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憲法審査会 2014年10月22日 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

87-参-憲法審査会-002号 2014年10月22日(未定稿)

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 憲法審査会での検討ということであれば、立憲主義の危機ということを言わなければなりません。
 安倍内閣は、集団的自衛権の行使を合憲とした初めての内閣です。まさに立憲主義の危機です。
 七月一日、安倍内閣が集団的自衛権の行使を合憲とする閣議決定をしました。戦後七十年近く、自民党政権も集団的自衛権の行使は違憲であるとしてきました。国会の答弁で、憲法の解釈を変えるのであれば明文改憲をすべきであって、解釈で変えることは憲法の規範性を害すると繰り返し答弁がされてきました。憲法九条の解釈からすれば、自国が攻められていないにもかかわらず、他国で武力行使をすることは明らかに憲法違反です。
 また、集団的自衛権の行使だけではなく、後方支援の在り方も問題です。
 イラク特措法でイラクに自衛隊を送ったときには、非戦闘地域にしか自衛隊は行かないということが繰り返し答弁をされました。しかし、閣議決定と日米ガイドラインの中間報告によれば、自衛隊は戦場以外のところであれば後方支援をすることができるとしています。明らかに自衛隊が行く範囲が拡大をしました。後方支援という形で米国に武器を供与すれば、武力行使を一体として行っていると見られることは明らかです。
 集団的自衛権の行使という形で、また後方支援という形で武力行使が無限定になっていっています。
 ライプニッツの裁判所は、ライオンに鎖が掛けられています。ライオン、つまり権力に対して法で鎖を掛けるというものです。憲法九十九条は、国務大臣、公務員、裁判官などに対して憲法尊重擁護義務を課しています。憲法を誰よりも守らなければならないのは、国務大臣であり、国会議員であり、とりわけ総理大臣です。総理大臣が、国務大臣が、国会議員が憲法を守らないことは明確に憲法違反です。まさに立憲主義に反するのです。
 社民党は、憲法九条の明文改憲にも解釈改憲にも反対です。しかし、解釈改憲は明文改憲以上に極めて問題です。国会や国民の一切の関与なくして、民主主義を踏みにじり、立憲主義を破壊し、憲法を破壊するものだからです。憲法に違反する内閣の行為は憲法九十八条によって明確に無効です。無効な閣議決定をされたことは極めて重大です。社民党はこのことに強く抗議をします。
 憲法改正の国民投票法の改正法が可決をされたときに、参議院の憲法審査会は附帯決議を付けました。六項、「本法律の施行に当たっては、憲法の最高法規性及び国民代表機関たる国会の国権の最高機関としての地位に鑑み、政府にあっては、憲法の解釈を変更しようとするときは、当該解釈の変更の案及び第四項における政府の憲法解釈の考え方に係る原則への適合性について、国会での審議を十分に踏まえること。」。
 安倍内閣が七月一日、全く国会にかけることなく憲法解釈を明確に変えたことは、この附帯決議を真っ正面から踏みにじるものです。参議院の憲法審査会は極めて重いものです。しかし、安倍内閣が国会の憲法審査会を全く顧みず憲法解釈の変更をしたことは、国権の最高機関たる国会を踏みにじるものです。参議院の憲法審査会はこのことから議論しなければなりません。
 ナチス・ドイツは、国家授権法を作り、内閣によって自由に法律が作れるようにしました。そのために基本的人権が踏みにじられ、ナチス・ドイツの蛮行を招きました。日本において同じようなことが行われ始めようとしているのではないでしょうか。
 立憲主義を守らなければならないということは、政党を問わず尊重されなければならないことです。国会が今こそ国民のために違憲の閣議決定が無効であることを確認し、立憲主義を回復しなければなりません。そのことこそ憲法審査会に求められていると考えます。
 憲法とは何かを考えるときに、この立憲主義の考え方に立脚しなければなりません。間違いなく憲法とは権力を縛るものです。社民党が大きな危惧を感ずるのは、自民党の日本国憲法改正案です。
 自民党日本国憲法改正案は国民に憲法尊重擁護義務を課しています。また、国民にたくさんの義務を課しています。これは、憲法とは国家権力を縛るものであるという立憲主義に反しています。また、自民党の日本国憲法改正案についてのQアンドAの説明において天賦人権論に立たないということも書かれています。しかし、基本的人権とは天賦人権論に立つものです。天賦人権論を否定するということは、基本的人権を尊重するということに反しています。憲法とは、基本的人権を尊重するための仕組みです。そのことのために権力を縛るものです。社民党は、そのような憲法の考え方、立憲主義にのっとって、基本的人権を尊重し、個人が尊重される社会を全力でつくるべきだと考えています。
 また、憲法は到達すべき努力目標です。現実をこの理想に近づくべく国会、行政、司法が全力を尽くさなければなりません。日本国憲法は、十三条において幸福追求権を保障し、憲法十四条によって法の下の平等を規定しています。二十五条は生存権を規定しています。しかし、日本の社会において、全ての人が幸福追求権が保障され、法の下の平等が実現され、生存権が実現されているとは言えない状況です。沖縄では平和的生存権が侵害されています。憲法九条はノーベル平和賞の候補になりました。平和の構築こそ求められています。
 現在の日本社会において日本国憲法の各条文の理念を生かすべく全力を挙げるべきだと表明し、社民党としての意見表明といたします。

○福島みずほ君 今、丸山理事が個人を強くすることが強くなることだとおっしゃった点についてはそのとおりだと思うのですが、今の憲法九条に対する発言について私自身の意見を述べたいというふうに思っております。
 日本国憲法に関して、個別的自衛権の行使は認められるというのが従来の自民党の見解でした。現在立憲主義の破壊を行っている安倍内閣がやったこと、閣議決定をしたことは、集団的自衛権の行使を容認するということです。集団的自衛権の行使とは、自国が攻められていないにもかかわらず、他国防衛を理由に他国で武力行使をするというものです。
 今、自分の国を守るとおっしゃいましたが、立憲主義の破壊は、まさに集団的自衛権の行使と後方支援の拡大によって武力行使を無限定的にやっているということが根本的に問題であるというふうに思っております。
 自民党の日本国憲法改正案九条は、自衛隊を国防軍とし、また、自衛隊の権限について何の制限も基本的に設けておりません。地域も手段も設けておりません。国会の事前承認、事後承認すら厳密に言えば要件としておりません。国会の統制に服するとしておりますが、要件としておりません。まさに、集団的自衛権の行使も含め、あらゆる武力行使が可能となる自民党の日本国憲法九条は、今の丸山理事の日本の国を守るということとは一致しないというふうに考えております。
 私たちは、憲法九条の明文改憲、解釈改憲が問題ありという立場です。

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