QUESTIONS質問主意書

第186回国会 「川内原子力発電所の火山影響評価に関する質問主意書」(2014年4月28日) | 社民党 福島みずほ 参議院議員(比例区)

質問主意書

質問第八七号

川内原子力発電所の火山影響評価に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年四月二十八日

福島 みずほ   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

   川内原子力発電所の火山影響評価に関する質問主意書

 九州電力川内原子力発電所(以下「川内原発」という。)について、原子力規制委員会による実用原子炉及びその付属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年六月二十八日原子力規制委員会規則第五号)等(以下「新規制基準」という。)に係る適合性審査が継続中であり、その中で、原子力発電所の火山影響評価ガイド(以下「火山審査ガイド」という。)に基づく火山影響評価に係る審査が実施されている。

 火山審査ガイドは、周辺に将来活動性が否定できない火山が存在する場合、設計対応不可能な火山事象が、原子力発電所(以下「原発」という。)運用期間中に影響を及ぼす可能性が十分小さいか否かを判定し、十分に小さくないとされた場合には立地不適とし、十分に小さいとされた場合でも、火山活動のモニタリング及び火山活動の兆候を把握した場合の対処方針を策定することを要求している。川内原発の周辺には、阿蘇、加久藤・小林、姶良、阿多、鬼界の五つのカルデラ(以下「九州の五つのカルデラ」という。)があり、これらの破局的噴火による火砕流により、原発が壊滅的な被害を受けることが懸念される。九州電力は、九州の五つのカルデラについて、川内原発の運用期間中に、破局的噴火の可能性は十分低いと評価している。また、火砕流についても、カルデラのモニタリングを実施し、事前に兆候を把握することにより対処は可能だと主張している。

 この件につき、以下質問する。

一 地震の影響評価の場合、原発の重要施設の直下にある破砕帯が、十二から十三万年前以降に活動したことが否定できず、活断層と認定された場合は立地不適となる。原子力規制委員会は、この判定に際して、専門家を招集して有識者会合を開き、独自の調査を実施している。ところが、川内原発の火山影響評価においては、姶良カルデラで約三万年前に破局的噴火が発生し、火砕流が川内原発所在地にまで達したことが明らかになっているにもかかわらず、専門家による検討は一切実施されておらず、九州電力による一方的な主張があるだけである。破局的噴火の可能性について、原子力規制委員会は、有識者会合を開き、専門家からの意見徴収を行うべきだと考えるが、実施するつもりはないのか。

二 第九十五回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合において、原子力規制委員会は、破局的噴火により、カルデラからの火砕流が、川内原子力発電所に届き得ると確認した上で、火砕流への対処方針の策定は、事業者の自主的な取組ではなく、規制の枠組みで行うとした。この場合、対象となるのは九州電力が挙げた九州の五つのカルデラのうちのどれか。

三 火砕流への対処については、原子炉の停止措置では不十分であり、使用済み燃料を含む核燃料の避難などの措置が必要となるが、具体的にどのような措置を要求するのか。その場合、最大でどの程度の時間を要するのか、政府の見解を明らかにされたい。

四 これまで、火山噴火予知は、成功したとしてもせいぜい噴火の数か月前である。ピナツボ火山の噴火は、予知が成功した例と言われるが、それでも異変が観測され始めたのは、噴火の三か月ほど前である。九州電力の対処案は、破局的噴火の前兆は通常の噴火よりも早く捉えられることが前提となっているが、人類は、文明を持って以来破局的噴火を経験しておらず、そのような確証は得られていない。火砕流への対処では何十年も前にその前兆を捉えることが必要だが、そのようなことは不可能と考えるところ、政府の見解を明らかにされたい。可能であると考える場合には、その根拠を示されたい。

五 九州電力は、破局的噴火が早い段階で捉えられる根拠として、破局的噴火直前の百年から千年の間にマグマが急速に供給されることを、岩石学的調査により明らかにした論文を挙げている。原子力規制委員会の島崎委員長代理は、第九十五回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合の場で、論文の事例が、地中海とカリフォルニアの二例であり、日本の事例ではないことを問題にし、日本の事例で、マグマの供給が万年オーダーであることが確認されれば、立地不適になる旨発言した。それに対し、九州電力は、九州のカルデラについて岩石学的な調査を準備している旨発言した。島崎委員長代理が言及した日本の事例とは、九州の五つのカルデラ全てについてであるのか。

六 前記五の岩石学的調査について、九州電力は当事者であり、九州電力に不利な結果であれば、立地不適となる調査であることから、当該調査は九州電力に実施させるのではなく、原子力規制委員会が独自に実施すべきだと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

七 仮に破局的噴火直前に急速なマグマの供給がある場合であっても、その兆候を確実に捉えることができるのか。捉えることができる場合には、その根拠は何か。九州電力は、急激な変動があるとしているが、その根拠は何か、政府の承知しているところを示されたい。

八 九州の五つのカルデラについて、破局的噴火に至るマグマの供給が既に終わっている可能性はないのか、政府の見解を明らかにされたい。

九 仮に破局的噴火の前兆を捉えた場合にも、それが破局的噴火に至るものか否かを判断することは困難であることを、多くの火山学者が指摘している。モニタリングにより、異常だと判断した場合に通常の噴火の前兆と破局的噴火に至る前兆のいずれかを判断する基準を明らかにされたい。

  右質問する。

答弁書

答弁書第八七号

内閣参質一八六第八七号

  平成二十六年五月十三日

内閣総理大臣 安倍 晋三   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員福島みずほ君提出川内原子力発電所の火山影響評価に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員福島みずほ君提出川内原子力発電所の火山影響評価に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「破局的噴火」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第四十三条の三の六第一項第四号の規定に基づき定められている実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第五号)等(以下「新規制基準」という。)に係る適合性審査に関する会合においては、現時点で、阿蘇カルデラが形成された時のような極めて大規模な噴火(以下「巨大噴火」という。)の可能性について、専門家からの意見聴取を行う予定はない。

二、三及び八について

 お尋ねについては、原子力規制委員会において、新規制基準に係る適合性審査を実施中であることから、現時点でお答えすることは困難である。

四及び七について

 御指摘の「破局的噴火」及び「急激な変動」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではなく、また、巨大噴火については、その前兆を捉えた例を承知していないが、一般論としては、噴火の規模によっては、地下からのマグマの供給量が大きく増加すると考えられるところ、地殻変動等の監視を行うことにより、噴火の前兆を捉えることが可能な場合もあると考えられる。

五について

 御指摘の会合における原子力規制委員会の島﨑委員の「残念なことに、まだこれは海外の例だけでありまして、日本の例がないんですよね。(中略)一応コメントさせていただきたいと思います。」との発言は、具体的なカルデラを意図したものではないと承知している。

六について

 原子力発電所の新規制基準に係る適合性審査等に関する調査については、第一義的には事業者が実施し、原子力規制委員会は、その調査結果について厳格に確認するものであると認識している。

九について

 御指摘の意味するところが必ずしも明らかではないが、気象庁では、噴火により重大な災害の起こるおそれのある場合は、噴火警報等を発表するなどの対応を行っているところである。

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