QUESTIONS質問主意書

第186回国会 「集団的自衛権の行使に係る憲法解釈変更に関する質問主意書」(2014年6月20日) | 社民党 福島みずほ 参議院議員(比例区)

質問主意書

質問第一八八号

集団的自衛権の行使に係る憲法解釈変更に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年六月二十日

福島 みずほ   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

   集団的自衛権の行使に係る憲法解釈変更に関する質問主意書

 安倍内閣は、現在憲法解釈を閣議決定で変更し、集団的自衛権の行使を可能とするよう準備を行っている。憲法改正が行われていない以上、憲法の解釈変更だけで集団的自衛権の行使を可能とすることは法理論からもできることではなく、戦後積み上げてきた平和憲法の理念を十九人の閣僚による閣議決定で踏みにじる行為は断じて許されない。この観点から、以下質問をする。

一 自衛権行使の要件は、①我が国に対する急迫不正の侵害があること、②これを排除するために他に適切な方法がないこと、③必要最小限度の自衛権の行使にとどまるべきこと、とされてきた(以下「自衛のための三要件」という。)。集団的自衛権の行使は、そもそも、①の要件を欠いているので、憲法上認められないとの理解でよいか。

二 政府はこれまでも、集団的自衛権が違憲である論拠として、自衛のための三要件のうち、①の要件がそもそも無いことをあげてきた。例えば、二〇〇四年一月二十六日の衆議院予算委員会において、安倍晋三委員が「「わが国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものである」、こういうふうにありますが、「範囲にとどまるべき」というのは、これは数量的な概念を示しているわけでありまして、絶対にだめだ、こう言っているわけではないわけであります。とすると、論理的には、この範囲の中に入る集団的自衛権の行使というものが考えられるかどうか。」と質問したのに対して、秋山政府特別補佐人は「従来、集団的自衛権について、自衛のための必要最小限度の範囲を超えるものという説明をしている局面がございますが、それはこの第一要件を満たしていないという趣旨で申し上げているものでございまして、お尋ねのような意味で、数量的な概念として申し上げているものではございません。」と答弁している。

 すなわち、個別的自衛権と集団的自衛権との違いは、必要最小限か、それを超えるかといった数量的概念にあるのではなく、集団的自衛権がそもそも自衛のための三要件のうちの第一要件を欠くという、質的に全く異なるものであるために違憲であるとの理解でよいか。

三 他国領域で、戦闘が行われている時に、自衛隊を派遣し後方支援をすることは、違憲であるとの理解でよいか。

四 いわゆる砂川判決は、集団的自衛権の行使を認めたものではないことから、集団的自衛権の行使を認める論拠にならないとの理解でよいか。

五 合憲の集団的自衛権の行使と違憲の集団的自衛権の行使に分けて考えることができるのか。分けるとすれば、区別の基準が必要となるが、基準の設定は可能なのか、政府の見解を明らかにされたい。

六 政府は、二〇〇五年十一月四日、藤末健三議員が提出した「集団的自衛権についての政府見解等に関する再質問主意書」(第百六十三回国会質問第一四号)に対する答弁書(内閣参質一六三第一四号)において、「憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、憲法第九条のように議論の積み重ねのあるものについては、全体の整合性を保つことにも留意して、論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではないと考えており、仮に、政府において、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられるところである。」と答弁している。集団的自衛権の行使を日本国憲法下で解釈改憲によって容認すれば、時の政府の判断による憲法解釈の変更を認めることとなり、憲法に対する国民の信頼が損なわれるのではないか、政府の見解を明らかにされたい。

七 現在、政府・与党内で議論がされている集団的自衛権に関する事例、例えば、公海上の米戦艦の防護や米本土への弾道ミサイル迎撃などの事例について、過去に集団的自衛権の行使として現実に対処され、国連安全保障理事会(以下「安保理」という。)に報告された事例があるか、政府の承知するところを示されたい。

八 例えば、公海上の米戦艦の防護や米本土への弾道ミサイル迎撃などの個別事例だけで、集団的自衛権行使が終了したものとして、安保理に報告された事例が過去にあるか、政府の承知するところを示されたい。

九 安倍首相は、イラク戦争のような戦争には自衛隊は派遣せず、イラクへの自衛隊の派遣は、戦争終結後、人道支援として派遣した旨述べている。政府としては、イラク戦争とは、二〇〇三年三月十九日(米国時間)の開戦から、二〇〇三年五月のブッシュ米国大統領(当時)による大規模戦闘終結宣言までを指すのか、あるいは、二〇一一年十二月の、オバマ米国大統領によるイラク戦争終結宣言までを指すのか。具体的にイラク戦争の期間について、どのように判断しているのか、政府の見解を明らかにされたい。

十 一九九四年の朝鮮半島危機の際、米国から日本政府に対して、千五十九項目の支援を求めてきたが、日本政府が、これを断ったということは事実か。事実である場合、断った理由を示されたい。

  右質問する。

答弁書

答弁書第一八八号

内閣参質一八六第一八八号

  平成二十六年六月二十七日

内閣総理大臣 安倍 晋三   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員福島みずほ君提出集団的自衛権の行使に係る憲法解釈変更に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員福島みずほ君提出集団的自衛権の行使に係る憲法解釈変更に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 現時点で、憲法第九条に関する政府の解釈は、御指摘の秋山内閣法制局長官の答弁で述べられたものを含め、従来どおりである。

三について

 お尋ねについては、個別具体的な状況に応じて判断する必要があるため、一概にお答えすることは困難である。

四について

 いわゆる砂川事件は、昭和三十五年法律第百二号による改正前の日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定に伴う刑事特別法(昭和二十七年法律第百三十八号)の合憲性が争われた事案であり、砂川事件最高裁判決(昭和三十四年十二月十六日)の結論は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約(昭和二十七年条約第六号)が一見極めて明白に違憲無効であるとはいえない以上、同法も違憲ではないというものである。

 当該判決において、憲法第九条に「いわゆる戦争を放棄し、いわゆる戦力の保持を禁止しているのであるが、しかしもちろんこれによりわが国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、(中略)わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のこと」であるという考え方が示されているが、これは、従来からの同条に関する政府の解釈の基盤にある基本的な考え方と軌を一にするものであると考えている。

五及び六について

 「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が平成二十六年五月十五日に報告書を提出したことを受けて、国民の命と平和な暮らしを守るため、あらゆる事態に切れ目のない対処を可能とするための国内法制の整備の在り方について、憲法解釈との関係も含め、現在、「安全保障法制整備に関する与党協議会」において協議が進められているものと承知しており、現時点において、集団的自衛権の行使容認を前提としたお尋ねにお答えすることは差し控えたい。

七及び八について

 外務省として把握している国際連合憲章(昭和三十一年条約第二十六号)第五十一条に従い集団的自衛権の行使として国際連合安全保障理事会に報告されたものは十四件であるが、お尋ねについては、政府としてその詳細な事実関係を把握する立場にないため、お答えすることは困難である。

九について

 お尋ねの「イラク戦争の期間」について、政府として事実関係の詳細を把握し得る立場にないことから、確定的にお答えすることは困難である。

十について

 日米間においては、日米安保体制の下、平素から様々なレベルで意見交換等を行ってきており、緊急事態に際しての米国に対する我が国の支援についても様々な形で議論を行ってきているが、政府として、米国から、御指摘の「千五十九項目の支援」について、まとまった形で支援を求められたとの事実はない。

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