QUESTIONS質問主意書

第185回国会 「若者の「使い捨て」が疑われる企業等への取組に関する質問主意書」(2013年10月21日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

質問主意書

質問第一七号

若者の「使い捨て」が疑われる企業等への取組に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十月二十一日

福島 みずほ   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

   若者の「使い捨て」が疑われる企業等への取組に関する質問主意書

 近年、労働者に過重な労働を強いる一方、過酷なノルマを課すなどの手法で選別を繰り返し、順次「使い捨て」にする、いわゆる「ブラック企業」の広がりが指摘されている。

 こうした中、厚生労働省は本年八月八日、「若者の「使い捨て」が疑われる企業等への取組を強化」(以下「取組」という。)として、①若者の「使い捨て」が疑われる企業等への集中的な監督指導の実施、②全国一斉の電話相談の実施、③職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた啓発等の対策を進めることを公表している。

 こうした取組自体は評価されるべきであるが、今後、その結果を適切に評価し、現状を分析する中で一層効果的な対策(法令上の措置を含む)の構築に結び付けていくことが重要である。そこで、以下質問する。

一 「若者の「使い捨て」が疑われる企業等」の実態(事例を含む)について、政府あるいは政府関係機関が調査を実施したことがあるのか。ある場合は、その調査結果の概要及び特徴を明らかにされたい。調査を行っていない場合は、その理由を明らかにされたい。

二 労働基準監督機関においては、これまでも年間十七万三千件を超える企業等に対し、監督指導等を実施し、加えて、労働者から具体的な権利救済を求めて申告のあった事案に対しても監督指導を実施しているが、それにもかかわらず、若者の「使い捨て」が疑われる企業等が後を絶たず、社会問題化するに至った原因について、政府の見解を明らかにされたい。

三 取組の柱の一つに「長時間労働の抑制」が位置付けられているが、過労死等に結び付く長時間労働が蔓延している現状に関して、労働基準法上、①労働時間把握義務を明定していないこと、②労働時間の例外なき上限を定めていないこと、③次の勤務(始業時間)までの休息時間確保義務を定めていないこと等が原因と考えられないか、政府の見解を明らかにされたい。

四 取組の柱の一つに「パワーハラスメント対策」が位置付けられているが、法令上、職場のパワーハラスメントを定義した規定はあるか。また、法令上、職場のパワーハラスメントを具体的に禁止する規定はあるか。

五 若者の「使い捨て」が疑われる企業等の実態に関して、過酷なノルマを課しながら、若年労働者の選別を繰り返し、その多くを「自主退職」に追い込む一部の企業の存在が指摘されているが、こうした行為を法令上、禁止する必要はないか。また、若者が「使い捨て」にされない望ましい人事管理の在り方を政府が積極的に示していく必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。

答弁書

答弁書第一七号

内閣参質一八五第一七号

  平成二十五年十月二十九日

内閣総理大臣臨時代理           

国務大臣 麻生 太郎   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員福島みずほ君提出若者の「使い捨て」が疑われる企業等への取組に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員福島みずほ君提出若者の「使い捨て」が疑われる企業等への取組に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「若者の「使い捨て」が疑われる企業等」については、最近、社会問題化してきたことを踏まえて対策を行っているものであるため、現在把握している限りにおいては、政府又は政府関係機関が調査を実施したことはない。

二について

 労働基準監督機関においては、必要に応じ、これまで、長時間労働が行われている事業場や割増賃金が支払われていない事業場に対して、監督指導を実施し、是正を図ってきたところである。

 御指摘の若者の「使い捨て」が疑われる企業等が、社会問題化するに至った原因については、一概に申し上げることは困難であるが、これらの企業等について、労働基準関係法令違反が認められた場合には、事業主に対して、その是正を求めるなど、適切に対処することとしている。

三について

 御指摘の長時間労働の原因については、一概に申し上げることは困難であるが、厚生労働省においては、時間外・休日労働の削減に向けた労働基準監督機関における監督指導の徹底等の過重労働による健康障害防止対策に取り組んでいるところである。

 なお、御指摘の「長時間労働の抑制」に向けて、いかなる措置を採るかについては、労働者の健康や生活時間の確保及び事業活動の柔軟性の確保の観点を踏まえ、労使間で十分に議論が尽くされるべき問題であると考えており、御指摘のような「労働時間把握義務」、「労働時間の例外なき上限」、「次の勤務(始業時間)までの休息時間確保義務」等の措置を労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)上設けることについては慎重な検討が必要である。

四について

 お尋ねの「職場のパワーハラスメント」について、現行法令上これを定義した規定及びこれを具体的に禁止した規定はない。

五について

 御指摘のような企業の行為について、長時間労働や割増賃金の支払等に関して労働基準関係法令違反が認められた場合には、事業主に対して、その是正を求めるなど、適切に対処するとともに、事案によっては、検察官に送致又は送付をしている。

 また、御指摘の「望ましい人事管理の在り方」に関しては、厚生労働省において、過重労働による健康障害を防止するために、事業主が講ずべき措置等について、事業主に対する指導に取り組んでいるところである。

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