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参予算委2015年3月17日 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
今日は、安倍総理の言葉と現実が全く乖離をしているのではないか、その観点から質問させていただきます。
まず、汚染水についてです。
状況はコントロールされているのか。まず、政府と東電、二〇一一年三月十一日以降、放射性物質で海に放出された量を教えてください。
○参考人(廣瀬直己君) 東京電力の廣瀬でございます。お答え申し上げます。
海への放出総量でございますけれども、これは実測することはできませんので、幾つかの前提を置いて、その上で計算をし、解析をする、評価をするということでございます。
私ども、二十五年の八月に海への放出総量についてそうした評価を行っております。それによりますと、事故が起こったすぐ後の二十三年の五月から平成二十五年の夏まで、約二年三か月ございますが、この間に放出されたと計算された放射能の量は、ストロンチウム90で約十兆ベクレル、セシウム137で二十兆ベクレル、それからトリチウムで二十兆ベクレルという計算結果が出ております。
その後、護岸の地盤改良等々を行っておりまして、私どもの評価ではそうした流出量が低減しているというふうに評価しておりまして、ストロンチウム90では三分の一に、それからセシウム137では十分の一程度に減っているのではないかという解析をしております。
もちろん、その後も幾つかの対策を取っておりますし、この度、海側の遮水壁を閉じようという計画をしておりますので、そうしたことをしますと、ストロンチウム90で四十分の一、セシウム137で同じく四十分の一、トリチウムで十五分の一になるのではないかという評価を行っております。その後の放出量の評価については現在やっておるところでございます。
以上でございます。
○福島みずほ君 政府の放出量の推定はどうですか。
○国務大臣(宮沢洋一君) 政府としては特に行っておりません。
○福島みずほ君 東電、三月二十六から九月三十日まで、ヨウ素が一京一千兆ベクレルということでよろしいですか。
○参考人(廣瀬直己君) はい。三月二十六日から九月の三十日までですので、先ほどの数字とダブりますが、間違いございません。
○福島みずほ君 最も多く放出されたその期間のヨウ素、セシウム、ストロンチウムの総量を教えてください。
○参考人(廣瀬直己君) お答え申し上げます。
申し訳ございません、先ほどの数字と期間がダブってしまいますが、私どもの、事故直後でございます三月二十六日から、先ほどのとダブりますが、九月三十日までの約半年間におけるヨウ素131は一・一京ベクレル、それからセシウム134が三・五、十の五乗ですので三千五百兆ベクレル、それからセシウム137は三・六、十の五乗ですので三千六百兆ベクレルということでございます。
○福島みずほ君 天文学的な数字です。
東電、福島第一原発の排水溝から高濃度の汚染水が外洋、外の海に流出していた問題があります。これについて説明してください。
○参考人(廣瀬直己君) K排水路からの放出についてお答えを申し上げます。
K排水路は排水路でございますので、敷地に降った雨等々が流れ込んで海に放出される放水路でございます。そこにつきましては、これまで幾つかの放水路ございますけれども、専ら我々、一番心配をしていたのはタンクのそばを流れるB排水路、C排水路でございまして、これらについていろいろな対策を行ってきたところでございますが、K排水路についても雨の日にレベルが上がるということが分かってきておりましたので、何とかここを少なくしようということで、昨年の四月以来、これは規制庁の御指示もありまして、一年を掛けてしっかり原因を究明し、K排水路の排出放射線レベルを下げるようにという御指示がありましたので、それ以降は、瓦れきを撤去したり地面を舗装したりといったようないろいろな対策を取ってきておりました。
しかし、なかなか思ったような効果が出てきておりませんでした。それは、我々は、地下水というか、雨の水が山側から海に流れるものだというふうに我々はまず最初に当たりを付けて、そちらの方からいろいろな対策を取ったわけでございますが、どうもそれが効かないということで、今度は、じゃ、海側からK排水路の方に流れるのはないんだろうかということでいろいろ調査をした結果、この度、二号機の大物搬入口の建物の屋上に四年前の爆発で汚れた場所があり、そこに水がたまって、いわゆる雨といのようなものから下に、地面の下からK排水路に通じているというところが見付かりましたので、まずはそこの対策をしようということで今鋭意進めているところでございます。
○福島みずほ君 事故原因は、というか、その放出の原因は究明されたんでしょうか。
○参考人(廣瀬直己君) お答え申し上げます。
ただいま申し上げました二号機の大型建物搬入路というのは、そのうちのまだ一つであろうということで、幾つかまだまだ建物の上というのがどうも怪しいということを、今いろいろな建物の屋上を調査しているところでございます。
○福島みずほ君 建屋周辺は線量が高く、部分的な調査しかしていないということでよろしいですね。
○参考人(廣瀬直己君) 今まさに調査を、場所を拡大し、要するにその汚染源を見付ける必要がございますので、いろいろなところ、当然放射線レベルが高いですので、作業員の方の被曝にも注意しながら、今はまずその場所を究明すべくいろいろなところの調査をしているという段階でございます。
○福島みずほ君 四年間、外洋に漏れ続けていたということでよろしいですか。
○参考人(廣瀬直己君) K排水路は、先ほど申し上げましたとおり、雨水が流れていく、外洋に出る排水路でございますので、当然ある意味の、爆発によって堆積してしまった放射性物質を雨水が流して、そういう意味でその排水路に流れていくということはあったのだというふうに思っております。
○福島みずほ君 四年間漏れ続けていたということでよろしいですね。
○参考人(廣瀬直己君) 恐らく、爆発によってまき散らされた放射性物質を雨水が拾って流れていたということだというふうに考えております。
○福島みずほ君 東電、汚染水はこの四年間コントロールされていたんでしょうか。
○参考人(廣瀬直己君) 発電所の構内で、これまで皆さんに御心配をお掛けしたような様々なトラブルがあったのは事実でございますが、総理の発言、私どもは、汚染水が公衆への影響を与えていないと、すなわち、その影響は発電所の港湾内にとどまっておりまして、近海の放射線のレベルは十分低く、また上昇しているというような傾向も見られていないという御趣旨だというふうに私ども理解しておりますので、私どももそうした意味でコントロールされているという認識でございます。
○福島みずほ君 放射濃度がどうかなんて聞いていません。外洋に汚染水がだだ漏れしていたわけでしょう。これでコントロールされていたと東電言い張るんですか。
○参考人(廣瀬直己君) 繰り返しますが、汚染水の公衆への影響という意味でコントロールされていたと認識しております。
○福島みずほ君 いや、日本語がおかしいですよ。濃度がどうかなんて聞いていません。コントロールされているのか。ブロックされているのか。外洋に四年間だだ漏れだったら、コントロールされていないでしょう。ブロックされていないでしょう。東電、どうですか。
○参考人(廣瀬直己君) 繰り返しのお答えで申し訳ございませんが、汚染水の公衆への影響という意味でコントロールされているという認識でございます。
○福島みずほ君 ふざけないでくださいよ。何で濃度が変わっていない、濃度が高くないからコントロールされていると言えるんですか。コントロールというのはコントロールしているということだし、ブロックしているということはブロックなんですよ。それができていないでしょう。だだ漏れしていて、最近おわびして、それでコントロールされていると、東電、そう言う資格があるんですか。
○参考人(廣瀬直己君) 申し訳ございません、ちょっと質問の意味が分かりませんが。
○委員長(岸宏一君) どうですか、もう一回質問してみてください。
○福島みずほ君 汚染水は、コントロールされている、完全にブロックされている。ブロックされていないし、コントロールされていないじゃないですか。どうですか。
○委員長(岸宏一君) コントロールされていないんじゃないかという質問だそうです。
○参考人(廣瀬直己君) 誠に繰り返しで申し訳ございませんが、先ほど申し上げた意味で、コントロールされていると認識をしております。
○福島みずほ君 外洋に汚染水がだだ漏れされていて、どこがコントロールされているんですか。
○参考人(廣瀬直己君) 繰り返しになりますが、汚染水の公衆への影響という意味で申し上げております。
○委員長(岸宏一君) ちょっと議論を進めたらいかがですか。
○福島みずほ君 全く理解ができません。一京というぐらいの放射性物質が出て、ストロンチウムが出て、今も出続けている。そして、何でコントロールされていると言えるんですか。
内海は汚染されている。総理、いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 福島第一原発の港湾外の放射性物質濃度は、従来から公表しているように、法令で定める告示濃度限度に比べて十分低いままであります。
また、これまで、日本からIAEAに対し継続して福島第一原発に関する情報提供を行っています。IAEAからも、周辺海域や外洋では放射性物質濃度は上昇しておらず、WHOの飲料水ガイドラインの範囲内にあり、公衆の安全は確保されているとの評価をいただいています。したがって、汚染水の影響は福島第一原発の港湾内に完全にブロックされており、状況はコントロールされているという認識に変わりはございません。
○福島みずほ君 港湾内は汚染されていますか。
○委員長(岸宏一君) 宮沢大臣。
○福島みずほ君 いや、総理、どうぞ。総理が手を挙げました。総理、どうぞ。総理。
○国務大臣(宮沢洋一君) 港湾内につきましては、告示濃度限度以下ということではございません。以下ということではございません。告示濃度限度以下ということではございません。
○福島みずほ君 公示限度内の濃度ではないということは、汚染されているということはお認めになられますね。
○国務大臣(宮沢洋一君) 港湾内には汚染された水が排出されておりますから、汚染されております。
○福島みずほ君 状況はコントロールされている。状況はコントロールされてないじゃないですか。港湾内は汚染されている。そして、外洋にも基準以上のものが流れていた。もし港湾外で濃度が高かったら大変ですよ。海は広いな大きいな、希釈されるわけですから、そこで本当に高ければ大変なことですよ。
総理、港湾内は汚染されている。どうしてそれで状況はコントロールされているんですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) いや、これはもう何回も申し上げていることでございますが、状況はコントロールされていると申し上げたのは、福島第一原発の港湾内において完全にブロックされており、状況はコントロールされていると申し上げたわけでありまして、それが港湾外にも大きな影響を与えているかのごとくの印象を世界に与えていたのは事実でございまして、そうではないということをはっきりと申し上げたわけでございます。
○委員長(岸宏一君) 福島さん、少し議論を進めたらいかがですか。
○福島みずほ君 港湾内は汚染されている。今日お認めになられましたが、それも大問題。で、港湾の外だって問題ですよ。これ完全に遮断をされているわけではありません。水は相当入れ替わっているとも言われております。ザ・シチュエーション・イズ・アンダー・コントロール。コントロールなんてされていないんですよ。
現に、東電は、最近も海洋に流れている、このことに関してようやく対策を講ずる。でも、対策も間に合ってないし、原因究明さえされてないんですよ。総理がまさに状況はコントロールされていると言いながら、現実は全くコントロールされていません。現実のひどい状況をこういう言葉で覆い隠しては駄目ですよ。
次に、女性の活躍法案についてもお聞きをします。
女性の活躍法案が出てくる。しかし、派遣法の改悪法が国会に出ました。三年間、あるところで総務課で派遣で働いている、その後三年間人事課で働く、その後三年間総務課で働く。三年置きに課を変えれば、生涯派遣のままで雇えるということでよろしいですね。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今回御提案申し上げようとしておりますこの派遣法においての期間制限については、今まで二十六業種については期間制限すらなかったわけでありますけれどもこれを設けるということでございまして、先ほど課を変えればということでありますが、それは、その前に必ず事業所単位で意見聴取をしなければいけないというブロックが掛かります。その前は、今、現行制度でいきますと、係を変えればそのままいけてしまうという問題があったがゆえに、期間制限を設け、意見聴取もそこで掛けるということで周知徹底もしていくという規制を更に強化をしているところであります。
何度も申し上げますけれども、今まで四分の三が届出、登録制であったものを今回は全てを許可制にするということにすることによって、法律にのっとっていない行為をする派遣会社には、これは許可の取消しを含めて対処をしていくということでありますから、一生派遣というような安易なことが起きるようなことは決してないというふうに思います。
○福島みずほ君 これはもう何度も議論していますが、意見聴取なわけで、組合が反対しようが賛成しようが関係ないでしょう。一生派遣のままで働かせることができる。それは、大臣、お認めになられますね。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今回、三年で明確にこの意見聴取のプロセスを入れるということにいたしました。これまでは、過半数組合への意見聴取は、三年以上の延長は不可であったわけでありますけれども、その前に、手前で意見聴取をしていけるということになっていましたけれども、今回は期間制限を三年ということを掛けた上で、さらに個人単位でも、固定化防止のために、ここで新たな規制として同一の組織内での上限が三年ということも入れるわけで、二重の意味での規制を強化をしているということでございます。
○福島みずほ君 三年置きに課を変えれば、一生そこで働かせる、働くことができるんですよ。意見聴取だって、単なる聴取じゃないですか。
大臣、改めて聞きます。課を変えれば一生派遣のまま働かせることができる、そのとおりでいいですね。
○国務大臣(塩崎恭久君) 繰り返して申し上げますけれども、今回の場合には、今までは、常用代替防止ということで、この意見聴取を三年よりもっと前からやってそのまま係を変えればいけるという状態であったわけでありますけれども、今回は、同じその常用代替防止のために、事業所単位で原則三年の期限を設け、そして意見聴取をするということを必ず義務付けていくということを加えて、さらに個人単位の固定化防止ということで、同一組織内、これは課ですね、今おっしゃったように、ということで上限の三年ということでありますから、それぞれ三年の区切りでどうなるかということによって決まってくるのであって、それでずっといけるような話ではないと、全くないというふうに思います。
○福島みずほ君 答えていないんですよ。聴取はあるんだけれども、私の質問は、課を三年置きに変えれば一生派遣のままで会社は雇えますねということなんです。それに、意見聴取という一つの手続はあるが、それをクリアさえすれば、聴取さえすれば一生派遣のままですねということについてお答えください。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今申し上げたように、これまでのでいけば係が変わればそのままいけるというような、まあ言ってみれば抜け道とも言えるようなものがあった。それではいけないだろうということで、今回、まず事業所単位のものにして、それから個人の規制も三年で掛けるということを申し上げているわけでありまして、そこで当然反対意見があった場合には対応方針についての説明が必要で、そしてまた徹底的に説明をしなければいけないという義務を課しているわけでございますので、そのようなことが簡単に起きてしまうようなことにはならないということであります。
○委員長(岸宏一君) ちょっと速記を止めて。
〔速記中止〕
○委員長(岸宏一君) 速記を起こして。
それでは、塩崎厚生労働大臣。
○国務大臣(塩崎恭久君) 意見聴取というプロセスというのは、やはり、まあ言ってみれば労使の自治、これを大事にするというプロセスであります。最終的にはもちろん雇う側がこのことを決めるということであり、また雇われる側も意思を持っているわけであります。
したがって、今の先生の御指摘でいけば、本人が望み、なおかつ企業がそれでいいと言い、そして意見聴取の中でこのプロセスをきちっと民主的に踏んでちゃんと皆に周知徹底する義務を果たしてやった場合には、そういう可能性もゼロではないということだと思います。
○委員長(岸宏一君) いいですね。大丈夫だよね。
○福島みずほ君 はい。結局、一生派遣のままなんですよ。
で、次に……(発言する者あり)いや、そうです。意見聴取があるにしてもそれは聴取ですから、一生派遣のままなんですよ。
次に、ホワイトカラーエグゼンプション、二十四時間働かせ法案についてお聞きをします。
これは、二十四時間、では、労働時間規制を全て撤廃する、そういう労働者が初めて日本で出てくるということでよろしいですね。
○国務大臣(塩崎恭久君) 二十四時間働かされる人が出てくるというふうな御質問でしたか。今回のことについては、何しろ健康第一、これが第一であります。その上で多様な働き方ができるようにしていく、それも極めて限定的にやっていることであって、それはもちろん本人が希望しなければいけないということでもあり、そして能力が、しっかり専門的な知識を持っている人であり、そして従事した時間とそれから従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められている、その両方が、成果を何しろ評価をしようということであります。
今お話がありました二十四時間の、働かされることがあるのかということでありますが、まず第一に、そういう高度の専門性を持った交渉力のある方でありますから、そういう働き方をさせられれば、もし万が一ですよ、そうしたら、自分は別なところに行ったって十分売れるわけでありますからそういうところに移ることになってしまいますから、企業の方もそんなばかなことをすることは私はないと思っていますし、そもそも、今申し上げたように、健康を確保するという健康確保措置というのを今回法律で設けるわけでありまして、一つはインターバルの規制、それから在社時間等の上限規制、さらには年間百四日の休日数の規制、そしてまた、これ、夜間についても四週間を通じて四日以上の休日を必ず確保すると、こういうようなこともあって、そのいずれかを必ずやらなければいけないという法律があり、なおかつ罰則を設けているということも新たに加わってきますし、要するに、それはお医者さんが面接をして指導しなければいけないという、これは多分、百時間残業が超えた場合にはそういうことをやらなきゃいけないということになると思いますが、そういうことをきちっとやらない場合には罰則も掛かるということでありますので、今のような二十四時間働かされるというようなやや非現実的なことは私はあり得ないと思いますし、それはまさに自らの意思でどう働くかという問題であります。
○福島みずほ君 労働法制について理解していないですよ。私の質問は、二十四時間働かせて労働基準法違反になるのかという質問です。法律違反になるのか、刑罰法規で規制されるようなものになるのかという質問です。
○国務大臣(塩崎恭久君) それは、休日とか深夜の労働についての割増し料金を払わなきゃいけないという労働基準法の規制の適用除外として今回これを設定するものでありますから、法律違反には法律が通ればならないという制度であります。
○福島みずほ君 説明に来た厚生労働省の役人も労働時間規制をなくしますと言いました。労働時間規制がなくなる、二十四時間働かせても違法ではないんですよ。
これが極めて問題なのは、女性も男性も子育て中にはとにかく一日の労働時間がきちっと規制されていなければ、私も子育てして夫と代わりばんこに子供を迎えに行きましたが、一日二十四時間働かせることができる、それが労基法違反ではないという制度は女性も男性も輝けないですよ。子育てできないですよ。こんなの絶対に認めてはならない。労働時間規制をなくす労働者、全部の労働時間規制、深夜労働をやったって深夜手当が出ないんですよ。こういう労働者をつくっては駄目ですよ。
女性が輝くなんて言いながら、この二つの法案は女性も男性も輝けない法案です。言っていることとやっていることが違うじゃないですか。総理、どうですか。
○国務大臣(塩崎恭久君) 今申し上げたように、通常ならば掛かる規制である労働時間の規制についての適用除外をすると、労働基準法上ということで。その代わりに、先ほど申し上げたこの健康確保措置というのを、やはり同じように時間の概念であり、当然、出社を何時にして、帰宅を何時にしたかということは全部管理をした上で会社にも分かるようになっているようにしていますから、その上で、さっき申し上げた終業時刻と次の始業時刻の間に一定期間を置くというインターバル規制、それから在社時間の上限規制をする、あるいは年間百四日の休日と、さっき申し上げたように月に四日以上の休日を取らなければいけないというようなことを、そのどれかを措置をしなければいけないという別な形の時間的な概念の規制を加えているわけですから、それにのっとって法律に従ってもらわなければならないということであります。
○福島みずほ君 一日の労働時間規制はILO条約の一号であり、メーデーがあった一八八六年、シカゴで八時間労働制を訴えてメーデーが起きました。
四週間の間に何とかとか、年間に百五日とか言ったところで、健康時間管理といっても、一日の労働時間規制を全て撤廃する、こんなの労働法制ではないですよ。労働法制の死ですよ。こんなことやって、まともにみんなが働けるわけがない。子育てができるわけがない。こんな法案は出すべきでないと思います。
次に、積極的平和主義についてお聞きします。
外務省、積極的平和主義の定義を言ってください。
○国務大臣(岸田文雄君) 積極的平和主義ですが、今やテロ、サイバー、宇宙など、脅威が容易に国境を越える時代となりました。もはや一国のみでは自らの平和や安定を守ることはできません。自国の平和と安全を守るためには地域や国際社会の平和や安定を確保しなければならない、こういった考え方に基づいて積極的に貢献していく、こうした取組を積極的平和主義と呼んでおります。
○福島みずほ君 積極的平和主義とは、消極的平和とセットで、単に国家間の戦争や地域紛争がない状態に加えて、社会における貧困や差別などの社会的構造が生み出す暴力がない状況であるという、これがノルウェーの平和学者ヨハン・ガルトゥングの定義ですが、外務大臣、これでよろしいですね。
○国務大臣(岸田文雄君) 積極的平和主義というこの言葉、あるいは議論については様々な議論がありますが、我が国としましては、先ほど申し上げたような考え方に基づいての取組を積極的平和主義と呼んでいます。
この積極的平和主義の中には、人道支援等の人間の安全保障ですとか、あるいは開発援助支援ですとか、さらには軍縮・不拡散、さらには法の支配の強化、女性の権利を含む人権の擁護など、こうしたあらゆる外交努力も含まれます。こうしたものを我が国としましては積極的平和主義と呼んでおります。
○福島みずほ君 積極的平和主義とは、平和の構築のための努力じゃないですか。それが戦争とつながるということが分かりません。
総理は、積極的平和主義と言いながら、集団的自衛権の行使を自衛隊法や武力攻撃事態法に書き込もうとしている、今まで違憲だったことを書き込む。それから、後方支援という名の下に戦争に加担する。これも名古屋高裁で違憲とされたことです。そして、恒久法まで作ろうとしている。これは積極的戦争主義じゃないですか。積極的戦争主義をやろうとしていて、それ、積極的平和主義という言葉で説明しないでください。いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 質問にお答えをする前に、先ほどの労働法制について多くの方々に誤解を与えていると思いますので訂正をさせていただきたいと思いますが、福島委員の言っていることをですね。
これは全ての労働者に適用するわけではなくて、年収において一千六十七万円ですから一千万円以上……(発言する者あり)千七十万円以上ですね、一千七十万円以上の……(発言する者あり)七十五万の言わば専門性を持った方々に、しかも本人が望むという形において適用するということでございますから、ここは誤解を解いていただきたいと、このように思います。
その上において、私たちが進めている積極的平和主義につきましては、外務大臣が答弁したとおりでございます。
○国務大臣(中谷元君) 集団的自衛権については歯止めがございます。これは、憲法九条の下で容認される、あくまでも国民の命と幸せな暮らしを守るための必要最小限度の自衛の措置のみでございまして、集団的自衛権行使の一般を認めたものではございません。集団的自衛権が行使できるのは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生するのみでなく、あくまで、これによって我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があることを始め新三要件といたしておりまして、歯止めを明確に掛けた自衛権でございます。
○福島みずほ君 先ほど総理は千七十五万円と言いましたが、これは省令に書くのであって、派遣法がそうであったように、省令でどんどん下がってしまうんじゃないですか。経団連は第一次安倍内閣のときに四百万まで下げたいと言っていますよ。今度の労政審でも下げたいと言っていますよ。千七十五万であるわけがない、省令で幾らでも下がる、そう思います。
それから……(発言する者あり)幾らでも下がり得る余地があって、歯止めにはならないんです。いかがですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、もう既に厚労大臣も答弁をしておりますし、私も総理大臣として千七十五万円以上ということを申し上げているわけでございます。
○福島みずほ君 省令で幾らでも、省令で決めるので幾らでも下がり得ますよ。
そして、集団的自衛権の行使ですが、今までは個別的自衛権、これは一義的にはっきりしていました。しかし、集団的自衛権の行使の新三要件、かなり曖昧です。
我が国の存立が脅かされる。総理、これには、我が国の存立が脅かされるのは、重要な経済的事由、ホルムズ海峡の機雷除去も入るということで改めてよろしいですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 新三要件に適合すれば、言わば集団的自衛権の行使ということになるわけでございます。
○福島みずほ君 ホルムズ海峡の機雷除去はこれに当たりますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさに新三要件にこれは当てはまるかどうかということで個別に判断することだと思います。
○福島みずほ君 質問に答えていないですよ。
この我が国の存立が脅かされるということには経済的な理由は入りますか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは様々な場において議論をしていることでございますが、言わば私たちの幸福を追求する権利、諸権利が根底から脅かされる明白な状況になった段階においてということが書かれていると思うわけでございますが、そのときの状況等においてそういう可能性があれば、まさにこの新三要件に当てはまれば集団的自衛権の行使、これの一部行使ということになるわけでありますが、容認されているということでございます。
○福島みずほ君 経済的な、重要な経済的なことも当てはまる場合があり得るということでよろしいですね。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があることと、そして、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと、必要最小限度の実力行使にとどまるべきことと、こういう観点から判断をしたいと思います。
○福島みずほ君 衆議院やほかでは、ホルムズ海峡の機雷除去も経済的理由で可能だと答えているじゃないですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) この言わばホルムズ海峡が封鎖されているという状況によるわけでございますが、そこで一切これはホルムズ海峡を通る石油が入ってこない、ガスが入ってこないということになれば、石油の八割はそこを通過することになるわけでございます。もちろん備蓄もあるわけでございますが、しかし、そこの機雷を除去する上においては、備蓄を上回る日数を要するという指摘もある中において、大きな衝撃がある、ライフラインにも重要なこれは影響を与える場合もあり得るということでございます。
○福島みずほ君 この「我が国の存立が脅かされ、」に重要な経済的なことが入るとすれば、日本は世界でいろんな経済活動をしていますから、どれもこの新三要件に当たり得るということになりますよ。
まず問題なのは、今まで違憲であった集団的自衛権の行使を認めていること。二つ目、外国からの急迫不正の侵害は一義的に分かります。でも、この新三要件は政府が判断する。しかも、「我が国の存立が脅かされ、」に経済的な理由も入るのであれば、この要件は政府の胸三寸で、フリーハンドでその価値観が入って政府の判断になるじゃないですか。
今までできなかったことができるようになるという点では、戦争ができない、海外で武力行使ができないのが武力行使ができるってすることになれば、それはやはり戦争ができるという非常に政府の権限を拡大する。総理はそれでよろしいですか。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 胸先三寸でできるということにはなりません。これは明確に申し上げておきたいと思います。
これから法案を作成していくわけでございますから、当然、国会の関与もあるわけでございます。そして、この三要件というものを読んでいただければお分かりのとおり、大変に厳しい要件と言えると思います。
その上において、これは戦争できるという、戦争できるようにするということをよくおっしゃるんですが、そうではなくて、国民の命と幸せな暮らしをしっかりと守ることができるように我々は法整備を進めていきたいと、このように思っております。
○福島みずほ君 国民の命と暮らしを守るんだったら個別的自衛権でいいじゃないですか。まさにこの集団的自衛権の行使は、今までできなかったことを政府がやろうとしているから問題なんですよ。
総理は、日本の戦後の平和国家としての歩みを大事にすると言う。日本の戦後の平和国家の歩みの大事な点は、武器輸出三原則の堅持であり、非核三原則であり、そして海外で武力行使をしないということですよ。武器輸出三原則も緩め、海外での武力行使に道を開くんだったら、積極的平和主義じゃなくて積極的戦争主義じゃないですか。言っていることとやっていることが違いますよ。
そして、瑞穂の国を守ると、瑞穂、瑞穂と私の名前を連呼してくださいますが、瑞穂の国はTPPに入ったら守れないですよ。
また、沖縄の辺野古の基地建設、あっ、済みません、さっきのは配付資料と番号が、武力行使の、ちょっと違っている点だけちょっと御容赦ください。この三点目、沖縄の辺野古基地移設について沖縄の皆さんの理解を得るように努めると言っているのに、沖縄の民意を完全に無視している。
言っていることと現実が全く真逆じゃないですか。言葉をこんなふうに空疎に使ってはならない。アウシュビッツに行ったときに、労働は人を自由にするというスローガンがありました。言葉と現実が違います。言葉と現実がこんなに乖離する政治をやってはならない。言葉を空疎にする政治をやったら国が滅びますよ。こんな言葉を政治家は使ってはならないという、総理大臣を辞めるべきだということを申し上げ、私の質問を終わります。