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本会議 平成20年10月03日 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

170-参-本会議-4号 平成20年10月03日

○福島みずほ君 私は、社民党を代表して、麻生総理並びに関係閣僚に対して質問をいたします。
 社民党は、三つの決別宣言を自民党に対して行います。
 一つ目は、利権政治に対する決別宣言です。二つ目は、国民を苦しめる小泉構造改革に対する決別宣言です。三点目は、戦争に加担する、そんな政治に対する決別宣言です。
 今、私は、全国を歩いていて、政治が命を粗末にしていることに関して涙が出るような思いがします。地方を切り捨て、雇用を切り捨て、医療を切り捨て、命を切り捨てています。社民党は、命を大切にする政治への政策転換こそ必要だと考えています。
 社民党は、九兆円の生活・地域の底上げ宣言をしました。社民党は、この間五兆円カットしてきた地方交付税について二兆円復元をし、地域、医療、介護、教育の充実強化をし、赤字路線などの公共交通支援、限界集落対策、中小企業支援、離島の石油、ガソリン減税などを打ち出しております。
 総理は、建設国債を発行し、後世にツケを回そうとしています。しかし、そのようなやり方ではなく、社民党は財源があると提言をしています。
 まず、不公平税制の是正です。
 社民党は、法人税と所得税の最高税率を、十年前、一九九八年に戻すことなどで約四兆円増収になると試算をしています。ドイツは、環境税を企業に課し、福祉に充てています。大金持ちには増税をし、生活に困っているところには減税をするという形で財政再建をすべきだと考えますが、いかがですか。
 特別会計積立金・剰余金、防衛予算、米軍への思いやり予算、公共事業費などの無駄の排除によって財源をつくることができます。また、格差が拡大をしている中で消費税を上げることはすべきではないと考えます。総理、消費税を上げないと明言できますか。
 利権政治への決別についてお聞きをします。
 総理は、道路特定財源をどう改善されるつもりですか。一般財源化するだけで問題は解決をしません。道路を造るときのコスト高の問題、道路特定財源の無駄遣いをどう解決をするのですか。無駄遣いの温床になっている特別会計に関して大胆にメスを入れる決意はありますか。熊本県知事は、川辺川ダムについて反対を表明しました。全国で計画がある百五十のダムの総事業費は九兆円を超えています。サンルダム、八ツ場ダムなど、ダム建設の根本的な見直しが必要だと考えますが、いかがですか。
 次に、小泉構造改革を転換するかどうか、お聞きします。
 総理は、国民に痛みを強いる小泉構造改革を維持しながら、利権ばらまき政治を復活、より拡大しようとしているのではないですか。
 社民党は、今の社会の最大の問題の一つは格差の拡大と貧困だと考えています。今、生活の底が抜けるような不安を地域で人々が感じています。灯油の値上がり、九年間給料が上がらない、にもかかわらず物価は上がるという生活困窮、非正規雇用で働く人が働く人の三分の一、何と年収二百万円以下で働く人が四人に一人となりました。地域に医者がいない、自治体病院が閉鎖になって困る、住めなくなるという声を全国至る所で聞きました。希望がなくなっています。まさに生活の破壊、命の破壊です。
 社民党は、小泉構造改革は改革の方向が間違っていると初めから批判をしてきました。二〇〇三年の総選挙で、改革の方向が間違っており、国民の生活を破壊すると、初めから反対をしてきました。二〇〇三年の総選挙で格差是正を訴えました。元祖格差是正政党として頑張ってきました。小泉構造改革で果たして幸せになった人がいるんでしょうか。格差の拡大と貧困の問題はまさしく自民党政治の結果だと考えますが、いかがですか。総理は、日本は明るくしなければなりませんとおっしゃいました。私は言いたい、暗くしたのは一体だれなのかと。あなたたち自民党ではないですか。
 今こそ、地方の再生、雇用の再生、医療の再生、社会保障の再生のために政策転換をしなければなりません。所信表明演説を聞く限り、政策転換は見えません。総理、あなたにできるんですか。
 まず、雇用の再生についてお聞きします。
 製造業についても派遣を認めるという二〇〇二年の派遣法の改悪を始めとした労働法制の規制緩和が、非正規雇用を増やし、労働条件の悪化を招いたという認識はありますか。今こそ法律を改正しなければなりません。社民党は、登録型派遣については専門職に限るという改正案を作っています。総理、政府が今考えているような日雇派遣を禁止するだけでは何も解決をしません。登録型派遣については専門職に限定すべきではないですか。
 社会保障費をこれからも二千二百億円ずつ五年間カットし続けるという二〇〇八年骨太方針はやめるべきだと考えますが、いかがですか。
 私は、この一年間、各地の病院の現場に足を運びました。社民党は、医療の崩壊を食い止め、安心して地域で医療が受けられるよう提言をしています。政府は、自治体病院改革ガイドラインを出し、自治体病院の撤退などをうたっています。とんでもありません。全国で、公立病院の廃止や撤退により、住民は命が危機に瀕しています。千葉県の銚子市で銚子市立病院の休止が発表されました。社民党は、自治体病院を守るべきだと考えています。政府は、病院への補助こそすべきではないですか。また、社民党は、お産に伴う費用は無料にすべきだと考えますが、いかがですか。
 後期高齢者医療制度についてお聞きします。
 後期高齢者医療制度は、そもそも七十五歳という年齢で区切ることに本質的な問題があり、私たちはみんなで廃止法案を出しました。
 舛添大臣は、九月二十日、年齢で区切ることはやめる、土地を探して設計図を引いて国民が気持ちよく住める家を造りたいと明言をしました。二十一日には、総理も抜本改正を明言しました。ところが、その後、トーンダウンをし迷走をしています。
 総理は、所信表明の中で、後期高齢者医療制度はなくさないと言っています。見解が全く変わっています。高齢者の心をもてあそぶなと言いたい。やらないことをなぜ言ったんですか。総理並びに厚生労働大臣の答弁を求めます。
 また、障害者自立支援法の見直し期限が来年に迫っています。どのような改正をして障害者の皆さんの不安にこたえようとするつもりか、お聞かせください。
 命が大切ということであれば、まず何よりも平和でなければなりません。戦争に加担する政治についてお聞きをします。
 なぜ、テロ特措法の延長をしようとするんですか。
 また、総理は、国連総会演説の後の記者会見で、憲法解釈を変えて、集団的自衛権と憲法解釈を変えるべきだと明言をしました。しかし、日本国憲法の下では、戦争に加担することは一切できないことは明らかです。発言を撤回すべきだと考えますが、いかがですか。社民党は、憲法審査会の作動を許しません。
 自衛隊海外派兵恒久法案を作る考えがあるかについてもお聞きをします。
 原子力空母ジョージ・ワシントンが横須賀港を原子力空母の母港とするためにやってきました。日本政府は、ジョージ・ワシントンの火災事故の報告書すら米軍からいまだ入手していません。東京に原発をということが現実のものとなりました。アメリカ原子力潜水艦ヒューストンは、二年間、日本の港で放射能漏れを起こしていました。日本政府は国民の命をどう考えているのでしょうか。
 沖縄の辺野古の沖に海上基地を造ることはやめ、その費用は福祉など命を生かすことにこそ使うべきです。
 総理は、日本は単一民族だと考えますか。かつて、総理自身が単一民族である旨の発言をしています。中山前大臣と同じです。その発言を撤回をするのかしないのか、どちらですか。
 社民党は、農家に戸別補償をすべきだと考えています。瑞穂の国の農業再生プランを発表し、田んぼの底力法案を作っています。減反をやめ、農家が米粉用、飼料用米を作る際に主食用米に準じた所得を直接補償すべきだという中身です。田んぼの底力を活用し、農業を営む人を応援すべきだと考えますが、いかがですか。ミニマムアクセス米の購入はやめるべきです。汚染米、事故米が国内に流通しないよう食の安全を確保すべきです。
 社民党は、環境の政党、脱原子力の政党です。総理は、地球温暖化防止のための切り札として原子力発電所を考えていますか。将来の地球環境のためにもそれは間違いだと社民党は考えていますが、いかがですか。
 新たな活断層が発見されています。六ケ所村の本格稼働は許すべきではありませんが、いかがですか。
 今の政治は、命を粗末に扱っています。雇用の問題も、地方の問題も、食の安全も、平和の問題も命の問題です。
 社民党は、自民党政治に終止符を打ち、命を大切にする新しい政治を必ずつくっていくと国民の皆さんにお約束を申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕

○内閣総理大臣(麻生太郎君) 福島議員の御質問にお答えをいたします。
 まず最初に、税制の在り方についてお尋ねがありました。
 近年の税制改正においては、経済のグローバル化に伴う世界的な法人税率の引下げなどの動向に対応し、持続的な経済社会の活性化を実現する観点から、法人課税や所得課税について改正を行ってきたところであります。家計に対する緊急支援策として、今年度内に定額減税を実施します。今後とも、日本の経済社会の構造変化に対応しつつ、多岐にわたる税制の課題に取り組んでまいります。
 消費税についてのお尋ねがありました。
 消費税の引上げは避けて通れないであろうと考えております。ただし、現在の経済状況においては困難であると考えており、経済動向などを注視して判断しなければならないと考えております。
 道路特定財源についてお尋ねがありました。
 道路特定財源につきましては、五月の閣議決定に沿って具体的内容を予算編成過程において検討いたしてまいります。道路整備につきましては、橋梁やトンネル区間の短縮、必要以上の規格を求めないローカルルールの普及などにより徹底したコストの削減を進めたいと存じます。道路支出につきましては、広報広聴経費の半減などいろいろな取組を緩めず進めてまいります。
 特別会計についてお尋ねがありました。
 現在、特別会計に関する法律に基づき、特別会計を平成二十三年度までに三十一から十七へ縮減することといたしております。今後とも、特別会計の事業につきましては、必要性を厳しく精査し、徹底して無駄を排除してまいります。
 ダム建設の見直しについてもお尋ねがありました。
 ダム事業は、水需要の減少などの社会変化に対応して、他の事業に先駆け見直しを行い、これまで平成八年以降百八の事業を中止しております。今後とも、地元の声に耳を傾け、見直すべきは見直し、真に必要なダムの整備を行います。
 次に、日本を暗くしたのは自民党ではないかとのお尋ねがありました。
 我が自由民主党は長年にわたり日本の政治に責任を持ってまいりました。よって、日本の政治や社会について、明るい面のみならず暗い面についてももちろん責任があろうと存じます。もっとも、現在の日本の暗い面には、景気やアメリカ発の金融危機など外的な要因によるものも極めて大きいと思います。もちろん、それらについても政府・与党は全力を挙げて解決に取り組んでまいります。
 労働者派遣法についてのお尋ねがありました。
 これまでの労働者派遣法の改正は、企業と労働者双方のニーズを踏まえ、労働者保護に留意しつつ行われてきたものであります。今回の労働者派遣法の見直しは、日雇派遣を原則禁止するなど、労働者の保護を強化する観点から行うものであります。登録型派遣を専門職に限定することは、現在働いている労働者の不利益になるため適切ではないと考えております。
 社会保障費削減についてお尋ねがありました。
 平成二十一年度予算の概算要求基準では、社会保障費の自然増の抑制を行うことに加え、最終的には、財源も勘案の上、予算編成過程で検討することとしております。
 地域医療の確保についてお尋ねがありました。
 地域における医療の確保は、国民が安心して暮らしていく上で欠かすことのできないものであろうと存じます。このため、地域の実情に応じて公立病院を含め医療機関への支援を行うとともに、医療機関相互の役割分担や連携を含め、地域全体で必要な医療が確保できるよう努めてまいります。
 出産時の費用についてもお尋ねがありました。
 安心して出産できるよう、出産費用の不安を解消することは重要な課題と思っております。妊婦健診や出産育児一時金など妊産婦支援の充実について、財源の問題なども踏まえつつ検討してまいります。
 長寿医療制度の見直しについてお尋ねがありました。
 長寿医療制度につきましては、この制度をなくせば問題が解決できるものではありません。廃止するのではなく、高齢者に納得していただけるよう改めることが必要と考えております。そのため、一年を目途に幅広い議論を進めてまいります。
 障害者自立支援法の見直しについてもお尋ねがありました。
 障害者自立支援法については、現在、緊急措置として低所得者の利用者負担が大幅に軽減されております。今後、障害児に対する福祉サービスの在り方など制度全般にわたる見直しや、二十一年四月の報酬改定について検討を進めてまいります。
 補給支援特別措置法の延長の必要性についてお尋ねがありました。
 補給支援活動は継続が是非とも必要であると考えております。我が国の国益を懸け、日本自身のためにしてきた活動でもあります。テロとの闘いは依然継続をしており、多くの国が尊い犠牲を出しながらもアフガニスタンでのテロ対策への取組を強化をしております。こうした中で、国際社会の一員たる日本が、その活動から手を引く選択肢はないと思います。
 集団自衛権についてお尋ねがありました。
 従来から政府は、集団的自衛権の行使は憲法上許されないとの解釈を取ってきたところであり、現在でもこの立場は変わっておりません。本件は重要な課題でありまして、これまで様々な議論があったことを踏まえ、その解釈については今後十分な議論が行われるべきものだと考えております。
 憲法審査会についてお尋ねがありました。
 昨年の通常国会で、国会に憲法審査会を設置することを定めた法律が成立したところであります。憲法に関する議論について、もとより国会が決めることでありますが、すべての政党の参加の下で幅広い合意を求めて真摯な議論が行われることを強く期待をいたしております。
 国際平和協力活動に関する一般法についてのお尋ねがありました。
 いわゆる一般法の整備は、日本が迅速かつ効果的に国際平和協力活動を実施していくために望ましいものと思っております。また、国際平和協力に関する日本の基本的方針を内外に示す上でも有意義と考えます。一般法につきましては、与党における議論を含めた国民的な議論の深まりを十分踏まえて検討を進めてまいります。
 日本への米海軍の原子力空母及び原子力潜水艦の入港についてお尋ねがありました。
 米海軍の原子力艦は、一九六四年以来、約千三百回以上、日本に寄港をしております。しかし、人体及び環境に影響を及ぼすような放射能の放出は一件も発生しておりません。政府としては、我が国周辺への米海軍のプレゼンスの維持は、日本及び地域における平和と安全の確保に寄与するものと考えております。
 普天間飛行場の代替施設建設についてお尋ねがありました。
 普天間飛行場の移設・返還を含む今般の米軍再編は、抑止力を維持しつつ、沖縄県を始めとする地元の負担を軽減させるものでもあり、是非とも実現する必要があると考えております。
 次に、私の過去の発言についてのお尋ねがありました。
 御指摘の発言は、平成十七年、九州国立博物館開館式典においてのものであろうと存じます。日本の民族、言語、文化がアジアの中では比較的にまとまった形で継続してきたという特徴を述べたもので、日本が一民族であるということを主張したものではありません。その趣旨を説明するとともに、誤解を生じることならばおわびする旨もそのとき関係者に申し上げたと記憶します。
 農業支援策についてお尋ねがありました。
 全水田面積のうち約六割で主食用米の需要が賄えます。そのため、水田をフル活用して大豆や麦のほか、米粉用や飼料用の米生産に取り組むことが重要ではないかと思っております。このため、飼料用米などの低コスト生産を進めつつ、その利用促進を進めてまいります。
 ミニマムアクセス米についてもお尋ねがありました。
 ミニマムアクセスは、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉の結果、すべての加盟国の合意の下にWTOの協定によって設定されたものでありまして、その撤廃や削減は困難と考えております。私は、行政の長として今般の事故米問題を深く反省をし、国民の食の安全を確保するため再発防止に万全を期してまいりたいと存じます。
 地球温暖化防止のための原子力発電所の活用についてお尋ねがありました。
 原子力発電は、供給安定性に優れ、発電時に二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギー源でもあります。経済成長を可能としつつ、地球温暖化対策として有効な重要なエネルギー源として世界的にも関心を持つ国が増大をしております。今後とも、安全の確保を大前提に、原子力発電の推進に着実に取り組んでまいりたいと存じます。
 六ケ所再処理工場の稼働についてのお尋ねもあったと記憶します。
 エネルギーの安定供給確保の観点から、ウラン資源を有効利用する核燃料サイクルの実現が不可欠であります。六ケ所再処理工場は、その中核的な役割を果たすことになる施設であります。耐震安全性につきましては、これまでの安全審査の過程で確認しており、その安全性は確保されております。政府としては、安全確保を大前提に稼働に向けた取組を進めてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣舛添要一君登壇、拍手〕

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