QUESTIONS質問主意書

第190回国会 「ミツバチ等の花粉媒介生物の保護に関する質問主意書」(2016年5月30日)

質問主意書

質問第一四五号

ミツバチ等の花粉媒介生物の保護に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年五月三十日

福島 みずほ   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

   ミツバチ等の花粉媒介生物の保護に関する質問主意書

 現在、わが国の各地で起こっているネオニコチノイド系農薬によるミツバチへの被害は、農林水産省による調査報告「平成二十六年度蜜蜂被害事例調査結果」(平成二十七年六月)等からも明らかとなっている。同報告では、農薬散布情報が共有されていないことも判明しており、ミツバチ、養蜂家への被害が続いていることがますます憂慮される。同時に、ミツバチは授粉を担い食料生産を支えていることから、養蜂のみならず、授粉を要する農業生産システムへのリスクも継続しており、事態の深刻さと緊急性を認識すべき状況にある。

 以上を鑑み以下を質問する。

一 欧州では、早い国で十年以上前からネオニコチノイド系農薬の規制が行われており、EUでも二〇一三年末から一部規制が始まっている。我が国では、農林水産省が自らの調査でネオニコチノイド系農薬とミツバチ被害の因果関係を確認してもなお効果のある対策をうてていない。野生生物への影響も次第に報告されている今日、登録停止などの抜本的な対策の必要性が増している。ネオニコチノイド系農薬の規制について農林水産省の今後の対策方針を提示されたい。

二 農薬登録の過程にかかわる農林水産省、厚生労働省、食品安全委員会、環境省のうち、登録自体に最も関与する農林水産省だけが、農薬登録の過程でパブリックコメントを実施しておらず、透明性、国民意見の反映という点でも看過できない問題である。登録申請書類として農林水産省に提出されているミツバチ影響試験、天敵昆虫等影響試験、鳥類影響試験などの試験成績を開示し、登録の是非について、パブリックコメントに付してしかるべきである。パブリックコメント募集を行っていないのはなぜか、その理由を明らかにされたい。また今後行う予定があれば、その概要を提示されたい。

三 独立行政法人農林水産消費安全技術センターの登録検査執務参考資料(以下「本件資料」という。)三-二十六-一ミツバチ影響試験成績の「(二)ミツバチへの影響に関する検査」では、「ミツバチに影響を及ぼすおそれがある場合とは、急性経口毒性試験または急性接触毒性試験の結果、LD50値が十一マイクログラム/頭未満の場合とする」とある。

 この数値の根拠は何か、具体的に説明されたい。

四 ミツバチに影響を及ぼすおそれがある場合の目安とされる、「LD50値が十一マイクログラム/頭未満」と比して、ネオニコチノイド系農薬であるイミダクロプリドのLD50値は〇・〇一七九マイクログラム/頭と、千倍もの差がある。毒性が千倍も異なる農薬に対して、求められる対応が表示による注意喚起や散布の告知など、弱い毒性のものと同等であることは、ミツバチをはじめとする花粉媒介生物(多くは野生のハチである)の保護の観点からきわめて不十分である。ミツバチに影響を及ぼすおそれがある場合の目安とされる数値の千倍もの毒性をもつ農薬への適切な対応に向けた今後の方針を説明されたい。

五 本件資料の内容、基準値など(ミツバチに影響を及ぼす恐れのある場合のLD50値等を含む)を決めているのは誰か。発行主体、本件資料内容の執筆編集の責任主体を明らかにされたい。また、本件資料作成にあたり、農林水産省はどのように関わり、責任をもっているか明らかにされたい。

六 本件資料の記載内容について、内容の見直しや改訂はどのような契機で行われるのか、その基準や過去の事例があれば説明されたい。

  右質問する。

答弁書

答弁書第一四五号

内閣参質一九〇第一四五号

  平成二十八年六月七日

内閣総理大臣 安倍 晋三   

       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員福島みずほ君提出ミツバチ等の花粉媒介生物の保護に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員福島みずほ君提出ミツバチ等の花粉媒介生物の保護に関する質問に対する答弁書

一及び四について

 農薬による蜜蜂への被害の防止対策については、科学的知見に基づいた措置を講じていくことが重要であると考えており、農林水産省においては、関係府省等とも連携しつつ、我が国における被害の実態を正確に把握するとともに、広く内外の最新のデータ等を収集し、これらに基づき必要な措置を検討していく方針である。なお、農薬による蜜蜂への悪影響を考えるに当たっては、農薬の有害性のみならず、その暴露量を踏まえる必要があることから、急性毒性の強弱を判断するための半数致死量の値が小さく、有害性が高い有効成分を含む農薬については、農薬の容器に蜜蜂に関する使用上の注意事項を付すこと、農薬を散布する際には養蜂家に事前に周知すること等により蜜蜂の農薬への暴露を防ぐことで、蜜蜂への被害の防止を図ってきたところである。

二について

 農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)に基づく農薬の登録は、製造者又は輸入者からの申請に対して行う処分であって、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第二号に規定する処分に該当し、同法に基づき意見公募手続を実施する必要がある同条第八号に規定する命令等には該当しない。

三について

 御指摘の「登録検査執務参考資料」(以下「本件資料」という。)においては、蜜蜂に影響を及ぼすおそれがある場合は、急性毒性の強弱を判断するための半数致死量の値が蜜蜂一頭当たり十一マイクログラム未満の場合とされているが、これは、千九百八十一年に米国で発表された研究論文の内容を踏まえたものであり、同国環境保護庁においても、その値が急性毒性の強弱を判断するための半数致死量の値とされていると承知している。

五について

 本件資料は、独立行政法人農林水産消費安全技術センター(以下「センター」という。)が、農薬取締法第二条第三項の規定に基づく検査を行う際に活用するために作成したものと承知している。農林水産省においては、当該検査が適切に実施されるよう、必要な指導を行っているところである。

六について

 センターにおいては、農薬取締法に基づく農薬の登録の申請に当たって申請者が提出すべき当該農薬の試験成績の内容が変更された場合など、必要に応じて本件資料の改正を行ってきたものと承知している。

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