QUESTIONS質問主意書

第189回国会 「池子住宅地区及び海軍補助施設において発見された不発弾等に関する質問主意書」(2015年5月18日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

質問主意書

質問第一三四号

池子住宅地区及び海軍補助施設において発見された不発弾等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十七年五月十八日

福島 みずほ   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

   池子住宅地区及び海軍補助施設において発見された不発弾等に関する質問主意書

 逗子市と横浜市金沢区にまたがる池子住宅地区及び海軍補助施設において昨年七月から八月にかけて不発弾等が発見された。かつてこの場所にあった池子弾薬庫は、一九三七年より日本海軍による用地買収が始まり、一九三八年から弾薬庫として運用されてきた。

 戦争の長期化の中で弾薬庫は拡張され続け、多くの住民が移転を余儀なくされた。池子弾薬庫は弾薬庫であっただけではなく、爆弾などの製造工場でもあった。軍艦の高角砲の砲弾、陸用爆弾、特攻兵器「桜花」の噴進器などが製造された。また、米軍家族住宅追加建設予定地の横浜市域では爆弾に毒ガス充填が行われていたとの証言がある。戦争末期には、池子弾薬庫内に無数の地下壕が掘られた。このことは池子弾薬庫に勤労動員でやってきた元宮城県立第一高等女学校生徒が発行した「海鳴りの響きは遠く」に記載されているところである。彼女らが地下壕を掘らされた場所は、今回、不発弾等が発見された場所の周辺と推測される。

 そして、一九四五年八月十五日の敗戦を経て、九月一日に米軍により接収された。神奈川県内各地の弾薬庫、相模海軍工廠などでは、八月十五日から九月初旬までの間に、爆弾材料等の隠匿作業が行われた。こうした作業については占領終了後も明らかにされることはなかった。

 二十一世紀になって、寒川町の相模海軍工廠化学実験部跡地から毒ガスであるイペリット入りのビール瓶が土中から多数発見されている。また、平塚市の相模海軍工廠化学実験部跡地からは青酸入りのガラス瓶が土中から発見されている。

 池子弾薬庫に保管されていた完成弾については、米軍の指揮の下、池子、逗子、久里浜というルートで鉄道で運搬し、はしけに積み替えて海洋投棄したとの記述が「星条旗新聞」にある。

 しかし、地下壕の奥深くに埋められたもの、土中に埋められたものは、戦後処理されなかった。今回、発見された不発弾等はその一部である。今後もこうしたものが出土する可能性は大きく、周辺住民の安全確保の観点から、重大な関心を持たざるを得ない。情報は住民に広く公開されるべきである。

 昨年七月から八月にかけて発見された不発弾等に関する情報について、二月六日付けで防衛省が示した資料では判明しない点が多い。よって、以下を質問する。

一 陸上自衛隊が回収した不発弾等の数は、魚雷一本、信管(米軍製)五百八十五本、七十五ミリメートル砲弾(米軍製)一本、その他火工品(旧軍製)二百五十三本で計八百四十本とのことだが、防衛省は逗子市に対し五百四十九本と説明している。差が余りに大きすぎると思うが、その理由を示されたい。

二 不発弾はペイントボール場整備予定地の約八百平方メートルの土地で発見されたとのことだが、八百四十本は一か所にまとまっていたのか、それとも点在していたのか。点在していたのであれば何か所か。また、それぞれどういう状態で出土したのか、明らかにされたい。

三 逗子市への説明が発見から二か月以上も経過したことの理由として、処理について関係機関(米軍・警察)と調整を行ったためとあるが、池子住宅地区及び海軍補助施設の一部地域について逗子市との共同使用が始まろうとしている時期でもあり、近隣住民の安全を考えるなら、直ちに報告するべきである。

 いかなる理由で二か月も経過した後の報告になったのか、関係機関との調整内容など、詳細を明らかにされたい。

四 信管五百八十五本は米軍製と判断されているが、年代はいつごろのものか。アジア太平洋戦争中のものか、ベトナム戦争期のものか明らかにされたい。

五 七十五ミリメートル砲弾も米軍製と判断されているが、年代はいつごろのものか。アジア太平洋戦争中のものか、ベトナム戦争期のものか明らかにされたい。

六 火工品とは、火薬を加工し成型したものと推測されるが、形状と大きさを明らかにされたい。また、旧軍製とのことだが、砲弾に使用されたものか、爆弾に使用されたものか示されたい。

七 陸上自衛隊の不発弾処理隊等が処理したとあるが、発見から搬出まで三か月を要しており、自衛隊によって慎重に識別がなされたと推測される。出動した部隊の名称と所在地を明らかにされたい。また、大宮等の化学防護隊の隊員が出動したか否かについても明らかにされたい。

八 今後もこうした戦争中の不発弾等が出土する可能性があるが、共同使用となる池子住宅地区及び海軍補助施設の一部地域四十ヘクタールにおいて、金属探知機等による地面の探査、地下壕内の確認等の調査を行う計画の有無を含め、今後の政府の方針を示されたい。また、今回不発弾等が発見されたペイントボール場整備予定地の約八百平方メートルについては金属探知機による探査を行ったかどうか明らかにされたい。

  右質問する。

答弁書

答弁書第一三四号

内閣参質一八九第一三四号

  平成二十七年五月二十六日

内閣総理大臣 安倍 晋三   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員福島みずほ君提出池子住宅地区及び海軍補助施設において発見された不発弾等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員福島みずほ君提出池子住宅地区及び海軍補助施設において発見された不発弾等に関する質問に対する答弁書

一について

 池子住宅地区及び海軍補助施設の一部返還に伴う建物等移設工事のペイントボール場整備予定地で発見された不発弾等(以下「本件不発弾等」という。)については、合計五百四十九個との施工業者からの報告を受けて南関東防衛局から逗子市に対して情報提供をしたところであるが、陸上自衛隊が本件不発弾等を処理する際に詳細に確認等を行った結果、合計八百四十個であることが判明したものである。

二について

 お尋ねの「一か所にまとまっていたのか、それとも点在していたのか」及び「それぞれどういう状態で出土したのか」の意味するところが必ずしも明らかでないが、本件不発弾等は、ペイントボール場整備予定地のほぼ全域の地中から発見されたものである。

三について

 本件不発弾等の発見された場所が在日米軍施設・区域内であったことから在日米軍等との調整に時間を要したものであるが、その詳細については、相手方との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。

四及び五について

 お尋ねの「年代はいつごろのものか」の意味するところが必ずしも明らかでないが、御指摘の「信管」及び「七十五ミリメートル砲弾」は、陸上自衛隊による処理時に腐食が進んでいたこと等から、その製造、使用等の時期について具体的にお示しすることは困難である。

六について

 御指摘の「火工品」は、既に陸上自衛隊により処分されていること等から、お尋ねの「形状と大きさ」及び「砲弾に使用されたものか、爆弾に使用されたものか」についてお答えすることは困難である。

七について

 本件不発弾等については、陸上自衛隊朝霞駐屯地に所在する第一〇二不発弾処理隊が処理を行ったものである。

 また、本件不発弾等の処理に関し、陸上自衛隊大宮駐屯地に所在する中央特殊武器防護隊等の化学科部隊は派遣されていない。

八について

 政府としては、逗子市が在日米軍と共同使用している池子住宅地区及び海軍補助施設の一部である約四十ヘクタールの土地において、現在のところ、お尋ねのような調査を実施する計画は有していないが、今後、不発弾等が発見された場合には、在日米軍及び関係地方公共団体と連携を取って適切に対応していく考えである。

 他方、ペイントボール場整備予定地である約八百平方メートルの土地については、平成二十六年七月から八月にかけて、金属探知機による探査を実施したところである。

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