QUESTIONS質問主意書

第184回国会 「TPPに関する質問主意書」(2013年8月5日)

質問主意書

質問第六号

TPPに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年八月五日

福島 みずほ   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

   TPPに関する質問主意書

一 本年七月二十三日、マレーシアで開かれたTPP交渉会合に参加するに当たり、鶴岡公二首席交渉官が秘密保持契約に署名した。この秘密保持契約の具体的な内容を明らかにされたい。この秘密保持契約においては、交渉過程の議論のみが秘密なのか、決定事項までも秘密なのか、誰がどこまで情報を把握できて、どの程度まで情報公開できるのか。

 政府は、交渉参加前は「まだ交渉に参加していないから内容が分からない」としてきたが、交渉参加後は「秘密保持義務があるので話せない」では、国民は判断の材料すら持てないのではないかと考えるがいかがか。

二 二〇一一年十一月、メキシコ及びカナダがTPP交渉参加に向けた協議開始の意向を表明した際、両国は「これまでに決まった交渉内容について、遅れて入った国は一切修正提案もできない。確定したテキストについては文言の修正もできない」との趣旨の文書を渡されたと報道されている。この度、さらに遅れて参加した日本政府にも、同様の文書が渡されているのか。渡されている場合には、その文書の内容も明らかにされたい。

三 日本政府は、この度、TPP交渉に参加するに当たり、これまでの交渉内容の経緯や、確定したテキストの全容を知るに至った。既にマレーシア政府は、「TPP交渉テキスト全二十九章のうち十四章が作業を完了している」とし、作業を完了した分野の詳細も含めた声明を、独自の判断で出している。交渉に参加後、日本政府は「交渉の余地がある」と述べているが、国民にとってはどの分野でどのような内容が提案可能かは大きな関心事項である。少なくとも、マレーシア政府の発表と同レベルの情報開示をするべきと考えるが、いかがか。

四 日本政府は、本年六月十七日に開催された国内の業界団体百二十八団体に向けたTPPに関する説明会において、「国内向けに交渉に関する説明を広く平等な参加資格をもって、公開で行っていただきたい」との会場質問に対し、「検討する」と回答している。他のTPP参加国のほとんどは、国内のステークホルダー(利害関係者)に対し、交渉会合の後などにブリーフィングの場を設けている。このような場は国民への説明責任と情報開示の観点から、必須の事柄と考えるが、政府はいつ、どのような形でこのような場を持つ予定か、明らかにされたい。このような場を開催しないことは重大な問題となると考えるが、開催しない場合にはその理由を明らかにされたい。

五 本年七月十八日、米国通商代表部(以下「USTR」という。)のマイケル・フロマン代表が、米国下院歳入委員会公聴会で「日本のTPP交渉参加のための(事前協議)過程において、あらゆる品目・分野が交渉対象であることを明確にし、日本農業に関連して一切の除外を認めていない」と証言し、「(まとまった交渉文書の)再交渉も、蒸し返すことも日本に認めない」と述べているが、これを日本政府は承知しているか。事実に反している場合には、公式に否定しないのか。

六 米国大統領の貿易促進権限(TPA)は時限立法によるものであり、二〇〇七年七月一日に失効している。連邦議会の規定によれば、大統領には条約を結ぶ権限はあるけれども、通商に係る協定を結ぶ権限はない。つまり、オバマ政権にはTPPを締結する権限がないのではないか。

 本年三月十九日の米国上院財政委員会公聴会では、マランティスUSTR代表代行が「(TPAなしに交渉していることに)違法性はないのか」とオリン・ハッチ議員に問われている。

 TPAを失効しているオバマ政権と結ぶ合意文書に法的拘束力はあるのか。また、TPAについてUSTRが上院及び下院議員に対して説明を行ってきた内容を日本語にして日本国民に開示すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

七 国家と投資家の間の紛争解決(ISDS)条項は、国家対国家という国際法の概念から離れて、投資家(企業)に国家を提訴する権利を与えている。投資紛争解決国際センターに訴えられた政府には、当該裁判を拒む権利が認められていない。また、投資紛争解決国際センターは世界銀行傘下の組織であり、公正な中立性が保証されていない。

 このISDS条項は、司法権が我が国の裁判所に属するとした日本国憲法第七十六条第一項に反するのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。

答弁書

答弁書第六号

内閣参質一八四第六号

  平成二十五年八月十三日

内閣総理大臣 安倍 晋三   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員福島みずほ君提出TPPに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員福島みずほ君提出TPPに関する質問に対する答弁書

一について

 我が国は、TPP協定交渉に参加するに当たって、交渉参加国間で合意された手続をとった中で秘密保護に関する書簡を交換したが、当該書簡については、TPP協定交渉参加国との信頼関係もあり、詳細についてお答えすることは差し控えたい。TPP協定交渉に関する情報については、外交上のやり取りでもあるため、公開できないものが含まれるが、公開できるものについては、状況の進展に応じて、しっかりと国民へ提供していく考えである。

二について

 御指摘のような文書があるのかどうかを含め、外交上の個別のやり取りの詳細を明らかにすることは差し控えたい。

三及び四について

 これまで政府は、ホームページを通じた情報提供のほか、地方自治体関係者、消費者団体を含めた関係団体等に対する説明会等を通じて、国民各層に対して情報提供してきており、今後とも、一についてで述べたように、国民に対して適切な情報提供に取り組んでいく考えである。

五について

 御指摘の公聴会における、フローマン米国通商代表の発言について承知しているが、米国政府要人の議会での発言の逐一についてコメントすることは差し控えたい。なお、我が国のTPP協定交渉参加のための日米間の協議の結果については、佐々江米国駐箚特命全権大使発マランティス米国通商代表代行宛ての本年四月十二日付けの書簡(以下「日本側書簡」という。)及び日本側書簡の附属文書である「自動車貿易TOR」並びに同通商代表代行発同大使宛ての同日付けの返書(以下「米国側返書」という。)に記されているとおりであり、日本側書簡と米国側返書の内容は同一であり、共に公表されている。

六について

 お尋ねの米国の国内法等について、我が国として判断する立場にはない。また、米国政府が同国議会議員に対して行っている説明の内容を、我が国として網羅的に把握し、説明することは困難である。

 お尋ねの合意文書の意味が必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難である。

七について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、政府としては、我が国がこれまでに締結した投資協定及び経済連携協定に含まれている一方の締約国と他方の締約国の投資家との間の投資紛争の解決に係る規定については、紛争の解決を仲裁等に付託することができる旨を定めるものであり、御指摘のような憲法上の問題はないと考えている。

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