QUESTIONS質問主意書

第187回国会 「「日米防衛協力のための指針の見直しに関する中間報告」に関する質問主意書」(2014年10月22日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

質問主意書

質問第三七号

「日米防衛協力のための指針の見直しに関する中間報告」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十六年十月二十二日

福島 みずほ   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

   「日米防衛協力のための指針の見直しに関する中間報告」に関する質問主意書

 政府が二〇一四年十月八日に発表した「日米防衛協力のための指針の見直しに関する中間報告」(以下「中間報告」という。)について、以下質問する。

一 政府は七月一日の閣議決定「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(以下「本閣議決定」という。)において、憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を認めたほか、他国軍隊への後方支援や国連PKOにおける自衛隊の活動内容についての見直しを行っている。その際、政府は、本閣議決定の内容を実施するには国内法整備が必要であり、その段階で国会でも十分な御審議をいただきたいとしていた。他方、日米防衛協力のための指針(以下「日米ガイドライン」という。)の見直しについては、昨年十月の日米安全保障協議委員会(二プラス二)において、防衛協力小委員会が行う日米ガイドラインの変更に関する勧告作成の作業完了の目途を本年末とすることが定められている。

 すなわち、政府は、憲法解釈の変更等について、国会での十分な審議もないまま、それを前提として日米両政府間で日米ガイドラインを改定し、その後に改定内容を反映した形で関連法案を提出しようとしている。本来は、国会が発議して改正手続をとるべき憲法に関する重大な問題を、国会で十分な審議をする前に、日米ガイドラインで方向性を定めて既成事実を作ってしまうのは、国会軽視ではないか。

二 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「日米安保条約」という。)は、「極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮」し、締結されたものである。他方、今回の中間報告では、「地域の及びグローバルな平和と安全のための協力」が前面に出てきているが、このことは、日米安保条約の極東条項の範囲を超えるのではないかと思われる。安全保障面での日米協力は、日米安保条約が全体の土台になっているとの理解でよいか。また、安全保障面でのグローバルな日米協力を進めていくというのであれば、今回の日米ガイドラインは日米安保条約を実質的に改定するものと考えるが、いかがか。

三 現在の日米ガイドラインは、平時、日本有事、周辺事態の三分類で自衛隊と米軍の役割を規定しているが、中間報告ではこうした区分がなされていない。政府は、「周辺事態は地理的概念ではない」としつつも、「地球の裏側とか中東とかインド洋で生起するようなことは現実の問題としては想定されない」と答弁していた(一九九九年五月十二日参議院日米防衛協力のための指針に関する特別委員会における野呂田芳成国務大臣の答弁)。仮に「周辺事態」の概念を放棄した場合、対米協力の後方支援等のための法律はどのように整備するつもりなのか。グローバルに対米協力が可能となる法律を通則法ないしは恒久法として制定するつもりなのか、政府の見解を明らかにされたい。

四 本閣議決定で政府は、従来の「非戦闘地域」等の枠組みを見直し、「現に戦闘行為を行っている現場」(戦場)以外で他国の軍隊に物資の補給等を行っても、他国の武力の行使と一体化することはないとの考え方を示した。周辺事態の概念を放棄してグローバルな対米協力支援法を制定した場合、中東などで米軍が戦闘行為を行っているすぐそばまで行って、自衛隊が後方支援活動を行うようなことも可能になるのではないかと思われる。その場合、兵たんの補給は敵に狙われやすく、攻撃を受けて反撃する中で、実態として自衛隊が戦闘に巻き込まれる可能性があるのではないか。また、相手方からすれば、前線で戦っていようが、前線のわずか後方で兵たんの補給活動等を行っていようが、敵であることは同じであり、日本国内や外国でも在留邦人が多くいる場所で報復テロが起きる危険性が高まると考えるが、いかがか。

五 自衛隊が中東やインド洋で活動した「平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(テロ特措法)」や「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(イラク特措法)」は、特定の事態にのみ対応する特別措置法であり、活動はいわゆる「非戦闘地域」等に限られていた。また、国連安保理決議を踏まえた活動であることが法律の中にも示されていた。今回の中間報告は、こうした一連の憲法上ないし法律上の制限を立法措置抜きに変更するものであり、違憲・違法な行政行為と考えるが、いかがか。

六 中間報告に盛り込まれた以下の用語について、その具体的内容を明らかにされたい。

1 「切れ目のない、力強い、柔軟かつ実効的な日米共同の対応」とあるが、「切れ目のない」とは、どのような事項の間において切れ目がない、というのか。平時、有事、グレーゾーンの切れ目のない、という意味か。

2 「日米同盟のグローバルな性質」とあるが、グローバルの概念を明らかにされたい。全地球的規模という意味か。

3 「地域の他のパートナーとの協力」とあるが、他のパートナーとは具体的に誰を指すのか。

4 「情報収集、警戒監視及び偵察」の具体的内容を明らかにされたい。

5 「アセット(装備品等)の防護」の具体的内容を明らかにされたい。

6 「防空及びミサイル防衛」の具体的内容を明らかにされたい。

7 「施設・区域の防護」の具体的内容を明らかにされたい。

8 「海洋安全保障」の具体的内容並びに対象海域の範囲を明らかにされたい。ホルムズ海峡の機雷除去などは含まれるのか。

  右質問する。

答弁書

答弁書第三七号

内閣参質一八七第三七号

  平成二十六年十月三十一日

内閣総理大臣 安倍 晋三   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員福島みずほ君提出「日米防衛協力のための指針の見直しに関する中間報告」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員福島みずほ君提出「日米防衛協力のための指針の見直しに関する中間報告」に関する質問に対する答弁書

一、三及び四について

 現時点において、御指摘の「周辺事態」の取扱いについては決まっておらず、また、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)に基づく安全保障法制の具体的な在り方、法整備の内容、国会への法案の提出の時期等については検討中であり、お尋ねについてお答えすることは差し控えたい。いずれにせよ、平成二十六年十月八日の「日米防衛協力のための指針の見直しに関する中間報告」(以下「中間報告」という。)を含め、国会における御議論に適切に対応する所存であることから、国会軽視との御指摘は当たらないと考えている。

二について

 お尋ねの「全体の土台」の意味が明らかではなく、お答えすることは困難である。また、中間報告において明らかにされているとおり、見直し後の日米防衛協力のための指針及びその下で行われる取組については、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和三十五年条約第六号)に基づく権利及び義務は変更されないとの基本的な前提及び考え方に従うこととなる。

五について

 中間報告において明らかにされているとおり、見直し後の日米防衛協力のための指針及びその下で行われる取組については、日米両国の全ての行為は、各々の憲法及びその時々において適用のある国内法令に従って行われるとの基本的な前提及び考え方に従うこととなるため、御指摘は当たらないと考えている。

六の1について

 お尋ねの「切れ目のない」については、例えば、中間報告においては、「日米両政府は、平時から緊急事態までのいかなる段階においても、切れ目のない形で、日本の安全が損なわれることを防ぐための措置をとる。」との文脈で用いている。いずれにせよ、見直し後の日米防衛協力のための指針の下で行われる具体的な日米協力の在り方については、今後の見直し作業において、更に検討していくこととしている。

六の2について

 お尋ねの「グローバル」については、確立した定義があるわけではないが、例えば、中間報告においては、お尋ねに関連し得るものとして、日米同盟は「アジア太平洋及びこれを越えた地域に対して前向きに貢献し続ける国際的な協力の基盤である」と記述している。

六の3について

 お尋ねの「他のパートナー」の具体的な内容については、個別の日米二国間の協力の内容に応じて特定されるものであり、一概にお答えすることは困難である。

六の4から8までについて

 見直し後の日米防衛協力のための指針の下で行われる具体的な日米協力の在り方については、今後の見直し作業において、更に検討していくこととしており、その具体的内容についてお答えすることは困難である。

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