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2024.5.7 法務委員会での参考人質疑 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
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○福島みずほ君
立憲・社民共同会派、社民党の福島みずほです。
今日は、四人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
まず、午前中でもあったんですが、非合意型共同親権の問題で、合意できないというのはもう基本的にやっぱり話をするのが難しいのではないかと思っています。子供の教育方針めぐって二人が言い争いをする、紛争が起きている、離婚してそれがうまくいくというのは本当に考えられない。
そこで、熊上参考人にお聞きをいたします。合意できないケースで共同を命ぜられた場合の子供の心理や問題点、あるいはなかなか、それが本当に紛争を激化していくということについていかがお考えでしょうか。
○参考人(熊上崇君)
合意できないケースで家庭裁判所が共同親権を決定した場合、子供はどうなるかというと、あっ、僕はこの高校行けるのかなとか、俺これ別居をしている親の許可を得なきゃ行けないんじゃないかとか、許可得られなかったら高校とか行きたい学校へ行けないんじゃないかとか、手術もそうですけどね、この病院で手術受けたいんだけど大丈夫なんだろうかと、物すごく不安になると思います。
じゃ、それは家裁でその単独行使が可能かどうか決定できると、こういう立て付けになっているんですけれども、家庭裁判所の調停はやはり申し立ててから何か月も掛かりますし、合意がそこでできなければ審判ということで更に時間が掛かると。子供にとって宙ぶらりんな状態が数か月、一年近く続く。高校へ行けるのかどうかとか手術するのかどうかと、すごく、子供は諦めちゃうと思います。ああ、もう僕は、私は自分の好きな勉強できないんだなとか、好きな、手術できないんだなとか。
海外の研究でも同じこと言われています。常に卵の殻を歩いている状態だなんていうふうに言われますね、殻の上を歩いている状態だと。自分が何を、自分の勉強ができるのかとか、そういった対立している合意のないケースで共同親権を認めることで子供が宙ぶらりんになり不安になり諦めてしまう、これを非常に危惧していますね。
○福島みずほ君
単独行使できる場合と共同親権で共同でやらなくちゃいけない場合の区分けって実はなかなか難しいと思います。
両方に問題がある。単独行使だと、例えばよく言われる、お母さんはプールに入れていいよ、お父さんは駄目と。キャンセル権を例えば別居親が行使する。共同でやらなければならないケース、例えばパスポートの申告やそれから中絶をする場合の同意ですよね。でも、御存じ、今は余り、共同親権ではあるものの余り社会的には意識されておらず、中絶の場合の親の同意やそれからパスポートの申告もどっちかの親が書けばいい、スマホの契約とか、どっちかの親が書けばオッケーだったのが、これから変わってしまうんじゃないか。病院側も、いや、これは共同の合意事項が必要だから一人の合意では駄目だと紛争を恐れたらなってしまうので、時間が掛かってしまう。一緒に住んでいたらまだ話ができる。でも、離れていて、離婚していて、電話やメールや様々なことで合意を取る、同意を取る、むしろ許可を取るというのはすごく大変でストレスだろうと思うんですね。
昔じゃないけど、お父様の、お父様に聞いてみないと分からないですからみたいな、何か戦前かという話で、結局、家父長制に基づく父権介入、一緒に監護で、あるいは養育費をちゃんと払って子供のことを愛情を持って見守るというよりも、共同親権がむしろ介入権として登場するんじゃないか、それを大変恐れるのですが、いかがでしょうか。
○参考人(熊上崇君)
そうなんですね、今までも、別れても子供のことを二人で相談できる制度にはなっています。
今回の法案では、双方の合意が要るという制度ですから、非常に拒否権になっていると思いますし、また、日常の問題に対しても、プールを入る入らないとかでも、僕はプールに入れるのか、私は入れないのかと、そういった非常に日常生活でも不安定な状況になるということで、子供のメンタルヘルスに及ぼす負の影響というのは大きいものではないかなというふうに思いますので、やはり一定程度のことは監護者がきちんと自分で、監護者が決定することができるというふうにしないと、あらゆる生活場面で、これ許可を得なきゃいけないとか、争いにしなきゃいけない、家庭裁判所に行かなきゃいけないという、そういう子供たちをつくってはいけないと。きちんと監護者がある程度決められるという形にする、監護者指定を必須とするということは非常に重要かなというふうに思います。
○福島みずほ君
結局、共同でやらなくちゃいけないのに単独でやったら、それを後で訴えられたり裁判になる可能性もあると。あるいは、共同でやらなくちゃいけない場合、なかなか進まない。子の氏の変更や、それから、例えば同居親が新たなパートナーができて養子縁組を子供とやるなんというのも、これ共同で合意でないといけないので、別居親が同意をしてくれない限りできないんですよね。
やっぱり、おっしゃるとおり、子供の未来をやっぱり狭めちゃうと思うんですが、いかがでしょうか。
○参考人(熊上崇君)
これ、子連れ養子縁組で、新しい親と養子縁組するときに、十五歳未満の場合は別居親の合意が必要というふうになっています。でも、対立ケースだったら、もう合意してくれないと諦めちゃうケースも増えると思います、わざわざ家裁に行ってもめているよりもですね。そうすると、新しい再婚家庭においても進学や医療で別居親の許可が、合意が必要ということになってしまいます。
つまり、再婚家庭に対する、再婚家庭の子供への操作が可能になるということになるんですね。こんな再婚家庭の子供を縛るようなことがあってもいいのかと、こういうふうに思いますね。再婚家庭の子供が新たな家庭で安定、安心して勉強したい、学校行きたいなんというのを考えても、別居親の許可を得なければいけない。非常に再婚家庭の子供たちが不安定になる、そういう問題があるというふうに思っております。
○福島みずほ君
家庭裁判所がDV、虐待を除外できるかというのは、今日もすごくそれぞれ話をしていただきました。で、DVはやっぱり立証が難しい。私も弁護士でやってきましたが、あざがあったり精神的な疾患がある、いろんな診断書を取ったとしても、それが、じゃ、夫のDVの結果かどうか因果関係が分からないとか、たまたま録音していればいいけれど、殴られたりどなられたりしているときにちょっと録音みたいな、なかなかそういうのないし、その瞬間をビデオで撮るなんというのはあり得ないので、ないんですよ、基本的に。しかも、すごくショックを受けているし、いろんな、DVの本質はやっぱり支配とコントロールに基づく相手の力を奪うことだから、できないんですよね。基本的に証拠はないんですよ。
だから、そういう状態でやはりDVはやっぱり認定してもらえないケースもあるし、もうそもそも諦めてしまうという場合もある。離婚できればいいから、もうDV主張しないという場合も本当にありました。そうすると、いや、いや、いやいや、DVなどがある場合は単独親権にしますから大丈夫ですよというのは、物すごく危ういというふうに思いますが、熊上参考人、いかがでしょうか。
○参考人(熊上崇君)
そうですね、やはり写真とかLINEとかがあったとしても、それは、LINEはただ連絡しただけだとか、例えば毎回レシートをチェックしてこれは何に使ったと聞かれると、もう耐えられないというような場合が、じゃ、DVのおそれというふうになるのかというと、これは非常に微妙なところかなと思うんですね。
そういった微妙なケースで、DVかどうか、またそのおそれがあるかちょっと分からないし、共同で話合いも多少可能なんじゃないかなんというふうに裁判所が認定したりすると、共同親権が決定されて、先ほど言ったような、子供のその後の進学、医療などの成長場面でそのたびごとに不安になり、あるいは家裁の紛争に持ち込まなければいけないということになりますので、やはりDVあるいはそのおそれというのを要件とするのではなくて、合意ができないと、もう話合いが不可能であると、そういったことを条件にする方が家庭裁判所としても明確になりやすいのではないかなというふうに思います。
○福島みずほ君
諸外国で、非合意の共同監護の家庭裁判所命令というのはうまくいっているんでしょうか。熊上参考人、お願いします。
○参考人(熊上崇君)
非合意の、諸外国での非合意型の共同監護ですね。もちろん一〇〇%ではないんですけれども、非常にいろんな問題点は指摘されています。
やはり、何だろうな、子供が嫌だと、あっ、子供が行きたくないと言って、で、イギリスの報告書だとこういうのがあります。子供が行きたくないと言います、週末ごとにとか。行きなさいと言うんですよ、同居親が。行かないとお金を払わなきゃいけない、制裁金を払わなきゃいけないと泣きながら言うんだそうです。それで泣く泣く子供が訪問したりします。そうすると子供はどうなるか。別居親だけでなくて行かせた同居親も憎むようになる。非常に子供にとってつらいです。両親も憎むことにもなりかねないですね。
ですので、非合意型の共同監護というのは、そういった子供たちを傷つけ、親に対するネガティブな感情も、双方の親に対するネガティブな感情も生じさせてしまう、こういった大きな精神的な負荷があるということがあると思います。
○福島みずほ君
離婚事件をやって、例えば新婚に近い、新婚の頃に殴られたと、で、その後は殴られていないんだけれども、彼女はいつも寝るときに洋服着て寝ると言っていたんですね。だから、やっぱり一発殴って大したことないというわけではなくて、もうとにかく一度でも暴力振るわれたらもうアウトで、やっぱり怖いんですよね。ですから、急迫の事情とかDVのおそれといっても、やっぱりそれは怖いんですよ。だから、夫がいないときに家を出るとか子供を連れて出ようとかいうふうに思うわけで、そういうことについて、クマガイ参考人、いかがでしょうか。
○参考人(熊上崇君)
DV、暴力、一度のみならず、回数はともかくとして、やはり非常にトラウマというものが生じてくると、これはなかなか消えない。戦争とかあるいは犯罪被害とかのトラウマも時代とともに軽減するわけではなく、続くわけですよね、その場面がどっかに来たりすると。で、家庭内のDVにおいてもトラウマが生じ、それで、その例えば会ったりするごとにまたトラウマが生じてしまうと。その結果、うつ状態になってしまったり、精神的に参ってしまったりと。そして、もう寝込んでしまったり、仕事に行けなくなってしまったり、そういった非常にメンタルヘルスへの影響がトラウマによって生じてくるということはあるかなというふうに思います。
○福島みずほ君
浜田参考人にお聞きをいたします。
親権というのを親の権利とするのを捉え直すべきだとか、子供の手続代理人制度をもっと本当に子供の意思を尊重するような制度やるべきだというのは、それは本当にそのとおりだと思います。
子供の意見表明権、あなたはお父さん取るの、お母さんが好きなのというのではなく、子供がやっぱり、あなたはどう思う、どうしたい、どう、どっちの学校行きたい、どういう未来を考えているって、それはまあカウンセリングというか、きっちり聞けば子供は自分の意見をちゃんと言ってくれるというふうに思うんですね。
その点、やっぱり私は、子どもの権利に関する条約が子供の意見表明権と書いているから、あなたはどっちだって詰め寄るのではなく、子供を本当に尊重して、あなたのことをみんなが尊重しているよという、それは必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
○参考人(浜田真樹君)
御質問ありがとうございます。今大変重要な御指摘をいただいたと思っております。
まさに御指摘のとおり、子供に詰め寄る、子供を追い込む、子供に決めさせるといったものを私としても考えているものではございません。だから、今委員もまさにおっしゃったように、丁寧な説明をして、君は自由に意見を言っていいんだ、言わなくてもいいし言ってもいいし、で、君が言ったことについては大人は一生懸命考えるんだよ、なので君の意見を教えてくれないかということを、十分な信頼関係の下にお子さんに質問をする。で、お子さんが言ってくれたらば、それを大人側は一生懸命ちゃんと真っ正面から捉えてきちんと検討する、こういったものが大きな枠組みとして考えられるべきであろうと考えております。
以上です。
○福島みずほ君
私も、実はその子供の親権、共同親権と思ったり、面接交渉をもっとやるようにと思ったり、今の話の延長線でいえば、子供を見守る、本当に愛情を持って、子供が安心できるという環境をちゃんと見守っているよという大人の数を増やすことだというふうに思っています。
で、家裁の今のキャパというのは、もう日程、二時間後と、あっ、二か月後とか三か月後とかいうので、このキャパなどについて、浜田参考人、いかがでしょうか。
○参考人(浜田真樹君)
御質問ありがとうございます。
まさにおっしゃるとおりでして、家庭裁判所の混雑状況というのはもう本当に、もう実務をやっていると、ちょっとどうにかならぬかなと思うところでございます。裁判所の裁判官が増えることも大事ですけれども、それ以外の、例えば調査官、それ以外の事務的な役職のところ、その辺りもその大幅な増員というのは不可欠だろうと思います。
加えまして、子供に関わる大人を増やすという意味でいいますと、私ども弁護士ももっと積極的に子供に関わることに、きちんと手を差し伸べていかないといけないと考えております。
以上です。
○福島みずほ君
ありがとうございました。
※本議事録は未定稿です。