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刑法改正について | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

この間の通常国会で、刑法が改正をされた。強制性交罪を不同意性交罪と名称を変更し、同意のない性的行為を処罰することにした。

ヨーロッパ評議会は2011年に女性に対する暴力とドメスティック・バイオレンス防止条約、いわゆるイスタンブール条約を採択。

このイスタンブール条約は、レイプを含む性的暴力について「同意なしの性的行為」と定義している。NOミーンズNOなのである。

一緒に食事をしても、お酒を飲んでも、一緒に部屋に帰っても、ホテルに行っても性的行為について同意があるのではない。

性犯罪が成立するためには、判例は、その手段たる暴行、脅迫が、少なくとも相手方の犯行を著しく困難にさせる程度のものであることを要するとしていた。暴行脅迫が相手方の犯行を著しく困難にする程度のものでは無いとして、性犯罪が無罪になったケースがいくつもある。
2019年3月、名古屋地方裁判所岡崎支部の判決は、実の父親による性交に娘が不同意であったであったことを認定しながら、抗拒不能ではなかったと、父親を無罪にした。
命がけの抵抗をしなければ強姦罪が成立しないのか。しかし、命がけの抵抗をしたら殺されるかもしれない、あるいはあまりの恐怖に、あるいは驚いて、抵抗できないこともある。

「13歳以上に対し、暴行や脅迫を用いて」という要件から、「16歳以上に対し、次の類似した行為・事由やこれらに類する行為・事由により、性交等に同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態にさせ、または、その状態に乗じて」に改めて8つの事例を列挙した。

この要件の書き方については、わかりやすくなったという意見と刑法の構成要件として類推解釈、拡大解釈を生み、不明確だという意見の両方があり得る。今後、運用がどうなされるのか注視していかなければならない。

今回は、同意について、主に書きたい。
人が同意のないことを強制されればそれは人権侵害である。人は、性の権利、性における自己決定権を有している。

相手に同意がなくても、少々強引にやっていけば、思い通りになると言う事はもう無いのである。

ある集会で、早稲田の大学生が、同意についてのプレゼンテーションを行っていて、それに参加をしたことがある。ロールプレイをして、どうやってセクシャルハラスメント等に介入するのかというのをチームを組んでやってみた。慶応大学の中にも、そのようなグループがあると聞いたことがある。

同意と言うことで思い出すことがある。
子どもが小学校に上がる前、おそらく4歳か5歳位の頃、私は夫に、「今度の休み空いてる?」と話をした。彼は空いてると言うので、「よかった、よかった、じゃあ動物園へ行こう」とはしゃいでいた。2人の会話を聞いていた娘は、一言「わたしの意見も聞いてほしい」と言った。そうだそうだ。
娘のために動物園に行こう、忙しい私たち2人が両方とも空いている、よかった、よかったと喜んでいたのである。娘はもちろん暇である、娘はもちろん喜ぶと勝手に思い込んでいた。

やり直しである。
「あなたは今度の日曜日空いていますか?」娘はうんと頷く。
「ママとパパは動物園に行こうかなぁと思っていますが、あなたはどう思いますか?」娘はうんと頷く。

それでにっこり、行くことが成立。3人で動物園に行くことにした。
娘の同意を取ることを忘れていたのだ。こちらの勝手な思い込みだ。娘のためにと思っていたのに、肝心の娘に意見を聞かなかったのだ。

子どもは、多くの女性は、あるいは様々の人は、「あなたはどうしたいですか」と聞かれることが意外と少ないかもしれない。

こうすべきだと私も言われる時があるが、どうして「あなたはどうしたいですか」と聞いてくれないのかと思ったことがある。私ですらそう思うのだから、他の多くの人たちはもっと思っているのかもしれない。

今回の刑法改正は、まさに性的同意の問題だけれども、性的同意以前に、あなたはどうしたいのかということが大事にされることが、ちっちゃな子どもの時からなされる必要があると思う。

同意が大事にされることが、男性と女性が、女性と女性が、男性と男性が、様々な人たちが、あらゆるところで、対等な関係として、意思や思いが大事にされる、そんなスタートになるようにと考える。

ただ、同意が大事だと言うためには、性教育や人権教育が本当に必要である。単に、性暴力の被害者にも、加害者にも傍観者にもならないと言うだけではなく、その前提としてあなたには性の権利があるよ、性的権利があるよ、他人とどういう関係を作りたいのか、あなたには権利があるよと言うこと、そしてまず自分の権利を大事にすることが必要だよと言うことを教える必要がある。もちろん、リプロダクティブヘルスアンドライツもしっかり教え、またリプロダクティブヘルスアンドライツを保障できるような法制度、社会を作らなければならない。

ところで、今回性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられた。ただし13歳から16歳未満については、5歳差であれば刑事責任は免責をされる。つまり13歳と18歳は犯罪になるけれども13歳と17歳は犯罪にならないと言うことである。もちろん5歳差であっても地位利用などがあれば犯罪が成立する。

ところで、性交渉だけではなく、強制わいせつにもこの適用がある。そこで参議院の法務委員会で質問をした。15歳と20歳がキスをした。2人は、恋愛中で、恋人同士で、両方に同意がある。しかし「15歳と20歳なので、犯罪が成立し、拘禁刑10年以下になりますね」と質問したら、刑事局長は「はい、その通りです。10年以下の拘禁刑になります」と答弁をした。非親告罪なので、2人がキスをしていたのを見た親や周りの人間が告発をすれば、犯罪が発覚し、刑事罰に処せられる可能性がある。
それでいいのか。16歳未満と言うと、だいたい高校1年生。
高校1年生で年上のボーイフレンドがいると言う人など本当にいるだろう。

高校生の意見を聞きたいと本当に思う。
また、法律がどのように適用されるのか、本当に注視していかなければならないと思っている。
ぜひ議論をしましょう。

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