QUESTIONS質問主意書

第169回国会 「PAC3の適地調査に関する質問主意書」(2008年2月4日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

質問主意書

質問第二一号

PAC3の適地調査に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十年二月四日

福島 みずほ   

       参議院議長 江田 五月 殿

   PAC3の適地調査に関する質問主意書

 防衛省は、本年一月十四日から十五日にかけて、弾道ミサイルを迎撃する地対空ミサイルのパトリオット3(以下「PAC3」という。)の発射地点として適しているかを調査する適地調査を、その候補地の一つである新宿御苑で実施した。このPAC3の適地調査は、ミサイル部隊の移動・展開訓練の一環であり、基地から候補地の公園までの地域住民や調査地の近隣住民や自治体に不安感を与えるだけでなく、アジアの近隣諸国との間にも緊張関係を高める可能性があるなど、重大な影響を与えることに鑑み、以下質問する。

一 新宿御苑での適地調査について

1 新宿御苑での適地調査の目的は何か。またどのような調査を行ったのか、明らかにされたい。

2 なぜ、新宿御苑で適地調査を行ったのか。新宿御苑を選んだ理由を明らかにされたい。

3 新宿御苑での適地調査は、昭和二十二年十二月二十七日における閣議決定「旧皇室苑地の運営に関する件」の「三 ロ 新宿御苑は国立庭園として一般に開放するとともに国民芸術の向上に資する諸施設を整備すること」という目的に反していると思われるが、どう考えるか。

4 なぜ、夜間の時間帯に適地調査が行われたのか、その理由を明らかにされたい。

5 新宿御苑での適地調査においては、どのような装備を使用したのか、明らかにされたい。

6 新宿御苑での適地調査には、何人の防衛省関係者が参加したのか、明らかにされたい。

7 適地調査に使用した装備及び人員は、どこの基地から新宿御苑まで移動させたのか、明らかにされたい。

8 新宿御苑における調査の結果は、いつまとめられるのか。

二 適地調査における自治体への通知について

1 適地調査を行う際に、新宿御苑が位置する東京都や基地から新宿御苑までの沿道自治体に対して、いつ、どのような方法で通知したのか。通知していないのであれば、その理由を明らかにされたい。

2 自治体への通知の際に、文書で通知したのであれば、その文書を公開されたい。口頭で通知したのであれば、どのような内容を通知したのか、また、なぜ口頭での通知という方法をとったのか、その理由をあわせて明らかにされたい。

3 基地から新宿御苑までミサイルを運搬するにあたっては、沿道住民への告知が必要だと考えるが、そのような告知は行われたのか。行われたのであれば、その方法と内容を明らかにされたい。行われなかったのであれば、その理由を明らかにされたい。

4 新宿御苑における調査結果は、自治体に公表されるのか。

三 適地調査による影響について

1 ミサイル関連装備が都道や区道を通過する際、その下に敷設してある水道管やガス管等に支障をきたす可能性がある。政府は、そのような影響があると認識しているか。認識しているのであれば、どのような影響があるのか、明らかにされたい。影響がないというのであれば、その根拠を示されたい。

2 PAC3ミサイル発射の際に、人体に有害な煙が発生するとされている。市民団体が防衛省に申し入れた際に、この煙の成分について質問したところ、防衛省側からは「米国政府に問い合わせて回答する」と返答したと聞いている。米国政府からの回答は、どのような内容であったのか、明らかにされたい。

3 2の内容について、米国より回答がなかった場合、PAC3の人体への影響が確認されない中で、今回の調査を行ったことになり、人権を無視した行動であると指摘せざるをえない。この指摘に対する政府の見解を示されたい。

4 PAC3ミサイルの誘導に伴い、電磁波障害が指摘されている。政府は、この電磁波障害の影響について把握しているのか。把握しているのであれば、その影響に関する数値を明らかにされたい。またこのような影響を市民に与えることについて、政府の見解を示されたい。

四 適地調査の際の警備について

1 新宿御苑で適地調査を行った際に、警察が、交通整理や警備を行った。防衛省から警察に依頼したのか。依頼したのであれば、どのような業務を警察に依頼したのか、明らかにされたい。

2 警察以外の組織・団体に、警備等の業務を依頼したか。依頼したのであれば、どのような業務をいくらで依頼したのか、明らかにされたい。

3 警備等を行っていないのであれば、なぜ行わなかったのか、理由を明らかにされたい。

五 今後の適地調査の実施について

 今後、適地調査が行われる予定を明らかにされたい。

  右質問する。

答弁書

答弁書第二一号

内閣参質一六九第二一号

  平成二十年二月十二日

内閣総理大臣 福田 康夫   

       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員福島みずほ君提出PAC3の適地調査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員福島みずほ君提出PAC3の適地調査に関する質問に対する答弁書

一の1、2及び5から7までについて

 防衛省は、弾道ミサイル等が我が国に飛来するような事態において、我が国国民の生命・財産の安全を確保するため、ペトリオットPAC-三を状況に応じ政経中枢等の適切な地域に展開させて対処することとしており、展開先について不断に検討を行っている。このような検討の一環として、新宿御苑について、ペトリオットPAC-三を安全に展開できる面積が確保されると地図等により考えられたことから、本年一月十四日から十五日にかけ、現地において、測量を行って迎撃ミサイルの飛翔やレーダーの障害となるような建造物があるか否かを確認するとともに、自衛隊施設との無線通信が確保できるか否かを確認するため、神奈川県横須賀市に所在する航空自衛隊第一高射群第二高射隊から運搬したペトリオットの構成器材である無線中継装置及びアンテナ・マスト・グループを使用し、航空自衛隊第一高射群第二高射隊等から約六十人の隊員が参加して調査を実施したところである。

一の3及び4について

 新宿御苑において実施した調査については、施設管理者の許可を得て新宿御苑が閉園した後から翌日の休園日までを利用して実施するなど、他の利用者に極力影響を生じさせないよう配慮したところであり、御指摘の閣議決定との関係で問題があるものではないと考えている。

一の8及び二の4について

 調査結果に関することについては、ペトリオットPAC-三の展開先にかかわるものであり、これを公表すれば、自衛隊の運用に影響を及ぼすおそれがあることから、これを公表すること等は考えていない。

二の1から3までについて

 お尋ねの「通知」や「告知」の趣旨が必ずしも明らかではないが、本年一月十四日から十五日にかけて新宿御苑において調査を実施する旨については、本年一月十四日、防衛省から東京都に対し、通常用いている連絡手段である電話により情報提供したところである。なお、新宿御苑においては、無線中継装置及びアンテナ・マスト・グループを使用して調査を実施したところである。

三の1について

 ペトリオットの構成器材が道路を通行する際には、事前にその通行の適否について確認をしており、ペトリオットの構成器材の通行による埋設構造物等に対する影響はないものと考えている。

三の2について

 防衛省においては、PAC-三ミサイルが発射される際の当該ミサイルから噴出されるガス等の成分については、米国政府に照会中であるが、現時点で、米国政府から具体的な内容についての回答は得られていない。

三の3について

 新宿御苑において実施した調査はPAC-三ミサイルの発射を伴うものではなく、御指摘は当たらないと考えている。

三の4について

 新宿御苑において実施した調査はPAC-三ミサイルの誘導のための電波を発射しておらず、御指摘のような影響は生じていない。

四の1について

 新宿御苑において実施した調査に関しては、防衛省から警察に対し、所要の情報提供を行ったが、その具体的な内容については、自衛隊の運用に影響を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。

四の2及び3について

 防衛省としては、新宿御苑において実施した調査に際しては、特段の必要性が認められなかったため、警察以外の組織・団体に警備等の業務を依頼していない。

五について

 今後の調査予定については、自衛隊の運用に影響を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。

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