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第180回国会 「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムの有効な活用に関する再質問主意書」(2012年5月7日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
質問主意書
質問第一〇一号
緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムの有効な活用に関する再質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成二十四年五月七日
福島 みずほ
参議院議長 平田 健二 殿
緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムの有効な活用に関する再質問主意書
平成二十四年四月二日に、文部科学省が所管する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(以下「SPEEDI」という。)の活用について、「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムの有効な活用に関する質問主意書」(第百八十回国会質問第七二号)を提出し、その答弁書(内閣参質一八〇第七二号。以下「答弁書」という。)を四月十日に受領した。この答弁書に関して、その後の進捗状況を確認するために、以下再度質問する。
一 答弁書「二の5について」で、「文部科学省は、平成二十四年三月五日に、滋賀県からSPEEDIの試算結果の提供について要望を受けている。」とあるが、この要望内容をSPEEDIで試算した場合、処理時間はどの程度かかるのか。今回の滋賀県からの要望に関して、試算条件をインプットしてから試算結果が出力されるまでの時間を明らかにされたい。また、その処理に係る概算費用を明らかにされたい。
二 滋賀県からの要望に基づき、試算は行われたのか。試算が行われた場合、その処理を行った年月日を明らかにされたい。試算がまだ行われていない場合、その理由を明示されたい。
三 答弁書「二の5について」で、「当該試算については準備中であるため、結果はまだ滋賀県には提供していない。」とあるが、その後滋賀県に試算結果は提供されたのか。提供された場合、その年月日を明らかにされたい。提供されていない場合、その理由を明らかにされたい。
四 答弁書「二の1から3までについて」で、「地域に係る防災の取組については、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)に基づき、地方公共団体が自らの地域に係る地域防災計画を作成し、実施することとされている。地域防災計画において原子力災害に係る防災のための訓練等に関する計画を定め、又は実施するに当たり、どのような規模の事故を想定するかについては、まずは、当該地域に精通した各地方公共団体が、地域に固有の自然的・社会的な周辺状況等を勘案してその想定を行うことが適当であり、国があらかじめ一方的に前提条件を定めて事故の規模を想定するなどといったことは適切でないと考えており、文部科学省においては、このような考え方に基づき、従前より、地方公共団体への支援として、地方公共団体からの要望に応じ、SPEEDIの試算結果の提供を行ってきたものであり、今後とも、このような取扱いをすることが適当であると考えている。」とあるが、滋賀県からのSPEEDIによる試算の要望は、この「地方自治体からの要望」に該当するのか。該当する場合、なぜ迅速に試算結果が提供されないのか。該当しない場合、その理由を明示されたい。
五 全国の原発が停止し、今後その再稼働に関する議論が高まるが、その際、重要な判断材料としてSPEEDIによる原子力災害を想定した試算情報が重要となってくる。東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性物質の放出量等に準拠した過酷事故レベルを想定して、全国にある原子力発電所での放射性物質の放出率をSPEEDIによって試算し、広く公開するべきと考えるが、政府の見解を示されたい。その際、風向きによって放射性物質の飛散方向が変わるのであれば、過去十二か月分の気象条件を前提に試算し、各地方自治体及び周辺住民が原子力災害への事前対策を講じることができるよう提供されるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
六 原子力安全委員会の作業部会が昨年十月、半径三十キロメートルの「緊急時防護措置準備区域(UPZ)」を設定した。これに対応して、SPEEDIの端末を滋賀、福岡、山口、富山及び岐阜の五県に設置することとした。この計画に要する費用は、各県別にいくらかかるのか、その予算を明示されたい。また、SPEEDIの端末が各県に設置される時期を具体的に示されたい。さらに、端末が設置されれば、前記の試算は、各県が独自に行うことができると考えて良いのか。
右質問する。
答弁書
答弁書第一〇一号
内閣参質一八〇第一〇一号
平成二十四年五月十五日
内閣総理大臣 野田 佳彦
参議院議長 平田 健二 殿
参議院議員福島みずほ君提出緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムの有効な活用に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員福島みずほ君提出緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステムの有効な活用に関する再質問に対する答弁書
一について
お尋ねの「試算条件をインプットしてから試算結果が出力されるまでの時間」については、御指摘の滋賀県からの要望(以下「滋賀県要望」という。)に係る緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(以下「SPEEDI」という。)による試算を行う際の風向、風速等に係る条件設定など様々な要因により異なることから、一概にお答えすることは困難である。また、公益財団法人原子力安全技術センター(以下「センター」という。)に対するSPEEDIによる試算の依頼は、当該試算等に係る経費をセンターに一年単位で支払う契約に基づいて行っているものであり、試算ごとに契約を結んでいるものではないため、お尋ねの「その処理に係る概算費用」について一概にお答えすることは困難である。
二及び三について
現在、政府としては、今国会に提出した原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案の成立後、速やかに、内閣府原子力安全委員会原子力施設等防災専門部会が平成二十四年三月二十二日に取りまとめ同委員会に報告した「「原子力施設等の防災対策について」の見直しに関する考え方について(中間とりまとめ)」を踏まえ、原子力災害対策指針(以下「指針」という。)を定めるとともに、指針において、原子力災害対策を重点的に実施すべき区域(以下「重点区域」という。)の設定に関する事項について定めることとしている。SPEEDIの試算結果の提供を含む重点区域に係るSPEEDIの運用については、指針を踏まえて行うことが適切であると考えているため、現時点において、滋賀県要望に基づく試算はまだ行っておらず、したがって、当該試算結果の滋賀県への提供もまだ行っていない。
四について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、先の答弁書(平成二十四年四月十日内閣参質一八〇第七二号。以下「前回答弁書」という。)二の1から3までについてで述べた「従前より、地方公共団体への支援として、地方公共団体からの要望に応じ、SPEEDIの試算結果の提供を行ってきた」における「地方公共団体からの要望」は、「原子力施設等の防災対策について」(昭和五十五年六月三十日原子力安全委員会決定)における「防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲」に係る地方公共団体からの要望を念頭に置いていたものであり、滋賀県要望はこれに該当しない。なお、二及び三についてで述べたとおり、滋賀県要望については、今後定めることとしている指針を踏まえて対応することが適切であると考えている。
五について
「全国の原発が停止し、今後その再稼働に関する議論が高まるが、その際、重要な判断材料としてSPEEDIによる原子力災害を想定した試算情報が重要となってくる。」との御指摘が具体的にどのようなことを意味するのか必ずしも明らかではないが、前回答弁書二の1から3までについてで述べたとおり、地域に係る防災の取組については、災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)に基づき、地方公共団体が自らの地域に係る地域防災計画を作成し、実施することとされており、地域防災計画において原子力災害に係る防災のための訓練等に関する計画を定め、又は実施するに当たり、どのような規模の事故を想定するかについては、まずは、当該地域に精通した各地方公共団体が、地域に固有の自然的・社会的な周辺状況等を勘案してその想定を行うことが適当であり、国があらかじめ一方的に前提条件を定めて事故の規模を想定するなどといったことは適切でないと考えている。文部科学省においては、このような考え方に基づき、従前より、地方公共団体への支援として、地方公共団体からの要望に応じ、SPEEDIの試算結果の提供を行ってきたものであり、今後とも、このような取扱いをすることが適当であると考えている。
六について
お尋ねの「SPEEDIの端末」及び「この計画に要する費用」の意味するところが必ずしも明らかではないが、今後定めることとしている指針における重点区域を踏まえ、関係地方公共団体がSPEEDIによる放射能影響予測の結果を受信する際に必要な専用端末を新たに御指摘の各県に設置する必要が生じた場合の経費は、平成二十四年度予算に計上された原子力発電施設等緊急時安全対策交付金により措置することが可能である。同交付金は、関係地方公共団体からの申請を適正に審査した上で、文部科学大臣が必要と認めるものについて交付するものであることから、御指摘の各県ごとの交付額や専用端末の設置時期を現時点において具体的にお示しすることは困難である。また、御指摘の各県に専用端末が設置された場合、お尋ねの「試算」は、これらの各県において、直接センターに依頼することにより行うことが可能となる。
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