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2020年6月6日、公益通報者保護法改正案について地方創生および消費者特別委員会で質問 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

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201-参-地方創生及び消費者問題に関する特別委員会-010号 2020年06月05日(未定稿)

○福島みずほ君 立憲・国民.新緑風会・社民共同会派の福島みずほです。
まず、本改正案の目的について大臣にお聞きをいたします。
公益通報者保護法の目的は、通報者を保護することが国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資するということがあります。それと同時に、食品偽装や車やいろんな点は特にそうですが、消費者を守るということがその結果実現ができるということがあります。
担当大臣としての見解を教えてください。

○国務大臣(衛藤晟一君) 今委員御指摘のとおり、近年も消費者の安全、安心を損なう社会問題化する事業者の不祥事が明らかになってきております。
そのため、事業者の自浄作用を十分に発揮させることなどにより、法令違反行為が早期に是正される環境を確保し、公益通報者保護制度の実効性を更に高める必要があると判断し、事業者に体制整備を義務付けるなどの改正法案を提出させていただきました。
本改正法案により公益通報を安心して行うことのできる環境をつくることにより、消費者の安心、安全を脅かす事業者の行為が早期に抑止され、消費者の利益がしっかりと守れることになると考えています。

○福島みずほ君 現行法で国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法律に含まれないと解されている税法、補助金適正化法、公職選挙法等の追加をすべきではないでしょうか。

○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
公文書の適切な管理を始め、行政の適正性の確保につきましては、国民の信頼を確保する観点から、政府全体として常に真摯に取り組むべき課題であると考えております。
例えば、公文書の管理について申し上げれば、内閣府と各府省に通報の窓口が設置されており、職員からの公文書管理に関する通報を受け付けております。また、通報者の保護についても、行政機関向けガイドラインに基づいて各府省庁の内部において通報を理由とする不利益取扱いが禁止されており、通報により行政の適正性を確保するという観点では一定の措置が講じられております。
このように、行政の適正性を確保するためには、公益通報者保護制度のみならず、他の法制度において通報者を保護する仕組みを組み合わせることで政府全体として適切な対応を図ることが重要であると考えております。

○福島みずほ君 通報先に応じて保護される公益通報の要件が異なります。一号、二号、三号で、とりわけ三号の点については要件が厳しくなっております。通報者にとって報道機関等への通報の方がやりやすいという面もあります。この差を設けている、要件が異なることについては変えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(坂田進君) お答え申し上げます。
公益通報者を保護することや、公益通報によって安全、安心が得られる消費者の利益を確保することは重要なことでございます。他方で、事業者の利益を全く考慮しないのでは、かえって消費者の利益を損なうことになりかねません。そのため、事業者の正当な利益に配慮することも消費者の利益の確保にとって必要と考えられます。
このような観点から外部通報の保護要件は考えられており、報道機関に対する外部通報は風評被害のおそれがあるため、行政機関に対する外部通報よりも加重された要件の下で保護することが適当と考えられております。

○福島みずほ君 一般的には、本当は会社の内部に言うのが一番ベストなんですが、なかなかやりにくい、やっぱり報道機関の方が自分を逆に守ってくれるんではないかということもあります。これは将来、是非この要件どうするかについては検討の必要があると考えます。
内部通報体制整備義務についてお聞きをいたします。
指針では、体制整備についてどのような内容を定める予定でしょうか。通報者保護の観点を最優先に位置付けることや、内部通報に関する具体的な記録の作成、保管などを通じて、各事業者における内部通報制度の利用状況や通報者保護の状況を事後的に検証できる仕組みが必要ではないでしょうか。

○政府参考人(坂田進君) 指針に定める体制整備の具体的な内容としては、通報の窓口整備のみならず、窓口に通報があった場合の調査や、情報漏えいなど通報に関する内規の違反者に対する懲戒などのほか、安心して通報できるよう通報者に対する不利益取扱いや通報者に関する情報漏えいの禁止を社内規定に定め、その規定に基づき適切に運用するよう求めることを想定しております。
また、通報対応の仕組みの整備、運用状況や実績等について客観的な評価、点検を定期的に実施していくことは内部通報制度の実効性向上の観点から有用であると考えられ、民間事業者向けガイドラインにおいても、窓口の整備、運用の状況、実績について評価、点検することを推奨しているところでございます。
現在、ガイドラインにおいて推奨されている事項については、各事業者の実態等を踏まえた対応が望ましいものもあることから、指針の内容とすべきかについては改めて検討する必要がありますが、今般の改正法案が成立した後には、委員御指摘の点も踏まえて、関係者の意見を聞きながら検討してまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 この体制整備がどうなるかがとても重要なので、しっかり指針をきめ細やかに作ってくださるよう要請いたします。
ESG投資とのことについてお聞きをいたします。
環境、エンバイロンメント、それからソーシャル、ガバナンス、ESG投資などが今よく言われております。機関投資家などによる企業の格付評価の一指標となっております。内部通報制度は、このうちガバナンスに関係する要素と考えられると思います。
指針において企業格付評価や投資家保護の観点も考慮すべきであると考えますが、いかがでしょうか。これが考慮されることになれば、各企業、とりわけ大企業などはこれきちっと整備をすると思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(坂田進君) お答え申し上げます。
事業者内部の問題に関する情報を事業者が従業員から早期に入手することによって組織の自浄作用を高め、企業価値の維持向上を図ることを目的として多くの事業者が構築しているいわゆる内部通報制度は、コーポレートガバナンスの重要な構成要素としても位置付けられております。
改正法案及びこれに基づき策定される指針に沿って事業者が公益通報に適切に対応する体制を整備することは、事業者のガバナンスを強化し、企業価値を増大させることにもつながることから、投資家保護にも資するものと考えられます。
どのような事項を指針の内容とすべきかについては改めて検討をする必要がございますけれども、今般の改正法案が成立した後には、委員御指摘の点も踏まえて、関係者の御意見を聞きながら検討してまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 GPIFなどのまさに投資をする場合には、まさにこのことをしっかりやっている企業にやってもらうなどすれば随分進むのではないでしょうか。
次に、過失による通報者の特定情報の漏えいに対する刑事罰が規定されていませんが、導入を検討すべきではないでしょうか。
この間、参考人が、まさに濱田参考人が、故意か過失か分からないが漏えいをしたと。実際よく分からないということもあると思います。いかがでしょうか。

○政府参考人(坂田進君) お答え申し上げます。
今般の改正法案での守秘義務違反に対する刑事罰は、ほかの法律における守秘義務と同じく、故意による漏えいが対象であり、御指摘のとおり、過失による漏えいは刑事罰の対象とはなりません。
他方、今般の改正法案では、事業者に対して内部通報体制の整備義務を課すこととしており、その内容には、守秘義務を負う公益通報対応業務従事者向けに教育訓練を行うことや通報に関する情報を適切に管理することも含まれます。
過失による漏えいに対しては、過失犯を処罰の対象とするよりも、事業者の責務としてこうした教育訓練や事業者における情報管理の体制等を適切なものとすることにより抑止することが重要と考えられます。
過失による漏えいが生じた場合には、必要に応じ、事業者における体制整備の不備について行政措置の対象とするなど、適切な対応を取ってまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 漏えいが故意ではなくて過失だったという言い逃れが起こり得るのではないかというふうにも思っております。
民事、不法行為、故意、過失は不法行為に当たり得るわけですが、担当者、事業者が不法行為に当たり得るということはあり得るでしょうか。

○政府参考人(坂田進君) お答え申し上げます。
当たり得ると考えております。

○福島みずほ君 行政機関のことについてお聞きをいたします。
十三条一項で、行政機関は、通報対象事実の調査、措置の権限と義務を規定されました。二項は、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとらなければならないと規定されています。
この体制の整備とは、具体的にどういうことをするのでしょうか。

○政府参考人(高田潔君) 事業者に対しても同様のことを考えておりますけれども、行政機関に対しましても、窓口をしっかり確保すること、あるいはその内部において調査の規定を整備する等々を考えております。

○福島みずほ君 そうだとすると、機構、定員、予算が伴う話ですよね。法施行までに二年ありますが、その間に各省庁でもきちっと手当てができるんでしょうか。

○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
消費者庁といたしましては、この法案成立後は、しかるべく定員要求をしてまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 これは、もちろん国会の協力、予算も必要ですが、是非、消費者庁が頑張ってくださるようにお願いいたします。
行政機関には地方自治体なども含まれます。地方でも、通報の受付、調査、措置を実効性を持って対応してもらわなければなりません。この辺はどのように対応されるでしょうか。

○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
消費者庁におきましては、地方公共団体向けガイドラインを策定、改正し、周知に努めてきたところでございます。また、行政機関に対する外部からの通報に関する相談窓口につきましては、ガイドラインにおいてその設置を求めてまいりましたが、今般の法改正により、地方公共団体を含む行政機関には外部からの通報に対応する体制整備義務を課すこととしております。
今後とも、法改正を踏まえ、更に制度の周知に努めるとともに、現行のガイドラインを見直すほか、地方消費者行政強化交付金を活用することや、徳島県における消費者行政新未来創造オフィスの取組の展開などにより、窓口の設置促進やその適切な運用に向けた地方公共団体の取組を支援してまいります。

○福島みずほ君 地方自治体の中には小さいところもありますし、是非、各中央省庁そして各自治体に対するこの体制整備について今後確立してくださるよう、司令塔としての役割を果たしてくださるように心からお願いを申し上げます。
不利益取扱いに対する行政措置の導入についてお聞きをいたします。
消費者委員会公益通報者保護専門調査会の報告書で全委員が一致して了解したにもかかわらず、改正法案に入りませんでした。消費者庁はその理由として行政の事実認定や執行体制に課題があると説明しておりますが、これを今後やっぱり克服していかなければならないというふうに思っております。
消費者庁自身の体制強化、関係省庁の協力が必要だと思います。その辺りをもう少し具体的に、今後どうしていくのか、イメージが分かるように教えてください。

○政府参考人(坂田進君) お答え申し上げます。
今回の改正法案では、制度の実効性確保のため、事後的な行政措置ではなく、不利益な取扱いを事前に抑止することが重要と考え、刑事罰付きの守秘義務や事業者の体制整備義務を導入することといたしました。
御指摘の不利益取扱いに対する行政措置の導入につきましては、将来的にその機能を十分に担うことのできる体制を整えるための組織的基盤の強化を図ること等の附帯決議を衆議院からいただいております。施行後、守秘義務等の措置の運用状況について事例を収集し分析し、制度が実効的に運用されているか吟味した上で、附帯決議や委員の御指摘をしっかり受け止め、関係者の意見も聞くなどしながら、施行後三年を目途に検討してまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 施行後三年でまた法律改正するときにはしっかりこの行政措置の導入が盛り込まれるように、今答弁をしていただきましたが、これから体制整備を含め、是非よろしくお願いいたします。
事実認定に関与する人は、何も必ずしも消費者庁内部にいなくても、外部に委員会などをつくって非常勤でやってもらうなど様々なことがあり得ると思います。いかがでしょうか。

○政府参考人(坂田進君) お答え申し上げます。
先生の御指摘も踏まえて、そういった点も含めて検討をさせていただきたいと考えております。

○福島みずほ君 厚生労働省は、専門調査室の審議ではこれ以上新しい仕事はできないと非協力的な発言をしていました。こう言われた消費者庁はどう対応するんでしょうか。

○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
本法案改正成立後は、関係省庁よく連携して、どのような対応ができるか、しっかり検討してまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 厚生労働省は、まさに不利益取扱いの場合の様々な措置、今までやってきておりますので、是非関係省庁の力も得て、厚生労働省などの力も得て、頑張ってやっていただきたいと思います。
十七条で、総理、括弧、消費者庁長官に委任は、この法律の規定に基づく事務に関し、関係行政機関に対し、照会し、又は協力を求めることができると規定をいたしました。まさに、厚生労働省にこのようなことを言わせないためにも規定したのではないかというふうにも思います。
消費者庁は、消費者行政全体の司令塔として創設をされました。そこを明確にした規定と理解してよろしいでしょうか。

○政府参考人(高田潔君) お答えいたします。
この法案の対象になります、その公益通報の対象になる法違反というのはほぼ全ての省庁にまたがるぐらい広いものでございますので、それらの関係省庁がよく連携してこの法案に対応できるように、二号通報があった場合に適切に対応するように、そういうことを連携してやっていけるように、必要ならば消費者庁から協力を求めたりいろいろ保護を求めたり、そういうことをしていきたいと考えております。

○福島みずほ君 是非、消費者庁が司令塔として、各省庁の力を借りながら、ここ、不利益取扱いに対する行政措置、それも含めて、もちろん一元化した窓口の一番初めの窓口としても司令塔としてしっかりやってくださるように心からお願いを申し上げます。
先ほど、立証責任についての御質問が徳茂委員から、徳茂理事からありました。もう一つ、一歩進んで推定のことをお聞きをしたいというふうに思っております。
立証責任の転換も私は必要だと思っております。
ある人が内部通報した、で、その人が配転や解雇をされた。いろんな理由はあるかもしれないけれども、やっぱり内部通報したことが理由になっているんじゃないか。立証責任が転換されないと、本人は、いや、君の勤務態度が悪いんだとか言われて、なかなかその立証ができないという問題もあります。
それで、外国の制度やいろんなものでは推定規定を設けているところもあります。公益通報者を探索し、又は公益通報の撤回を求めるなど通報対象事実発生事業者等の一定の行為があったことを証明した場合には不利益取扱いが公益通報を理由としてなされたものであると推定する規定を置くことで、不利益取扱いの禁止の実効性を高めることもできると思います。
この点はいかがでしょうか。

○政府参考人(坂田進君) お答えいたします。
立証責任の負担の軽減は重要な課題であると考えております。
先生の御指摘も踏まえ、改正法案の附則第五条の規定にのっとって必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 よろしくお願いいたします。
不利益取扱いから保護する通報者の範囲についてお聞きをいたします。
この間、濱田参考人が、現職で会社に勤めながら通報することはなかなかできないし大変だということをおっしゃいました。本当にそのとおりだと思います。
退職者の場合、退職後一年以内としますが、実際に通報するまでに時間が掛かることもあります。より通報しやすくする観点からすれば、労働者名簿の保存期間、この保存期間は五年、当分の間は三年ですが、それぐらいあってもいいのではないでしょうか。

○政府参考人(坂田進君) お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、労働者名簿は労働者と事業者との間の紛争解決の際の証拠として利用できるよう、法律上の保存期間が五年間、ただし、附則により当分の間三年間とされているものと承知しております。
他方、今回は法令違反行為を早期に是正するという、労働者名簿の保存期間とは異なる観点から改正法案を提出させていただいているところでございます。早期の是正のためには早期の通報を促す必要があるため、保護される通報を退職後一定の期間内のものに限定する必要があると考えられます。退職後の通報を理由として不利益取扱いを受けた事例のほとんどが退職後一年以内に通報された事案であったことから、退職後一年以内にされた通報を保護すれば実際に不利益取扱いの想定される通報のほとんどを対象とすることができるものと考えております。
さらに、退職から長期間経過後の通報については、証拠の散逸等により通報を受けた事業者が適切に対応することが困難であるとの指摘もございました。
なお、退職者の保護期間を労働者名簿の保存期間と一致させた場合、将来の一定の時点で保護の期間が三年から五年に変更されることとなりますが、このことは通報者の本法の適用に関する予見可能性を損ない、早期の適切な通報を妨げるおそれがあるものと考えております。

○福島みずほ君 是非、今後改正をする場合など、是非検討する必要があると思います。
次に、役員の場合についてお聞きをいたします。
原則として、通報に先立ち内部で調査是正措置をとることに努めることが保護の要件とされております。条文上、調査是正措置をとることが求められていると。
この間の参考人質疑の中で、役員といっても様々な役員がいると。調査是正措置といっても、なかなかそれができない場合もあると。また、証拠隠滅のリスクがある場合には、例えば調査是正措置をとることで証拠隠滅をされてしまったり、結局、調査是正措置をとろうと思っていたら、隠されたり、捨てられたり、攻撃を受けたり、様々なリスクもあります。
一般的に役員の人が強い権限を持っていることは、普通の会社員と違うことは理解をいたしますが、参考人質疑の中でも、この調査是正措置については様々考えたらどうかという意見が出ました。参考人からの意見で、役員に無理を生じさせないようにする必要があるのではないかという意見が出ましたが、これについていかがでしょうか。この調査是正措置の中身や要件について、いかがでしょうか。

○政府参考人(坂田進君) お答え申し上げます。
役員は、不正のおそれに気が付いた場合、自らその調査、是正に当たる義務を負っております。
今般の改正法案では、個人の生命、身体への危害や財産に対する重大な損害が生じる場合に限ってこの調査是正措置の例外を設けておりますところ、このような例外は事案の緊急性に着目して設けられたものでございます。
これに対し、御指摘の証拠隠滅等のおそれがある場合については、役員としては本来証拠隠滅等が生じないように注意して調査、是正に当たるべきであり、例外的な取扱いについては慎重な検討を要すると考え、証拠隠滅等のおそれがある場合については調査是正措置を前置すべきことといたしました。
なお、調査是正措置の具体的な内容については様々なものは考えられますが、役員の種類や属性、担当する職務の内容等に応じてその内容は異なります。そのため、例えば定款などにより特段の権限を与えられていない取締役については、取締役会において適切に問題提起し、また、監査役に報告し、調査等の対応を求めることでこの措置に努めたことになる場合もあり得ると考えられます。
御指摘も踏まえ、役員が公益通報しようとする際に調査是正措置について不必要に厳格な解釈を取ることがないよう、解釈を示してまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 役員はいろんなことを知っている場合もありますし、是非、これは参考人からも意見が出ましたので、調査是正措置の中身について、是非、細かい点、逐条解説などをされる場合や解釈を出される場合に検討していただきたいと思います。
取引先等事業者についてですが、取引先等事業者も対象にすべきではないでしょうか。
西宮冷蔵の代表者が取引先の雪印食品の不正を内部告発し、不利益を受けたという事例もあります。
また、事実上の力関係もあります。取引先は、実は会社の様々な不祥事や問題点を知っているという場合もあるけれども、今回、取引先は、まさにこの内部通報の対象者、保護すべき対象者にはなっておりません。取引先事業者に関しても公益通報者の範囲に含め保護する必要があるのではないでしょうか。

○政府参考人(坂田進君) お答え申し上げます。
委員御指摘のケースは、取引先事業者が違法行為であるとして通報したものと承知しております。
この点、取引先事業者を公益通報者に含めることについては、積極的な立場と慎重な立場の意見の隔たりが大きく、消費者委員会の答申においても今後必要に応じて検討することとされました。
具体的には、事業者間取引には、基本的に契約自由の原則が妥当する中で、契約解除等における不利益取扱いの判断や公益通報を理由とすることの判断が困難であること、保護の対象とする取引先事業者の範囲を画する合理的な基準を策定することなどが今後の課題であると指摘されております。
政府としては、今後、改正法案成立後の施行状況等を分析しつつ、必要な対応を検討してまいりたいと考えております。

○福島みずほ君 是非、取引先もこの保護者に含めるように是非検討をよろしくお願いします。
七条に損害賠償の制限の規定が設けられております。報告書では、損害賠償の制限規定を設けたとしても、損害について一律に免責をすることを定めるものではないとされております。
どのような場合が公益通報によって受けた損害に該当するのか、証拠の持ち出しについての免責はどうなるんでしょうか。

○政府参考人(坂田進君) お答え申し上げます。
今般の改正法案における公益通報者の責任の免責は公益通報によって生じた損害を対象としており、事業者の被った損害と因果関係があるとされる通報行為が公益通報に当たる場合を指します。このため、御指摘の通報を裏付ける資料の収集行為によって生じた損害についてまで必ずしも及ぶものではございません。
通報を裏付ける資料の収集については、通報を受けた者が調査や是正措置に着手するために重要な位置付けを占める一方、内部資料の持ち出しは事業者における情報管理や企業秩序に対して悪影響を及ぼす場合もあるため、これらのバランスを取ることが必要であると考えております。このため、消費者委員会の答申にも記載されたように、まずはこれまでに集積された通報を裏付ける資料の収集行為に関する裁判例を整理、分析し、当該収集行為に関する責任の有無についての実務上の運用の周知を進める取組を進めたいというふうに考えております。

○福島みずほ君 ここにいらっしゃる国会議員の方もそうだと思いますが、私たちもいろんな内部通報を受けます。でも、資料をもらわないと判断が実はできないんですよ。裏を取れなければ国会で質問をすることもできません。メディア、報道機関もそうだと思います。こういうことがあるらしいというだけでは、それは、こういうことがある、知っていると言われても、じゃ、それを裏付ける資料があるんですか、審議会の資料はあるんですかということがない限り、それはできません。
私自身も、例えば、ちょっとあれですが、核燃料サイクルにおける直接処理と間接処理の問題に関して、その両方を比較したデータを取ったことがありますかと国会で質問したら、そういうデータはありませんと答弁がありました。しかし、内部からの資料が全部送られてきました。審議会の中で、核燃料サイクル、六ケ所村の再処理が十九兆円掛かるというようなことも全部出てきて、直接と間接、再処理で幾ら、どれだけ、何倍違うかというデータもありました。しかし、その審議会では、電力会社やいろんな人たちが、こういう資料を表に出すのは良くないということで、一切非公開、出されなくて、しかも答弁が虚偽答弁でした。
そしたら、その資料などがない限りは、こちらは質問はできないわけですよね。そして、そのときに、まあ昔は、昔はというか、そのとき、虚偽答弁したことで、もう亡くなってしまわれましたが、中川昭一大臣は、国会で、予算委員会で、予算委員会だったと思うんですが、正式に謝罪をし、処分をしました。今は虚偽答弁したって何かまた次つじつま合わせばいいやみたいなことになっていてひどい話ですが、かつては、虚偽答弁したら大臣がきちっと謝罪し、訂正し、そして処分もしたんですね。
ちょっと話が長くなりましたが、何が言いたいかといえば、物を持ち出す、資料を持ち出さない限り、その内部通報が、幾らその人がしゃべっても、書類がないとそれは駄目なんですよ。だとすると、これはきちっと免責を設けない限り持ち出すことができないと思いますが、どうでしょうか。

○政府参考人(坂田進君) 先ほど裁判例を収集しというお話をさせていただきましたが、具体的には、消費者庁が開催する説明会においてそうした裁判例の解説を行うとともに、今後、これまでの裁判例の概要を消費者庁のホームページに掲載することを予定しております。
これにより、通報者にとってどういった内部資料であれば持ち出し等が可能か、ある程度予測できることが期待されるのではないかというふうに考えております。

○福島みずほ君 内部通報することが、この社会を変えるんだ、人の命や安全を守れるんだ、消費者の権利にも資するんだ、この社会をもっとより良い場所に変えることができるということであれば、内部通報者、やっぱり保護する必要がありますし、物の持ち出しについて、これを免責する必要があると思います。
エルズバーグさん、ペンタゴン・ペーパーズ、有名な映画にもなっておりますし、本もありますし、御本人もいろんなところで講演していますが、ペンタゴン・ペーパーズ、彼も書いた、関わったベトナム戦争の真相に関するペンタゴン・ペーパーズは、たくさん書類を作って、ペーパーズを作ったけれども、一切外に出ることがありませんでした。彼はその中身を持ち出してニューヨーク・タイムズに持ち込み、連載が始まります。トンキン湾事件、ベトナム戦争がなぜ始まったか。いや、それは、ベトナム戦争におけるトンキン湾事件は向こうからの攻撃だと言われていたがアメリカの自作自演だったとか、様々なことがそこに盛り込まれていました。
連載が始まって、そしてニクソン政権はその記事の差止めをやります。それで、一審は、連邦裁は記事の差止めを認めるんですが、最高裁判所は、その有名なブラック判事の判示で、我が国の若者が外国で亡くなることについては国民は知る権利があると言って連載を認めます。ワシントン・ポストも連載します。他の地方紙も連載します。ウォーターゲート事件とペンタゴン・ペーパーズでニクソン政権は退陣をすることになるわけですが、やはり、国民の知る権利に物すごく奉仕をするもので、主権者である国民は重要なことを知る必要がある。
ただ、エルズバーグさんは、窃盗と秘密漏えいで、合計懲役百十五年で起訴されます。しかし、政府が彼を令状なくして盗聴していたことや、それから彼の通っている病院にカルテを取ろうとして侵入したことなどが分かって、裁判では公訴が棄却になります。でも、彼自身は、窃盗と秘密漏えいなどで懲役百十五年、アメリカの場合は法定刑を加算していきますから、で起訴されています。何が言いたいかというと、そういうふうに重要な役割を果たした人でも、もしそれ公訴棄却にならなければ、彼は一生涯刑務所に行っているわけですよね。
それから、スノーデンさんは、スパイ防止法と窃盗罪に当たると言われ、彼自身はアメリカが世界のいろんなものの情報収集していたということを世界中に明らかにしたわけですが、それを、それはまず持ってロシアに亡命する以外に方法がなかったわけです。
私たちの記憶にあるグアンタナモ収容所の問題などや、様々なものを、二〇〇七年、米軍ヘリがイラク・バグダッドで複数の民間人を射殺する映像など、様々なものをやはり明らかにしたチェルシー・マニングさんは、懲役、禁錮三十五年ですね、禁錮三十五年になり、オバマ政権下で減刑をされますが、何かを明らかにしようと思うと、一方ですさまじい刑罰が待っている、窃盗とか秘密漏えいとかで。
ですから、是非、今回は七条のこの損害賠償の制限の規定だけですが、ちょっと話が長くなって済みませんが、私自身は、刑事免責もしっかりやらない限り、だって、民間企業だって、物を持ち出すとそれ窃盗と言われるんですよね。窃盗になりますから、何かを言いたいと思っても、自分が刑事処罰を受ける。刑事免責、是非議論していただきたい。いかがでしょうか。

○政府参考人(坂田進君) 委員の御指摘も踏まえて、消費者庁としては、今後、改正法案の成立後の施行状況等を分析しつつ、必要な対応を検討してまいりたいというふうに考えております。

○福島みずほ君 是非、刑事罰の減免等について、今後本当に議論をしていただきたいと思います。でなければ、内部通報者、民間企業でも、信用毀損、威力業務妨害罪、あるいは偽計業務妨害罪、窃盗、名誉毀損などで訴えられる可能性もあり、それをやっぱり守らなければならないというふうに思っております。
一元的窓口について一言お聞きをいたします。
行政機関の不適切な通報対応は、一元的窓口へ連絡が来ると考えられます。窓口対応の強化も必要ではないでしょうか。また、こうした事例について、厳正な調査を行い、必要な措置を講ずるべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(衛藤晟一君) 消費者委員会の答申におきましても、一元的相談窓口については、不利益取扱いを受けた者に対する情報提供や相談体制の充実など、消費者庁の既存の機能の強化を図るとともに、新たな機能として、権限を有する行政機関の特定が通報者にとって難しい通報事案について通報者に情報提供することや、通報の放置など不適切な対応について注意喚起するなど、行政機関に対して適切な対応を求めることが提言されているところであります。
一元的相談窓口については、委員御指摘のとおり、行政機関に適切な対応を求めることを含め、消費者委員会の答申において提言された機能を担えるよう、消費者庁において体制の整備を進め、平成二年度内の設置を目指してまいります。あっ、令和二年でございました。令和二年度内の設置を目指してまいります。

○福島みずほ君 是非、大臣、よろしくお願いいたします。
先日、松沢委員が赤木俊夫さんをどうやったらもっと救えたのかという質問をされて、実は私もずっと、この公益通報制度を考えるに当たり、どうしたら赤木さんを救えただろうか、どうしたら彼が内部通報をして、そしてそのことをきちっと受け止めて解決できたか、どんな仕組みがあったら彼は死ななくて、でも問題をきちっと明らかにできたかということなど、本当に考えております。近畿財務局などにも行きましたから、とりわけそのことは思っています。
ただ、彼の場合は、恐らくですが、実行犯として自分が虚偽公文書作成罪に関わってしまったという問題や、それを言ったところで、財務省全体から自分が責任を押し付けられて、押し潰されてしまうんじゃないか、幾ら自分が言っても、検察は信用してくれない、警察、検察は信じてくれないんじゃないか、あるいは、もう自分一人で責任をかぶせられて、自分はもう潰されるだけだという思いもあったのではないかというふうに思っております。彼が誰か弁護士に相談し、そこで、いや、あなたも刑事事件の可能性はゼロではないけど、あなた自身を守ることに自分たちは頑張りますよという何かチームをつくることなどできたら彼は死ななくて済んだかもしれないなどということも思っております。
日本弁護士連合会などにもそういうチームを例えばつくって、絶対に守秘義務があって、絶対に守って、どことも利権がなくて、どこからの役所の圧力にも対抗できるみたいなことがもしやれたら本当にいいなとも思っています。
それと同時に、一号、二号、三号、各役所の窓口も、でも、彼が財務省に言ったらどうなったかというのはあれですが、是非そこで、通報者を守る、通報者を守るという仕組みを是非本当につくっていただきたいと思います。
まさに、内部通報は消費者を守りますし、この社会を守ることができますし、この世界をもっともっとより良いものに変えていくことができますし、不祥事、そのままだともっともっとひどいことになりますから、そういうことに役立つように、今回、この法律、一歩前進ですが、更に更に前進して、この社会をもっと変えることができるようにと思います。
ありがとうございました。

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