QUESTIONS質問主意書
第187回国会 「川内原発の避難計画に関する質問主意書」(2014年11月10日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
質問主意書
質問第六四号
川内原発の避難計画に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成二十六年十一月十日
福島 みずほ
参議院議長 山崎 正昭 殿
川内原発の避難計画に関する質問主意書
九州電力株式会社川内原子力発電所(以下「川内原発」という。)の避難計画をめぐっては、従来から①三十キロメートル圏内のみの避難計画になっていること、②複合災害を反映していないこと、③十キロメートル以遠の避難行動要支援者の入院・入所している施設の避難計画が立案されていないこと等数多くの問題点に関して、住民から多くの意見が出されている。住民の意見は、自らの家族及び子どもや孫の生命を守りたいという切実なものであり、地域の実情に即した現実的な意見である。しかし、これらの意見は顧みられることなく、再稼働が進められようとしている。また、十キロメートルから三十キロメートルにかけての避難行動要支援者が入所・入院している施設の避難計画が立案されていないなど、従来の内閣府が出している方針とも齟齬が生じている。さらに、五キロメートル圏内の在宅の避難行動要支援者の一部は、川内原発から至近距離の一時退避所に避難することとなっており、住民の被ばくを前提とした計画ではないかと考えられる。右の点を踏まえ、以下質問する。
一 内閣府は、川内原発からおおむね十キロメートル以遠三十キロメートル圏内の避難行動要支援者の入院・入所している施設の避難先について、避難指示が出た後に、避難先候補施設リストが入力されたコンピュータシステムである「原子力防災、避難施設等調整システム」(以下「本システム」という。)で避難先を選定するとしている。
1 本システムが完成したのはいつか。
2 本システムに、十キロメートル以遠三十キロメートル圏内の施設がアクセスできるようになるのはいつか。
3 本システムには、①医療施設、②各施設の空きベッド数、③職員などの情報は入っているのか。入っている場合、アップデートはどのような頻度で行われるのか。
4 本システムの構築に関して、避難行動要支援者の入院・入所している施設の意見を聞いたか。
5 「共通課題についての対応方針」(平成二十五年十月九日原子力防災会議連絡会議コアメンバー会議決定)においては、「重点区域内にある、病院等の医療機関や社会福祉施設等(以下、「入所施設」という。)は、入院患者・入所者の避難に関する計画をあらかじめ作成する」とし、「この計画においては、入院患者・入所者の受入れに足る十分な避難先施設をあらかじめ決めておく」となっている。避難指示が出てから本システムにより避難先を決めることは、同方針に反していると考えるが、政府の見解を示されたい。
二 PAZ圏内の在宅の避難行動要支援者のうち、避難によって健康リスクが高まる者は、五箇所に設けられた屋内退避施設に避難することとなっている。この屋内退避施設のうち、川内原発に最も近いのは旧滄浪小学校体育館であり、同原発から二キロメートル以内の場所にある。平成二十六年五月二十八日の原子力規制委員会の資料「緊急時の被ばく線量及び防護措置の効果の試算について」に掲載されている表によれば、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の百分の一程度の規模のセシウム百三十七の放出量であっても、二キロメートル地点におけるコンクリート構造物に屋内待避(二日間)の場合の被ばく量は最大で百九十ミリシーベルト程度になると読み取れる。
1 旧滄浪小学校体育館と川内原発の距離は何キロメートルか。
2 旧滄浪小学校体育館に屋内退避した場合の被ばく量のシミュレーションは行っているか。
3 旧滄浪小学校体育館に屋内退避した場合、最大何日間、同小学校に滞在することを想定しているか。また、屋内退避した者の救出方法や避難先は想定しているか。
三 本年九月十二日の原子力防災会議の資料では、避難退避時検査・除染の実施地点について、「原則として避難先となる市町に一ヵ所ずつ設置する救護所等で実施」(以下「本指針」という。)となっている。
1 避難先市町(二十自治体)のうち、救護所の場所が具体的に決まっている自治体は何箇所か。
2 すでに決定している救護所の場所を示されたい。
3 本指針は、避難先の市町と協議したのか。協議した場合は、その日時と会議名、出席者を示されたい。
右質問する。
答弁書
答弁書第六四号
内閣参質一八七第六四号
平成二十六年十一月十八日
内閣総理大臣 安倍 晋三
参議院議長 山崎 正昭 殿
参議院議員福島みずほ君提出川内原発の避難計画に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員福島みずほ君提出川内原発の避難計画に関する質問に対する答弁書
一の1について
お尋ねの「原子力防災、避難施設等調整システム」(以下「本システム」という。)が完成したのは、鹿児島県からは、平成二十六年十月末と聞いている。
一の2について
鹿児島県からは、本システムは、鹿児島県が使用するためのものであり、個別の施設が使用することは想定していないと聞いている。
一の3について
鹿児島県からは、本システムには、九州電力株式会社川内原子力発電所(以下「川内原子力発電所」という。)からおおむね三十キロメートル圏内に所在する医療機関等及び本システムに登録することについて承諾を得たおおむね三十キロメートル以遠の鹿児島県内に所在する医療機関等について、施設の種別、名称、所在地、病床数、川内原子力発電所からの距離、方角等が登録されており、登録内容の更新は年一回程度を予定していると聞いている。
一の4について
鹿児島県からは、本システムの構築に当たり、公益社団法人鹿児島県医師会、鹿児島県社協老人福祉施設協議会、鹿児島県知的障害者福祉協会等に対し、説明を行ったと聞いている。
一の5について
原子力災害対策本部長が、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号。以下「原災法」という。)に基づき策定された原子力災害対策指針(平成二十四年十月三十一日原子力規制委員会決定)を踏まえ、原災法第二十条第二項の規定に基づき、一時移転等の指示を行った場合に、鹿児島県が本システムを利用して、あらかじめ登録された避難先候補施設の中から避難先を決めることは「共通課題についての対応方針」(平成二十五年十月九日原子力防災会議連絡会議コアメンバー会議決定)に反していないと考える。
二の1について
お尋ねの旧滄浪小学校体育館と川内原子力発電所の距離は約一・六キロメートルと承知している。
二の2について
お尋ねの旧滄浪小学校体育館に屋内退避した場合の被ばく線量のシミュレーションは行っていない。
二の3について
旧滄浪小学校体育館に屋内退避する場合の滞在時間は事態の規模及び事態の時間的な推移によるものと承知しており、安全に避難するための準備が十分に整った段階で、避難への切替えを行うこととなる。また、同所に屋内退避した者の救出方法や避難先については、薩摩川内市の広域避難計画において同所を含む地区の避難先が鹿児島市内の施設に定められていることも踏まえつつ、屋内退避した者の健康状態等に応じて決定されるべきものと考える。
三について
鹿児島県からは、救護所は、原子力災害対策本部長が原子力災害対策指針を踏まえ、原災法第二十条第二項の規定に基づき、一時移転等を実施する地区を決定した時点で、救護所として使用するための建物の規模や周辺の環境等を総合的に勘案し、選定することとしていると聞いている。
なお、御指摘の「原子力防災会議の資料」の記述は、鹿児島県防災会議で策定された鹿児島県地域防災計画原子力災害対策編の記述に基づくものである。
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