QUESTIONS質問主意書

第191回国会 「米軍北部訓練場のオスプレイヘリパッド建設工事の強行に関する質問主意書」(2016年8月2日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

質問主意書

質問第三号

米軍北部訓練場のオスプレイヘリパッド建設工事の強行に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年八月二日

福島 みずほ   

       参議院議長 伊達 忠一 殿

   米軍北部訓練場のオスプレイヘリパッド建設工事の強行に関する質問主意書

 沖縄県議会は本年七月二十一日付けで「米軍北部訓練場ヘリパッド建設に関する意見書」をまとめ、「県民の生命、安全及び生活環境を守る立場から、政府が米軍北部訓練場ヘリパッド建設を強行に進めることに対し厳重に抗議するとともに、建設を直ちに中止するよう強く要請する」とし、政府に提出した。

 既に沖縄県内の民意は示されているが、国策が地方自治を侵害している状況に強く懸念を示しつつ、以下、質問する。

一 日本政府は北部訓練場へのオスプレイヘリパッドの建設を米国政府からいつ要請されたのか明らかにされたい。その際、米国政府からの要請文書があれば示されたい。また、日本政府は建設をいつ決定したのか明らかにされたい。なお、少なくとも「参議院議員糸数慶子君提出米軍北部訓練場のヘリパッド移設工事に関する質問に対する答弁書」(内閣参質一七七第六七号)には「将来において沖縄にMV二二が配備される可能性があることは認識しているが、現時点では、米国政府から我が国政府に対し、MV二二を沖縄に配備するという正式な通報は行われておらず、MV二二の沖縄への配備が確定しているわけではないと承知している」と記されている。

二 那覇防衛施設局が二〇〇七年二月に作成した「北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業(仮称)に係る環境影響評価図書」では、CH53ヘリを使用機種としており、沖縄県が県知事意見で北部訓練場を将来使用する航空機の機種変更の有無を質問したのに対し、国側は「使用機種の変更はないものと理解している」と回答していたことが報道で明らかとなった。実際には、オスプレイが北部訓練場への飛来を繰り返しており、住民生活に大きな影響を与えている。このような状況に鑑み、環境影響評価をやり直すべきではないか、政府の見解を示されたい。

三 本年七月十一日早朝にオスプレイヘリパッド建設工事を再開した理由を示されたい。なぜこの日になったのか、誰が決定したのかについても併せて示されたい。

四 本年七月二十二日、沖縄防衛局は「N1地区」と言われる地点で、沖縄県の管理する県道の上に設置されていたテントや内部の物品などを強制撤去し、名護防衛事務所に持ち去った。そのような権限は沖縄防衛局にはないにもかかわらず、テント等を撤去し、名護防衛事務所において保管している法的根拠は何か、明らかにされたい。

五 電源開発株式会社の「沖縄やんばる揚水発電所」は国の補助事業により建設した施設を同社が国から払い下げを受け、国・米軍・同社の三者で相互利用していたが、本年七月二十二日に突然「関係者以外通行禁止」の貼り紙が掲示され、同発電所へ至る道路の通行が制限された。この通行制限は何を理由にしたものか、明らかにされたい。また、沖縄防衛局は同発電所の施設管理権を得ているのか、得ているとしたらいつ得たのか、明らかにされたい。

六 前記沖縄県議会の「米軍北部訓練場ヘリパッド建設に関する意見書」は、先行提供されたN4地区の二カ所のヘリパッドでは、オスプレイの離着陸訓練が急増し、「オスプレイは昼夜を問わず民間地域の上空を低空飛行し、住民は身体的にも精神的にも限界を超えた騒音・低周波を浴び続け、学校を欠席する児童もいる」と指摘している。地域住民の居住環境の悪化について政府はどのような対応策を考えているのか、明らかにされたい。

  右質問する。

答弁書

答弁書第三号

内閣参質一九一第三号

  平成二十八年八月十五日

内閣総理大臣 安倍 晋三   

       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員福島みずほ君提出米軍北部訓練場のオスプレイヘリパッド建設工事の強行に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

   参議院議員福島みずほ君提出米軍北部訓練場のオスプレイヘリパッド建設工事の強行に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「オスプレイヘリパッドの建設」の意味するところが必ずしも明らかではないが、北部訓練場におけるヘリコプター着陸帯の移設については、平成七年十一月十九日に行われた村山内閣総理大臣とゴア米国副大統領(いずれも当時)との会談の結果日米安全保障協議委員会(以下「SCC」という。)の下に設置された沖縄に関する特別行動委員会(以下「SACO」という。)において日米間で協議が行われ、平成八年十二月二日のSCCにおいて池田外務大臣、久間防衛庁長官、ペリー米国国防長官及びモンデール駐日米国大使(いずれも当時)によって承認されたSACO最終報告に盛り込まれたものである。

二について

 北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業は、沖縄県環境影響評価条例(平成十二年沖縄県条例第七十七号)の適用対象事業ではなく、同事業に係る環境影響評価については、法的に義務付けられているものではないが、那覇防衛施設局(当時)において、自然環境の保全にできる限り配慮するとの観点から、自主的に実施したところである。

 沖縄防衛局としては、環境影響評価を再度行う必要があるとは考えておらず、今後自主的に行うこととしている事後調査において、ヘリコプター着陸帯における垂直離着陸機MV二二オスプレイ等の飛行運用を踏まえた騒音、植物、動物等の調査を実施し、その状況を把握することとしている。

三について

 お尋ねの「オスプレイヘリパッド建設工事」の意味するところが必ずしも明らかではないが、沖縄防衛局は、北部訓練場のヘリコプター着陸帯の移設工事を進めるに当たり、所要の準備が整ったことから、平成二十八年七月十一日に同訓練場へ資機材を搬入したところである。

四について

 御指摘の「強制撤去」の意味するところが必ずしも明らかではないが、北部訓練場のヘリコプター着陸帯の移設工事については、当該工事に反対する人々によって、国の所有地である進入路における車両の駐車、テント等の設置等の妨害行為が繰り返し行われ、その円滑な実施が阻害されてきたところである。

 これらの妨害行為は、同訓練場の一部土地を沖縄県が日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第二条4(a)の規定に基づき共同使用している道路上で行われたことから、防衛省としては、道路管理者である同県に対して累次にわたって、車両、テント等の撤去に向けた所要の措置を講ずるよう要請してきたところであり、同県は、車両、テント等が道路管理者の許可を受けずに道路を占用し、道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第三十二条に違反している状況にあるとの認識を示した上で、当該妨害行為を行っている人々に対して文書指導を行ったものと承知している。

 このような同県による文書指導によっても車両、テント等が撤去されず、さらにテント等の所有者が不明であったことから、沖縄防衛局においては、道路上に物件等を放置する行為は同条第一項に違反する行為であり、在日米軍や工事用車両等の通行を妨げていることを指摘し、その所有者にそれらを直ちに撤去するとともに再び同様の行為を繰り返さないことを要請し、さらに、テント等の所有者の有無を確認する趣旨で、平成二十八年七月十九日を経過しても撤去されていないテント及びその内部に放置されている物件については所有権が放棄されたものとみなす旨を記載した要請文を掲示し、所有者を名乗る者がいなかったことを確認した上で、当該テント等については所有者がいないものと判断し、同局において、在日米軍の施設及び区域の適切な管理を図るとともに当該工事の事業者として工事の円滑な実施及び進入路における安全を確保する観点から、当該テント等を撤去し、同局名護防衛事務所において保管しているところである。

五について

 御指摘の「通行制限」及び「同発電所の施設管理権」の意味するところが必ずしも明らかではないが、沖縄防衛局は、電源開発株式会社が日米地位協定第二条4(a)の規定に基づき共同使用している北部訓練場の一部土地について、北部訓練場のヘリコプター着陸帯の移設工事のために使用するため、在日米軍と調整を行った上で、平成二十八年七月二十二日、部外者による立入りを防止し、工事の安全を確保するため、仮設物を設置し、「関係者以外通行禁止」と記載した看板を掲示したものであるが、当該土地の使用に当たっては、同社の使用を妨げることのないよう、同社と適切に調整を行っている。

六について

 沖縄防衛局は、北部訓練場周辺の三か所に航空機騒音自動測定装置を設置し、騒音状況の把握に努めているところである。また、高江小中学校体育館の屋上に進入回避標識灯を設置するとともに、現在、更に二か所に追加設置する手続を進めているところである。さらに、政府としては、累次の機会に、航空機の運用による騒音の影響をできるだけ軽減するよう米側に申入れを行ってきている。

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