ACTIVITY BLOG活動ブログ

「妻のパート月収25万」で総理に質問 2016年1月18日参予算委 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今日は、国民の生活実感、困っていること、そのことについて御質問をいたします。
 総理が、景気が回復し、そして雇用が増加する過程においてパートで働く人が増えていく、妻は働いていなかったけれども、景気はそろそろ本格的に良くなっていくから働こうかと思って働き始めて月二十五万円、これには本当に驚きましたし、多くの女性たちも怒りを表明をしております。
 景気はそろそろ本格的に良くなったから、良くなっていくから働こうかと働きに出る女性がいるんでしょうか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) そもそも、これは景気が良くならなければ職は増えないわけでございますから、働くことができないと、こういうことではないかと思います。
○福島みずほ君 景気が良くなったから働こうかという人がいるんでしょうか。多くの人は住宅ローンのため、子供の教育費のため、生活のため、そのために働くんじゃないですか。生活のためにみんな必死で働いていますよ。どうですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) それは、多くの方は当然それは生活のために働いているわけであります。これは当然のことでありまして、その上で申し上げているわけであります。
○福島みずほ君 景気が良くなったから働こうかなんという人、見たことないですよ。みんな生活のために働いていますよ。こういう認識は現状とはずれていますよ。
 それから、月収二十五万円、こんな女性がいるんでしょうか、パートで。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは衆議院の議論でも申し上げたところでありますが、私はパートで妻が二十五万円とは申し上げていないわけでありまして、それは、これは総雇用者所得と一人当たりの平均賃金、実質賃金との比較において、どうして言わば景気回復期においては平均賃金が下がるかというこの構造について説明したわけでございまして、一方、総雇用者所得と一人当たりの賃金の比較について分かりやすい説明で、私が五十万円で妻が二十五万というときにはパートという表現は使っていないわけでありますし、また、別の機会、これは昨年の言わば予算委員会において説明したときには、私、たしか私が三十万円で妻が十万円というふうに言っているわけでありまして、ですから、これは固定してずっと言ってきているわけではなくて、そして、言わば十万円という表現を使ったときには、むしろ女性が十万円という表現がこれは問題だという批判も実は受けたわけでございまして、今回は二十五万円ということでございまして、要は、景気が回復局面には新たに仕事を得て働き始める人たちが多いと、パートを含めて、その方々は必ずしも所得は高くないということを説明したわけでございまして、総雇用者所得ということの説明を行ったところでございます。
○福島みずほ君 これ、だって、パートで働く人が増えていくという文脈で語って、これはパートですよ。
 総理、短時間労働者の女性の平均賃金、幾らぐらいだと思われますか。
○福島みずほ君 いいかげんなことを言わないでくださいよ。
 総理は、ここでパートで働く人が増えていくと言って二十五万円と言っているんですよ。そして、おっしゃったとおり、短時間労働者の女性の平均賃金は九万一千百八十一円、十万円をはるかに切っているんですよ。みんなそんな状況で働いています。そして、仮に正社員でも、総理、じゃ逆に、大学卒の女性の初任給ってどれぐらいだと思いますか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 済みません、質問通告なかったものですから用意していませんが、二十万弱ぐらいじゃないかなというふうに思っております。
○福島みずほ君 女性は十九万八千円、男性は二十万四千円、確かに二十万円を切っています。短時間労働者は十万はるかに切って九万一千円ですが、女性の正社員、大学を卒業しても女性は二十万切っているんですね。男性も実はどっこいどっこいです。みんなこういう賃金で働いています。総理のこの発言、やっぱりおかしいですよ。現実と遊離を完璧にしているというふうに思います。
 それで、女性パート労働者、これを見てください。(資料提示)三百万以上の人、月収二十五万以上は一%しかいません。多くの女性はこういう状態で働いている、それと全くずれていますよ。
 総理、次に子供の貧困率、貧困について申し上げます。
 日本は、貧困に関しては今一四・六、でも、一人親世帯は五〇・四、しかも、就労すると五〇・九に上がるという。ほかの国は、就労すると一桁台になっていますね。デンマーク、フィンランド、ノルウェー、就労すると貧困率ががくんと落ちるんですが、日本は非常に貧困率が高い上に、就労するとむしろ高くなるんですよ。この実態をどう御覧になられますか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 先ほどもこのOECDの統計をお取上げをいただいた質問がございましたけれども、それで、今、働く場合と働かない場合の一人親世帯のことについて貧困率について御指摘がありましたが、この統計自体が、まず、二〇一二年、相対的貧困率はですね、の数字であるということと、ですから安倍内閣ができる前の数字でありますが、さらに、この相対的貧困率自体はいろいろ独特の動きをするときもあって、全体の所得が増えると貧困線も上がって貧困率が上昇することもあれば、逆もまたあるといったこともございますし、また、全体の所得との兼ね合いで複雑にこれは変動するんですね。
 事情の異なる他国との比較というのは、本来、これだけではなかなかなじまないし、それで、例えば子供がいるところの貧困率を見てみても、日本が先ほど悪いという話でしたけれども、例えばEUで財政破綻している国が十二位で日本が三十三位であったり、いろいろあります。
 安倍内閣になってから、雇用環境の改善には、先ほど総理から答弁したように、最低賃金を三年間で五十円程度上げていますし、パートで働く方の時給は二十二年間で最高になっていると。それから、正規、非正規の賃金格差についても縮小傾向になっているわけでありますし、これは先ほど私の答弁の中でも申し上げましたけれども、これについては現物給付が全く含まれていないので、例えば今回、一人親の家庭の場合の保育園は無償にしますが、そういうことは何も含まれないわけであります。
 大事なことは、やっぱり政策として所得再分配をどうやるかということによって暮らしていらっしゃる方々は生活というものを感じるわけでありますので、そういう意味では、再配分後のジニ係数などは、もう何度も御覧をいただいていますけれども、ほぼ横ばいで推移をしているわけであります。これは、先ほど申し上げたとおり、この相対的貧困率だけで何か日本の状況を判断するというのはいかがなものかということでありまして、それで日本が世界の中で貧困大国だと断ずるのはちょっと早計ではないのかと思っております。
 先ほど申し上げたように、トレンドとしては、確かに総務省の統計を見ても厚労省の統計を見ても上昇傾向にあるということは認識をしているということも申し上げました。したがって、そのことはしっかりと頭に入れながら、先ほど来申し上げているように、経済再生最優先でやってきているというのは暮らし最優先でいこうということでありますので、そういうことで、安倍内閣でこれから、雇用にしても、また、後ほどお取上げをいただくんでしょうけれども、教育にしても、そしてまた今回の一億総活躍の二本目の矢の子育てでも、あらゆる面でやはりこれは経済が、あるいは暮らしが良くなるようにしていくための手を我々としては打っていきたいというふうに思っているわけであります。
 これ、ちなみに、相対的貧困率、日本は二十九位でありますけれども、ちなみに、アメリカは三十位、同じ豊かな……
○委員長(岸宏一君) 答弁をそろそろまとめてください。
○国務大臣(塩崎恭久君) オーストラリアも二十六位ということで、なかなかこれだけの統計を見ての判断というのは難しいなという感じがいたしております。
○福島みずほ君 全然現実と合っていないですよ。
 日本のお母さんは働いて働いて働いて貧乏なんですよ。就労しなくて貧乏じゃなくて、働いて貧乏なんですよ。母子家庭の平均年間就労所得百八十一万円、総理はこれについてどう思われますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 大切なことは、大切なことは、例えばパートについて、いろいろと私の説明について批判をしておりましたが、実際、パートの時給を上げていくことが大切なんですね。パートは二十二年ぶりに時給は高くなっているんですよね。そこをちゃんと見ていただきたいと思いますし、また、あるいは正規と非正規の雇用につきましても、正規から非正規に移られる方々と非正規から正規に移られる方々を比べれば、正規に移られる方々が安倍政権になって上回ったわけでございます。
 そうしたものをしっかりと見ていくことが大切であろうし、政策においてそうしたことを実行していくことが、これは福島さん、大切なんですよ。そこをちゃんと考えていただきたい。それを見なければ、本質を見ていなければ結果を出すことはできないんだと思いますよ。私たちは、しっかりと本質を見ながら、どこをどうすればいいかということにおいて政策を実行してきているからこそ結果が出ているんだと、こう思う次第でございます。
 例えば、有効求人倍率については、これはもう二十三年ぶりの高い水準にありますし、全国各地において有効求人倍率は大幅にこれは改善をしているわけでございますし、あるいは七つの県では過去最高になっているということは、これは例えば高度経済成長やバブル期をも上回る、上回るこれは改善になってきているということでございまして、働く環境もそれに従って良くなっていくわけでございます。
 ここは私たちは更にしっかりと進めていきたい、こう思っておりますし、あるいはまた、最低賃金におきましても、三%をずっと、これからしっかりと引き上げつつ、千円を目指していきたいと、こう考えているところでございまして、今後とも、雇用、教育、子育てなどあらゆる面において、経済環境、経済状況が厳しい方々にしっかりと目配りをしていきつつ、成長をしっかりと確保し、果実が行き渡るようにしていきたいと、こう考えている次第でございます。
○福島みずほ君 結果が出ていないから質問しているんですよ。非正規雇用が四割を突破しました。これについてどう思われますか。
○国務大臣(塩崎恭久君) この非正規雇用の問題については、少し長いトレンドで御覧をいただくと、過去十年間で約四百万人非正規の雇用者は増えております、これは二〇一四年まででありますが。
 この中で、約四百万人増えているんですけれども、どういう方々が増えているのかと申し上げますと、一番増えているのは高齢者、六十歳以上、この方々が六一%増えています、四百万人のうちの。さらに、女性が二八%増えている。約三割が女性、六割が高齢者、残りの一割が現役の若い男の人たち、こういう増え方をしています。
 この間、高市大臣から、この女性の中で不本意非正規がどれくらいいるかと、その傾向はどうなっているのかというお話がありましたが、そのときに、直近、昨年の七―九月の非正規雇用で働く女性は一二・四%という数字を高市大臣がおっしゃったと思います。
 したがって、そうなると、今非正規雇用が増えていることが全てアベノミクスの何か悪いかのようなことを言っていますけれども、これは、高齢者は言うまでもなく、六十歳で更に継続して働きたいという方はみんな働けるようになったわけで、その場合には非正規になる傾向が多いわけですね。したがって、高齢者の方々にも本当はもっと働いていただこうと我々は思っているわけですから、それはいいと思うんです。
 問題は、ですから、この女性の三割の中も、本来非正規じゃなくて正規で働きたいと本当に思っていらっしゃるその一二%ぐらいの方々についてはやっぱり正社員になってもらわなきゃいけないということで、それから、男性ももちろんそうでありますので、我々はこれを正社員転換・待遇改善実現本部というのを私ども厚労省の中につくりました。今月中にプランを作ります。さらにこれ、都道府県に同様の本部をつくって、それぞれがまた地方での正社員転換、待遇改善の計画を三月までに作ってもらうことになっています。
 ですから、国挙げて、政権挙げて正社員にしていくということで、格差を縮めていくことはもちろんこれまでもやってきていますけれども、同様に、やっぱり正社員になりたい方にはなっていただくということをやっていこうということで、ですから、非正規が四割になったというのは、確かに全体としてはそうですけれども、今申し上げたように、どこが増えているのかということをよく御覧いただくとそのような分析になるということを御理解をいただければというふうに思います。
○福島みずほ君 非正規雇用が四割を突破した。高齢者や女性は非正規雇用が拡大している。なぜか。生活が苦しいからじゃないですか。年金が低いから働かざるを得ないんですよ。国民年金は二十歳から六十歳まで毎年払い続けて六万五千五百四十二円です。さっきも言いました、女性の短時間労働者九万一千円、母子家庭就労の平均は百八十一万円。食べていけないですよ。みんな必死で働いていますよ。結局、総理が、妻が景気が良くなったから働こうかしら。パートというか、働き出すというのは景気が悪いからなんですよ。生活が大変だからなんですよ。非正規雇用が拡大しているということは何が拡大しているかと。非正規雇用が拡大している、これは労働条件の悪い労働が拡大しているんですよ。アベノミクスの成果なんかないですよ。格差拡大と貧困、そしてこういう状況で食べている人、働いている人がいることを政治はおろそかにしていますよ。今日の答弁もひどいと思います。
 総理、国民年金六万五千五百四十二円、そして短時間労働、女性パート九万一千円、消費税一〇%に上がってどういう状況になると思われますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 福島委員の認識とは全く逆の認識でございまして、言わば非正規がなぜ増えているかということ、比率については先ほど塩崎厚労大臣から御説明をさせていただきました。まさに、六十歳以上の方々の非正規が増えているということでございまして、特に団塊の世代の方々が二〇一三年以降、次々とこれは六十五歳を超えていくわけでございまして、この言わば団塊の世代というのは二百七十万人近いこれは塊がそれぞれの世代にいるわけでありまして、その方々が言わば定年を迎える中において、これは雇用をし続ける中において正規から非正規に変わっていって、そして仕事を続ける方が大変多いということでございます。
 それと、当然、景気が良くならなければ仕事はないんですから、これが分かっていないと経済政策そもそも立てられませんよ。言わば、安倍政権になってから、安倍政権になってから我々は二割倒産を減らしています。二割倒産を減らし、更に昨年そこからまた一割減らしたわけでございまして、一万件を切ったというのはまさに二十四年ぶりのことでございまして、そうしたことを実現をしているからこそ有効求人倍率が良くなっていくと。そしてまた、正規の、正規の正社員の有効求人倍率は統計を取り始めて以降これ過去最高になっているということも申し上げておきたいと、こう思います。
 そして、不本意の非正規の方々でありますが、女性の就業者数が百二万人増加をしておりまして、非正規雇用の増加が大変多いわけでありますが、大きいわけでありますが、正規雇用も三十一万人増加をしているわけであります。
 女性のうち正規雇用の仕事がないため不本意ながら非正規雇用の職に就いている方の割合は、前年同期比に比べ七四半期連続で低下をしているんですね。昨年七―九月期では約一割にとどまっているわけでございまして、つまり不本意ながら非正規で働いているという方の割合はこれはむしろ縮小しているんですね、安倍政権になってから。このこともしっかりと、こういう大切な指標もしっかりと見て経済政策を立てなければならないと、このように思うわけであります。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この今の御質問でございますが、子供たちの未来が家庭の経済事情によって左右されるようなことがあってはならないと、このように思います。
 そこで、来年度予算案においても大学の授業料減免について、国立では二千人増員し約五万九千人、私立では三千人増員し約四万五千人にするとともに、大学等の無利子奨学金を一・四万人増員いたしまして四十七万四千人とするなど、充実することとしております。
 今後とも、これらの施策により学生の経済的負担の軽減に努めていきたいと考えております。
○福島みずほ君 これ、授業料は余りに高騰していますよ。
 文科大臣、平成三十年には百万近くにするというのが文科省の考えですよね。
○国務大臣(馳浩君) お答えいたします。
 今、福島先生がおっしゃった話は、衆議院の十二月一日の委員会での多分発言だったと思います。これは当時財務省の方から現実的な一つの方向性を示されておりまして、大学の運営費交付金を一%ずつ減らす、そして自ら自主財源を一・六%ずつ増やしなさいと。そのときに共産党の委員から御指摘がありまして、自主財源を一・六%ずつ毎年増やさないで、その分を全部授業料に転換して、増やすとしたら幾らになりますかという前提の下の御質問がございました。そうした場合には授業料の標準額が大体九十三万円ぐらいになりますという、そういう仮定の前提の下での答弁であったということであります。
○福島みずほ君 国立大学で九十三万なんという授業料になったら、本当に限られた人しか行けないですよ。
 文科大臣、お聞きします。
 授業料は高騰していますが、下げるという考えはあるんですか、あるいはこれから高騰する可能性はあるんですか。その二点についてお聞かせください。
○国務大臣(馳浩君) お答えいたします。
 先ほど総理もお答えしたと思うんですけれども、やはり家庭の経済状況によって意欲と能力のある学生が進学できないということのないようにできるだけしていかなければいけないというふうなことを前提に考えていますから、したがって、授業料を下げた方がいいのか上げた方がいいのかというふうな今御質問だったと思いますけれども、できるだけ経済的な負担の掛からないようにするという形で、より一層進学を求めている方に応えていくというふうな、そういう政策を今後とも取っていきたいと思っています。
○福島みずほ君 ちょっと分からないんです。
 国公立、私立大学、すごい授業料高騰していますね。これを下げることはできないんですか。
○国務大臣(馳浩君) 国公私立の大学共に、当然大学を経営していく上には必要な財源が必要であります、運営費交付金であったり私学助成金であったり。また、大学それぞれが、大学病院などもそうですけれども、企業との連携をして寄附金をいただいたりしながら、やりくりをしながら運営しておるのが実情であります。
 そういった中で、できるだけ学生の経済的な負担をさせないように奨学金制度などを拡充して負担を掛けないようにするという考え方で運営をしていただいておりますし、文部科学省としてもその方向で取り組んでいきたいということであります。
○福島みずほ君 今のお考えだと、授業料が上がる可能性が十分ありますよね。国際人権規約A規約は、高等教育における無償化を条約でうたっております。
 事前にお聞きしましたが、国公立大学を授業料を無償化するには、入学金も合わせて四千百六十八億円、私立は二兆六千八百八億円、多額の金額ですが、むしろ若い人たちに教育の支援をやるべきじゃないですか。いかがですか。
○国務大臣(馳浩君) 二つお答えいたします。
 先ほどのお尋ねにもありましたが、国立大学の授業料は、やはり福島先生がおっしゃっている確かにその趣旨もありまして、この十年間は上げておりません。これは、できるだけやっぱりそれは守っていくべきだと私も間違いなくそう思っています。これが一点目です。
 二点目ですが、今細かくお答えいたしますが、国立大学が三千三百十五億円、公立大学が八百五十三億円、私立大学が二兆六千八百八億円、合わせて三兆九百七十六億円です。もし学生の納付金をいただかないとしたら、これだけの財源が必要です。恐らくこの数字を財務省、財務大臣もお聞きになれば、やはり受益者負担ということもありますし、しかしながら、学生に、また保護者にできるだけ負担を掛けないようにして高等教育を受けさせる機会を拡大すべきだとも考えていますから、そういう実情を踏まえた支援の、特に奨学金制度の充実が必要であると、こういうふうに考えております。
○福島みずほ君 確かに、この十年間は約この五十四万円は変わっていないんですね。でも、私はやっぱり言いたい。年収二百万円以下の人にとって、この五十四万円はやっぱり高いんですよ。子供を大学にやれないんですよ、私立大学にやれないんですよ。だとすると、やはり金額は多額ですけれども、日本の社会が何を目指すか、大学の授業料の無償化、これは国際人権規約A規約を批准しているわけですから、やはりその方向で目指すべきだと思います。
 奨学金についてお聞きをいたします。
 奨学金をもらっている人、今大学の半分ということでよろしいですね。そして、平均返済額は三百万円と言われておりますが、平均返済額の分布、もしこれちょっと質問通告が細かく行っていなかったら済みません、教えてください。
○国務大臣(馳浩君) 質問通告いただいておりませんでしたが、細かい数字はまた改めて報告させていただきますが、確かに奨学金をいただいている学生は全学生の大体五〇%ほどであります。これはやっぱり大変な状況であるという認識は持っております。
 月の平均の返済額は、大体、無利子奨学金の方で一万三千円ほどであったと思いますし、有利子奨学金の方で一万四千円ほどではなかったかと、毎月の返済額、そのようなものだったと思っています。
○福島みずほ君 親の実質賃金が下がっておりますし、授業料も高いですから、物価も上がっていますから、おっしゃったとおり、大学生の四八%が今奨学金をもらっています。平均返済額が三百万と言われておりますが、私は、三百万、五百万、八百万、一千万、大学院やロースクールに行けば掛かりますし、司法修習生も今貸与制ですから、二百九十九万円最高裁から借りる、これが現状です。どれだけやっぱりお金が掛かるか。
 奨学金に関して、かつて、文科大臣にお聞きをします、一九八四年、日本育英会法全面改正で有利子枠が創設し、その後有利子枠がどんどん拡大しているということでよろしいですね。
○国務大臣(馳浩君) そのとおりでありまして、したがって有利子から無利子へというふうに今シフトをしつつあるということであります。
○福島みずほ君 かつて奨学金は無利子でした。それが有利子になって、有利子が非常に増えております。
 学費は非常に引き上がる一方、一九九九年に財政投融資と財政投融資機関債の資金で運用する有利子貸与制度ができた。一般財源の無利子枠は拡大せずに、有利子枠のみ、その後十年間で十倍に拡大になりました。二〇〇七年度以降は民間資金の導入が始まっています。
 これは、社会人になるときに多額の借金で始まる。極めて問題ではないですか。
○国務大臣(馳浩君) 問題意識は共有しております。
○福島みずほ君 文科省の持つというか、この機構の給付型の奨学金はどれだけありますか。
○国務大臣(馳浩君) 今現在、給付型の奨学金はございません。
○福島みずほ君 自治体で給付型の奨学金やっているところ、僅かですが、あるんですね。今御答弁のとおり、文科省がやっている、機構がやっている給付型の奨学金はゼロです、ゼロ。
 これは、給付型の奨学金の創設すべきではないですか。
○国務大臣(馳浩君) お答えいたします。
 給付型の奨学金制度が必要ではないかということは与党の方からも重々もちろん指摘もいただいておりまして、今検討の段階であります。
 当然、給付型でありますから渡し切りという形になろうかと思いますが、財源を考えなければいけませんし、当然その水準をどうするかということも考えなければいけませんし、じゃ、どういう渡し方をしたらいいのかということも考えなければいけませんし、したがって、やっぱり、この制度設計についてはやっぱり十分に検討をした上で、でも、先生もおっしゃるように、給付型の奨学金制度は必要であるという認識は持っております。
○福島みずほ君 大分前進しましたが、給付型の奨学金つくってください。どうですか、改めて。
○国務大臣(馳浩君) 今ほど実は申し上げたとおりでありまして、給付型の奨学金制度は必要であるということは与党の側からも十分に指摘を受けて、したがって、制度設計について考えております。
 その考えておる内容は三点です。
 財源をどうすべきかという問題です。当然財務省ともこの内容については検討する必要がございます。二点目は、じゃ、給付型の奨学金を支給するとして、その水準をどうするかと。先ほど来、意欲と能力のあるというふうな言い方をしておりますが、その水準もあるでしょうし、家庭が、お子さんが三人、四人と、教育費が掛かっているという問題もあるでしょうし、一人親というふうな御家庭もあるでしょうから、その水準というものは考える必要があると思います。それから次に、もう一つは、渡し方をどうするかと。これもやっぱり公平公正にしなければ当然、公的資金を使うことでありますから、そういった観点を十分に検討の上で判断していく必要があると。
 したがって、私の一存だけでできる話ではありませんが、政府全体の中でやっぱり給付型の奨学金制度については実現に向けて十分検討を深めていく必要があると思います。
○福島みずほ君 OECDで日本の教育予算は、御存じ、低いんですね。やっぱり子供たちを応援することが必要だ。
 どうしてこの話をするかというと、ある母子家庭の子供がある有名私立大学に通った。しかし、やっぱり貸与制の奨学金は自信がないんですよ、返さなくちゃいけないから。結局、大学進学を断念したんですね。もし給付型の奨学金があったら大学進学できたのにと思って、やはり子供たちを応援しなければというふうに思っています。市場ビジネスではなく、公共あるいは若者への教育支援としてやるべきであるというふうに思います。
 もう一つ、こういう実態、ちょっと聞いてください。
 子供は、やはり初任給が二十万ぐらい、そして二万ぐらい返さなくちゃいけない。例えば、いろんなホットラインやいろんな話を聞いています。初任給、例えば給料が十七万ぐらい、二万円ぐらいお金を返している、しかしうつ病になったりブラック企業であったりいろんな形で辞めた。そうすると返せなくなっちゃうんですよね。返せない、延滞料がどんどんかさんでいく、そして一括で返せと言われる、本当に大変な状況です。ブラック企業は残念ながらたくさんあるし、辞めたり精神的にダメージを受ける若者も本当に増えております。
 それで、本人が自己破産をしても、連帯保証人である親には掛かっていきます。親の中には、子供の奨学金のために退職金に手を付けられないという人や、自分の家を売却しなくちゃいけない、つまり子供の奨学金の問題、だって半分もらっているわけですから、何百万といって社会人スタートするわけですから、親自身にも負担なんですね。親の、要するに下流老人、老人破産というのもこういうところから起きる。
 その点からも、総理、さっき奨学金問題、これは今の重要な課題として解決すべきではないか。総理、どうですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 奨学金問題については馳大臣から答弁したとおりでございまして、経済的な理由で返還が困難な者に対しては、従来から、毎月の返還額を減額をし、そして長期間掛けて返還する減額返還制度や、あるいは経済困窮による返還期限猶予制度により対応してきたところであります。また、平成二十六年度から返還期限猶予制度の年数制限を五年から十年に延長するとともに、延滞金の賦課率を一〇%から、これ一〇%はさすがに高いわけでありますから、これを五%に引き下げるなど、救済措置の充実を図っているわけでございます。
 ですから、奨学金を受けるときに、最初からこれは難しいと考えることなく、こうした今対応をしておりますから、そうしたものも含めて考えていただきたいと思います。
 またさらには、将来の収入に応じて返還ができる所得連動返還型奨学金制度の導入に向け準備を進めているわけであります。今までは硬直的な返還しかできなかったのでありますが、所得に応じて返還できるような仕組みも考えています。また、給付型の奨学金につきましては馳大臣が答弁したとおりでございます。
 いずれにせよ、向学心のある、能力のある子供たちが経済的な理由で勉強することを諦めなくてもいい社会をつくっていきたいと考えております。
○福島みずほ君 それから、半分が奨学金をもらっていると、結婚すると二人でダブルになるんですよね。六百万借金抱える。子供を産もうとかそういうことができなくなる。やっぱり奨学金問題、あと授業料を本当に引き下げるということが重要だと思います。
 雇用に関する提言。新卒者は正社員雇用を原則に。最低賃金千五百円の実現。アメリカは十五ドルというので今運動が起きています。日本でもエキタスというグループが取り組んでおります。均等待遇の実現。公契約法、公契約条例の制定・推進。女性の短時間労働者の賃金が九万一千円、そんな状況を本当に変えるべきだと思います。
 今日は給付型奨学金でかなり前向きに言っていただいたので、奨学金問題の解決ができるよう申し上げ、質問を終わります。

MENU