QUESTIONS質問主意書
第189回国会 「日米ガイドラインに関する質問主意書」(2015年5月28日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
質問主意書
質問第一四五号
日米ガイドラインに関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成二十七年五月二十八日
福島 みずほ
参議院議長 山崎 正昭 殿
日米ガイドラインに関する質問主意書
一 本年四月、日米防衛協力のための指針(以下「日米ガイドライン」という。)が改定された。
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「日米安保条約」という。)は、その第五条において「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する」と規定しており、「日本国の施政の下にある領域」に範囲を限っている。しかるに、日米ガイドラインにおいては、「同盟は、日本の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対処する。当該事態については地理的に定めることはできない」と規定している。
日米ガイドラインは、日米安保条約に反しているのではないか。また、前述した日米安保条約の規定と日米ガイドラインの規定の関係は、どうなっているのか示されたい。
二 日米安保条約第六条は、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」と規定しており、「極東」に範囲を限っている。しかるに日米ガイドラインにおいては、地理的な制限は一切存在していない。
日米ガイドラインは、日米安保条約に反しているのではないか。また、前述した日米安保条約の規定と日米ガイドラインの関係は、どうなっているのか示されたい。
三 前記一及び二に関し、条約に反する行政取極は許されるのか、政府の見解を示されたい。
四 政府は、日米ガイドラインの法的性格についてどのように考えているのか。
五 国会で、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案を審議する前に、日米ガイドラインを改定したことは、国会の立法権を事実上制約することにならないか。また、そのことは、法の支配、法治主義に反しないか、それぞれ政府の見解を示されたい。
右質問する。
答弁書
答弁書第一四五号
内閣参質一八九第一四五号
平成二十七年六月五日
内閣総理大臣 安倍 晋三
参議院議長 山崎 正昭 殿
参議院議員福島みずほ君提出日米ガイドラインに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員福島みずほ君提出日米ガイドラインに関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号。以下「日米安保条約」という。)第五条は、我が国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が発生した場合、我が国及び米国が、自国の憲法上の規定及び手続に従って、共通の危険に対処すること等を規定しているものである。他方、平成二十七年四月二十七日(現地時間)の日米安全保障協議委員会において了承された日米防衛協力のための指針(以下「指針」という。)における御指摘の記述は、「日本の平和及び安全に重要な影響を与える事態」について述べたものであり、当該事態において我が国がとる措置は、我が国の平和及び安全の確保に資するものであるとの我が国自身の主体的な判断に基づくものであって、指針によって米国との関係での実施を法的に義務付けられるものではなく、指針が「日米安保条約に反している」との御指摘は当たらない。
二について
指針においては、御指摘の日米安保条約第六条の規定を含め、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(日米安全保障条約)及びその関連取極に基づく権利及び義務並びに日米同盟関係の基本的な枠組みは、変更されない」こととされており、指針が「日米安保条約に反している」との御指摘は当たらない。
三から五までについて
指針において、「指針は、いずれの政府にも立法上、予算上、行政上又はその他の措置をとることを義務付けるものではなく、また、指針は、いずれの政府にも法的権利又は義務を生じさせるものではない」こととされており、指針は法的効力を持つものではないことから、御指摘の行政取極に該当するものではなく、また、指針が「国会の立法権を事実上制約する」等の御指摘は当たらない
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