QUESTIONS質問主意書
第186回国会 「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会に関する質問主意書」(2014年5月2日 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
質問主意書
質問第九二号
安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成二十六年五月二日
福島 みずほ
参議院議長 山崎 正昭 殿
安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会に関する質問主意書
一 安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(以下「安保法制懇」という。)は、内閣総理大臣(以下「総理」という。)の私的諮問機関という位置付けでよいか。
二 平成十九年に開催された第一次安保法制懇のメンバーは、誰がどのような基準に基づいて選んだのか。
三 平成二十五年から開催されている第二次安保法制懇は、第一次安保法制懇にメンバーを一人追加して構成されたが、この人選は誰がどのような基準に基づいて行ったのか。
四 第一次安保法制懇が既に報告書を提出しているにもかかわらず、ほぼ同じメンバーで、第二次安保法制懇における議論を開始したのはなぜか。
五 現在、内閣法制局長官である小松一郎氏は、第一次安保法制懇でどのような役割を果たしたのか。
六 小松一郎氏は、外務省国際法局長として、第一次安保法制懇において立案・実務に携わった。そのような経緯を考えれば、客観的かつ中立的判断を求められる内閣法制局長官としては不適任ではないか、政府の見解を明らかにされたい。
七 第一次安保法制懇の報告書を作成するに当たり、小松一郎氏は、異論を唱えたか、それとも容認したのか。
八 安保法制懇においては、参議院議員藤末健三君提出「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の位置付け等に関する質問に対する答弁書(内閣参質一八六第三五号)にあるとおり、「懇談会においては、我が国が集団的自衛権を行使できるようにすべきではないといった意見は表明されていない」とされている。集団的自衛権の解釈改憲について誰一人異論を唱えない中、一方の立場のみのメンバー構成で議論をするこのようなやり方は、著しく公平性を欠くと考えられるが、いかがか。
九 安保法制懇のメンバーも小松一郎長官も第九条に係る解釈改憲、明文改憲の必要性に同意している者ばかりであり、人選の基準が極めて不適切と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
十 安保法制懇が最後に開かれたのは、二〇一四年二月四日であるが、議事要旨を見る限り、まとめる段階に入ったとは、思えない。同日以降、報告書をまとめるに当たって、具体的にどのような作業をしているのか。
十一 北岡伸一座長代理は、二〇一四年四月二十一日付けの東京新聞のインタビューに答えて、「憲法は最高規範ではなく、上に道徳律や自然法がある。憲法だけでは何もできず、重要なのは具体的な行政法。その意味で憲法学は不要だとの議論もある。(憲法などを)重視しすぎてやるべきことが達成できなくては困る」などと述べている。しかし、そもそも総理の諮問機関において集団的自衛権を議論するに当たり、憲法の枠外で議論したり、憲法を無視して議論したりすることが許されるのか。座長代理として極めて不見識と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
十二 第一次安保法制懇報告書に「我が国の安全を著しく脅かす可能性があるもの」とあるが、具体的にどのような事柄を指すのか。また、「可能性」の有無や程度についてはどのような基準を基に判断するのか。
十三 米国のこれまでの戦争に対して、日本が反対を表明したことはあるか。日本と米国が日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約を締結し、日本国内に米軍の基地があるという状況から考えた場合、米国が戦争をすることは、常に日本にとって「我が国の安全を著しく脅かす可能性がある」事態になるのではないか。そうだとすると、仮に我が国が集団的自衛権の行使を容認した場合、米国が世界のどこかで戦争をする時に、日本は常に参戦をすることになるのではないか。参戦することにならない場合には、その根拠を示されたい。
十四 安保法制懇のメンバーに対する日当はいくらか。また、日当とは異なる形式で報酬を支払っている場合には、その支払方法及び金額を示されたい。さらに、安保法制懇の開催にかかった費用、その他必要経費についても示されたい。
十五 安保法制懇のメンバーに対する日当や報酬、交通費等の費用を負担しているのは誰なのか、またはどの組織なのか、その出所を明示されたい。もし、国の予算である場合には、平成二十四年度、平成二十五年度の決算及び平成二十六年度の予算を明示されたい。
右質問する。
答弁書
答弁書第九二号
内閣参質一八六第九二号
平成二十六年五月十三日
内閣総理大臣 安倍 晋三
参議院議長 山崎 正昭 殿
参議院議員福島みずほ君提出安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員福島みずほ君提出安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(以下「懇談会」という。)は、「審議会等の整理合理化に関する基本的計画」(平成十一年四月二十七日閣議決定)別紙四の「懇談会等行政運営上の会合の開催に関する指針」にいう「懇談会等行政運営上の会合」に該当するものとして、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の開催について」(平成二十五年二月七日内閣総理大臣決裁)に基づき開催しているものである。
二、三、六、八及び九について
平成十九年に開催された「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(以下「旧懇談会」という。)及び懇談会は、憲法と安全保障に関する法制度との関係について検討していただくため、内閣総理大臣の決裁を得て、そのような検討にふさわしい深い見識を有する者から構成しており、「著しく公平性を欠く」や「人選の基準が極めて不適切」との御指摘は当たらない。
また、内閣法制局長官の任命は、内閣法制局長官に求められる能力や適性等を公正かつ厳格に判断し、適材適所の観点から行っているものである。
四について
お尋ねについては、旧懇談会の報告書(以下「前回報告書」という。)が出されて以降、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることを踏まえ、我が国の平和と安全を維持するためどのように考えるべきかについて検討を行う必要があるからである。
五及び七について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の者は、外務省国際法局長(当時)として、旧懇談会に、オブザーバーとして出席している。また、前回報告書は、有識者の意見を取りまとめたものである。
十について
懇談会においては、現在、有識者の間で報告書に関する詰めの議論を行っていると承知している。
十一について
お尋ねは、御指摘の者個人の意見に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。
十二及び十三について
前回報告書は、旧懇談会における有識者の意見を取りまとめたものであり、前回報告書の個々の記述の具体的意味について、政府としてお答えする立場にない。
お尋ねの「米国のこれまでの戦争」の意味するところが必ずしも明らかではないため、これに対して我が国が反対を表明したことはあるかとのお尋ねにお答えすることは困難である。
集団的自衛権の問題については、現在、懇談会において、前回報告書が出されて以降、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることを踏まえ、我が国の平和と安全を維持するためどのように考えるべきかについて検討が行われているところであり、政府としては、懇談会から報告書が提出された後に、対応を改めて検討していく考えである。
十四及び十五について
懇談会の開催の都度、座長に対して二万九百円、座長を除く有識者に対して一万八千円の謝金を、各有識者の銀行口座に振り込む方法によって支払っているところである。
これまでの六回の懇談会の開催に要する経費として、平成二十四年度一般会計予算の(組織)内閣官房(項)内閣官房共通費及び(項)安全保障会議から、諸謝金として二十万九百円、交通費として五十八万千九百三十五円、会議費として千四百四十九円を、平成二十五年度一般会計予算の(組織)内閣官房(項)内閣官房共通費及び(項)安全保障会議から、諸謝金として百十九万三千八百円、交通費として百八万八千五百五十二円、会議費として九千九百九十五円を支出したところである。
平成二十六年度の懇談会の開催に要する経費については、平成二十六年度一般会計予算の(組織)内閣官房(項)内閣官房共通費から支出されるものであるが、お尋ねの「平成二十六年度の予算」を抽出してお答えすることは困難である。
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