QUESTIONS質問主意書

第200回国会 外国人の収容および「送還忌避」に関する質問(2019年12月2日) | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

第200回国会(臨時会)

質問主意書

質問第八四号

外国人の収容および「送還忌避」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

令和元年十二月二日

福島 みずほ

参議院議長 山東 昭子 殿

外国人の収容および「送還忌避」に関する質問主意書

政府は「送還忌避者の増加は、我が国にとって好ましからざる外国人を強制的に国外に退去させるという退去強制制度の趣旨を没却するばかりか、退去強制を受ける者の収容の長期化の主要な要因ともなっている」として、本年、第七次出入国管理政策懇談会下に「収容・送還に関する専門部会」を設置した。しかし、送還忌避者が増加している事実やその理由については必ずしも明らかにされておらず、また、収容の長期化については、仮放免制度の厳格化が要因となっているという指摘もある。
様々な事情で母国に帰国できない等の理由によって、非正規滞在となる外国人も存在し、今後国際交流が進むにあたり訪日外国人が増加する中で、非正規滞在の外国人に対する誤った認識は、差別意識を助長し人権侵害を生じさせるおそれがある。そこで、外国人の収容や送還に関する事実を明らかにするために、以下質問する。

一 「送還忌避者」について

1 法務省によれば、退去強制令書の発付を受けたにもかかわらず、様々な理由で送還を忌避する者がいるというが、「送還忌避者」の定義を示されたい。
2 出入国在留管理庁が二〇一九年十月一日に公表した「送還忌避者の実態について」では、同年六月末時点で八百五十八名の「送還忌避被収容者」がいるとされている。二〇一三年から二〇一八年の各年における「送還忌避被収容者」の数を示されたい。また、この数字を本年十月に初めて公表した理由をあわせて示されたい。
3 前記一の2の「送還忌避被収容者」の中には難民認定申請者も含まれるとされているが、難民認定申請者を送還することは可能か、政府の見解を示されたい。また、送還することができない場合は、それを定めた国際条約や国内法もあわせて示されたい。

二 「長期収容」について

1 収容の目的は、送還のための一時的な身体拘束である。そうだとすると、身体拘束は必要最小限の範囲に留めるべきであるが、数年にもわたる長期収容は憲法十三条、三十一条、三十四条に反することにならないか、政府の見解を示されたい。
2 二〇一九年六月末時点の被収容者千百四十七名のうち、退去強制令書に基づく収容がされた日から六ヶ月以上収容されていたものの数を示されたい。
3 前記二の2のうち、本邦で出生したものの数を示されたい。
4 二〇一八年二月二十八日付け「被退去強制令書発付者に対する仮放免措置に係る適切な運用と動静監視強化の更なる徹底について(指示)」に別添されている「仮放免運用方針」が作成された背景を示されたい。また、入管行政の透明性向上のためには当該方針の公表が必要だと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 子どもの収容および送還について

日本で生まれ育った外国籍または無国籍の子どもについては、家族と引き離されることにより、精神的・身体的リスクが高まるおそれがある。子どもの収容および送還について、子どもの最善の利益を保障するためにどのような方策を講ずるべきか、政府の見解を示されたい。

右質問する。

 

第200回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二〇〇第八四号
令和元年十二月十三日

内閣総理大臣 安倍 晋三

参議院議長 山東 昭子 殿

参議院議員福島みずほ君提出外国人の収容および「送還忌避」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

参議院議員福島みずほ君提出外国人の収容および「送還忌避」に関する質問に対する答弁書

一の1について

お尋ねの「送還忌避者」については、法令上の用語ではないが、出入国管理の実務上、退去強制令書の発付を受けたにもかかわらず、自らの意思に基づいて、法律上又は事実上の作為・不作為により本邦からの退去を拒んでいる者を指して用いている。

一の2について

お尋ねの「二〇一三年から二〇一八年の各年における「送還忌避被収容者」の数」については、いずれも集計を行っておらず、お答えすることは困難である。
また、御指摘の「送還忌避者の実態について」は、近年、退去強制令書の発付を受けたにもかかわらず、様々な理由で送還を忌避する者がおり、このような送還忌避者が、迅速な送還に対する大きな障害となっているばかりでなく、収容期間の長期化の大きな要因となっている状況を踏まえ、送還忌避者の実態等を明らかにするために集計し公表したものである。

一の3について

退去強制令書の発付を受けた者が難民認定手続中である場合は、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第六十一条の二の六第三項の規定により送還を停止するものとされている。

二の1について

入管法第五十二条第五項の規定による収容は、入管法第五章に定める慎重な手続により退去強制令書が発付された外国人について、直ちに本邦外に送還することができない場合に、送還可能のときまで行われるものであり、被収容者が同条第四項の規定により自ら本邦を退去することなどによりすぐさま収容状態が解かれるという性質のものであることから、憲法第十三条、第三十一条及び第三十四条との関係で問題を生ずることはないと考えている。

二の2及び3について

令和元年六月末現在の、退去強制令書に基づく収容期間が六か月以上である被収容者の数は、六百七十九人(速報値)である。
また、お尋ねの「本邦で出生したものの数」については、集計を行っておらず、お答えすることは困難である。

二の4について

お尋ねの「作成された背景」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「仮放免運用方針」は、近年、難民認定手続における濫用・誤用事案への対策が急務となっており、濫用・誤用的難民認定申請者に対して従来から講じている就労・在留制限措置が更に拡大されたこと等を踏まえて定められたものであるところ、その一部については、これを公にすることにより、公共の安全と秩序の維持及び仮放免事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとの理由から公表を差し控えている。

三について

出入国在留管理庁においては、従来から、退去強制手続に際し、原則として、児童は収容しないこととしているのみならず、その児童の監護に必要な親がいる場合には、原則として、その親も収容することなく手続を行い、例外的に児童を収容する場合であっても、その期間は必要最小限にするとともに、収容時の児童の処遇についても児童の最善の利益を考慮して対応しているほか、児童の送還についても可能な限り家族と共に送還するなど、個々の事情を考慮しつつ適切に対応しているところである。

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