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2023.6.2 参議院法務委員会委員長 杉久武君解任決議案~賛成討論~ | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

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参議院法務委員会で、入管法改悪法案の審議をしています。

与野党合意なく、職権で強引に採決を強行しようとした法務委員長の解任決議案を提出し、62日参議院本会議で、趣旨説明、討論が行われました。

私は、解任決議案について賛成の討論を行いました。

解任決議案は、否決されてしまいましたが、賛成討論を読んでいただくと、いま、参議院の法務委員会で何を問題にしているのかよくわかっていただけると思います。

ぜひ、読んでください。

 

【賛成討論 原稿】

社民党の福島みずほです。私は、立憲民主・社民を代表し、法務委員長・杉久武さんの解任決議案に賛成の討論を行います。

政府提出の入管法改悪法案は、天下の悪法です。そして、法務委員会の審議において、この法案の立法事実が完全に崩壊しました。また、ウィシュマさんの死亡の原因究明も、難民・入管行政のブラックボックスの解明も、緒についたばかりです。審議すればするほど、入管庁が極めて恣意的に難民認定をやっていることや、その審査手続の杜撰さが明らかになってきています。真相究明はこれからではないですか。審議はまったく尽くされていません。

それにもかかわらず、与野党の合意がない中で、杉委員長が職権で審議の打ち切りと採決を決めたことは暴挙であり、中立・公正の立場で議事を司るべき委員長としては不適格だと断ぜざるを得ないのです。

以下、具体的に、解任決議案に賛成の理由を申し述べます。

まず、第1に、政府提案の入管法改悪法案が、希代の悪法であるにもかかわらず、審議打ち切りと採決を決めたことです。

そもそも、なぜ、多くの国民の反対で2年前に廃案になった法案とほぼ同じ法案が今国会に提出されているのですか。昨年11月、国連の自由権規約委員会から入管制度について改善するように勧告を受けながら、それが全く反映されていません。

日本の難民認定制度は、出入国管理行政を所管とする入管庁の中で行われており、独立した機関で行われておりません。

日本の難民認定率は、2021年でわずか0.7%です。例えば、カナダは、トルコ人について2021年の難民認定率は、97%です。日本はゼロです。日本がトルコ人の難民を認めたのは、裁判で国が敗訴した去年の1件だけです。

日本の難民認定制度は機能していません。

出入国管理を行う入管庁の職員が難民認定審査を行うのではなく、立憲民主・社民・日本共産党・れいわ新撰組・沖縄の風の4会派で議員立法で提出をした難民等保護法案のように、難民認定制度を入管制度から分離し、独立した第三者機関で行うべきです。

これまで入管が不認定処分を出し、裁判で国が敗訴して難民認定が認められたケースを見ると、カメルーンの人、コンゴの人のケースなど、捜査書類が存在していても本物かどうかわからないとして難民認定されなかったケースがあります。これだけの証明種類があるのに、なぜ法務省は難民認定しなかったのでしょうか。

重ねて言います。日本の難民制度は機能していません。そのことの徹底的な検証と、抜本的な改革が必要です。それがないままの採決などできません。

2に、ウィシュマさんの死亡の原因究明がまったくなされていないままに法案が審議されていることや、難民調査官や難民審査参与員の問題、長期収容や入管施設内の医療体制の問題、送還忌避者の背景事情、入管が送還を促進し職員にノルマを課してきた問題、さらには、日本で生まれ、育っている子どもたちが強制送還や親との断絶の恐怖に日々脅えている問題など、改善されなければならない重大な問題が置き去りにされてしまっている中で、杉委員長が審議を打ち切る決定をしたことです。

2022年末、送還忌避者のうち、日本で育った18歳未満の者295人の者の家族について、政府案は何らの具体的解決策を明示していません。

難民審査参与員の問題も、参議院の審議を通じてその闇が明らかになってきたばかりです。参与員のほとんどの人たちも、参与員の制度の中に常設班と臨時班の2種類があることを知りませんでした。書面審議だけで迅速に処理する臨時班を設け処理をさせてきました。参与員制度の創設時から参与員を務めてきた柳瀬房子さんは、20212378件、20222231件を担当し、なんと全体の2割以上をやっています。111人いる参与員の中で全くケースを割り当てないられない人もいる中で、あまりに著しい偏りです。対面審査をせず、簡単かつ迅速に処理してよい事件の振り分けを入管庁自身がやり、それを臨時班が一案件あたりわずか6分で審査しているのですから、これが公平だとは到底、言えません。

参与員の柳瀬房子さんの201911月の専門部会の発言と20214月の衆議院法務委員会参考人質疑での発言から、柳瀬さんは1年半の間に500件の対面審査をやったことになります。530日の記者会見でそれが可能だと思うかと聞かれた齋藤法務大臣は、可能であると答えたにもかかわらず、夜になって言い間違えた、不可能だと訂正をしました。

そうなんです。不可能なんです。つまり、柳瀬房子さんの発言の信頼性を、齋藤大臣自身が否定したのです。2019年の難民・送還専門部会の第一回で、柳瀬房子さんは、難民申請する人たちの中に難民はほとんどいないと発言し、それが2回難民申請が認められなければ、送還停止効を外して強制送還すると言う結論を導いた根拠になっていました。その根拠が崩壊したのですから、もはや立法事実は存在しないことが明らかになったのです。

法務省も、この柳瀬参与員の難民はほとんどいないと言う証言を何度も引用し、わが国の難民認定制度の現状を端的に表したものですと答弁を続けてきました。その前提事実が崩壊をしたのですから、政府案は廃案にするしかありません。

審議の中で、私は、法務省が、何度も何度も、参与員の言葉を引用し、難民申請をする人の中に、難民はほとんどいないと断言することに激しい怒りとショックを感じました。難民を保護すると言う観点があまりにないのです。

例えば、あるクルド人は、UNHCRから難民該当性があると認定されたにもかかわらず、入管によって難民認定が拒否され、トルコに強制送還されました。彼は迫害の恐怖から、ほどなくニュージーランドへ脱出し、難民認定され、現在はニュージーランドで市民権を持って暮らしています。UNHCRが難民と認定し、ニュージーランドでは保護されているのに、なぜこの日本では難民と認められなかったのでしょうか。

今年12月、ジュネーブで、グローバル難民フォーラムがあります。4年ごとに開かれるこのフォーラムの今年は日本が共同議長国です。ここで、日本は、「日本には難民はほとんどいません。クルド人で難民認定された人は1人しかいません。」と宣言をしたら、どれだけ多くの国々の人々は驚くでしょうか。議長国としてふさわしい、真に難民条約や国際人権諸条約に則った難民等保護法と入管法を作るべきです。この悪法を成立させることは絶対に許されません。

3に、政府案では、日本の入管制度の根本的な問題である全件収容問題と無期限収容問題が解決されず、結局、収容にあたって司法的チェックが一切入らない問題や、期限の定めがなく、無期限に収容できる問題が放置されたまま、杉委員長が政府案の採決を決定したことは重大かつ深刻な問題であり、著しく中立性・公平性を欠く暴挙であることです。

難民認定・審査制度が国際基準に則り、専門性・透明性・中立性ある形で十分に機能しているのであれば、2回難民申請をして認められなければ3回目には送還すると言うこともあり得るかもしれません。しかし日本は、全く難民認定制度が機能していないのです。そんな中で、不認定となった難民の人を本国に送り返したら、命の危険が発生します。迫害や虐殺や拷問の危険が起こり得るのです。衆議院法務委員会で参考人は、政府案をこのまま採択することは死刑執行のボタンを押すようなものだと言いました。その通りです。

なぜ日本は、ミャンマーのカチンやロヒンギャ、クルド、スリランカなどの国々の人たちを難民と認めて保護しないのでしょうか。これらの方々は、送還すれば命の危険が発生します。

この事は命の問題です。命の危険が発生することについて、私たち国会議員は、市民社会はもっと真剣に考えなければなりません。死刑執行のボタンを押す共犯者となってはならないのです。

参議院の参考人質疑で25歳のクルド人のラマザンさんは、何回も難民申請をした家族が、この法律が施行になれば、トルコに送還をされ、特別在留許可を持っている彼は日本に居ることができるけれども、家族がバラバラになることを本当に恐れていました。多くの人たちが、この法案が成立したときのことを本当に恐れています。

杉委員長が問題なのは、入管法改悪法案の立法事実の前提事実が崩壊し、難民認定が杜撰で、問題があること、入管の収容施設の中が、死亡する人が出て、極めて非人道的であると言うことが明らかになっても、それに蓋をしたまま改善をしようとはせず、職権で審議を終局させて、法案を強硬に成立させようとしていることです。

外国人の命だと言わないでください。この国が、人の命を紙切れのように扱うと言う事は、次の瞬間、私たち日本人の命も紙切れのように扱われると言うことではないでしょうか。人々を安価な労働力としてしか見ないこの国の政治を変えなければなりません。

数多くの問題に目をつぶり、疑惑に蓋をするかのように採決を強行しようとした杉委員長には、委員長をお辞めいただくしかありません。

人がとして扱われる、そんな国を作ろうと議場にいる全ての皆さんに呼びかけて、私の解任決議案の賛成討論といたします。

 

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