QUESTIONS質問主意書

第171回国会 「深刻な雇用情勢下における都道府県労働局の廃止等に関する質問主意書」(2009年4月10日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

質問主意書

質問第一二五号

深刻な雇用情勢下における都道府県労働局の廃止等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十一年四月十日

福島 みずほ   

       参議院議長 江田 五月 殿

   深刻な雇用情勢下における都道府県労働局の廃止等に関する質問主意書

 未曾有の雇用危機に直面する今日、働く者の生活と権利の保障を担う労働行政はきわめて重要となっており、労働法令を整備するとともに、都道府県労働局をはじめとした行政組織を拡充し、労働行政がその役割を十全に発揮することが求められている。このような中、地方分権改革推進委員会の「第二次勧告」(昨年十二月八日)は、都道府県労働局の廃止、ブロック機関化及び地方厚生局との統合を行うべき旨を明らかにしたが、現在の都道府県労働局が労働分野の諸施策の実施に如何なる役割を果たしているか、また、ブロック機関化が労働者の諸権利に如何なる影響を及ぼすのか等について、広く国民の前に明らかにし、その当否を慎重に検討することが重要である。

 そこで、以下質問する。

一 すべての行政分野でナショナル・ミニマムの目標水準を達成し、これを維持していくことは、国の重要な役割の一つであるが、深刻な雇用情勢の下で、国民の勤労権の保障や労働基準の確保等に向けた国の果たすべき責任をどのように考えるか。

二 都道府県労働局に置かれた雇用均等室に寄せられた相談件数及び法令違反に対する指導件数の推移(過去三年間)を明らかにされたい。また、都道府県労働局を廃止し、ブロック機関化することは、例えば青森県に居住する女性労働者が宮城県に所在する労働局に赴く必要が生じるようになるなど、利用者の利便性を大きく損なうとともに、現行の法令で定められた都道府県労働局長の権限行使を困難にし、女性労働者や家庭責任を有する労働者の権利保障の実効性を損なうことにならないか。

三 都道府県労働局に置かれた需給調整事業部門に寄せられた派遣労働者等からの相談件数及び法令違反に対する指導件数の推移(過去三年間)を明らかにされたい。また、都道府県労働局を廃止し、ブロック機関化することは、利用者の利便性を大きく損なうとともに、現行の法令で定められた都道府県労働局長の権限行使を困難にし、派遣労働者をはじめとする多くの不安定雇用労働者の権利保障の実効性を損なうことにならないか。

四 都道府県労働局に置かれた企画室に寄せられた労働相談件数、都道府県労働局長による助言・指導件数及び紛争調整委員会によるあっせん件数の推移(過去三年間)を明らかにされたい。また、都道府県労働局を廃止し、ブロック機関化することは、相談者等の利便性を大きく損なうとともに、現行の法令で定められた都道府県労働局長の権限行使を困難にし、個別労働紛争を抱える多くの労働者の権利保障の実効性を損なうことにならないか。

五 都道府県労働局を廃止し、ブロック機関化することによって、国民の利便性を高め、かつ労働者の権利救済に資する事務を一つ以上挙げることができるか。できるとすれば、その事務を具体的に明らかにされたい。

  右質問する。

答弁書

答弁書第一二五号

内閣参質一七一第一二五号

  平成二十一年四月二十一日

内閣総理大臣 麻生 太郎   

       参議院議長 江田 五月 殿

参議院議員福島みずほ君提出深刻な雇用情勢下における都道府県労働局の廃止等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員福島みずほ君提出深刻な雇用情勢下における都道府県労働局の廃止等に関する質問に対する答弁書

一について

 職業紹介事業や雇用保険事業等により雇用の安定の確保を図り、国民の勤労の権利の保障をしていくことや、労働基準監督機関による事業所等に対する監督指導を通じ、労働基準関係法令の遵守を図っていくことは、国としての重要な責務であると認識しており、今後とも、これらの施策を着実に実施してまいりたい。

二から五までについて

 お尋ねの都道府県労働局雇用均等室に寄せられた相談件数は、平成十七年度が九万三千五十七件、平成十八年度が七万八千五百八十五件、平成十九年度が八万九千九百三十八件である。また、お尋ねの法令違反に対する指導件数は、平成十七年度が四万二千四百六十六件、平成十八年度が五万千九百二十三件、平成十九年度が六万五百二十三件である。

 お尋ねの派遣労働者等からの相談件数は把握していないが、労働者派遣事業に係る法令違反に対する事業者ごとの指導監督件数は、平成十七年度が六千六十八件、平成十八年度が九千七百七十六件、平成十九年度が一万百六十三件である。このうち、文書による指導実施件数は、平成十七年度が三千六百二十件、平成十八年度が六千二百八十一件、平成十九年度が六千五百二十四件である。

 お尋ねの「都道府県労働局に置かれた企画室に寄せられた労働相談件数」については、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平成十三年法律第百十二号)に基づいて都道府県労働局長が行った総合労働相談の件数としては、平成十七年度が九十万七千八百六十九件、平成十八年度が九十四万六千十二件、平成十九年度が九十九万七千二百三十七件である。また、都道府県労働局長に対する助言・指導申出の件数は平成十七年度が六千三百六十九件、平成十八年度が五千七百六十一件、平成十九年度が六千六百五十二件であり、都道府県労働局長によるあっせん申請の受理件数は平成十七年度が六千八百八十八件、平成十八年度が六千九百二十四件、平成十九年度が七千百四十六件である。

 また、政府としては、都道府県労働局の組織については、出先機関改革に係る工程表(平成二十一年三月二十四日地方分権改革推進本部決定)に基づき、地方分権改革推進委員会第二次勧告で示された出先機関の組織の改革の方向性に沿って検討を進め、平成二十一年中を目途に策定することとしている改革大綱に盛り込むこととしているが、その際には、国民が総合労働相談等を利用する際の利便性や労働者の権利保障・権利救済の実効性などの観点から、都道府県労働局の事務・権限の的確かつ確実な実施を確保してまいりたいと考えている。

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