QUESTIONS質問主意書

第162回国会 「JCOにおけるウラン溶液製造の許可に関する質問主意書」(2005年2月22日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

質問主意書

質問第三号

JCOにおけるウラン溶液製造の許可に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成十七年二月二十二日

福島 みずほ   

       参議院議長 扇 千景 殿

   JCOにおけるウラン溶液製造の許可に関する質問主意書

 株式会社ジェー・シー・オー(以下「JCO」という。)におけるウラン溶液製造の許可に関しては、平成十六年十月十四日に質問主意書を提出し、平成十六年十一月十九日付けでこれに対する答弁書(以下「答弁書」という。)を受領している。しかし、その答弁内容については、次に述べるような疑義がある。

 まず、「常陽」「ふげん」用硝酸ウラニル溶液の製造については、核燃料サイクル開発機構東海事業所の報告書「JCO臨界事故に関するサイクル機構とJCOとの関係について-改訂版-(調査報告)」において、「許認可申請書には硝酸ウラニル溶液の製造に関しては記載されていない」と記述しているのに対して、答弁書では、「天然二酸化ウラン粉末を硝酸に溶解して硝酸ウラニル溶液にする工程を含む核燃料物質の使用の許可を得て」おり「「違法製造」が行われていたとの事実は承知していない」との答弁があった。

 一方、「もんじゅ」用硝酸ウラニル溶液の製造については、答弁書では具体的答弁がなかった。

 また、答弁書において、「工程を含む」許可を得ている旨の答弁がなされている部分があるが、この「工程を含む」の趣旨が、最終製品を意味するのか工程の途中における中間状態なのかが明確でない。

 さらに、答弁書の内容では、JCOが実際に転換試験棟以外の施設、すなわち第1加工施設棟・第2加工施設棟で硝酸ウラニル溶液を最終製品として製造する許可を得ていたのかについても依然として疑義がある。

 したがって、JCOが最終製品として「常陽」「ふげん」「もんじゅ」用の硝酸ウラニル溶液(「常陽」用の一部分を除く。)を製造する許可を得ていたことの証拠が示されていない。

 そこで、改めて以下質問する。

一 「常陽」「ふげん」用硝酸ウラニル溶液製品の製造許可について

1 答弁書では、「昭和五十六年度当時、JCOは、原子炉等規制法第五十二条第一項の規定に基づき、管理棟にある使用施設において天然二酸化ウラン粉末を硝酸に溶解して硝酸ウラニル溶液にする工程を含む核燃料物質の使用の許可を得ている。」と説明している。

 この「硝酸ウラニル溶液にする工程を含む」とは、最終製品としてウラン粉末を製造する工程の途中でいったんウラン溶液の状態になることであり、硝酸ウラニル溶液を最終製品として製造する許可を得ていることではないのではないか。

2 もし、JCOが当時、後に溶液製造を含む加工事業許可を取得した転換試験棟以外で、最終製品として「常陽」「ふげん」用の硝酸ウラニル溶液を製造する許可を得ていたのならば、「常陽」「ふげん」用の硝酸ウラニル溶液を最終製品として製造することを申請した年月日と、それに対して国が許可を与えた年月日はいつか。あわせて、JCOが硝酸ウラニル溶液を最終製品として製造することをどのように記載したのか、申請書の該当部分の具体的な文言を示されたい。

 また、申請書による許可を得ていなかった場合、最終製品としてウラン粉末の製造の許可のみを得た施設で硝酸ウラニル溶液を最終製品として製造することは許可なき製造に当たり、違法ではないか。これに対して、国は何らかの措置を行ったのか。

二 「もんじゅ」用硝酸ウラニル溶液製品の製造許可について

1 答弁書では、JCOが「六フッ化ウラン等を硝酸ウラニル溶液に転換し、さらに、それを酸化ウラン粉末にする工程を含む加工の事業(以下「加工事業」という。)の許可を得ていた。」と説明している。

 しかし、現在入手可能な申請書類から確認できるところでは、硝酸ウラニル溶液を製品として製造する許可を得ていたのは、昭和五十九年の変更許可により溶液製造許可を得た転換試験棟のみである。その転換試験棟では、「もんじゅ」用硝酸ウラニル溶液を製造した記録は存在しない。このことから、「もんじゅ」用硝酸ウラニル溶液を製造していたのは軽水炉用ウラン加工施設(第1加工施設棟・第2加工施設棟)ではないか。どの加工施設棟のどの場所において製造されていたかも併せて示されたい。

2 転換試験棟を除けば、「六フッ化ウラン等を硝酸ウラニル溶液に転換し、さらに、それを酸化ウラン粉末にする工程を含む加工の事業」とは、最終製品としてウラン粉末を製造する工程でいったんウラン溶液の状態になることであり、硝酸ウラニル溶液を最終製品として製造する許可を得ていることではないのではないか。あわせて、国としてJCOの軽水炉用ウラン加工施設(第1加工施設棟・第2加工施設棟)にいかなる製品の製造許可を与えていたかも示されたい。

3 もし、JCOが最終製品として「もんじゅ」用の硝酸ウラニル溶液を製造する許可を得ていたのならば、「もんじゅ」用の硝酸ウラニル溶液を最終製品として製造することを申請した年月日と、それに対して国が許可を与えた年月日はいつか。あわせて、JCOが硝酸ウラニル溶液を最終製品として製造することをどのように記載したのか、どの加工施設棟のどの場所での溶液製造であるかも含め、申請書の該当部分の具体的な文言を示されたい。

 また、許可を得ていなかった場合、最終製品としてウラン粉末の製造の許可のみを得た施設で硝酸ウラニル溶液を最終製品として製造することは許可なき製造に当たり、違法ではないか。これに対して、国は何らかの措置を行ったのか。

三 住友金属鉱山株式会社による「常陽」用ウラン粉末の製造許可について

 国は昭和四十七年三月、住友金属鉱山株式会社から申請のあった「常陽」用二十三%濃縮ウラン粉末の製造を許可しているが、その年間予定使用量は四十キログラムである(住友金属鉱山株式会社が昭和四十七年二月提出した「核燃料物質使用許可申請書」による)。ところが、当時の動力炉・核燃料開発事業団は三年間で約千五百キログラムの二十三%濃縮ウラン粉末製造を発注し、住友金属鉱山株式会社はそれを製造している(原子力安全委員会「ウラン加工工場臨界事故調査委員会報告」(平成十一年十二月二十四日)参考Ⅲ-20)。これは国により許可された予定使用量を大幅に逸脱するものであり、違法ではないか。また国はこれに対して何らかの措置を行ったのか。

  右質問する。

答弁書

答弁書第三号

内閣参質一六二第三号

  平成十七年三月四日

内閣総理大臣 小泉 純一郎   

       参議院議長 扇 千景 殿

参議院議員福島みずほ君提出JCOにおけるウラン溶液製造の許可に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員福島みずほ君提出JCOにおけるウラン溶液製造の許可に関する質問に対する答弁書

一について

 昭和五十六年度当時、株式会社ジェー・シー・オー(旧日本核燃料コンバージョン株式会社を含む。以下「JCO」という。)が得ていた核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第五十二条第一項の規定に基づく核燃料物質の使用の許可(以下「使用の許可」という。)に係る申請書の管理棟にある使用施設に関する記載部分及び原子炉等規制法第十三条第一項の規定に基づく加工の事業の許可(以下「加工事業の許可」という。)に係る申請書の第1加工施設棟及び第2加工施設棟に関する記載部分において、硝酸ウラニル溶液をお尋ねの「最終製品」とする明示的な記載はないが、使用又は加工の工程の中で硝酸ウラニル溶液を製造する旨の記載がある。

 お尋ねの高速実験炉「常陽」及び新型転換炉「ふげん」用の硝酸ウラニル溶液を、管理棟にある使用施設において製造することについては、加工等を事業として行うものでない限り、使用の許可に基づき、硝酸ウラニル溶液を製造することができると考えており、仮に昭和五十六年度当時、JCOが、当該使用施設において、硝酸ウラニル溶液を製品として製造していたとしても、そのことをもって使用の許可に係る規定に違反していたとは言えないと考えている。

 また、昭和五十六年度当時、天然ウランを用いて製造された硝酸ウラニル溶液(以下「天然ウラン溶液」という。)を製品とすることについては、硝酸ウラニル溶液の原料が天然ウランであり、加工事業の許可基準の一つとしている核燃料施設安全審査基本指針(昭和五十五年二月七日原子力安全委員会決定)等に照らして臨界防止の措置を考慮する必要がなかったことから、直ちに原子炉等規制法第十六条第一項に規定する加工の事業の変更許可(以下「加工事業の変更許可」という。)が必要であったとは言えないと考えている。したがって、仮に当時、JCOが、第1加工施設棟又は第2加工施設棟において、お尋ねの「常陽」及び「ふげん」用の天然ウラン溶液を製品として製造していたとしても、そのことをもって直ちに加工事業の許可に係る規定に違反していたとは言えないと考えている。

二の1について

 先の答弁書(平成十六年十一月十九日内閣参質一六一第一号)一の3についてで述べたとおり、JCOは、加工事業の許可を得ていたが、お尋ねのような特定の原子炉の燃料の製造に用いられる硝酸ウラニル溶液をどの施設で製造していたかについては、国に対して報告されることとなっていないので、お答えすることが困難である。

二の2及び3について

 JCOの加工事業の許可に係る申請書の第1加工施設棟及び第2加工施設棟に関する記載部分において、酸化ウラン粉末を製品とする旨の記載がある。また、硝酸ウラニル溶液をお尋ねの「最終製品」とする明示的な記載はないが、加工の工程の中で硝酸ウラニル溶液を製造する旨の記載がある。

 平成十五年十二月に核燃料サイクル開発機構東海事業所が発表した「JCO臨界事故に関するサイクル機構とJCOとの関係について―改訂版―(調査報告)」において高速増殖原型炉「もんじゅ」用燃料の製造に用いられる硝酸ウラニル溶液の製造が開始されたとされる平成元年当時、劣化ウランを用いて製造された硝酸ウラニル溶液(以下「劣化ウラン溶液」という。)を製品とすることについては、硝酸ウラニル溶液の原料が劣化ウランであり、加工事業の許可基準の一つとしている核燃料施設安全審査基本指針等に照らして臨界防止の措置を考慮する必要がなかったことから、直ちに加工事業の変更許可が必要であったとは言えないと考えている。したがって、仮に当時、JCOが、第1加工施設棟又は第2加工施設棟において、お尋ねの「もんじゅ」用の劣化ウラン溶液を製品として製造していたとしても、そのことをもって直ちに加工事業の許可に係る規定に違反していたとは言えないと考えている。

三について

 お尋ねの点については、現時点において、当時の事実関係について正確に把握することが困難であるため、お答えすることが困難である。

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