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2023.6.15 法務委員会での質疑 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
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○福島みずほ君
立憲・社民の福島みずほです。
刑法改正の議論に入る前に、百年ぶりに、どうしてもこれは日本の国会で聞かなければならない、まさに関東大震災における虐殺の問題について、百年目というと、もう今年しかありませんので、この問題について聞きたいと思います。
中国人の虐殺と朝鮮の人に対する虐殺とあります。もちろん日本人や主義者と言われる人たちの虐殺ももちろんあるわけですが、まず中国人の虐殺について、お手元に資料をお配りしております。
内乱又は暴動による不法行為と国家の責任、山本権兵衛第二次内閣外務省条約局第三課という文書があります。これは外務省、保管しているということでよろしいですね。
○政府参考人(石瀬素行君)
お答えいたします。
御指摘の文書については、外務省外交資料館が保有をしております。
○福島みずほ君
これは山本権兵衛第二次内閣、一九二三年十一月、諸外国の十一事例を調査の上、日本の国家責任は免れないとした外務省の調査結果です。これがあるということを認めてくださいました。
次にお配りしているのが、東京日日新聞です。これは、まさに金三十万円なり、中国政府が日本政府に対して謀殺の賠償として請求をしているという新聞記事です。これは、だから、実際こういう交渉なりがあったということです。
そして、お手元にお配りをしておりますが、閣議決定の文書があります。一九二四年五月二十七日、賠償金二十万円を支払うと、中国に対して二十万円を支払うという閣議決定があり、大臣の花押が押されておりますけれど、この文書の保管がある、文書があるということでよろしいですね。
○政府参考人(石瀬素行君)
お答えいたします。
大正十三年五月二十七日に松井慶四郎外務大臣より在中国芳沢謙吉公使宛てに送られた電報第三百四十七号については、外務省外交資料館が保有をしております。
以上です。
○福島みずほ君
閣議決定の文書もそれに入っているということでよろしいですね。
○政府参考人(石瀬素行君)
私どもが確認しておりますのは、先ほど申し上げましたとおり、電報第三百四十七号でございます。
○福島みずほ君
中身を説明してください。
○委員長(杉久武君)
福島みずほ君。
○福島みずほ君
確認ですが、つまり閣議決定の書面が外務省の公文書にちゃんと保管されている、あるということでよろしいですね。再度お聞きをいたします。
○政府参考人(石瀬素行君)
繰り返しで誠に恐縮ではございますけれども、私ども実物も確認しておりますけれども、これは電報ということでございます。
以上です。
○福島みずほ君
電報の中に、これがまさに閣議決定の、閣議決定が入っているということです。ですから、これ二十万円、当時中国政府に対して日本が賠償を払うと。これは実に細かく、中国は外国ですから、誰が殺されたのか全部、個人名が全部出てきていると。ですから、誰が本当に殺されたのかが全部分かり、それを基に日本政府が二十万円払うというのを中国政府に約束をしたもの、閣議決定をして、日本としては責任免れない、二十万円払うぞというものです。これは、二十万円払われたんでしょうか、どうなりましたか。
○政府参考人(岡野結城子君)
お答えいたします。
御指摘の資料によれば、一九二四年に政府は二十万円を支出する旨決定したと承知をしております。
他方、御指摘の支払があったか否かについては、その事実関係を把握することができる記録は確認されておりません。
○福島みずほ君
これは支払われていないんですね、支払われておりません。
それで、二〇一四年九月八日、関東大震災下、虐殺された中国受難者遺族訪日慰霊式代表団十八名が中国から日本に来ました。これはなぜかといいますと、中国の犠牲者は全部名前が、全部分かっていますから、遺族の皆さんたちがたくさんいらっしゃるわけです。その遺族の人たちが十八名が来て、日本政府に対して、事実を認め、二十万払うということをかつて約束しているわけですから、国が責任を持って払うと約束しているわけですから、国家として責任があることを認め、虐殺された犠牲者と遺族に対し、謝罪し賠償することを要請をいたしました。
私はその場におりましたが、要望書を政府に対して、そのときに、外務省、出席してこの要望書を受け取っておりますが、これは二〇一四年のことですから、この要望書を受け取ったということはありますね。
○政府参考人(岡野結城子君)
お答えいたします。
要望書が提出され、それを受け取っていることは事実でございます。
○福島みずほ君
これは、遺族の人たちから要望書が、二〇一四年、まさに提出をされているわけです。もう名前も分かっているし、遺族も分かっていると。
遺族から受け取っているこの要望書の受け止めをお聞かせください。
○政府参考人(岡野結城子君)
お答えいたします。
御指摘のとおり、中国人被害者の遺族から、政府としての事実認定及び謝罪や賠償等を求める要望書が提出されております。
他方、関東大震災における中国人をめぐる事案につきまして日本政府は関与したかについて、調査した限りでは、政府内にその事実関係を把握することができる記録が見当たらない状況でございます。
○福島みずほ君
ただ、戦前ですよね、日本政府は、まさに閣議決定で二十万円払うという約束をしているわけです。それは、やっぱり国家賠償、その研究もされて、外務省第三課の報告書もありますが、これ賠償責任は免れないとして、二十万円払うという約束をしたわけです。
ということは、やっぱり、当時の日本政府は、払わなくちゃいけない、二十万円払わなくちゃいけないということを閣議決定までやっているわけですから、それは極めて大きいというふうに思います。この要望書の遺族の思いと重みをしっかり受け止めていただきたいと思います。
次に、朝鮮人の虐殺についてお聞きをいたします。
配付資料を配っておりますが、電信文があります。これは震災直後の電信文です。内務省警保局長より各地方長官宛て電信です。
これに関して、この電信文の存在、これはあるということでよろしいですね。保管を防衛省がしているということを確認させてください。
○政府参考人(安藤敦史君)
お答え申し上げます。
委員御指摘の文書は、防衛研究所戦史研究センター史料室にて保管をしております。
○福島みずほ君
電信文をちゃんと政府は公文書館で保管をしているわけです。
これ、内務省警保局とありますが、これは警察にお聞きしますが、どういう組織でしょうか。
○政府参考人(楠芳伸君)
お答えいたします。
我が国の警察は、明治七年、当時の内務省に警保寮が設置されて以来、第二次世界大戦終了まで、中央では内務省警保局、地方では知事によって管理運営されていたものと承知しております。戦後の内務省解体に伴いまして新しい警察制度となり、また、現在の警察庁は内務省の事務をそのまま受け継いでいるものではないと承知しております。
○福島みずほ君
これ、ですから、警察なわけですね。
この電信文を是非皆さん読んでください。東京付近の震災を利用し、朝鮮人、各地に放火し、ちょっとはしょりますが、現に東京市内に爆弾を所持し、石油を注いで放火する者あり、既に東京の一部、戒厳令を施したるがゆえに、各地において内密に視察を加え、鮮人、ちょっと差別用語で済みませんが、鮮人の行動に対しては厳重なる取締りかくされたし。
つまり、日本の警察が、まさに内務省のど真ん中が各地方に対して電報を打つわけです、電信文、保管があると言ってくださいましたが。まさに、朝鮮の人たちが各地に放火して、東京都内では、爆弾持って、石油を注いで放火する者があると、大変な状況だと、だから戒厳令を施しましたと。戒厳令をひいた理由は、朝鮮人のこの放火、爆弾という、爆弾所持し、放火をしているということで戒厳令を施したと。そして、各地においては厳重にその、ちゃんと視察、動静を見て、厳重なる取締りをすべしということを、警察のど真ん中が電信文を各地に出すわけです。これ読んだ人は、戒厳令敷かれたのは、朝鮮の人たちが放火をしたり、あるいは爆弾を所持したり、石油を注いで放火する者ありまで書かれているわけですから、これで本当に虐殺の物すごいきっかけになったと思います。
人が人を殺す、あるいはヘイトスピーチ、ヘイトクライムは本当に許されないわけですが、民衆がそこにわっと追いやられた根拠にこの電信文がある、つまり国家発なんじゃないかということを私は問題にしたいと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(楠芳伸君)
お答えいたします。
警察庁におきまして調査した限りでは、御指摘のような事実関係を確認することのできる記録が見当たらない状況でございまして、お尋ねの事実関係についてお答えすることは困難であるということについて御理解いただきたいと思います。
○福島みずほ君
電信文がちゃんとあるじゃないですか。電信文は保管されているんですよ。これ、防衛省が、だから公文書館、公文書の中でちゃんと保管している。この電信文はあるんですよ。ですから、これが根拠でそうなったんじゃないか。
そして、なぜ今日質問したいか。百年前の十二月十六日、大正十二年、まさに一九二三年ですが、国会でこのことを質問している永井柳太郎議員がいます。十五日は田淵議員が質問をしているんですね。ちょうど百年前の本会議です。
議事録を付けておりますので見てください。これ、電信文を手に持って永井柳太郎さんは質問しているんです。私はその大震災直後におきまして、そのときの内務省が各地に地方官に宛てて発したるところの電報をこの持っておりますと、済みません、電報のここに持っておりますと、電信文掲げて、永井柳太郎さんが百年前にこの日本の国会で質問をしていると。その電報は内務省より直接各地の地方官に発送したるものではなく、一たび行使をもって船橋の無線電信所に発送して、それから全国に行ったのであると。そして、この電信文をこの永井柳太郎さんは読み上げています。東京付近の震災を利用し、その放火、投弾という、この中身の電信文を持っているわけです。
私は、これ、やっぱり百年前の日本の国会議員、やっぱりちゃんと質問しているんですよ。永井さんだけではなくて、ほかの議員も質問しているんです。ちゃんと、関東大震災の虐殺があったその年にちゃんと国会で質問を、電信文を持って、これを持って、これはどうなんだということを質問しています。
この是非議事録を見ていただきたいんですが、この議事録は承知していますね。
○政府参考人(楠芳伸君)
お答えいたします。
御指摘の一九二三年、大正十二年十二月当時の帝国議会における御議論につきましては、帝国議会会議録に記録がされているものと承知しております。
○福島みずほ君
永井柳太郎議員はこう言っているんです。震災直後発生したる不祥事は流言飛語であるがごとく言うておられます、ちょっとはしょりますが、もし流言飛語に出たものでありまするならば、その流言飛語を取り締まるべきところの政府自ら出したところの流言飛語に対して政府は責任を感じないのかと言っているわけです。
まさにこの電信文を掲げて、流言飛語は政府が出しているじゃないか、政府はこれに責任を感じないのかということを百年前に聞いているんですよ。どうですか。
○政府参考人(楠芳伸君)
お答えいたします。
警察庁におきましては、調査した限り、御指摘のような事実関係を確認することのできる記録が見当たらない状況でございまして、お答えすることは困難であることについて御理解をいただきたいと思います。
○福島みずほ君
違いますよ。電信文があり、それはちゃんと公文書館に保管されている。
そして、議事録で、百年前に日本の国会議員が電信文を掲げて、私と同じ文章のこれ読み上げですよ、読み上げて、違うでしょうと、まさに国の責任でしょうと、流言飛語を人々が出したというふうに言っているけれど、不祥事は流言飛語であるがごとく言うておられますと、でも違うと、流言飛語に出たものであるならば、その流言飛語を取り締まるべきところの政府自ら出したところの流言飛語ですよ。朝鮮人が放火している、朝鮮人が爆弾を持っているというそこですよ。で、これからこれを取り締まれ、戒厳令引いたんだから各地でこれは注意しろというのを出しているわけで、政府自ら出したところの流言飛語に対して責任を感じないのかと言っているわけで、これはそのとおりですよ。政府はこの電信文について否定などしていませんよ。調査しますということを当時、総理大臣言っているんですね。前日にも国会議員聞いていますよ。まさにそうなんですよ。
だから、このことを本当に、私が言いたいのは、人が人を殺したり、流言飛語良くない、ヘイトクライムは駄目だ、しかし政府自らこれをつくったんじゃないかという問題なんですよ。これ、ひどいことじゃないですか。政府の責任、電信文を出した責任、法務大臣、閣僚の一人としてどう考えますか。
○国務大臣(齋藤健君)
まあ一般論でありますけど、外国人に対するその不当な差別、偏見、これはあってはならないというふうに考えています。
今の件に関して申し上げますと、過去の質問主意書で明らかにされていますが、調査した限りでは政府内においてその事実関係を把握することのできる記録が見当たらない、そういう見解だったと承知しておりまして、その件について法務大臣としてちょっとお答えをするのは困難だなというふうに思います。
○福島みずほ君
違いますよ。今日のこの委員会の答弁ではっきりしたとおり、文書を全部保管している、防衛省であり、あるいは外務省であり、文書保管を認めているじゃないですか。中国人に対して、中国政府に対して二十万円払うという閣議決定までやっているんですよ。日本政府は責任取らなくちゃいけない、二十万円払うよということ、それを、二十万円、当時の金額は大きいですよね、それを約束している、閣議決定までやっているという文書の保管をちゃんとしているんですよ。電信文の保管もちゃんとあるんですよ。もっと言えば、もっと公刊されている百年前の議事録もあるんですよ、あるんですよ。電信文あること否定できないじゃないですか。この電信文、誰も否定できないですよ。だって、保管しているんですから。
で、この電信文を基に、まさにこの言葉で百年前に聞いているんですよ。議事録残っているじゃないですか。これ、捏造でも何でもないですよ。電信文を片手に私は質問しますと百年前に国会議員言っているんですよ。私、これはすごいと思って、だから百年たった私たちは、これにちゃんと向き合って質問せねばならない、たださなければならないというふうに思っています。
大臣、ヘイトクライム、ヘイトスピーチ、実はもう一回震災などあったときにヘイトクライムが起きるんじゃないか、主義者だって殺された、日本人だって殺された、中国人殺された、朝鮮の人だって殺された、またこういうことが本当に起きるんじゃないかということを本当に心配している人がいます。
で、ちょっと言いますが、入管法改悪法案のときに、仮放免された人たち、犯罪者がこれだけいるとか、物すごく犯罪者予備軍のような言われ方がされたことに私は本当に実はショックを受けました。まさに百年前の、朝鮮の人が暴徒と化し放火をしている、まさに石油を持って注入している、爆弾を所持している、これで戒厳令をだからしいたんだって言ったこととどこが違うんですか。外国人を犯罪者扱いにしてあおったということと、入管法で、犯罪者予備軍だ、帰れ帰れってやったこととどこが違うんですか。地続きじゃないですか。
○国務大臣(齋藤健君)
まず、私どもは、社会経済がボーダーレス化していって、こうした新しい時代の流れの中で外国人と共に生きていく共生社会、これを実現をしなくちゃいけないと思っています。その上で重要なことは、日本人と外国人が互いを尊重し合うことだと考えています。
我が国にいる多くの外国人の方々はルールを守ってしっかりと取り組んでおられると思いますが、ルールを守っていない方々が増え続けるということになりまして、それを放置し続けるということになりますと、ひいては私は外国人全体のいわれのない不信感を抱かせることになるのではないかと思います。
したがって、共生社会の実現に障害となる可能性があると考えていますので、我々は常に申し上げていますように、今回の入管法改正案は、様々ないろいろ政策が入っているわけでありますが、外国人の人権尊重と国民の安全、安心とのバランスが取れた共生社会の実現維持の基盤を整備するものでありまして、ルールにのっとった適正な外国人の受入れ実現、こういうものに資するものだと考えています。
そして、これだけはちょっと申し上げさせていただきたいと思うんですけれども、私どもの説明はこういう段取りになっているわけです。多くの外国人はルールを守って適正に在留されていると認識をしていますと。そして、入管庁では令和五年二月の公表資料でも、現行入管法の課題におきまして、約三千百万人以上の外国人入国者に対して退去強制手続の対象となる者は年平均で約一万七千人で、その大多数が退去強制に応じることなどして帰国もしていただいておりますということを明確に書いた上で、あとは立法事実を明らかにするために必要な最小限のことを客観的事実としてお示ししているという、こういう流れで御説明をしているということは理解していただきたいと思いますし、これがまさか流言飛語に当たるというふうには全く思っていませんので、御理解いただけたらと思います。
○福島みずほ君
日本で難民申請をしている人たちの中にほとんど難民はいないというのは、それは私は違うと思っているんです。もちろん百年前と今とは違います。しかし、外国人を犯罪者予備軍と扱う、取締りの対象として考える、出入国管理及び難民認定法、出入国の管理に関する法律ですから、やっぱり人権の観点がとても弱い。それから、今日ここで私はこのことを質問させていただくのは、やっぱり百年前のこのことに関して私たちはやっぱり知るべきだし、当時の政府自身はここまで、こういう問題があった、電信文がまさに本当に差別、さくりくの非常に大きな動機になったということを政治の責任として私たちはきっちり考えるべきだと思います。
それで、中国の人たちについては、外国だったということもあって、誰が亡くなったか名前が全部ばあっと出てくるんです。だから、遺族も分かるし、本国にも連絡が行った。しかし、朝鮮の人たちは、当時植民地支配の下にありますから、名前やいろんなこと、実態もまだまだ分からないんですという問題もあると思います。
大臣、ふむふむと聞いてくださっていますが、この点についての感想でも一言お願いします。
○国務大臣(齋藤健君)
ちょっと法務大臣としてコメントすることができるのかどうかよく分からないんでありますけど、百年前の出来事から我々が教訓として学んでいかなくちゃならないことというのはたくさんあるんだろうなと、一般論として思っています。
○福島みずほ君
百年前、電信文がまさに朝鮮人、中国人虐殺の根拠になる、政府自身が、警察が電信文を全国に送ることによって、まさに朝鮮の人たちがこういうことをやっている、だから戒厳令引いたというのが、まさにさくりくを本当に生む動機になったというふうに思います。
そして、にもかかわらず、当時、例えば中国政府に対して二十万円払う、責任取るべきだと当時の政府は考える、百年前に電信文掲げて国会で質問をした国会議員が何人もいる、何人というか、一人いて、ほかの方も質問している。そのことについて政府は、調査しますと答えているわけですね。
私は、やっぱり百年たったけれども、このことは今も解決していない、あるいは、ちゃんとすべき問題として、政府の責任として、私たちは政治の責任として考えるべきだということを強く申し上げます。百年目にこういう質問をさせて、時間をいただいたことは本当に感謝をいたしますが、これ、日本政府の政治の本当に責任だと思います。大量さくりくは本当に一人一人の命が侵害されたわけですから、物すごく重いというふうに思っております。中国の遺族の皆さんたちにお会いしていますが、本当につらい思いをされていますよ。是非、政治の問題として解決すべきだということを申し上げます。
次に、名古屋刑務所事件について一言お聞きをいたします。
名古屋刑務所で去年三月一日、死亡事故が起きました。その件について、刑事裁判、刑事事件にもなり、そして、今、国家賠償請求訴訟、提起されております。そして、二月九日、証拠保全、裁判所で決定をします。この人が保護房あるいは静ひつ室に入る前、九時間半のビデオがあるといって、看守の名前などを削除しますから出しますというふうに言っていましたが、突然これは消去というか、ほかの人のもので本人のは消去されていましたというのが明らかになったと。三か月たって、こんなのもうあり得ないというふうに思いますが。
そこで、お聞きします。法務大臣、矯正局長、訟務局長は、いつ映像がないということを知ったんですか。
○政府参考人(花村博文君)
お答えします。
まず、事案の概要について御説明いたします。
令和四年三月一日、名古屋刑務所において受刑者の方が亡くなられるという事案が発生したため、法律上、保存の義務はないものの、同月四日、名古屋刑務所の職員が機材のハードディスク内に保存されていた該当の映像をブルーレイディスクに複写し保存する作業を行いましたが、その際、当該受刑者の方を収容していた静穏室とは別の静穏室の映像を複写、保存しました。その後、お尋ねの証拠保全の決定がなされたところ、令和五年二月九日の証拠保全手続の期日において、別の静穏室の映像が複写、保存されていることに気が付かないまま、当該受刑者の方が映ったものであるとして説明をしたものです。
当該事案につきましては、令和五年五月十日、名古屋矯正管区を通じ、名古屋刑務所から矯正局に一報があったことを受けて承知をし、同月二十九日、法務大臣に報告をしたところでございます。
○福島みずほ君
五月二十五日に第一回期日が入っていて、そのとき国の代理人は今手続をやっておりますと言っているんですよ。その時点で知っていたら、何でそのとき言わないんですか。それがすごく変なんですよ。このこと、その説明。誰も見ていないんですか。裁判になっていて、刑事裁判にもなっていて、誰も見ていない、誰もこれ別人のものだったって気が付かない。おかしいですよ。誰も見ていないんですか。
大臣、矯正局長、総務課長、国の指定代理人、映像を見てなかったんですか。
○政府参考人(花村博文君)
議員お尋ねの映像記録につきましては、私自身も総務課長も閲覧をしてございません。
○福島みずほ君
裁判になっているんですよ。その前には刑事事件になっているんですよ。普通はこれ、一番有力な証拠、九時間半、どういう映像が映っているか見るでしょう。無罪の立証をするためにも見るでしょう。誰も見ていない。そして、三か月たって、そして、えっ、これ別人のものでした、元の人のは消去されてます。物すごくずさんなのか、物すごくこれ、何か別の意図で隠したか、もうどっちかとしか思えないですよ。あり得ないですよ。証拠保全って、だって二月九日やりますって言ってるじゃないですか、裁判所で。訟務検事も誰も見てないってあり得ないですよ。この件については今後も追及をしていきます。
刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案についてお聞きをいたします。
個人事で済みませんが、「裁判の女性学」って本を一九九七年に出しました。「性の法律学」、角田由紀子、尊敬する弁護士の本は一九九一年。で、判決を見ていてですね、強姦罪のこれからの考え方、これは「裁判の女性学」、有斐閣の私の本ですが、強姦罪の保護法益を個人の人格的自由の一種としての性的自由と考えるに、強姦罪の保護法益が性的自由であるとすれば、女性の意思に反した性行為がまさに強姦である、暴行、脅迫の程度の議論をする必要はない、加害者の加えた暴行、脅迫の程度を被害者の抵抗という物差しで測ることはしない、女性の合意は厳密に認定する、男性本位の推測や評価の入る余地をなくす、強姦罪のこれからの考え方と書いております。
ですから、実は感無量で、随分昔、随分前からいろんな人たちが言ってきたことが、まさにノー・ミーンズ・ノー、合意がなければ、それは不同意性交罪なんだと。つまり、死に物狂いで命懸けで抵抗しない限り強姦罪が成立しないということはあり得ない。つまり、判例は合意がないということを明確に認めながら、暴行、脅迫が足りないとして無罪にしている例がやっぱりあるんですね。
それから、これは三十七年前、一九八五年ですが、例えば一九八五年の判決。夫が妻に対して性的交渉を強要したから、これは離婚を認めた事件で、妻が夫の強姦行為を理由として離婚を認めた事件なんですが、夫が妻に対して性的交渉を強要したからといって何ら違法になるわけではないし、また、妻の側にこれを拒否する権利があるわけでもないといってですね、これ、実は離婚を棄却しているんですね。これは、だから、三十七年前なんですが、今回、やっぱりはっきり、夫婦間の問題にしろ、きちっと立法されたということはやはり大きな前進だと思います。
ただ、この委員会で、友納委員や、今日も古庄委員からもあったように、構成要件、罪刑法定主義、構成要件の明確性ということから随分質問がありました。それは実は大事なことだと思います。刑法は国家権力が人を処罰するというものですから、とても大事です。というか、それがちゃんとこう、類推適用とかしちゃいけないと。
刑法百七十六条などに、構成要件の中に「類する」とあります。これは類推適用じゃないか。お聞きします。刑法の中に類するという構成要件、ほかにありますか。
○政府参考人(松下裕子君)
お答えします。
類するという言葉を使っているかどうかということですけれども、刑法の構成要件上、その他のという文言で行為等を例示列挙する規定は複数ございますので、類するという文言を用いた規定の例はございませんけれども、ないからといって処罰範囲を不当に拡大するものではないと考えております。
改正後の刑法第百七十六条第一項の「その他これらに類する行為又は事由」と申しますのは、各号に列挙された行為、事由ごとに見たときに、それぞれに、各号ごとに類する行為、事由を意味するものでありまして、これらに該当する範囲を不当に拡大しようとするものではございません。
その上で、改正後の刑法第百七十六条第一項は、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態であることを中核的な要件として規定した上で、その状態の原因となり得る行為や事由を例示列挙することとしておりまして、各号の行為、事由又はこれらに類する行為、事由に該当しただけで犯罪が成立するという要件とはしておりませんので、処罰範囲が不当に拡大することにはならないと考えております。
○福島みずほ君
今刑事局長が答弁してくださったとおり、類するという条文は刑法の中にないんですよ。それはやっぱり類推適用の禁止というのがまさに刑法のイの一番であって、類推するというのが今後どのように使われていくのか、やはりこれはきっちり注視をすべきだと思います。
性交等同意年齢の引上げには賛成です。ただ、ちょっとこれ、わいせつ罪も対象です。キスするのもわいせつ罪です。十五歳と二十歳がキスをすれば、双方の同意があったとしても、双方はラブラブで付き合っていると思って同意がある、十五歳と二十歳がキスをすると、これはこの百七十六条の不同意性交罪になり犯罪が成立、十年以下の拘禁刑となるということでよろしいですね。
○政府参考人(松下裕子君)
結論としては御指摘のとおりでございます。
本法律案において十三歳未満とされている年齢を十六歳未満に引き上げることとしておりますのは、おおむね中学生である十三歳以上十六歳未満の者について、性的能力に関する、性的行為に関する能力のうち、相手方との関係において性的行為が自己に及ぼす影響を理解し対処する能力が十分ではないということで、対等な関係の下でなければ、性的行為について有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠け、一律に性的自由、性的自己決定権という保護法益が侵害されると考えられることからでございまして、これを前提として、五歳以上という年齢差があることを要件としておりますのは、性的行為をするかどうかの意思決定に関する若年者の能力が、年齢とともに社会的経験を重ね、知識を得ていくにつれて向上していくものであるということを前提といたしまして、年齢の要件を満たせば、年長の相手方との間に対等な関係がおよそないと、性的行為について有効に自由な意思決定をする前提となる能力に欠けて、一律に性的自由、性的自己決定権が侵害されると考えられるからでございます。
そして、不同意わいせつ罪につきましても、不同意性交等罪と同じく、性的自由、性的自己決定権を保護法益とするものでございまして、わいせつ行為である以上は、その内容にかかわらず、有効に自由な意思決定をする前提となる能力や年齢要件については同様に考えるべきことというふうに理解をしております。
したがいまして、御指摘のような場合におきましても、そのような保護法益の侵害がある以上は不同意わいせつ罪が成立し得ることとなりますが、実際にどのような刑が科されるかにつきましては、個別の事案に応じて裁判所において適切に判断されるものと考えております。
○福島みずほ君
刑法は、ですから、全部にやっぱりその要件が満たせば当たるわけじゃないですか。私も、中学生というと何か保護しなくちゃと思うんですが、十六歳未満って高校一年のときもあるんですよね、高校一年生。
例えば高校一年生、十五歳、十六歳未満の子と家庭教師が部屋でキスしちゃった。お母さんが見ていて、これ非親告罪ですから、あるいは公園で誰かキスしていた。そうしたら、それ訴えると、何と十年以下の拘禁刑になるんですよね。
だから、性交渉というと、ううん、ハードルは高いけれど、キスをするとかいう、キスだってもちろん重要なことですが、これで強制わいせつで、答弁のとおり、十年以下の拘禁刑なんですよ。ですから、十把一からげにそれは刑法が適用されますから、いや、これちょっといいのかなというね。アンネ・フランクの、アンネの日記のアンネ・フランク十三歳、ペーターとは三歳弱の差なんですよ。でも、もしあれが五歳差だったら、もしかしてキスをしたかもしれない。そうしたら、それって十年以下の拘禁刑になるのというので、私自身は年齢の引上げには賛成なんですが、強制わいせつにも入っちゃうので、いや、十五歳と二十歳でキスして、これ十年以下の拘禁刑というのは、いや、これは、いや、本当に年齢差で、これは地位利用でやったらバツで、それだけでもう処罰すればいいと思うんですが、今後この法律が運用されていく中で、いろんなこと、本当に必要なものは処罰する、そうでない、いろんな性的自由やいろんなことをちゃんとやっていくという両方のことがとても必要ではないかと思っています。
今日は文科省の政務官から続けて来ていただいて、つまり今度の刑法は物すごく変わるわけですよね。同意というのが重要だと。そうすると、やっぱりちょっと文科省に頑張っていただきたい。性教育だけじゃなくて、もう同意って何、同意ってすごく重要、性的自由についても同意って何ということを、本当に子供たちに、そして尊重するように教えないと、これ、刑法が単に作動していくだけでは駄目で、やっぱり変わらなくちゃ、みんなの意識が変わらなくちゃと思っているんですが、文科省としての決意を是非お願いします。
○大臣政務官(伊藤孝江君)
お答えいたします。
文部科学省では、子供たちを性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないための命の安全教育の教材及び指導の手引を作成し、全国の学校での取組を推進しております。
その中で、性的同意につきましても、この教材の中で、児童生徒の発達段階に応じて、自分の気持ちも相手の気持ちも大切にし、相手が嫌だと言ったら相手の気持ちを受け入れること、望まない性的な行為は全て性暴力であることなどを示しており、これらを通じ、性的同意の大切さを理解できる内容としております。
また、この教材は、各学校の地域の状況などに応じて、内容の加除や改変を行った上での使用も可能としております。各学校の判断により、個別の具体的な例により性的同意について扱うことも考えております。
子供たちが性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないよう、引き続き命の安全教育を推進をし、性的同意の理解促進については関係府省の取組とも連携をして進めてまいります。
○福島みずほ君
この刑法が抜本的に変わる中で、やっぱり同意ということをきっちり教えていかないと、教えるって変ですが、みんなが理解しないと大変なことになる、大変というか、問題が起きると思いますし、とても人権教育についても大事だと思うので、文科省、本当に頑張ってください。期待をしております。
男性、LGBTQ、障害者に対する性暴力で、今日は障害者の人たちに対する性暴力の件は和田議員、そして牧山議員、そしてこの間も随分質問が出たと思います。男性、LGBTQに対する性暴力は、なかなか本当にその実態調査、全体の中の一部分はあるけれど、なかなかきちっとされなかった。いろんな全体としての調査もこれからきちっとしていく必要がありますが、男性、LGBTQ、それから様々な障害を持っている人の障害者を対象とした更なる調査など、まさに必要だと考えます。
この点について、内閣府、法務省、いかがでしょうか。
○副大臣(和田義明君)
お答え申し上げます。
性犯罪、性暴力は、個人の尊厳を著しく踏みにじる決して許されない行為であります。
内閣府におきましては、性暴力に関する調査として、統計法に基づく一般統計調査である男女間における暴力に関する調査、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターにおける支援状況に関する調査等を実施しており、これらの調査の中で、被害者の年齢、性別等の属性別の被害状況などの把握に努めてきたところでございます。
引き続き、性犯罪、性暴力被害の防止や多様な被害者の特性に配慮した適切な支援を提供するための施策の検討に資するよう、必要な調査の実施に努めてまいります。
○福島みずほ君
内閣府、是非頑張ってください。
とりわけ、私は、やっぱり調査が必要ではないか、男性も、いろんなのも少し特化した、LGBTQも含め、障害だと本当に複雑、まあ複合差別がありますから、NGOの人たちの、複合差別の障害で女性の人たちの実態の調査は冊子になっているんですが、まだまだ少ないというふうに思うんですね。
ジャニーズ事務所の件がありましたが、私たちはやっぱり男性の被害についてすごく黙殺してきたんじゃないか、LGBTQの人たち、障害者の人たちについても、それぞれの特性に応じ、特性って変ですが、特色に応じたいろんな性暴力が起きかねないことについて、まだまだ知らない、実態にまだ触れていないんじゃないかというふうにも思っています。
是非、内閣府におかれましては、そういう調査も含め、また支援も含め、頑張ってくださるよう心からよろしくお願い申し上げます。
前回の法改正の附帯決議で、司法警察職員、検察官及び裁判官は研修を行うこととするという附帯決議が付きましたが、まだまだ研修等が不十分であるという声も聞きます。
とりわけ、男性や性的マイノリティーに対して偏見に基づく不当な取扱いをしないことを関係機関等に対する研修等を通じて徹底させることが更に必要ではないかと思いますが、内閣府、法務省、いかがでしょうか。
○副大臣(和田義明君)
お答え申し上げます。
性犯罪、性暴力は、誰に対するものであれ、被害者の人としての尊厳を傷つけ、心身に深刻な影響を与えるものであり、被害者に寄り添った支援を提供することが重要と認識をしております。
内閣府におきましては、ワンストップ支援センターの相談員等に対する研修の中で、多様な被害者への相談対応に当たっての基本的姿勢や配慮を要する点などについて取り上げているところでございます。
引き続き、男性や性的マイノリティーの方々を含め、多様な被害者がためらうことなく被害を訴え、相談し、適切に支援を受け取ることができるよう、必要な研修を実施してまいります。
○福島みずほ君
伝聞証拠の例外について、先ほど牧山委員から質問がありました。答弁があったんですが、条文は何の限定もしておりません。先ほど刑事局長は伝聞証拠の例外について、いや、痴漢に遭った場合の子供や、こういう障害のある子供やというふうにおっしゃいましたが、条文は何の限定も付いておりません。
伝聞証拠の例外として、やはりこれは、今回の刑法、乗じて一気に伝聞証拠の拡大をしたんじゃないか。だって、条文は限定していないわけですから、いかようにでもこれ拡大してしまうんじゃないか。いかがですか。
○政府参考人(松下裕子君)
いわゆる伝聞証拠には原則として証拠能力が認められず、その理由につきましては、一般に、伝聞証拠が供述内容の真実性を吟味、確保するための要素を欠くことにあるとされておりますけれども、現行の刑事訴訟法におきましても、証拠としての必要性と信用性の情況的保障の強弱の兼ね合いによりまして、伝聞例外として証拠能力を認める要件が定められているところでございます。
改正後の刑事訴訟法第三百二十一条の三におきましては、証拠としての必要性に関する要件として、性犯罪の被害者等の供述であることを定めるとともに、信用性の情況的保障に関する要件として、司法面接的手法の中核的な要素である所定の措置が特にとられたこと、また聴取に至るまでの情況その他の事情を考慮し相当と認められること、また聴取の全過程を録音、録画すること、また訴訟関係人に証人尋問の機会を与えることを定めておりまして、これらの要件の兼ね合いにより、証拠能力を認める要件として十分なものとなっていると考えておりまして、伝聞例外の範囲を不当に拡大することとなるとは考えておりません。
○福島みずほ君
いや、条文は全くそうなっていなくて、「供述者の年齢、心身の状態その他の特性に応じ、供述者の不安又は緊張を緩和することその他の供述者が十分な供述をするために必要な措置」となっているので、いかようにでもこれ拡大しちゃうんですよ。だって、この条文に当たれば適用されるわけで、刑法の改正に伴って、乗じて伝聞証拠の例外をこのように拡大することは極めて問題だということを申し上げ、私の質問を終わります。
※本議事録は未定稿です。