QUESTIONS質問主意書

第186回国会 「原子力空母に関する質問主意書」’(2014年6月20日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

質問主意書

質問第一七九号

原子力空母に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年六月二十日

福島 みずほ   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

   原子力空母に関する質問主意書

一 原子力艦の原子力災害防災マニュアル(以下「本マニュアル」という。)について、横須賀市も、周辺自治体も、原子力発電所(以下「原発」という。)の原子力防災対策指針並の見直しを求めているが、担当は内閣府防災担当とされながら、具体的見通しが政府から全く示されていない。

 原子力規制委員会及び原子力規制庁が、原子力艦の原子力災害防災対策及びその見直し作業について積極的に関与すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

二 住民が屋内退避や避難すべき放射能値を、原子力艦においても、原発と同様に一時間当たり百マイクロシーベルトから五マイクロシーベルトに引き下げるべきではないか。

 また、避難住民の範囲を、原子力艦においても、原発と同様に、一キロ以内から、五キロ以内に拡大すべきではないか。

 さらに、屋内退避住民の範囲を、原子力艦においても、原発と同様に、三キロ以内から三十キロ以内に拡大し、この範囲内で原子力艦原子力災害防災訓練を実施すべきではないか。

三 来年後半に、米海軍横須賀基地に配備されている原子力空母ジョージ・ワシントンが、米国に帰国し、原子力空母ロナルド・レーガンが、同基地に配備される予定との発表があったが、地元である横須賀では、この交代の是非についても、原発と同様に市民の民意を問うべきであるとの声が高まっている。この交代時までに少なくとも本マニュアルの見直しを完了させるべきであり、完了できない場合には不完全な防災体制のままでの原子力空母交代は認めるべきではないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 平成十六年に本マニュアルを策定する際、政府は、中央防災会議防災基本計画専門調査会の下に、原子力災害プロジェクトチームを設けて、集中的に検討作業を行った。ところが、現在の見直し作業には、このような検討体制がほとんど具体化していない。

 今年度及び来年度以降の見直し作業の具体的な体制、専門家の関与、予算について示されたい。

五 原子力空母ロナルド・レーガンについては、東日本大震災直後に、東京電力株式会社(以下「東電」という。)福島第一原子力発電所の周辺海域で、トモダチ作戦に従事し、重大な放射能被曝を受け、乗組員に多数の放射能障害が発生したといわれている。そのうち、百名以上の乗組員が、米国内で、東電を相手方として損害賠償訴訟を起こしていること、米国議会が、国防総省に原子力空母ロナルド・レーガンの乗組員の現在の健康、被曝調査を求めていること、そして、原子力空母ロナルド・レーガンの艦体自身が、除染作業にもかかわらず、いまだに相当の放射能を帯びた状態であるとの報告があることを政府は把握しているか。

 また、原子力空母ロナルド・レーガンの乗組員に放射能被曝被害が発生したと言われているが、横須賀に配備されれば、日本人従業員が、いまだに相当の放射能に汚染された状態の原子力空母ロナルド・レーガンの船体を修理することとなる。米国に同艦の船体の放射能レベルのデータを提出させ、地元住民や基地従業員向けに米海軍が説明会を開催するよう求めるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。

答弁書

答弁書第一七九号

内閣参質一八六第一七九号

  平成二十六年六月二十七日

内閣総理大臣 安倍 晋三   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員福島みずほ君提出原子力空母に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員福島みずほ君提出原子力空母に関する質問に対する答弁書

一について

 原子力艦の原子力災害対策及びその見直しについては、内閣府を中心に、原子力規制委員会を含む関係府省において適切に対処していくこととしている。

二から四までについて

 原子力艦の原子力災害対策の見直しについては、現在行っている東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた原子力安全規制の見直しの検討結果等を踏まえ、関係府省において、神奈川県横須賀市を始めとする関係地方公共団体等の意見も聞きつつ、適切に対処してまいりたい。

 なお、政府としては、これまで、災害発生時における災害情報の収集及び連絡の重要性に鑑み、横須賀市、国、米海軍等で実施する日米合同原子力防災訓練に参加してきたところであり、今後とも同訓練への参加を通じて、原子力艦に係る原子力災害に対する備えに遺漏なきを期してまいりたい。

 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)及びその関連取極により、米国は我が国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、我が国の施設及び区域を使用することを認められている。政府としては、空母ジョージ・ワシントンから空母ロナルド・レーガンへの交代により、米第七艦隊の我が国及びその周辺におけるプレゼンスが引き続き維持されることは、我が国の安全並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するものであると考えている。

五について

 政府として、米国内で空母ロナルド・レーガンの乗組員等が東京電力株式会社を相手方として損害賠償訴訟を起こしていること、及び米国議会が米国防省に同空母の乗組員の健康状態等に関する報告を求めていることは承知している。他方、お尋ねの同空母に関する「報告」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないため、「報告」の有無についてお答えすることは困難である。

 いずれにせよ、米側からは、米海軍はトモダチ作戦期間中に同空母に付着した放射性物質の除去等のために適切な対応をとっており、また、同空母に付着した放射性物質の放射能のレベルは著しく低く、乗組員及び一般市民の健康並びに環境に懸念を生じさせるものではなかったとの説明を受けている。

MENU