QUESTIONS質問主意書
第166回国会 「個人情報保護法の施行状況に関する質問主意書」(2007年3月22日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
質問主意書
質問第一八号
個人情報保護法の施行状況に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成十九年三月二十二日
福島 みずほ
参議院議長 扇 千景 殿
個人情報保護法の施行状況に関する質問主意書
内閣府は、二〇〇六年六月にまとめた「平成十七年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要」(以下「旧二〇〇五年度施行状況の概要」という。)を、本年三月五日に関係省庁から訂正の報告があったとの理由により、内容の修正を行っている。
このような中で、旧二〇〇五年度施行状況の概要の中で、報告されていた個人情報の保護に関する法律(以下「本法」という。)第三十二条から第三十四条を根拠とする総務大臣による権限行使状況について明らかにするため、以下質問する。
一 総務大臣による権限行使状況について
1 旧二〇〇五年度施行状況の概要によると、二〇〇五年度、本法第三十二条から第三十四条を根拠とする総務大臣による権限行使状況は、四十八件とあるが、権限行使の対象となった個人情報取扱事業者の名称、権限行使した事案の概要を示されたい。
2 同じく、二〇〇六年度の総務大臣による権限行使状況について、権限行使の対象となった個人情報取扱事業者の名称、権限行使した事案の概要を示されたい。
3 旧二〇〇五年度施行状況の概要によると、主務大臣による権限行使の状況は、報告の徴収と勧告を合わせて五十一件で、総務省がその大半である四十八件を占めた。総務省の権限行使が大半を占めた理由を示されたい。
二 旧二〇〇五年度施行状況の概要を総務省が修正した理由等について
本年三月五日に関係省庁から訂正の報告があったとの理由により、内容の修正を行う以前、本年二月十五日、総務省は内閣府に対して、旧二〇〇五年度施行状況の概要について修正を申請したとされている。旧二〇〇五年度施行状況の概要について、総務省が修正を必要とした理由をそれぞれの修正箇所ごとに、明らかにされたい。
三 総務省が二〇〇六年十一月二十四日の国民生活審議会個人情報保護部会に提出した資料について
1 総務省が二〇〇六年十一月二十四日の国民生活審議会個人情報保護部会に提出した資料の中で、「放送分野において、漏えい等があった場合は、すべて地方総合通信局等を経由して、総務省へ報告される体制を取っている。(※ 個人情報保護法第三十四条に基づく「報告の徴収」に該当。)」とあるが、総務省への報告が「報告の徴収」に該当すると判断した理由を示されたい。
2 1については、本法第三十四条の規定する勧告及び命令に該当するのか。「第三十四条」という部分は、「第三十二条」の誤りとも思われるが、政府の見解を示されたい。
3 2について、本法第三十四条に基づく勧告及び命令に該当するのであれば、そのように判断した理由を示されたい。
四 放送分野における個人情報の取扱いについて
1 現在総務省は、放送分野における個人情報の取扱いについて、「放送受信者等の個人情報の保護に関する指針」(二〇〇四年八月三十一日総務省告示)をまとめているが、放送分野において指針が必要な理由を示されたい。
2 経済産業省は、既に一般事業者向けに「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」を策定している。放送事業者についても同ガイドラインで十分に対応可能であり、放送分野のみの指針を策定することは不要と考えるが、政府の見解を示されたい。
3 放送分野のみの指針を策定することが必要であるならば、その理由を示されたい。
五 学術団体における個人情報の取扱いについて
1 日本学術会議法に規定する「登録学術研究団体」を対象とするなど、学術研究分野における個人情報の取扱いを示した指針は存在するのか明らかにされたい。
2 1のような指針が存在しないならば、その理由を示されたい。
六 宗教団体における個人情報の取扱いについて
1 宗教法人法に規定する「宗教団体」を対象とするなど、宗教分野における個人情報の取扱いを示した指針は存在するのか明らかにされたい。
2 1のような指針が存在しないならば、その理由を示されたい。
七 政治団体における個人情報の取扱いについて
1 政治資金規正法に規定する「政治団体」を対象とするなど、政治団体における個人情報の取扱いを示した指針は存在するのか明らかにされたい。
2 1のような指針が存在しないならば、その理由を示されたい。
八 本法第四章適用除外分野における指針の策定について
放送事業者、学術研究団体、宗教団体、政治団体が、それぞれ報道、学術研究、宗教活動、政治活動に供する目的で取り扱う場合、本法第四章の適用が除外されることとされている。このうち、五から七の答弁において、学術団体、宗教団体、政治団体のいずれにおいても指針が存在しないとすれば、なぜ放送事業者にのみ指針を策定したのか、その理由を示されたい。
右質問する。
答弁書
答弁書第一八号
内閣参質一六六第一八号
平成十九年三月三十日
内閣総理大臣 安倍 晋三
参議院議長 扇 千景 殿
参議院議員福島みずほ君提出個人情報保護法の施行状況に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員福島みずほ君提出個人情報保護法の施行状況に関する質問に対する答弁書
一の1について
平成十八年六月に内閣府が公表した「平成十七年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要」において個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号。以下「法」という。)に基づく総務大臣による権限行使として記載された四十八件の報告の徴収に関し、それらの対象となった事業者の当時の名称は、放送関係の四十七事例については、株式会社アイティービー、株式会社アニマックスブロードキャスト・ジャパン、株式会社FM802、株式会社大垣ケーブルテレビ、株式会社キャッチネットワーク、株式会社ケーブルテレビ足立、株式会社ケーブルテレビ可児、株式会社ケーブルネット神戸芦屋、株式会社ケーブルネット鈴鹿、株式会社山陰放送、株式会社シティテレビ中野、株式会社シー・ティー・ワイ、株式会社ジェイコム関西、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズ、株式会社タウンテレビ習志野、株式会社タウンテレビ南横浜、株式会社ティー・ヴィー・キュー九州放送、株式会社テプコケーブルテレビ、株式会社テレビ朝日、株式会社テレビ東京、株式会社東京放送、株式会社東日本放送、株式会社WOWOW、関西テレビ放送株式会社、熊本ケーブルネットワーク株式会社、ケーブルネット埼玉株式会社、山陰ケーブルビジョン株式会社、スターキャット・ケーブルネットワーク株式会社、東京ケーブルネットワーク株式会社、豊橋ケーブルネットワーク株式会社、日本テレビ放送網株式会社、日本放送協会、東大阪ケーブルテレビ株式会社、福岡ケーブルネットワーク株式会社、船橋ケーブルネットワーク株式会社、三河湾ネットワーク株式会社及び武蔵野三鷹ケーブルテレビ株式会社、郵政行政関係の一事例については、財団法人簡易保険加入者協会であり、それらの事案の概要は、法第二十一条の従業者の監督義務に反して個人データの漏えい、滅失又はき損のあった事案が二十二件、法第二十二条の委託先の監督義務に反して個人データの漏えい等のあった事案が二十六件となっている。
一の2について
平成十八年四月一日から本年三月二十六日までの間における法に基づく総務大臣による権限行使の対象となった個人情報取扱事業者の名称は、KDDI株式会社であり、法第三十二条に基づく報告の徴収は、平成十八年六月に約四百万件の個人データの漏えい事案が発覚し、同年九月に文書指導を受けたにもかかわらず、本年一月二十五日に約二十二万件の個人データの漏えい事実が発覚したことを受けて、同年二月十五日に行っている。また、法第三十四条第一項に基づく勧告は、同年三月一日の同社からの報告の結果、平成十八年九月の文書指導により再発防止策の徹底を求めたにもかかわらず、個人データの安全管理のための必要かつ適切な措置が十分になされていなかったことが認められたため行っている。
一の3及び二について
放送関係の四十七事例については、放送受信者等の個人情報の保護に関する指針(平成十六年総務省告示第六百九十六号。以下「放送分野の指針」という。)等に基づく事業者による任意の報告があったものであって、法に基づく権限行使ではなかったことから、法に基づく施行状況に関する集計方法について、内閣府と調整した結果、法に基づく権限行使としては計上しないこととし、郵政行政関係の一事例については、民法(明治二十九年法律第八十九号)第六十七条に基づく公益法人の一般監督権限として権限行使を行ったものであって、法に基づく権限行使ではなかったことから、法に基づく権限行使としては計上しないこととした。このため、法に基づく権限行使としての件数は零件であった旨の訂正をすることとし、本年二月十五日に内閣府へ報告し、同年三月五日に内閣府より発表されたものである。
三の1について
放送分野においては、個人情報の漏えい等があった場合は、放送分野の指針等に基づき事業者から総務大臣に対して報告が行われているところであり、御指摘の国民生活審議会個人情報保護部会に提出した資料を作成した時点においては、事業者から報告のあった事案はすべて法第三十二条に基づく報告の徴収に該当するものと誤って認識していたものである。なお、前述のとおり、法に基づく報告徴収の件数としては零件であったことから、その旨の訂正を行ったところである。
三の2及び3について
御指摘の国民生活審議会個人情報保護部会に提出した資料三頁中「第三十四条」とあるのは、「第三十二条」の誤りである。
四について
個人情報の保護に関する基本方針(平成十六年四月二日閣議決定)では、各省庁において、それぞれの事業等の分野の実情に応じたガイドライン等の策定・見直しを早急に検討することとされており、放送分野は、特に適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要がある分野の一つとされた「情報通信」に該当するものであることから、放送関係事業者のとるべき対応を示すため、総務省において、平成十六年八月三十一日に放送分野の指針を策定したものである。放送分野は総務大臣が所管する分野であり、御指摘の「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」の対象となるものではない。
五について
文部科学省では、法第五十条第一項第三号において、大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者については法第四章に定める個人情報取扱事業者の義務等の規定を適用しないとされていることから、学術研究分野を通じての個人情報の取扱いを示した指針は策定していないが、ヒトゲノム・遺伝子解析研究、疫学研究及び遺伝子治療臨床研究については、指針を策定している。
なお、御質問にある「登録学術研究団体」の制度については、日本学術会議法の一部を改正する法律(平成十六年法律第二十九号)の施行により廃止されている。
六について
文部科学省では、法第五十条第一項第四号において、宗教団体については法第四章に定める個人情報取扱事業者の義務等の規定を適用しないとされていることから、宗教分野における個人情報の取扱いを示した指針は策定していない。
七について
総務省では、法第五十条第一項第五号において、政治団体については法第四章に定める個人情報取扱事業者の義務等の規定を適用しないとされていることから、政治団体における個人情報の取扱いを示した指針は策定していない。
八について
放送分野について、指針の策定が必要であることについては、四についてで述べたとおりである。法第五十条第一項第一号において報道機関が報道の用に供する目的であるときは法第四章の規定が適用除外とされるが、総務省としては、放送分野ではこれ以外の目的のものについても、有料放送視聴者の名簿や視聴履歴等保護すべき多くの個人情報が存在しているため、特に個人情報の適正な取扱いの厳格な実施を確保する必要があり、指針を策定している。
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