ACTIVITY BLOG活動ブログ

6.13【委員会反対討論】入管法、技能実習法の改悪 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

立憲民主・社民の福島みずほです。
私は、会派を代表し、 出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律案、出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

まず、第一に最大の理由は、永住資格の取り消しの制度が盛り込まれていることです。
故意に公租公課を払わなかった場合や入管法違反の事実、軽微な一定の刑事事件に処せられた場合には執行猶予であったとしても、永住資格の取り消しができると言うものです。しかも、国や自治体の職員は、その事実を思料した場合には、通報することができるとまでしています。

法務省は、故意に公租公課を払わない場合とは、悪質な場合やあえて払わない場合のことであり、やむを得ない場合は除くということをガイドラインに明記するとしています。しかし、ガイドラインは国会を通す必要がなく、法務省の裁量で作成・変更ができます。そして永住権のことで訴訟になったとしても法的拘束力がないためにガイドラインの内容は裁判では意味をなしません。在留カードの不携帯義務など、極めて軽微なことで、永住資格の取り消しが問題になること自体が、比例原則に反し、永住者の生活を不安定にし、かつ奪うものです。

神奈川弁護士会は、6月4日の会長談話で、「人であることにより共有することのできる人権は、外国人であっても当然に共有することができます。もし、外国籍・無国籍市民に対してだけ、従来のルールを超えて、入管の広範な裁量で永住資格を剥奪し、生活の基盤を軒並み奪ってしまうことができるような仕組みを作るのであれば、外国人市民に対する苛烈な差別以外の何ものでもありません。そして、近年、政府が進めてきた外国人労働者の受け入れ、政策及びこれに伴う共生社会の基盤整備施策にも完全に矛盾しています。」と述べています。その通りです。このような永住資格の剥奪を断じて認めるわけにはいきません。

しかも、この永住資格の取り消しについては、有識者会議で、全く議論されず、最終報告書にも一切書かれていません。ロードマップからしても遠い将来に結論を出すというもので、今回の唐突な改悪案は理解できません。また第7次出入国管理政策懇談会の第12回、第21回会合、においても否定的な意見が出ており、さらにその懇談会でとりまとめた報告書では当事者から意見聴取をし、丁寧な議論が必要だと書かれています。

また、この条文を入れる立法事実は一切明らかになっておりません。この立法事実を裏付ける事実も法務省から出ていません。
さらに、当事者や当事者団体に全くヒアリングを行わず、提案していることも問題です。参議院の参考人としてこられた横浜華僑総会顧問の曽徳深さんは5月12日に初めてこのような条文が提案されていることを知ったと述べました。法務省が、生殺与奪権を持つと宣言するものであり、日本で今まで暮らしてきた90万人の永住者の皆さんへの恫喝であり、すべての外国人に対する恫喝です。
このような法律を断じて成立させてはなりません。

第2に、現行の技能実習制度は、外国人を非熟練、低賃金の労働力として使い、強制労働など深刻な人権侵害を引き起こしてきました。労働基準法違反が横行するだけでなく、多くの失踪者を生み、現代の奴隷制と言われてきました。国連自由権規約委員会等からも人権侵害を指摘されています。しかし、法案は問題を根本的に改革するものになっていません。看板の付け替えだけに終わっています。

現在、技能実習生が送り出し国で支払っているのは平均して54万円となっています。それが本当に引き下げられるのでしょうか。また現在監理団体へ受け入れ機関が払っているのは3年間で実習生1名あたりの費用は141万円、その他に入会費が7万円ほど年会費が9万円ほどとなっています。このように多額のお金を払うために本人へ支払う金額が少なくなり、また本人が前借金で逃げられないと言う状況が発生しています。これらのことが本当に改善するのでしょうか。これらの制度を温存したまま育成就労といっても問題点は変わりません。

第3に、農業と漁業など季節性のある分野に派遣労働の仕組みを導入する事は、中間搾取で労働条件が悪くなり、また短い期間での雇用になるなど問題が生ずる懸念があります。派遣労働そのものの問題もある中で、この派遣が拡大することで、さらに労働条件が悪くなる危険性があり、反対です。

結局、人手不足の中で安価な労働力を求めているだけであり、家族帯同を認めないことをはじめ共に地域で生きる存在としては、制度構築していないのではないでしょうか。

永住資格の取り消し制度の新設とあいまって、共生社会作りに背を向けるものであり、反対討論とします。

MENU