ACTIVITY BLOG活動ブログ

介護保険の責任放棄は許されない 2017年5月23日参厚労委 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

点字データダウンロード

 福島みずほ君
 社民党の福島みずほです。
 要支援一、二の通所と訪問サービスが介護保険付から外れました。今回の法案には、要介護一、二の生活援助などを介護保険給付から切り離すということは見送られましたが、将来も、この要介護一、二の介護保険給付から切り離して、軽度だから地域移行ということはないという理解でよろしいですか。
 政府参考人(蒲原基道君)
 これは、要支援に対する訪問看護と通所介護の部分が地域支援事業に移ったということでございます。この点については審議会でもいろいろ議論になりましたけれども、やはり今移行している途中だということがありまして、今回の法律改正の中には入っていないということでございます。
 この件につきましては、また改革工程表の中で今後検討するという趣旨が書かれているわけでございます。そういった意味では、こうした軽度者に対する生活援助サービスについて、こうした改革工程表に基づいて検討するということでございますけれども、現時点で何か具体的な結論が出ているわけではございませんで、ここは、高齢者の自立、あるいは支援し介護の重度化を防ぐという理念をきちっと大事にしながら、他方で、制度の持続的可能性や介護人材の確保の観点も留意して、今後審議会で御議論いただくことが大事だというふうに考えております。
 福島みずほ君
 いや、本当にやめてくださいね。
 要介護一、二を軽度といって切り離すことはやめていただきたい。
 財政制度審議会財政制度分科会は、二〇一五年四月二十七日、要介護一、二の地域支援事業への移行を打ち出しました。それ以降、軽度者への生活援助の在り方が常に焦点化され続けています。
 でも、厚労省は軽度者を定義をしておりません。
 要支援、要介護の基準設定とそれに基づくランク付けは介護保険制度がトータルにカバーすべきものであり、勝手に軽度だから地域移行を強行し、なし崩し的に拡大するのは、介護保険制度の責任放棄と言わざるを得ません。
 介護は国家的詐欺ではないかとか言われるゆえんなんですが、厚労省はこうした動きをはっきり食い止めるという立場で頑張ってください。いかがですか
 国務大臣(塩崎恭久君)
 先ほど申し上げたとおり、私どもとしては、この改革工程表に基づいて、大事なことはやはり高齢者の自立をどう促していき、そして重度化を防ぐというこの理念を守りながら、この制度の持続可能性の確保、そして介護人材の確保の観点もしっかりと踏まえて、この介護保険制度を守っていくということが大事だというふうに思っています
 福島みずほ君
 いや、私の欲しい答弁ではなかったんですね。
 それから、高齢者に自立を促して頑張ってもらって良くなるというのは、もちろんそのとおりです。でも、残念ながら加齢というのは、年をどんどん取っていって、それは、できるだけ、例えば寝たきりだったのが車椅子になる、車椅子だったのが歩けるようになる、それはもちろんベストですよ。
 でも、塩崎さんもお母さんいらっしゃるでしょう。有料老人ホームに入っていらっしゃるでしょう。良くなることはもちろんうれしいことなんですが、しかし、残念ながら私たちは加齢をしていく。だから、自立自立、頑張れ頑張れと言われても、少しずつやっぱりできなくなっていくんですよ。
 だから、それを厚労省が、自立だ、頑張れ、そして軽度だったら地域移行で切り捨てるんだだったら、介護保険、四十歳から死ぬまで払い続けて、詐欺じゃないですか。
 国務大臣(塩崎恭久君)
 御指摘の地域支援事業というのは、この要支援者に対する訪問介護と通所介護について市町村が地域の実情に応じたサービス提供が行えるようにこれはつくられた制度であるわけであって、この事業は介護保険法に位置付けられた事業であるとともに、引き続きこの介護保険制度の一部として給付と同様の財源構成で実施をしていると。つまり、財源は介護保険から出されると、こういう位置付けのものでございます。
 そういうことで、実施状況はこれまでの様々な調査によっても把握に努めてきておりますが、利用者が利用したサービス日数に大きな変化は見られていないことが分かっておりますので、この四月から全保険者での事業実施となって、それぞれの地域でそれぞれの持ち味を出していただいているんだろうというふうに思います。
 大事なことは、先ほど申し上げたような理念を守りながら必要なサービスが必要な方々にきちっと行くということが大事なので、それを守りながら制度の持続可能性を追求してまいりたいというふうに思います。
 福島みずほ君
 いや、厚生労働省、ここは頑張ってください。
 この間、局長は、三つの自治体で調べたとおっしゃったじゃないですか、要支援一、二。三つだけじゃ駄目じゃないですか。ちっともその効果が、どうなっているかの検証はされていないと思います。
 今朝の午前中の参考人質疑の中で服部万里子参考人は、介護保険は黒字であると、以前もお話を聞いたことありますが、介護保険は十五年間黒字で、毎年二千億円の収支差額が出ていると、そして、医療、保健、福祉の名による医療からの付け替え、医療保険から財源移行が四六・五%あるという説明を受けました。結局、介護保険黒字だったら、介護保険だけを見ればですね、こんなにやっぱり切り捨てるのって間違っているんじゃないですか。
 政府参考人(蒲原基道君)
 私も話を聞いていまして、黒字という話が出ていたことは知っております。
 ただ、介護保険の場合は、これ三年に一回保険料を設定しておりまして、それまでの、今後三年間のいろんな給付の状況を見積もって、それに伴う費用をどうしようかと。その際、当然、公費もあるし二号保険料もありますけれども、自分のところの保険料を一定の収支が合うようにきちっと取るということになっておりますので、そういった意味では、財政的には三年に一回チェックする過程の中で赤字にならないように、これは先ほども言いましたけど、重層的な仕組みに加えて保険料をきちっと確保するということでそういうような形になっているんじゃないかというふうに認識しているところでございます
 福島みずほ君
 お手元に配付資料がありますが、一番目、要介護三以上が原則として特養老人ホームに入れるということになりました。これは厚労省からいただいたもので、調査回答施設数千四百三十四なんですが、要介護一が五十四、要介護二が百八十六と、ほとんどもう入れない状況です。
 今朝のやはり参考人質疑の中で、認知症の人たちの問題点、衆議院の参考人質疑でも、認知症の場合は要介護一、二とか要支援でも実は極めて大変だという話が出ています。要介護三以上でなければ原則として特養老人ホームに入れないとしたことで認知症や要介護一、二を切り捨てたんじゃないですか。
 政府参考人(蒲原基道君)
 特別養護老人ホームにつきましては、二十七年四月から原則要介護三以上に重点化したというところでございます。
 もちろん、それ以前から入所されている方は要介護度にかかわらず引き続き入所することが可能であるということでありますけれども、ポイントは、要介護一、二でも一定の場合、これは一定の場合というのは四つぐらい例示をしておりますけれども、先生御指摘のありました認知症の場合だとか、あるいは知的障害、精神障害等の場合、こうした場合については一、二の場合でも特例的な入所が認められるというふうに切っているわけでございます。
 先生の御指摘があったこの資料のとおり、一定の調査によりますと、これパーセンテージを計算すると、要介護、この千四百の施設の中で、これで合計で一、二の方というのは大体二百四十人おられまして、新規入所者の中で二・二%という割合の人がそこに入っているということでございます。
 私どもとしては、要介護一、二の特例的な入所が認められる方についてはきちっと入所できるということが大事であるというふうに考えておりまして、これは今回、先般きちっと通知を発出いたしまして、要介護一、二でも入れる四つのパターンというのをきちっと様式として示して、その様式にチェックしてもらう形で申請してもらうと、そうしたところにチェックがされているときには必ず受け付けるようにということで現場にも指示したところでございますので、そうしたことを通じて特例的に入所されている方がきちんと入所できるように引き続き指導してまいりたいと、このように考えております。
 福島みずほ君
 法律案には取り上げられていませんが、来年度の介護報酬の改定に向けて、ホームヘルプサービスの生活援助の人員基準の緩和を検討することが予定されています。午前中、このことについても参考人にお聞きをしました。介護保険のサービスにおいて、研修を受けたホームヘルパーによる生活援助は必要と考えるのか、研修を受けていない無資格のホームヘルパーによる生活援助でも可能と考えるのか、いかがですか。
 政府参考人(蒲原基道君)
 今お話がございました生活援助を担う方についてどのように考えるかということについてでございます。
 この点については、制度改正を議論していただきました審議会でも議論がされましたし、改革工程表の中でも、平成三十年度の報酬改定に向けて人員基準の在り方及びそれに伴う報酬について検討するというふうにされているところでございます。
 ここはまさに改革工程表に基づいて我々としてやっぱり検討していくということでございますけれども、現時点で何か方向性が決めているわけではございませんで、やはり高齢者の自立支援、重度化防止という理念はやはりきちっと大事なので、それを頭に置いた上で、ただ、やはり人材のいろんな有効な活用とかいう観点も併せて検討を進めていかなきゃいけないというふうに思っています。
 以上です
 福島みずほ君
 局長の答弁を聞いていて、とても不安になりました。
 というのは、これ今の話だと、今朝の参考人質疑では、生活援助、これやっぱりちゃんと研修を受けたちゃんとしたホームヘルパーさんによる生活援助が必要だという話だったんですよ。でも、今の局長の答弁だと、いや、人材の確保が必要だから工程表の中でという話だと、実際やっぱり規制緩和をしちゃうんじゃないか。この厚生労働委員会で介護保険法案の、私は改悪と思いますが、順次何がされているかというと、切捨てと規制緩和なんですよ。これは駄目でしょうということをしっかり考えていただきたい。
 もういいかげん介護保険を国家的詐欺だと言われ続けることから少し食い止めて、厚労省、頑張って巻き返してほしい。いかがですか
 政府参考人(蒲原基道君)
 この件に限らず、実は昨年来、制度改正を行う中で、これは財政審の方からいろんなことを提言されていました。それは、例えば今のようなこともありますし、もう一つは、軽度の人に対しては負担率をもっと普通の人より上げてもいいじゃないかというような提言もありました。
 我々的には、そうしたことについては、やはり負担能力に応じた負担というのは考え方としてあるんですけれども、軽い人が負担が重いというのはやっぱり基本的な考えとしておかしいじゃないかということで随分議論をいたしまして、そこのところは駄目だということを主張して今回の改正に至っているということでございますので、私どもとしては、やはり介護保険制度で自立支援、重度化防止というのが非常に大事だということはちゃんと頭に置きながら、今後の検討に当たっていきたいというふうに考えております。
 福島みずほ君
 自立支援が大事だというのは間違っていないですか。必要な人に必要なものを供給するというのが必要で、冒頭も言いましたが、自立支援は大事だけれども、高齢者は残念ながら齢していくわけで、一年一年、必ずしも自立、自立、自立と言われても、それは難しいわけですよ。
 だから、それなりに悪化しないように一緒にやっていくなら分かるけれども、自立して卒業を目指せと言われても、それは無理でしょう。というか、是非、厚労省は、だから、せっかく介護保険をつくったのは厚労省なわけですから、財政審に言われようが、介護保険を守るぞという立場で頑張り抜いてくださいよ。どうですか。
 政府参考人(蒲原基道君)
 私どもは、介護保険というのは非常に大事な仕組みですし、お年寄り、特に要介護状態になったお年寄りの人の生活を支えるために非常に大事なものだというふうに思っておりますので、そうした仕組みが将来にわたって機能するということが非常に大事なので、
そうした観点からいろんな制度の在り方については考えていきたいというふうに思っております。
 福島みずほ君
 だとしたら、三割負担とかは論外だと思いますが。
 次に、介護医療院の具体的な基準や報酬などについては、社会保険審議会介護給付費分科会が本年度末に取りまとめるとしています。このような具体的取りまとめの前に法案を成立させようとするのは拙速ではないでしょうか。
 政府参考人(蒲原基道君)
 介護医療院につきましては、元々、介護療養病床の関係の受皿としていろんな議論をする中で、このような新しい仕組みというのをつくることが適切じゃないかという判断をしたところでございます。
 ただ一方で、その基準だとか報酬等については、先生お話しのとおり実際の審議会の議論というのはもう少し掛かるわけでございますけれども、ただ、この検討の過程では、今何度か答弁いたしましたけれども、例えば介護療養病床相当の機能を持つ類型、これと、あと老健施設相当以上の機能を持つ類型ということで、そうしたものについては具体的な医者の配置基準も今あるわけでございますけれども、そういう類型を設けるということを示しておりますし、一方で、床面積についても一人当たり八平米以上ということも一つ報告書に書かれてございます。また、多床室についても、プライバシーに配慮した療養環境を整備するといったことが入っております。
 そうした一定の方向というか、一定の考え方を示した上でこれから具体的に審議会で議論いただいていくということでございますし、審議会の過程では、最終的に決まるのは確かに来年になると思われますけれども、その過程では具体的な案が提示されていくことになるので、そうした仕組みを、そうした形での議論を踏まえて具体的な中身を明らかにしていきたいというふうに思っています
 福島みずほ君
 つまり、国会で、介護医療院、あるいは条文読んでもよく分からないんですよ、とすると、何か具体的なことは、いや本年度末に取りまとめますとおっしゃるけれども、本当はこのやっぱり委員会でもっと具体的なことを、こういうふうにしますというふうにおっしゃるのが筋ではないでしょうか。
 次に、今日、何人かの委員からも出ておりますが、財政的インセンティブについてお聞きをいたします。
 これは今朝の参考人質疑でも議論になりましたが、配付資料のところの調整交付金です。これは、国庫負担金二五%のうちの五%部分を、前期高齢者と後期高齢者の比率の違いや被保険者の所得水準の違いといった各自治体の客観的数字を基に行っております。しかし、本法案においては、要介護度の改善などを自治体間で競わせて、それを国が査定する要素も新たに加わるというものです。
 自治体へのこれは圧力とも言え、問題ではないでしょうか。
 政府参考人(蒲原基道君)
 財政的インセンティブの仕組みについての御質問がございました。
 先生お示しの資料にありますとおり、調整交付金というのが現在ございまして、これについては、国庫負担全体の中の、全体二五%の五%で、高齢者の状況でありますとか所得の違い、こうしたものを調整するというものでございます。先ほど大臣からも答弁ございましたけれども、このうち、この五%を使って、この仕組みの中にインセンティブの要素を盛り込んだ場合には、市町村の取組状況によって、現行より調整交付金が増額となる市町村と、そうではなくて減額となる市町村が生ずるということが考えられるわけでございます。
 財政的インセンティブについては、まずはこの法案で新設される交付金というのが一つあるわけですけれども、この調整交付金の活用については一応検討課題でありますけれども、この点については、先ほどお話がございましたとおり、自治体関係者、あるいは関係の省庁からも、自治体を所管する省庁からも強い反対意見があるということは我々も認識してございますので、そのような意見も十分踏まえて今後全体として検討していきたいと、このように考えています。
 福島みずほ君
 じゃ、検討して、これやめてくださいね。
 政府参考人(蒲原基道君)
 自治体からの非常に強いそういう要望もあるということを十分頭に置いて、これから調整をしていかなきゃいけないというふうに思っています。
 福島みずほ君
 局長、何かやめてくださる方向のような気がいたしますが、これやめるべきですよ。だって、要介護度の改善を競わせたら本当におかしくなる。コストカットを市町村に押し付けて、できなかった自治体を冷遇するなんてしちゃ駄目ですよ。頑張れ、頑張れ、頑張れなんて言ったって、それは無理なんですから。
 これはやめていただきたい、よろしいですね。
 政府参考人(蒲原基道君)
 この件は全体としていろんな予算編成過程で議論して政府内調整をするべきものであるということでございますので、ただ、先生から御指摘がございましたとおり、あるいは自治体の声というのも非常に強い声がございますので、繰り返しになりますけれども、そうした意見というのをよく頭に置いてこれから考えていかなきゃいけない、あるいは調整しなきゃいけないというふうに思っています
 福島みずほ君
 最後の配付資料で、介護職員の非正規の人たちの時給って、八百九十円しか上がっていないんですね。これやっぱり上がっていないですよね、労働条件、本当に良くなっていない。
 訪問介護のヘルパーさんの時給、八百九十円しか上がっていない。正社員はまあまあなんですが、非正規雇用は駄目ですね。
 厚生労働省、これはどうですか
 政府参考人(蒲原基道君)
 これは、平成二十七年度の介護従事者処遇状況等調査による結果であると思います。訪問介護事業所においては、月給ベースの常勤職員の場合は、ここにありますとおり、一万三千二十円上がっておって、一方で、時給の非常勤職員の場合は月平均で、下の欄にあります八百九十円の賃上げという状況でございます。
 このように差を生じておることでございますけれども、その背景みたいなものとしてどんなことが考えられるかといいますと、一つは、この調査によりますと、時給の非常勤職員は月給の常勤職員に比べて実労働時間が短いというのが一つあります。また、時給が高い非常勤職員ほど実労働時間が短くなる傾向が見られて、一定の調整をしているということも考えられます。そのようなことを留意をしてこれを見るということが大事かなと思います。
 ただ、このようになっている関係は、今回、これまでやっております職員の処遇改善加算の算定額というのは当然あって、これは一定の報酬に一定の率掛けて加算するわけですけれども、その分配については、事業所内でどのように分配するかについては各事業所に委ねられていると、そういうことの結果こういう形になっているのではないかというふうに考えております。
 福島みずほ君
 終わります。

MENU