QUESTIONS質問主意書
第192回国会 「「もんじゅ」に関する質問主意書」(2016年10月27日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
質問主意書
質問第一五号
「もんじゅ」に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成二十八年十月二十七日
福島 みずほ
参議院議長 伊達 忠一 殿
「もんじゅ」に関する質問主意書
九月二十一日に原子力関係閣僚会議が「もんじゅ」について、「廃炉を含め抜本的な見直しを行うこととし、その取り扱いに関する政府方針を、高速炉開発の方針と併せて、本年中に原子力関係閣僚会議で決定することとする」ことを決定した。そこで「もんじゅ」の廃炉に関連して以下、質問する。
一 「もんじゅ」にはこれまで一兆円を超える開発費用がつぎ込まれたが、九五年のナトリウム漏えい火災事故以来一ワットも発電していない。これを動かすとなれば、適合性審査と改良工事、運転開始までの八年間の維持管理経費など、さらに約三千三百億円が必要とされている。長期停止で「もんじゅ」の施設および国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)の組織は劣化しており、このような施設は廃止するべきと考えるが、改めて政府の姿勢を問う。
二 原子力規制委員会の勧告や同委員会の田中俊一委員長の記者会見での発言などでは、「もんじゅ」の現状について「リスクを低減させる必要がある」、「安全が担保されていない」旨の指摘がされているが、政府としても同様の認識か。
三 原子力規制委員会が求めるリスクの低減と安全の担保のためには、施設からナトリウムを抜き取り、燃料を取り出すことが必要だと考えるが、政府はどのように考えているか。
四 「もんじゅ」の冷却系は一次系と二次系のそれぞれが三ループ(A、B、C)およびメンテナンス冷却系で構成されている。冷却系に関して以下質問する。
1 一次系と二次系にはそれぞれオーバーフロータンクとダンプタンクがあるが、それぞれのタンクの数と容量を系ごと、ループごとに示されたい。
2 使用されていないBループのナトリウムはどこに貯蔵されているのか。
3 過去に一ループだけの循環運転を行っていた時期があった。現在、一ループだけの循環運転は可能か。仮に不可能な場合、可能になるのはいつごろと認識しているのか。
4 仮に「もんじゅ」の運転を再開する場合に、施設全体で使用するナトリウムの量はどれだけか。総量の他に、原子炉容器、各ループ、炉外燃料貯蔵槽などの内訳も示されたい。
5 「もんじゅ」でのナトリウムの放射化の割合はどの程度か。また、燃料被覆管などにおける不純物に起因する核分裂生成物はどの程度の量あるのか。
6 ナトリウムは施設内にある限り、液体状態であると考えられ、漏えいが生じると火災に至る可能性もある。したがって施設からナトリウムを抜き取り、化学処理して安全な化合物とするか、または固体状態で保管するかの対応をとることが「もんじゅ」のリスク低減につながると考えるが、政府の考えを問う。
7 ナトリウムを抜き取る場合に、施設内のナトリウムの全量を貯蔵できる建屋外のタンクがないことを考えると、どのような手順でナトリウムを抜き取り、保管管理することが考えられるのか政府の見解を問う。
五 次に「もんじゅ」の燃料について問う。JAEAによれば、現在、原子炉内にMOX燃料集合体が百九十八体、ブランケット燃料集合体が百七十二体、そして炉外燃料貯蔵槽にMOX燃料集合体が百二十一体、ブランケット燃料集合体が三十九体、さらに燃料池にそれぞれ一体ずつ保管されている。
1 このうち未照射の燃料集合体はあるか。ある場合、MOX燃料集合体、ブランケット燃料集合体それぞれ何体あるか。
2 照射済み燃料集合体全体の平均燃焼度はどの程度か。また、集合体ごとの平均燃焼度のうち、最も高い値はどの程度か。同様に、照射済み燃料集合体全体の平均発熱量はどの程度か。また、集合体ごとの平均発熱量のうち、最も高い値はどの程度か。
3 炉外燃料貯蔵槽および燃料池のそれぞれの容量はMOX燃料集合体またはブランケット燃料集合体の何体分か。
4 炉外燃料貯蔵槽および燃料池ではそれぞれ冷却系が稼働しているのか。
5 原子炉内および炉外燃料貯蔵槽にあるMOX燃料集合体およびブランケット燃料集合体も、「もんじゅ」のリスク低減のために、すべて燃料池へ移送するべきだと考えるが、政府の見解を問う。
右質問する。
答弁書
答弁書第一五号
内閣参質一九二第一五号
平成二十八年十一月四日
内閣総理大臣 安倍 晋三
参議院議長 伊達 忠一 殿
参議院議員福島みずほ君提出「もんじゅ」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員福島みずほ君提出「もんじゅ」に関する質問に対する答弁書
一、四の6及び7並びに五の5について
お尋ねの「長期停止で「もんじゅ」の施設および国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)の組織は劣化」の意味するところが必ずしも明らかではないが、高速増殖原型炉「もんじゅ」(以下「もんじゅ」という。)については、平成二十八年九月二十一日に開催された原子力関係閣僚会議(以下「九月二十一日閣僚会議」という。)において、廃炉を含め抜本的な見直しを行うこととされ、現在、その取扱いに関する方針を検討しているところである。
二について
お尋ねの「原子力規制委員会の勧告や同委員会の田中俊一委員長の記者会見での発言などでは、「もんじゅ」の現状について「リスクを低減させる必要がある」、「安全が担保されていない」旨の指摘がされている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、原子力規制委員会の田中俊一委員長は、平成二十七年十二月十一日の参議院東日本大震災復興及び原子力問題特別委員会において、「現時点では「もんじゅ」は冷温停止中でありますので、直ちに周辺公衆に重大な影響を及ぼすような状況にあるというふうには認識しておりません」と答弁している。
三について
お尋ねの「原子力規制委員会が求めるリスクの低減と安全の担保のためには、施設からナトリウムを抜き取り、燃料を取り出すことが必要だと考える」の意味するところが必ずしも明らかではないが、もんじゅについて、原子力規制委員会は、平成二十七年十一月十三日に、文部科学大臣に対し「機構に代わってもんじゅの出力運転を安全に行う能力を有すると認められる者を具体的に特定すること」及び「もんじゅの出力運転を安全に行う能力を有する者を具体的に特定することが困難であるのならば、もんじゅが有する安全上のリスクを明確に減少させるよう、もんじゅという発電用原子炉施設の在り方を抜本的に見直すこと」を勧告しているところであり、また、九月二十一日閣僚会議においては、もんじゅについて廃炉を含め抜本的な見直しを行うこととされ、現在、政府として、もんじゅの取扱いに関する方針を検討しているところである。
四の1について
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」という。)によると、もんじゅの一次冷却設備に接続されているダンプタンク並びに二次冷却設備に接続されているオーバフロータンク及びダンプタンクについて、①接続されている設備及びループの名称、②オーバフロータンク・ダンプタンクの別、③基数並びに④容量をお示しすると次のとおりであるとのことである。
①一次冷却設備のAループ、Bループ及びCループ ②ダンプタンク ③一基 ④約百立方メートル
①一次冷却設備のAループ、Bループ及びCループ ②ダンプタンク ③二基 ④各約二百立方メートル
①二次冷却設備のAループ ②オーバフロータンク ③一基 ④約百六十一立方メートル
①二次冷却設備のBループ ②オーバフロータンク ③一基 ④約百六十一立方メートル
①二次冷却設備のCループ ②オーバフロータンク ③一基 ④約百六十一立方メートル
①二次冷却設備のAループ及びBループ ②ダンプタンク ③一基 ④約百六十一立方メートル
①二次冷却設備のBループ及びCループ ②ダンプタンク ③一基 ④約百六十一立方メートル
なお、原子力機構によると、このほかに、原子炉容器に接続されている容量約百立方メートルのオーバフロータンクが一基設置されているとのことである。
四の2について
原子力機構によると、平成二十八年十月三十一日時点において、もんじゅの一次冷却設備及び二次冷却設備のBループのナトリウムは、オーバフロータンク及びダンプタンクに貯蔵しているとのことである。
四の3について
原子力機構によると、お尋ねの「一ループだけの循環運転」について、現時点で検討しておらず、お答えすることは困難であるとのことである。
四の4について
一、四の6及び7並びに五の5についてでお答えしたとおり、もんじゅについては、廃炉を含め抜本的な見直しを行うこととされ、現在、その取扱いに関する方針を検討しているところであり、お尋ねの「運転を再開する場合」についてお答えすることは困難である。
四の5について
原子力機構によると、お尋ねの「ナトリウムの放射化の割合」について、現時点で計算しておらず、お答えすることは困難であるとのことである。
五の1について
原子力機構によると、平成二十八年十月三十一日時点において、もんじゅに存在する原子炉で照射される前の燃料集合体の数は、炉心燃料集合体が三十三体、ブランケット燃料集合体が三十四体とのことである。
五の2について
原子力機構によると、原子炉で照射された燃料集合体全体について、現時点で、お尋ねの「平均燃焼度」及び「平均発熱量」について計算しておらず、お答えすることは困難であるとのことである。
五の3について
原子力機構によると、炉心燃料集合体又はブランケット燃料集合体について、炉外燃料貯蔵槽は二百五十体、燃料池は千四百十二体をそれぞれ収容できるとのことである。
五の4について
原子力機構によると、平成二十八年十月三十一日時点において、炉外燃料貯蔵槽及び燃料池の冷却設備は稼働しているとのことである。
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