうに私ども思っております。
○福島みずほ君 実際、通知で、優生保護法の施行についての一般的事項に、放射線照射によるもの等は許されないこと、正当な理由がない限り生殖を不能にすることを目的として手術又はレントゲン照射は禁止すると明記されています。
そうだとすると、レントゲン照射は明らかに優生保護法違反であるということでよろしいですね。
○政府参考人(吉田学君) お答えいたします。
私どもとしては、先ほど申し上げましたように、旧優生保護法施行規則一条において列挙されている術式には放射線照射は記載されていないというふうに認識をしてございます。
○福島みずほ君 しかし、京都府で出てきた公文書のように、あるいは当事者の証言にあるように、やっているんですよ。だから、優生保護法が憲法違反だったという問題と優生保護法を超えてやっていた面があるというのと両方あって、厚生労働省の適法にやっておりましたというのは通用しないんではないかというふうに思います。
現在、各都道府県、地方紙にはとても載っておりますが、各自治体で非常に取組や資料を集めるということが始まっております。仙台、宮城はもちろんのこと、北海道とか新潟や、それから大分やいろんなところで今始まっています。とりわけ、北海道は相談窓口を設けて熱心にやっております。
厚生労働大臣にお願いです。一つ目、まず、この地方に、四十七都道府県に相談窓口を置くなり、資料が散逸しないように、資料を集めるように是非旗を振っていただきたい。二点目は、ハンセン病やそのときのように厚生労働省自身が専門家に委ねて、第三者機関による調査、実態調査をやって報告書をまとめていただきたい。その報告書によっては、私は謝罪と補償をやるべきだと思います。この二点について、大臣の決意をお聞かせください。
○国務大臣(加藤勝信君) 今委員から、この旧優生保護法に係る様々な御指摘もございました。
厚生労働省としては、旧優生保護法から母体保護法への改正の趣旨を踏まえて、全ての人々が互いの人格と個性を尊重し合いながら共生できる社会の実現、これに取り組んでいるところでありますし、今後ともしっかり取り組みたいと思っております。
御指摘の点でありますけれども、これまでも、当事者から御要望があれば、厚生労働省において担当者が直接お話をお伺いするなどして対応してきたところであり、引き続き、そうした御要望があれば、本省において適切に対応していきたいというふうに考えているところでございます。
また、調査云々、等々のお話がありました。こうしたことについて、現在、旧優生保護法について超党派の議連も設置をされておられます。また、与党の中でも議論もございます。こうした動向もしっかり私どもとしては注視していきたいと、こういうふうに考えております。
○福島みずほ君 是非、加藤大臣、調査しますよと言ってくださいませんか。超党派の議連もありますし、今おっしゃったように与党PTもできました。少なくとも実態調査はやるべきじゃないですか。いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) 今の政府の立場としては、繰り返しになって恐縮でございますけれども、個々の方々からについての御相談等にはしっかりと対応させていただきたいというふうに思いますし、同時に、こうした調査等々についてもそれぞれ議連等の御議論、また与党内での御議論、こういったものもあろうかと思いますので、そういった御議論もしっかりと聞かせていただきながら対応させていただきたいと思います。
○福島みずほ君 是非実態調査をやり、四十七都道府県、相談窓口をつくれと厚労省が旗を振っていただきたい。都道府県の審査会ではやっておりますが、これを作ったのは国会であり、やってきたのは厚生省であり、法務省も関係しているわけで、やっぱりこれは行政そして国会が力を合わせて解決すべき問題だと思います。
ホワイトカラーエグゼンプションについては火曜日に質問しますので、ちょっと時間が足りなくなって申し訳ありません。また、よろしくお願いいたします。