QUESTIONS質問主意書

第180回国会 「東京外郭環状道路の建設に関する質問主意書」(2012年3月14日)

質問主意書

質問第六二号

東京外郭環状道路の建設に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年三月十四日

福島 みずほ   

       参議院議長 平田 健二 殿

   東京外郭環状道路の建設に関する質問主意書

 東京外郭環状道路(以下「外環道」という。)の建設については、政府の行政刷新会議における事業仕分けで廃止と判定されるなど、その整備費が高額であるために建設が一時凍結された。しかし、その後、災害時の代替ルート確保の必要性から、公共インフラの整備の必要性が高まり、総事業費が一兆円を超える当該建設事業に予算が再度計上され始めている。

 東日本大震災からの復興に係る予算の捻出が叫ばれている中、なぜ不要不急の大規模公共事業に着手し、将来の世代に大きな借金を残す工事を開始しなければならないのか大いに疑問である。そこで、以下質問する。

一 東日本大震災における地震及び津波により壊滅的な被害を受けた地域の復興、そして、東京電力福島原発事故により放射能汚染を受けた地域の除染こそ、最優先に進めるべきであり、外環道の建設事業に予算を充てるべきではないと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 外環道の建設費用について

1 報道によれば、外環道の建設に係る総事業費は一兆二千八百億円になると言われている。一キロメートル当たりの建設費用について、一般の高速道路の平均建設費用と外環道の建設費用をそれぞれ示されたい。

2 政府はこの高額と言われる外環道の建設費用の回収には、通行料金から得られる収入で何年かかると試算しているか。高速道路の維持管理費に対する税財源の投入の有無等の前提条件を含めて、当該試算の具体的な根拠を示されたい。また、その際、今後の日本の人口は五十年後に三割ほど減少するとの予測があるが、当該試算においてその点を考慮しているのか、併せて説明されたい。

三 外環道の耐震性について

1 外環道の耐震設計基準は、マグニチュード七・五を想定していると聞くが、これは事実か。東日本大震災と同規模のマグニチュード九を前提として、耐震性、地下四十メートルを走行する車両に必要な脱出路の設置、火災発生時の避難方法など設計方針を変更しなければならないと考えるが、政府の現時点の設計方針を示されたい。また、今後、設計方針を見直す予定があるか、政府の方針を示されたい。

2 外環道を走行する車両が地下トンネルから地上に出るポイントは、インターチェンジ及びジャンクションである。特に、ジャンクションは接続する東名高速及び中央道が高架方式であるため、地下四十メートルから地上二十メートル余りまでがつながる橋梁方式で建設されることとなる。この橋梁方式は、構造上、地震の影響を受けやすいが、東日本大震災と同規模のマグニチュード九の地震やマグニチュード七クラスの直下型地震が発生した場合において、政府はジャンクションやインターチェンジが崩落する可能性をどのように考えているのか。また、閉じ込められたトンネル内でパニックが発生する危険性や、追突事故及びトンネル内火災が発生する危険性に対する具体的な対応策を示されたい。

四 三鷹、武蔵野及び調布各市の飲料水の半分以上は地下水による。これらの地域の住民は地下水の汚染を危惧しているが、この外環道の建設により、地下水の汚染を誘発することはないのか、政府の見解を示されたい。また、予測される地下水の汚染の程度及び規模を示すとともに、政府が検討する具体的な防護策及び対応策を明らかにされたい。

五 八の釜(やのかま)憩いの森(練馬区東大泉)は、練馬区登録の天然記念物である。この外環道の建設により、天然記念物である森が消失することはないのか。また、森が消失することはないとすれば、その理由は何か。さらに、政府が検討する天然記念物を保存するための具体的な対策を示されたい。

六 三宝寺池(練馬区石神井台)には、東京では珍しい沼沢植物が生育しており、一九三五年に「三宝寺池沼沢植物群落」として国の天然記念物に指定されている。この外環道の建設により、池の水が枯渇し、天然記念物が消失することはないのか。また、池の水が枯渇し、天然記念物が消失することがないとすれば、その理由は何か。さらに、政府が検討する天然記念物を保存するための具体的な対策を示されたい。

  右質問する。

答弁書

答弁書第六二号

内閣参質一八〇第六二号

  平成二十四年三月二十三日

内閣総理大臣 野田 佳彦   

       参議院議長 平田 健二 殿

参議院議員福島みずほ君提出東京外郭環状道路の建設に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員福島みずほ君提出東京外郭環状道路の建設に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、東日本大震災からの復旧・復興は優先課題であると認識しているとともに、首都圏の慢性的な渋滞の緩和及び首都直下地震等の災害発生時の避難や救助、その後の復旧活動等のためには、東京外かく環状道路の整備が必要であると認識している。

二の1について

 東京外かく環状道路のうち東京都練馬区から同都世田谷区までの区間(以下「東京外環(関越~東名)」という。)の一キロメートル当たりの事業費は約七百九十一億円と見込んでおり、供用中の高速自動車国道の一キロメートル当たりの事業費の平均は、約四十二億円である。

二の2について

 お尋ねの「試算」は行っていないが、国土交通省においては、今後の自動車交通量の減少等を踏まえ、料金水準、管理費等に係る一定の条件の下で、東京外環(関越~東名)の事業費一兆二千八百二十億円のうち一割から三割程度は料金収入で償還することが可能であると試算し、平成二十一年四月二十七日の第四回国土開発幹線自動車道建設会議において、お示ししたところである。

三について

 東京外環(関越~東名)の耐震設計については、公益社団法人土木学会が発行する「トンネル標準示方書」及び「道路橋示方書」(平成二十四年二月十六日付け国都街第九十八号・国道企第八十七号国土交通省都市局長及び道路局長通達別添)に基づき、これまでに発生した大規模なプレート境界型の地震動及び内陸直下型の地震動の双方に対し、所要の耐震性能を確保することとしている。

 また、火災その他の事故等が発生した場合の被害を最小限にとどめるため、「道路トンネル非常用施設設置基準」(昭和五十六年四月二十一日付け都街発第十四号・道企発第十四号建設省都市局長及び道路局長通達別添)に基づき、消火設備や避難誘導設備等を設置することとしている。

四について

 平成十九年三月に東京都が実施した東京外環(関越~東名)の環境影響評価(以下単に「環境影響評価」という。)において、東京外環(関越~東名)が整備されることにより、地盤及び地下水が酸性化したり、酸性化に伴いガスが発生することはないため、地下水の水質は保全されると予測されている。なお、事業実施段階においては、地元の区及び市等の関係機関と協議し、地下水及び土壌の汚染状況等を詳細に調査した上で、水質試験の追加実施の必要性について検討することとしている。

五について

 環境影響評価において、東京外環(関越~東名)が整備されることにより、八の釜憩いの森は消失すると予測されている。なお、東京都練馬区登録の天然記念物である「八の釜の湧き水」も含めた八の釜憩いの森の環境保全措置については、地元の区及び市等の関係機関と協議の上、地元住民等の意見を聴きながら、検討を進めることとされており、現在、地形の改変を極力少なくするよう検討しているところである。

六について

 環境影響評価において、東京外環(関越~東名)が整備されることにより、石神井公園における地下水の水位の変化及びそれに伴う池沼の水位の変化はほとんど生じないことから、同公園内の三宝寺池沼沢植物群落が成立する生育環境は保全されると予測されている。

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