QUESTIONS質問主意書

第186回国会 「カジノに関する質問主意書」(2014年4月10日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

質問主意書

質問第六八号

カジノに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年四月十日

福島 みずほ   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

   カジノに関する質問主意書

一 自治体が運営する競輪・競馬などは、公益性があることを理由に、刑法第三十五条に規定する正当行為として、違法性を阻却しているという法構成をとっている。民営の賭博場で、開設が認められているものがあるか。また、民営のカジノに、公益性があるのか。加えて、利潤を追求するカジノに公益性が認められるのか。

二 参議院議員糸数慶子君提出カジノエンターテイメントに関する質問に対する答弁書(内閣参質一七四第一五号)では、「「カジノ特区」については、構造改革特別区域制度における提案が、これまで数度にわたりあったところであるが、刑法は刑罰法規の基本法であり、一般論として同法第百八十五条の賭博罪に該当し得るカジノに関し、地域を限って例外措置を設けることはなじまない等の理由により、構造改革特別区域制度を活用したカジノの導入は認めていない。」としている。

 この考え方が、国家戦略特別区域を考える上でも維持されるものと考えるが、いかがか。地域を限って刑法の例外措置を設けることはなじまないという点では、国家戦略特別区域も構造改革特別区域も同じであるとの理解でよいか。

三 高市早苗内閣府特命担当大臣(当時)は、二〇〇七年六月十二日の閣議後の記者会見において「現行法で、カジノは刑法で規定される賭博開張罪等に触れる行為になります。ですから、沖縄に限らず、もしも我が国でカジノを開設することになりましたら、刑法の特例を設ける必要があると思います。例えば、競馬法のような形で、刑法の特例という扱いであればわかるのですが、刑法の特例を沖縄振興特別措置法に設けるのは、沖縄振興特別措置法の趣旨や性格から見て、根拠法とすることが適当かどうかと言えば、私は疑問を感じます」と述べている。この発言を受けて岸田文雄内閣府特命担当大臣(当時)も同年十月三十日の参議院内閣委員会において「御指摘の高市大臣の発言につきましては、今申し上げましたように、もしカジノを開設するということになりますと刑法の特例法等根拠となる法律が必要になるわけでありますが、この高市大臣の発言は、根拠になる法律としまして沖縄振興特別措置法、これは時限立法でありますので、こうした法律がこの趣旨や性格から見て根拠法として適切なのか、こうした点について疑問を感じるという意見を述べたものと認識しておりまして、基本的に前大臣と私と認識は変わっていないというふうに考えております」と同じ認識を示している。

 このような認識は現在も維持されているという理解でよいか。

四 日本におけるギャンブル依存症の問題について、政府の見解を明らかにされたい。また、日本におけるギャンブル依存症対策は十分だと考えているのか、併せて政府の見解を明らかにされたい。

五 日本における多重債務者の問題について、政府の見解を明らかにされたい。

六 多重債務と自殺の関係について、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。

答弁書

答弁書第六八号

内閣参質一八六第六八号

  平成二十六年四月十八日

内閣総理大臣 安倍 晋三   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員福島みずほ君提出カジノに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員福島みずほ君提出カジノに関する質問に対する答弁書

一について

 現行法上民営の賭博場で開設が認められているものはない。

 お尋ねの「民営のカジノ」あるいは「利潤を追求するカジノ」に公益性が認められるか否かは、その設置目的等の諸事情を総合考慮して判断されるので、一概にお答えすることは困難である。

二について

 国家戦略特別区域法(平成二十五年法律第百七号)において、現時点でカジノに関する規制の特例措置は盛り込まれておらず、カジノについては、一般論として、刑法(明治四十年法律第四十五号)の賭博罪等に該当し得るので、その違法性を阻却するための立法措置が必要である上、その導入には治安維持や青少年の健全育成等の観点からの議論がある中で総合的な判断が必要である。

三について

 お尋ねの高市内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)(当時)及び岸田内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策)(当時)の発言は、一般論として、刑法の賭博罪等に該当し得るカジノに関し、沖縄振興特別措置法(平成十四年法律第十四号)でその特例を設けることについて、同法の趣旨や性格から見て、根拠法として適当か疑問を感じるとの認識を示したものであり、現在も同様に認識している。

四について

 いわゆる「ギャンブル依存症」については、適切な治療と支援により回復が可能である一方、「ギャンブル依存症」の症状を有する者が必要な治療を受けられていないという現状があり、適切な治療を受けられるよう必要な環境を整備することが喫緊の課題となっている。政府としては、平成二十六年度から、「ギャンブル依存症」を含む依存症の治療及び回復支援を目的として依存症治療拠点機関設置運営事業を新たに実施する等の取組を進めているところであり、引き続き、依存症対策を推進してまいりたい。

五について

 平成十八年十二月に、深刻化した多重債務問題の解決に向けた抜本的かつ総合的な対策を講ずるため、貸金業者からの借入残高を借り手の年収の三分の一以下に制限する総量規制を導入することや、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(昭和二十九年法律第百九十五号)の上限金利を年二十九・二パーセントから年二十パーセントに引き下げること等を内容とする貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律(平成十八年法律第百十五号)が成立し、平成二十二年六月までに段階的に施行された。また、この法律の成立を機に、平成十八年十二月、内閣に、内閣府特命担当大臣(金融)を本部長とし、関係閣僚を本部員とする多重債務者対策本部が設置され、同本部において平成十九年四月に決定された「多重債務問題改善プログラム」に沿って、関係省庁が一体となり、各般の対策に取り組んでいる。株式会社日本信用情報機構によれば、貸金業者から五件以上の無担保無保証の借入残高がある人数は、平成十九年三月末時点で約百七十一万人であったのが、平成二十六年二月末時点で約十八万人に減少しており、また、多重債務を自殺の原因・動機とする自殺者数は、平成二十年六月に警察庁が公表した統計によれば、平成十九年に千九百七十三人であったのが、本年三月に内閣府及び警察庁が公表した統計によれば、平成二十五年に六百八十八人に減少している。これらのことから、多重債務問題については、相当程度の改善が図られてきているものと認識している。

六について

 多重債務は、自殺の社会的要因の一つであると理解しており、五についてで述べた、多重債務者対策の推進は、多重債務を原因・動機とする自殺者数の減少にも相当程度寄与しているものと考えている。

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