QUESTIONS質問主意書

第185回国会 「産業競争力会議議員の適格性等に関する質問主意書」(2013年11月6日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

質問主意書

質問第四三号

産業競争力会議議員の適格性等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十一月六日

福島 みずほ   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

   産業競争力会議議員の適格性等に関する質問主意書

 日本経済再生本部の下に設置された産業競争力会議は、成長戦略の具現化と推進等に向けて広範な分野に関する調査審議を行っており、その議論の行方は、いずれも国民生活に多大な影響を及ぼすことは必定である。

 とりわけ、国家戦略特区を創設し、労働者の重要な権利であり、労働条件確保の要となる労働時間規制や解雇規制等を大きく緩和しようとしていることは重大な問題である。加えて、同会議の議論は、労働者派遣法の見直しや個々の雇用関連施策(雇用調整助成金から労働移動支援助成金への資金シフト等)にまで及んでいる点も見逃せない。これらの点に関して、同会議及び同会議雇用・人材分科会の議員の一人である竹中平蔵氏は、「国家戦略特区を軸に、岩盤規制を打破していかなければ、経済の成長はあり得ない」、「特に「雇用」分野は、残念ながら、全く前進がみられないと評価せざるを得ない」(第十四回産業競争力会議、竹中氏提出資料)とし、また、労働者派遣制度の見直しに関しても、「間違っても規制を強化するような方向には行っていただきたくないので、そこはぜひご注意をいただきたい」(第一回雇用・人材分科会議事要旨)と発言し、雇用分野の規制等に強い関心を示している。

 ところが、竹中平蔵氏は二〇〇九年から労働者派遣事業、アウトプレースメント業を始めとする人材ビジネスを幅広く展開する株式会社パソナグループの取締役会長に就いており、強い関心も自らが従事するビジネスの利害と直結するからではないかと疑問を持たざるを得ない。

 本来、雇用分野の規制の在り方は、労働関係の当事者であって労働の実態を熟知した労使の参画のもとで議論されるべきであり、これはILO(国際労働機関)が最も重視する原則の一つである。産業競争力会議はこのような議員構成にないばかりか、自らのビジネスの利害と密接に関わる者が加わることで、その議論が大きく歪められるおそれがあり、国民生活に深刻な影響を与えることが危惧される。

 そこで、以下質問する。

一 政府の主要な会議の議員(委員)に登用された者が、自らが従事するビジネスの利害と密接に関わる課題の議論について影響力を及ぼすことは、公益よりも、私益を優先するおそれがあり、適切ではないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

二 竹中平蔵氏は、「文藝春秋」(二〇一三年四月号)の対談で「日本の正社員は世界で最も守られています」と発言しているが、OECDが公表している加盟国の雇用保護規制の強さを示す雇用保護指標によるわが国の順位を示されたい。

三 前記二の指標における順位が一位でない場合、雇用分野の規制等を論じる前提となる重要な事実に関して誤った認識を有する者が加わる産業競争力会議等で誤った結論が導かれるおそれはないか、政府の見解を明らかにされたい。

四 平成二十六年度の各府省予算概算要求において、民間人材ビジネス事業者及び民間人材ビジネス事業者を利用した企業を支給対象とした助成金・奨励金等は、前年度比でどれだけ増加しているか。

  右質問する。

答弁書

答弁書第四三号

内閣参質一八五第四三号

  平成二十五年十一月十五日

内閣総理大臣 安倍 晋三   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員福島みずほ君提出産業競争力会議議員の適格性等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員福島みずほ君提出産業競争力会議議員の適格性等に関する質問に対する答弁書

一について

 産業競争力会議の構成員については、内閣総理大臣及び関係国務大臣のほか、産業競争力の強化及び国際展開戦略に関し優れた識見を有する者のうちから内閣総理大臣が指名する者として、それぞれの所属する組織の立場を離れ、公共の利益のために同会議に参画しており、さらに、最終的な政策決定は内閣の責任で行うものである。したがって、御指摘の「公益よりも、私益を優先するおそれ」はないものと考えている。

二について

 経済協力開発機構(以下「OECD」という。)が公表している期間の定めのない労働者の雇用保護規制の強さを表す指標について、御指摘の対談が掲載された時点で最新のものとして公表していた指標では、日本は当時OECDに加盟していた三十か国中、強い方から十八番目とされている。なお、現在最新のものとして公表されている同趣旨の指標では、日本はOECDに加盟する三十四か国中、強い方から二十五番目とされている。

三について

 一についてで述べたとおり、産業競争力会議については、内閣総理大臣、関係国務大臣及び産業競争力の強化及び国際展開戦略に関し優れた識見を有する者のうちから内閣総理大臣が指名する者により構成され、幅広い観点から議論が行われるため、御指摘の「産業競争力会議等で誤った結論が導かれるおそれ」はないものと考えている。

四について

 お尋ねの「民間人材ビジネス事業者及び民間人材ビジネス事業者を利用した企業を支給対象とした助成金・奨励金等」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第五条第一項の規定による許可を受けて若しくは同法第十六条第一項の規定による届出をして労働者派遣事業を行う者(以下「労働者派遣事業者」という。)又は職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第三十条第一項若しくは第三十三条第一項の規定による許可を受けて職業紹介事業を行う者(以下「職業紹介事業者」という。)を主たる支給対象とした助成金・奨励金については、平成二十五年度の当初予算及び平成二十六年度の各府省予算概算要求において計上しているものはない。また、労働者派遣事業者又は職業紹介事業者を利用することを主たる支給要件としている助成金・奨励金については、平成二十五年度の当初予算において、約十四億円を計上しているのに対し、平成二十六年度の各府省予算概算要求においては、前年度比で約二百九十四億円増の約三百八億円を計上している。

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