QUESTIONS質問主意書
第171回国会 「国連人権諸条約の個人通報制度に関する質問主意書」(2009年3月30日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
質問主意書
質問第九八号
国連人権諸条約の個人通報制度に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成二十一年三月三十日
福島 みずほ
参議院議長 江田 五月 殿
国連人権諸条約の個人通報制度に関する質問主意書
人権侵害を受けた個人が国際機関(条約の実施機関)に直接訴えを起こし、権利救済を求めることができる個人通報制度は、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)の第一選択議定書をはじめとして、人種差別撤廃条約(第十四条の受諾宣言)、拷問等禁止条約(第二十二条の受諾宣言)、移住労働者条約(第七十七条の受諾宣言)、女子差別撤廃条約選択議定書、障害者権利条約選択議定書、強制失踪防止条約(第三十一条の受諾宣言)、そして昨年十二月に国連で採択された経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)の選択議定書と、八つの条約に及ぶ。
個人通報制度は、国連における重要な人権保障制度として位置づけられている。しかし、日本は、個人通報制度を規定する、条約(の条項)の受諾宣言ないし選択議定書の批准を行っていない。特に、自由権規約第一選択議定書と、女子差別撤廃条約選択議定書については、以下のように、国際的に極めて重要な条約として日本政府に批准するよう勧告がなされているが、批准していない。
自由権規約第一選択議定書については、一九九三年の第三回日本政府報告書審査において、自由権規約委員会から同議定書を批准するようにとの勧告がなされ、一九九八年の第四回日本政府報告書審査でも、二〇〇八年の第五回日本政府報告書審査でも、同様の勧告が繰り返されている。
また、女子差別撤廃条約の選択議定書については、二〇〇三年の第四回・第五回日本政府報告書審査において、女子差別撤廃委員会から同議定書の批准を勧告されている。
さらに二〇〇八年に行われた国連人権理事会での普遍的定期審査の場でも、両議定書を批准するよう勧告がなされている。この勧告について、政府は批准を検討する旨、文書で回答している。
政府はこれまで、自由権規約第一選択議定書については二十年近く前から、女子差別撤廃条約選択議定書については数年前から、批准について「検討中」との答弁を行っている。
これらの点を踏まえ、以下質問する。
一 政府は、個人通報制度を規定する自由権規約第一選択議定書及び女子差別撤廃条約選択議定書の批准に向けた検討を、いつまでに終え、結論を出す考えなのか、明らかにされたい。
二 自由権規約第一選択議定書及び女子差別撤廃条約選択議定書の批准に向けた検討につき、政府内での進展状況及びその検討作業体制について、明らかにされたい。
三 政府は、自由権規約第一選択議定書及び女子差別撤廃条約選択議定書以外に、個人通報制度を規定する、条約(の条項)の受諾宣言ないし選択議定書の批准を行うことは検討しているか。検討しているならば、いつまでに検討を終え、結論を出す考えなのか、明らかにされたい。
右質問する。
答弁書
答弁書第九八号
内閣参質一七一第九八号
平成二十一年四月七日
内閣総理大臣 麻生 太郎
参議院議長 江田 五月 殿
参議院議員福島みずほ君提出国連人権諸条約の個人通報制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員福島みずほ君提出国連人権諸条約の個人通報制度に関する質問に対する答弁書
一及び三について
女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(昭和六十年条約第七号)の選択議定書や市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第七号。以下「自由権規約」という。)の第一選択議定書を始め人権に関する様々な条約に設けられている個人通報制度については、条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度であると考えている。
他方、個人通報を受理した委員会の見解と我が国の裁判所の確定判決の内容が異なる場合など、司法権の独立を含め、我が国の司法制度との関連で問題が生じるおそれがあり、慎重に検討すべきであるとの指摘もある。政府としては、このような状況も踏まえ、個人通報制度の受入れの是非につき、真剣かつ慎重に検討を進めているところであるが、検討に要する具体的な期間についてお答えすることは困難である。
二について
政府においては、自由権規約に基づき設置された委員会等に対する個人からの通報事例を可能な限り収集し、委員会や関係国の対応等について研究するための「個人通報制度関係省庁研究会」を開催して検討を行っており、今後とも、各方面から寄せられている意見も踏まえつつ、引き続き検討を進めてまいりたい。
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