QUESTIONS質問主意書

第161回国会 「朝鮮人労務者等に対する未払金その他の取扱いに関する質問主意書」(2004年12月2日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

質問主意書

質問第二二号

朝鮮人労務者等に対する未払金その他の取扱いに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十六年十二月二日

福島 みずほ   

       参議院議長 扇 千景 殿

   朝鮮人労務者等に対する未払金その他の取扱いに関する質問主意書

 韓国では、本年三月五日に公布、同年九月六日に施行された「日帝強占下強制動員被害真相糾明に関する特別法」に基づき、同年十一月十日に「真相糾明委員会」が発足した。今後二年ないし三年をかけて、国を挙げた日本帝国による植民地支配時代の真相解明が行われることになる。

 翻って、我が国では、歴史の解明は十分になされず、個々の戦争被害者に対する実質的な補償は行われてこなかった。その結果、未だに過去の歴史を清算できず、アジアにおける平和と繁栄のためのリーダーシップを発揮する機会を逸している。

 来年は、第二次世界大戦が終結して六十年目を迎える。戦争を生き延びた世代は、既に多くが死亡し、又は相当の高齢を迎えていることをかんがみれば、隣国である韓国の例を待つまでもなく、我が国が、戦後補償問題に誠意をもって対処できる最後の節目の年になると思われる。アジア諸国との新たな段階の関係を構築し、その平和と繁栄が実現された未来をつくるためには、過去の事実に目をつむることはできない。過去の歴史の事実に真摯に向き合い、最大限の誠意をもって戦後補償問題の解決を成し遂げることは、我が国の未来に対する政治の責任であると考える。

 よって、以下質問する。

一、朝鮮人労務者等の未払金供託に関して

1 千九百四十六年十月十二日付け厚生省労政局長通達「朝鮮人労務者等に対する未払金その他に関する件」によれば、「事業主は供託を完了したときは、供託書の番号、供託年月日、供託所名、受取人の氏名、本籍地、雇傭及び解雇の時期、解雇の理由、未払金の内訳等を記載した報告書三部を地方長官に提出すること」を定めている。この報告書三部はそれぞれ、どの省庁が管理・保管することになっていたか。

2 報告書の現在の所在と、残存する報告書の件数を明らかにされたい。報告書の所在が現在明らかではない場合、全省庁にわたって、その所在の調査を行うつもりがあるか。

二、千九百五十年二月二十八日付け政令第二十二号「国外居住外国人等に対する債務の弁済のためにする供託の特例に関する政令」(以下「政令第二十二号」という。)による供託替に関して

1 政令第二十二号は、第七条において、「この政令の規定により供託された供託物に対する還付請求権の消滅時効は、民法第百六十七条一項の規定に関わらず、政令をもつて定める日まで完成しない。」と定めている。また、附則第二項では、政令第二十二号施行以前に供託された国外居住外国人の供託物について、供託者は主務大臣の認定を受けて、東京法務局に保管替することを請求できると定められている。当時の労働省は、政令第二十二号制定後、千九百四十六年十月十二日付け厚生省労政局長通達「朝鮮人労務者等に対する未払金その他に関する件」に基づく供託を供託者に供託替するよう指示したのか。指示しなかったのであれば、供託者たる事業主にどのように取り扱うよう指示したのか。

2 政令第二十二号による供託物及び関係資料は、現在も東京法務局において保存されているのか。

3 政令第二十二号の施行に関する命令第二条及び第三条では、供託書に明細書三通を添付し、そのうち二通を遅滞なく日本銀行に送付しなくてはならないとされているが、この明細書は現在も日本銀行で保管されているのか。保管されているのであれば、国別に件数、総額を明らかにされたい。

4 現在、日本銀行で保管されている一億六千七百七十九万千四百円の供託金と四千七百三十五万五千六百円の有価証券(二千四年九月三十日現在)の供託金等について、政府は、今後どのように処理する方針か、明らかにされたい。

  右質問する。

答弁書

答弁書第二二号

内閣参質一六一第二二号

  平成十六年十二月十日

内閣総理大臣 小泉 純一郎   

       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員福島みずほ君提出朝鮮人労務者等に対する未払金その他の取扱いに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員福島みずほ君提出朝鮮人労務者等に対する未払金その他の取扱いに関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねの報告書については、御指摘の通達(以下「局長通達」という。)において、事業主が「報告書三部を地方長官に提出すること」及び「報告書の写二部宛を一括して」地方長官が厚生省労政局長に送付する旨が示されており、当時の地方長官又は厚生省が管理・保管することとなっていたのではないかと考えている。

一の2について

 未払賃金に関する昭和二十一年当時の厚生省労政局の事務は、昭和二十二年に厚生省労働基準局に、同年に労働省労働基準局に、平成十三年に厚生労働省労働基準局に引き継がれ、また、昭和二十一年当時の地方長官の事務は、昭和二十二年に厚生省都道府県労働基準局に、同年に労働省都道府県労働基準局に、平成十二年に労働省都道府県労働局に、平成十三年に厚生労働省都道府県労働局に引き継がれたところ、お尋ねの報告書については、平成三年及び平成十一年に当時の労働省労働基準局及び都道府県労働基準局において調査を行ったが、発見できず、現時点において全府省にわたる調査を行うことは考えていない。

二の1について

 平成三年及び平成十一年に当時の労働省労働基準局及び都道府県労働基準局において、朝鮮人労務者等に対する未払賃金等に関する資料を調査したが、国外居住外国人等に対する債務の弁済のためにする供託の特例に関する政令(昭和二十五年政令第二十二号。以下「特例政令」という。)が制定された後、当時の労働省が、局長通達に基づく「供託を供託者に供託替するよう指示」した事実を含め供託者たる事業主に対して局長通達に基づく供託の取扱いについて指示した事実については、確認できなかった。

二の2について

 特例政令第三条第二項の規定により債務の履行地は、供託に関しては、東京都千代田区と定められていることから、管轄する供託所は東京法務局となり、供託に係る供託書副本等は同局において保管されている。なお、供託物は、特例政令第八条第一項の規定により日本銀行において保管されている。

二の3について

 特例政令第四条第一項に規定する明細書は、供託所から日本銀行に送付されているが、当該明細書のすべてを調査、整理し、被供託者の国籍別に集計するなどの作業は膨大なものとなるため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

二の4について

 特例政令第七条の規定により供託された供託物については、現時点において、特段の措置を採ることは考えておらず、その保管を継続することとしている。

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