QUESTIONS質問主意書

第180回国会 「核燃料サイクルの直接処分コストの試算隠蔽問題に関する質問主意書」(2012年4月23日)

質問主意書

質問第九二号

核燃料サイクルの直接処分コストの試算隠蔽問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十四年四月二十三日

福島 みずほ   

       参議院議長 平田 健二 殿

   核燃料サイクルの直接処分コストの試算隠蔽問題に関する質問主意書

 政府は、原子力発電所から出た使用済み核燃料を全量再処理する政策を推進しているが、青森県六ヶ所村で建設中の再処理工場は試験運転のトラブルなどで完成が十八回も延期され、当初七千六百億円と想定された建設費は二兆千九百三十億円にまで膨らんでいる。再処理コストは総額十九兆円に上ると試算され、試算直後の二〇〇四年三月十七日の参議院予算委員会において、私は使用済み核燃料を再処理せずに直接処分した場合のコスト試算(以下「直接処分コスト試算」という。)が存在するか質問したが、日下一正資源エネルギー庁長官(当時)は存在しないとの虚偽答弁を行った。経済産業大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会電気事業分科会は、同年六月十八日、この答弁を前提に国民が支払う電気料金に再処理コストを上乗せする新制度の導入案をまとめた。再処理事業の先行きが不透明なままでは国民が負担するバックエンド費用が更に増加する恐れがあり、当時の政策決定過程を検証する必要があると考える。よって、以下質問する。

一 直接処分コスト試算を巡る答弁作成責任者について

 二〇〇四年十月二十日の参議院予算委員会において、中川昭一経済産業大臣(当時)は私の質問に対し、虚偽答弁の基となった答弁原稿を作成したのは安井正也原子力政策課長(当時)であり、再処理コストが直接処分コストよりも高いという試算が議論された一九九四年二月四日の総合資源エネルギー調査会原子力部会核燃料サイクル及び国際問題ワーキンググループ(以下「当該調査会」という。)で担当課の総括班長であったと認めている。

1 安井氏は、総括班長として、当該調査会の全ての会合に出席していたか(以下、当該調査会の事務局として傍聴していた場合も含む。)。出席した会合の開催年月日を示されたい。出席していない会合があるとすれば、その会合の開催年月日を明示した上で、欠席した理由を示されたい。

2 安井氏は、総括班長として、当該調査会の資料及び議事録の内容を確認していたか。確認していなかったとすれば、その理由を示されたい。

3 当該調査会の議事録によると、再処理コストが直接処分コストよりも高くなるという試算は、一九九四年二月四日の当該調査会の第四回会合で電気事業者や原子力産業界の意見により公表が見送られている。安井氏はこの会合に出席していたか。欠席していたとすれば、その理由を示した上で、資料及び議事録の内容を確認していたか明らかにされたい。

4 当該調査会の第四回会合に出席していたとすれば、なぜ、安井氏は再処理コストの方が直接処分コストより高くなるとの試算結果を知らなかったのか。二〇〇四年七月六日の厳重注意に至る省内の内部調査において虚偽の事実を申告していたことになると考えるが、政府の見解を示されたい。

5 安井氏は二〇〇四年に答弁を作成する際、当該調査会の資料を読んだのか。読んでいなかったとすれば、理由を示されたい。

二 直接処分コスト試算の隠蔽について

 二〇〇四年八月五日の中川昭一経済産業大臣(当時)の記者会見録によれば、虚偽答弁後に直接処分コスト試算の存在に気付きながら、答弁作成責任者の安井氏に試算の存在を報告しなかったなどとして計十人が追加処分されている。記者会見では、「安井課長と机を並べた人もいて、今の説明ではちょっと理解しがたいが」と疑問の声が上がり、中川昭一経済産業大臣(当時)も「私自身もエッと思いましたから。今回処分された人が直接の上司にきちっと言わなかっただろうということは私も率直に言って不思議であります」と発言している。これに対し、本年一月一日付毎日新聞の報道によれば、二〇〇四年四月、安井氏による「見えないところに隠すように」という指示により、直接処分コスト試算の隠蔽が行われたとされている。

1 安井氏は二〇〇四年七月六日の処分よりも前に、部下から再処理コストの方が直接処分コストより高くなるという直接処分コスト試算を見せられたことはあるか。

2 安井氏が過去に行われた直接処分コスト試算の存在を知ったのは、いつだったのか。

3 安井氏は直接処分コスト試算の存在を知った時点で、その存在を公表すべきだったと考える。なぜ、処分よりも前に公表するか、または、かつて虚偽答弁をした相手方である私に説明しなかったのか。

三 直接処分コスト試算の隠蔽に関する経済産業省の対応について

 本年二月五日付毎日新聞によれば、二〇〇四年当時の省内の内部調査では、二十五人の対象者の中で、一度も聴取されていない人物が複数いるなど、甚だ不十分なものであったと報道されている。

1 本年二月七日の参議院予算委員会での私の質問に対し、枝野幸男経済産業大臣は、「過去の調査が適切に行われていたのかどうか、確認ができる範囲で確認はしたいと思います」と答弁した。では、その後、確認作業は行われたのか。

2 前記1について、どのような方法で確認をしたのか(または、確認する予定なのか)、具体的な方法と期限を明らかにされたい。また、確認が終わっているのであれば、その結果について公表されていないのはなぜか。理由を示されたい。

3 直接処分コスト試算の存在を隠し、国会でも虚偽答弁をしたまま、前述のように二〇〇四年六月十八日、総合資源エネルギー調査会電気事業分科会で新制度の導入案がとりまとめられた。これには、都合の悪い情報を伏せた上で再処理を進めるように政策をねじまげたのではないかとの疑義があるが、政府の見解を示されたい。

4 同分科会では、委員から直接処分コスト試算を求める意見が出ていた。にもかかわらず、経済産業省が新たな試算をしなかったのはなぜか。また、同分科会とは直接関係のない内閣府原子力委員会の専門部会で直接処分コスト試算を行ったのはなぜか。

5 直接処分コスト試算を行った結果を隠蔽したことは、その時点での国民の選択の機会を奪った点で不適切であり、非常に重大かつ深刻な問題である。当時の関係者に直接事実関係を確かめるため、日下氏と安井氏は国民や国会に対する説明責任を果たす必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。

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