QUESTIONS質問主意書
第180回国会 「四国電力伊方原発沖の活断層と伊方原発三号機再稼働に関する再質問主意書」(2012年6月28日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
質問主意書
質問第一六八号
四国電力伊方原発沖の活断層と伊方原発三号機再稼働に関する再質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成二十四年六月二十八日
福島 みずほ
参議院議長 平田 健二 殿
四国電力伊方原発沖の活断層と伊方原発三号機再稼働に関する再質問主意書
先般、私が提出した「四国電力伊方原発沖の活断層と伊方原発三号機再稼働に関する質問主意書」(第百八十回国会質問第一四三号)に対する答弁書(内閣参質一八〇第一四三号)を受領したが、不明確な事項があることから、以下のとおり再質問する。
一 前記答弁書における「科学的・技術的知見」の定義とは何か。最新の科学的・技術的な発見や報告は、学会や学術誌などで多数提起されていると承知するが、どの時点で「科学的・技術的知見」となるのか。
二 前記質問主意書で、原子力発電所の耐震安全性評価は、最新の科学的知見を反映させて行うべきと考え、政府の見解と取組方針を質問したところ、前記答弁書では「経済産業省原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)においては、原子力事業者に対し、耐震安全性に係る新たな知見を継続的に収集し、耐震安全性評価に反映すべきと考えられる知見について、保安院に定期的に報告することを求めており、報告を受けた知見については、専門家の意見を聴取した上で、耐震安全性評価に反映すべきと考えられるものについて、原子力事業者に対して、これを踏まえた耐震安全性評価を再度行うことを求めることとしている」とある。この定期的な報告とは、どの程度の頻度で求めているのか、その具体的な報告の回数を含めて明示されたい。また、過去十五年間に原子力事業者から原子力安全・保安院に報告された「耐震安全性評価に反映すべきと考えられる知見」について報告した原子力事業者名とその報告内容・日時を具体的に示されたい。
三 過去に原子力事業者から報告された「耐震安全性評価に反映すべきと考えられる知見」は、最新の科学的・技術的知見をすべて網羅しているか、報告に漏れはなかったのかどうか、政府は報告書を受け取った後に、再度修正や訂正を求めて、再提出を要請したことはあるのか、事実関係を示されたい。
四 最新の「耐震安全性評価に反映すべきと考えられる知見」について、政府としても独自に収集し、耐震安全性評価に反映すべきと考えるが、そのような体制・制度を構築する方針はあるのか。
五 前記質問主意書で「地震調査研究推進本部」による地震活動の評価が、原発の耐震安全性の見直しなどにどのように反映されていくのか質問したところ、前記答弁書では「今後も、地震本部の活動により得られた知見について、必要に応じ耐震安全性評価に反映していくよう原子力事業者に対して求めていくこととしている」とある。地震調査研究推進本部の活動によって得られた知見に基づいて、政府が原子力事業者に耐震安全性評価に反映していくよう求めた事例(過去十五年間)について、その原子力事業者名と耐震安全性評価に反映を求めた内容を具体的に示されたい。
六 前記質問主意書で、伊方原発沖の活断層群に対し地震調査研究推進本部が、「複数の区間が同時に活動する可能性、さらにはこれら六つの区間とは異なる範囲が活動する可能性も否定できない」、「マグニチュード八・〇程度もしくはそれ以上の地震が発生すると推定」していることに対し、四国電力が「マグニチュード七・七を代表」させて原発の耐震安全性評価を行うことは妥当かどうか質問したところ、前記答弁書では「同社において詳細な地下構造調査を行い、一部改訂前の中央構造線断層帯(金剛山地東縁-伊予灘)の長期評価も踏まえた上で基準地震動を策定しており、その耐震安全性評価の結果については妥当であると考えている」とある。私が質問した主旨は、中央構造線断層帯の長期評価ではなく、「マグニチュード八・〇程度もしくはそれ以上の地震が発生すると推定」されているのに、「マグニチュード七・七を代表」させて原発の耐震安全性評価を行うことが妥当なのかという点である。再度、妥当と判断する理由について、詳細に説明されたい。
七 「マグニチュード七・七の地震」と「マグニチュード八・〇程度もしくはそれ以上の地震」は、その地震動、被害の大きさについて、どの程度の違いがあるのかを示されたい。特に、伊方原発沖の活断層群で「マグニチュード八・〇」の地震が発生したときに、伊方原発の敷地ではどの程度の強さの地震動が観測されると予測されるか、具体的な数値で示されたい。
八 四国電力から過去二十年間にわたって原子力安全・保安院(もしくはその前身組織)に報告された「耐震安全性評価に反映すべきと考えられる知見」について、その時期と内容を具体的に示されたい。
右質問する。
答弁書
答弁書第一六八号
内閣参質一八〇第一六八号
平成二十四年七月六日
内閣総理大臣 野田 佳彦
参議院議長 平田 健二 殿
参議院議員福島みずほ君提出四国電力伊方原発沖の活断層と伊方原発三号機再稼働に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員福島みずほ君提出四国電力伊方原発沖の活断層と伊方原発三号機再稼働に関する再質問に対する答弁書
一から三までについて
先の答弁書(平成二十四年六月二十二日内閣参質一八〇第一四三号)一についてでお答えした科学的・技術的知見(以下単に「知見」という。)とは、例えば、地質調査やシミュレーション解析等、国内外の研究機関等における耐震安全性に係る研究により得られた知見であって、当該研究の成果が学会や学術誌等において公表されたものを指す。経済産業省原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)は、原子力事業者に対し、耐震安全性に係る新たな知見を継続的に収集し、原子力施設の耐震安全性に係る評価(以下「耐震安全性評価」という。)に反映すべきと考えられる知見(以下「反映すべき知見」という。)について、平成二十一年度以降、各年度末までに得られたものを翌年度の四月末までに保安院に報告することを求めている。また、何が新たな知見に該当するかについては、主観的な判断によらざるを得ない面があることから、保安院は、原子力事業者に対し、反映すべき知見を選定した方法や反映すべき知見には該当しないものの関連する参考情報等についても併せて報告することを求めている。
これまでに、原子力事業者からは、平成二十一年度分、平成二十二年度分及び平成二十三度年分について反映すべき知見等に係る報告を受けており、このうち、平成二十二年度分については、東日本大震災の影響により、当初は反映すべき知見を選定した方法等に係る原子力事業者からの報告が不十分であったことから、保安院は追加的な報告を求めた上でこれを受けており、平成二十三年九月二日に、反映すべき知見として、東北電力株式会社、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)、日本原子力発電株式会社及び独立行政法人日本原子力研究開発機構から、東日本太平洋沖における巨大連動型地震に関する知見及び東北地方太平洋沖地震の影響によって発生した新たな地震に関する知見について報告を受けている。また、平成二十三年度分については、平成二十四年四月二十六日に、反映すべき知見として、東京電力及び中部電力株式会社(以下「中部電力」という。)から、プレート間で発生した巨大連動型地震に関する知見及び海溝型巨大地震の影響によって発生した新たな地震に関する知見について、東京電力から、富山湾周辺を震源とする津波水位に関する知見及び日本海東縁部を震源とする地震による津波水位に関する知見について、中部電力から、南海トラフの巨大地震による震度分布・津波の高さに関する知見について、それぞれ報告を受けている。
四について
独立行政法人原子力安全基盤機構においても、原子力事業者とは別個に耐震安全性に係る新たな知見の収集を行っており、保安院はその結果を共有している。
五について
保安院が平成十八年九月二十日に発出した「「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」等の改訂に伴う既設発電用原子炉施設の耐震安全性の評価等の実施について」においては、全ての原子力事業者に対し、耐震安全性評価に用いる地震の選定に当たって、「地震調査研究推進本部、中央防災会議等による地震・地震動に関する知見を調査・収集する」ことを求めており、各原子力事業者においては、例えば、地震調査研究推進本部(以下「地震本部」という。)の地震調査委員会が取りまとめた「震源断層を特定した地震の強震動予測手法(「レシピ」)」を参考として、基準地震動を設定するなど、地震本部の活動によって得られた知見を耐震安全性評価に用いていることについて、保安院は確認している。
六及び七について
地震本部の地震調査委員会が平成二十三年二月十八日に公表した「中央構造線断層帯(金剛山地東縁―伊予灘)の長期評価(一部改訂)について」において、中央構造線断層帯については、「複数の区間が同時に活動する可能性、さらにはこれら六つの区間とは異なる範囲が活動する可能性も否定できない。(中略)石鎚山脈北縁西部の川上断層から伊予灘の佐田岬北西沖に至る区間が活動すると、マグニチュード八・〇程度もしくはそれ以上の地震が発生すると推定」されるとしているが、これらの地震により四国電力株式会社(以下「四国電力」という。)の伊方発電所第三号機の敷地において想定される地震動の最大加速度は、約三百二十ガルである。これに対して、四国電力が詳細な地下構造調査を踏まえて行った伊方発電所第三号機の耐震安全性評価においては、伊方発電所第三号機の敷地周辺の断層による地震の中から、当該敷地への影響が最も大きい地震として、当該敷地前面の海域で断層の長さ五十四キロメートルにかけて生ずると想定されるマグニチュード七・七の地震を代表例としているところ、これにより当該敷地において想定される地震動の最大加速度は約五百七十ガルであり、これを踏まえた当該耐震安全性評価は妥当であると考えている。
八について
これまでに、四国電力からは、反映すべき知見に係る報告はなされてない。なお、四国電力からは関連する参考情報として活断層の調査結果等について報告がなされている。
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