QUESTIONS質問主意書
第183回国会 「平成二十五年度の原子力発電関連予算に関する質問主意書」(2013年2月21日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
質問主意書
質問第三九号
平成二十五年度の原子力発電関連予算に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成二十五年二月二十一日
福島 みずほ
参議院議長 平田 健二 殿
平成二十五年度の原子力発電関連予算に関する質問主意書
政府は、平成二十五年度予算において、発電用原子炉等安全対策高度化事業として五十四億円、原子力海外建設人材育成委託費として十一・七億円をそれぞれ計上している。
政府は、発電用原子炉等安全対策高度化事業の根拠として、「東京電力福島第一原子力発電所一~四号機の事故で得られた教訓を踏まえ、既設原子力発電所の更なる安全対策高度化に向けた課題(緊急時対応に資する資機材等の集中管理、シビアアクシデントにも耐えられる計装・計器等の開発等)に関する技術開発を行う。」と説明している。
また、原子力海外建設人材育成委託費の根拠として「外国政府からの要請等に基づき、当該国の原子力発電所建設計画において、我が国企業が耐震性などを含む炉型評価やサイト評価等を実施することを通じて、我が国の人材と技術の蓄積を維持・強化するとともに、国際的な原子力安全の向上にも貢献する。」と説明している。
そこで、発電用原子炉等安全対策高度化事業及び原子力海外建設人材育成委託費について、以下質問する。
一 発電用原子炉等安全対策高度化事業について
1 既設原子力発電所の安全対策は、基本的には電力事業者が行うべきものと考えるが、国が実施する理由は何か。
2 緊急時対応に資する資機材等の集中管理とは具体的には何を指しているか。
3 課題として挙げられている「シビアアクシデントにも耐えられる計装・計器等の開発等」について、現在の計装・計器等はシビアアクシデントに耐えられないという判断か、政府の見解を示されたい。
二 原子力海外建設人材育成委託費について
1 原子力海外建設人材育成委託費の対象となりうる国から、我が国政府に対して炉型評価やサイト評価等の支援を要望する働きかけがあったか。あった場合、国名と働きかけの内容を示されたい。なかった場合は、炉型評価やサイト評価等の支援ニーズをどのように把握したのかにつき、明らかにされたい。
2 過去三年間に我が国企業が、国内外において炉型評価やサイト評価等(原子力海外建設人材育成委託費で想定している評価と同様の評価)を行った件数及びサイト名を示されたい。
3 「革新的エネルギー・環境戦略」では「(日本国内の)原発の新設・増設は行わない」としているにもかかわらず、原子力海外建設人材育成委託費において、原子力発電所建設の初期段階となる炉型評価やサイト評価等に関する人材と技術の蓄積を維持・強化する理由は何か。
なお、炉型評価やサイト評価等に関する人材と技術の蓄積を維持・強化することが、日本国内の原子力発電所の再稼働や廃炉における安全性向上等に寄与するとの認識であれば、具体的な根拠を示されたい。
4 原子力発電所の炉型評価やサイト評価等は、通常、民間事業者が自ら実施していると理解しているが、民間事業者の活動に税金を使用する理由につき、政府の見解を明らかにされたい。民間事業者の経済活動を通じた人材と技術の蓄積を維持・強化することが不可欠とする具体的な根拠を示されたい。
右質問する。
答弁書
答弁書第三九号
内閣参質一八三第三九号
平成二十五年三月一日
内閣総理大臣 安倍 晋三
参議院議長 平田 健二 殿
参議院議員福島みずほ君提出平成二十五年度の原子力発電関連予算に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員福島みずほ君提出平成二十五年度の原子力発電関連予算に関する質問に対する答弁書
一の1について
原子力発電所の安全対策に資する研究開発及び調査(以下「研究開発等」という。)のうち、当該研究開発等の成果が原子力に関連する事業者及び研究機関(以下「事業者等」という。)で広く共有されることが望ましいもの及び原子力発電所の安全に係る技術水準の更なる向上に向けた事業者等の取組を促進するもの等については、国が実施することが適切であると考えられる。
一の2について
お尋ねの「緊急時対応に資する資機材等の集中管理」とは、原子力緊急事態の発生時において、遠隔操作ロボット等の資機材を有効に活用するため、当該資機材を一元的に管理することを指している。
一の3について
御指摘の発電用原子炉等安全対策高度化事業については、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所の事故から得られた教訓を踏まえ、原子力発電所の安全に係る技術の更なる向上に向けて実施することとしたものである。炉心損傷等のシビアアクシデントへの対策については、現行の安全基準の対象となっていないため、既設の計器等がシビアアクシデントが発生した場合に耐えられるかどうかという確認はこれまで行っていない。
二の1及び2について
お尋ねについては、平成二十二年二月以降では、平成二十三年十月に、ベトナム政府から我が国政府に対して、ベトナムのニントゥアン省第二サイトの原子力発電所の建設計画における炉型評価やサイト評価等(以下「炉型評価等」という。)を含むフィージビリティ・スタディについて、支援の要請が行われており、当該計画について、現在、我が国企業による炉型評価等が行われていると承知している。
二の3について
安倍内閣としては、野田前内閣における「革新的エネルギー・環境戦略」(平成二十四年九月十四日エネルギー・環境会議決定)をゼロベースで見直し、エネルギーの安定供給、エネルギーコスト低減の観点も含め、責任あるエネルギー政策を構築することとしており、原子力発電所の新設についても、こうした中で検討してまいりたい。
一方、原子力海外建設人材育成委託費(以下「本委託事業」という。)により、最新の科学的知見に基づき、海外の原子力発電所の建設の初期段階に係る地震動評価を含む炉型評価等を実施することを通じて、原子力発電所の安全性の検証など我が国の原子力発電に係る技術・人材の蓄積が維持・強化されることから、我が国国内の原子力発電所の安全性の向上にも寄与するものと考えられる。
二の4について
本委託事業は、外国政府から、原子力発電所の建設を検討するに際して、建設に直接的に関与する可能性のある事業者ではなく我が国政府が協力を要請された場合に、我が国政府として責任を持って、当該要請の内容を詳細に検討し、当該要請に応え得る技術と実績を有する者に委託し、炉型評価等を実施することにより、我が国として国際的な原子力安全への貢献を行うものであると同時に、我が国の原子力発電に係る技術・人材の蓄積の維持・強化を図るものである。
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