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決算委員会 平成11年10月15日 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

145閉-参-決算委員会-6号 平成11年10月15日

○福島瑞穂君 社会民主党の福島瑞穂です。
 まず、冒頭、関西電力が石川県珠洲市で予定している珠洲原発の用地取得についてお聞きいたします。
 記事にもありますけれども、珠洲市の土地を買い上げるのに、反対派に気づかれないようにするため、一、地主の土地を九分割して国土法の届けを免れる、二、売買契約書のほかに金銭消費貸借契約を結び金銭を借りているように装う、三、登記を留保する、四、ゼネコンの関係会社や下請など十六社も使い複雑な取引をして最終的なエンドユーザーが関電であることを隠すという。そのような事実はあるのでしょうか。

○説明員(河野博文君) 珠洲の原子力発電所の用地の取得に関しまして、今引用をなさいましたような新聞報道がなされたことは承知をいたしております。ただ、個別企業がどのような行動をとったかについての事実関係は承知をいたしておりません。

○福島瑞穂君 しかし、国のエネルギー政策を行う上で、例えば今までの議論の中でも、原子力をどう見るかというのは非常に大きな争点です。だまし討ちの方法で土地を取得していること、二点目、土地の購入金額がこのように間にゼネコンなどを介在させていることから当初の三倍以上になっています。それが原発の発電コスト、国のコストにもはね上がっているということも言えます。ですから、この点について調査をすべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○説明員(河野博文君) 御指摘の報道も脱税容疑の裁判が行われているというようなことを一つの情報のソースとして御議論が進んでいるように思いますので、この裁判の経過を通じて事実関係が明らかにされるというふうに私どもも考えているところでございます。

○福島瑞穂君 だまし討ちの方法で、このような方法をとることによって原子力の発電コストが極めて高騰している。結局それは消費者や国民にはね返っていくわけですから、私は即座の調査をお願いします。
 それから、通産大臣が国税に問い合わせをぜひしていただきたいと思っておりますが、それはこういうことです。土地の権利書は関電珠洲立地事務所に保管され、昨年九月の東京国税局の調査で見つかり、押収されております。これは関西電力が最終的な購入者であることを示すものですが、通産大臣、この点について事実経過を明らかにしていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(深谷隆司君) 報道でも言われておりますように、本件に関しましては現在脱税容疑で横浜地裁で既に裁判が行われていることでございます。七月に起訴され、九月三十日第一回公判、第二回の公判は十月二十一日ということでございまして、通産省としてはこれらの一連の中身は裁判で事実として明らかになされるものと考えます。

○福島瑞穂君 もしこのことが事実であるとすれば、通産大臣、このような方法で原発の用地取得をしていることについて、いかがお考えでしょうか。

○説明員(河野博文君) ただいま大臣がお答え申し上げましたように、現在裁判で事実関係が争われているものと承知しております。したがいまして、現在そういう状況のもとで予断を持ってお答えするのは適当ではないというふうに考えます。

○福島瑞穂君 次に、東海村の事故についてお聞きいたします。
 臨界管理の方法には、一、形状管理と、二、質量管理、三、濃縮度管理などがあります。このうち形状管理が一番安全だというふうに言われております。例えばそこにどんなにウランをぶち込んでも臨界にはならないという形状管理をすべきなわけです。
 東海村のこの事故の場合、沈殿槽は形状管理をしていたのでしょうか。

○説明員(間宮馨君) 東海村の今回の事故でございますが、安全審査上どういうことになっていたかと申し上げますと……

○福島瑞穂君 済みません、簡単で結構です。形状管理をしていたかどうか、はいかいいえだけで答えてください。

○説明員(間宮馨君) はい、わかりました。
 沈殿槽に関しましては形状管理になってございません。

○福島瑞穂君 なっていない。形状管理はしていらっしゃらないわけですね。
 なぜ形状管理をしていなかったのでしょうか。形状管理ができないのであれば臨界事故対策をすべきではないですか。
 つまり形状管理というのは、そこに幾らぶち込んでもそれができないようにしてある。そうしますと、誤作動や故障やいろんな事情から臨界事故が発生する可能性があるわけです。臨界事故対策をすべきではないですか。

○説明員(間宮馨君) 先ほど申し上げようと思った点でございますが、システム全体といたしましては、まさに質量管理と申しましょうか、そういうものが何カ所かに入っている中に、一部形状管理が挟んであるということでございまして、実際に沈殿槽に至るまでには非常にたくさんのバリアが設けられておりまして、それを突破することは非常に難しい。一例で申し上げますと、規定量というのがあるわけですけれども、規定量の二倍を間違って入れたとしてもこれは臨界に至らないようになってございます。
 しかし、今回の場合まさに起こったことは、違反に違反を重ねた状態で七倍ものウランを投入したということでございまして、こういうバリアの中でそういう想定したものをはるかに超えるような状況が起こったということで、今回の事故が発生したということでございます。

○福島瑞穂君 形状管理ということを誤解していらっしゃるのではないでしょうか。形状管理というのは、どんな人が、例えば何かの間違いで濃度を間違えたり質量を万が一間違えて入れても、そのような臨界事故が起きないように設計をする、そういう設計をしているからこそ臨界事故が起きないということなわけです。
 さっきこの沈殿槽は形状管理をしていないというようにおっしゃいました。とすると、今回はそうなんですが臨界事故が起きたわけです。臨界事故がまさに起きた。それで、ウラン濃縮をめぐる裁判で、形状管理ができないのであれば誤操作と故障により臨界事故が起きる可能性があると指摘をされ続けてきました。危険性は実は今まで指摘をされていたわけですが、そのとおりになったのではないですか。
 今後、臨界事故対策が不要であるという核燃料施設安全審査指針を見直されますでしょうか。

○説明員(間宮馨君) 先ほど申し上げましたように、我々としては十分な裕度を見込んだつもりでございましたが、現実に事故が起きたわけでございますので、今後につきましては、現在行われております安全委員会の事故調査委員会の議論も踏まえまして、改善すべきは改善していきたいというふうに考えております。

○福島瑞穂君 国としてはどうなんですか、国としてどう考えるんですか。
 つまり臨界事故を想定していなかった、だけれども臨界事故は起きた。形状管理はしていなかった。とすると、今度は臨界事故対策が不要であるということを見直す必要があるのではないか。実際、再処理工場はそうしております。臨界事故対策は不要であるというふうに今までされてきました。しかし、起きるわけですから、核燃料施設安全審査指針、今まで臨界事故という対策は不要とされていたけれども、この見直しは絶対に必要だと思いますが、お考えをお聞かせください。

○説明員(間宮馨君) そこはおっしゃるとおりでございまして、実際に起きたという現実がございますので、この現実を重く受けとめまして、まさに先生おっしゃるような方向で検討が進められるというふうに考えております。

○福島瑞穂君 国の考えをお聞かせください。この安全指針を見直すのですか。

○説明員(間宮馨君) 国ということでございますけれども、安全指針というのは安全委員会がつくるということになってございますので、安全委員会がそのように動くであろうということを申し上げたわけでございます。

○福島瑞穂君 起きないと言われていた臨界事故が起きたわけですから、臨界事故対策はしないというこの指針そのものが必ずやきっちり見直されるということを期待しております。
 ところで、今までは臨界事故対策は不要であるという政策がとられてきました。今回もし見直すとすれば、今までの安全審査そのものに問題があったということになるのではないですか。

○説明員(間宮馨君) これまでの安全システムがどうであったかということでございますが、安全システムというのはある時代のある状況を踏まえて策定されるものでございまして、その時代に合っていたということであっても、時代が変われば、あるいは状況が変わればそれはそれに応じて見直していくべきものでございます。
 今回は現実に事故が起きたということでございますので、そこら辺を踏まえて当然検討されるものであるというふうに我々は考えております。

○福島瑞穂君 いえ、時代が変わったのではありません。安全審査とは、どんな人がどんなにミスをしてひどいことをしても大丈夫なようにするというのが安全審査なはずです。そして、さまざまな原子力発電の裁判、特にウラン濃縮をめぐる裁判で、形状管理ができないのであれば臨界事故が起きるといったことはずっと指摘をされていました。
 ですから、だから言わぬこっちゃないということも言われたわけですが、今までの安全審査そのものに私は間違いがあったと。そういう臨界事故対策は不要であるという安全審査は、これは問題があったと思いますが、いかがですか。

○説明員(間宮馨君) いずれにいたしましても、現在、事故調査委員会でそれらも含めまして第三者による評価が行われているところでございますので、我々としてはその結論を待ちたいと思っております。

○福島瑞穂君 では、またその結果をできるだけ早く教えてください。
 国がウラン加工工場の安全性を軽視して臨界事故対策は不要としてきたことが今回の事故のやはり原因だと思います。国がそういう姿勢だからこそ、こういう違法マニュアルが使われて事故の原因となったのではないか。現場に臨界事故は起こらないかもしれないけれども起こる可能性があると、起こり得るということできっちりされていればこういう事故が起きなかったというふうに思います。
 では次に、先ほどの緒方さんのと少し関心が重なるんですが、なぜすぐに国は避難勧告を出さなかったんですか。

○説明員(間宮馨君) まず率直に認めなければいけないのは、今回の事故は我が国にとって想像できなかった初めての臨界事故であったということでございます。かつ、事故を起こした事業者が中性子線の計測装置を保有していなかったということのために、当初事態の把握が十分にできなかったということがございます。
 当庁が臨界状態が続いているという状況を把握した時点では、既に東海村長の御判断で三百五十メートル圏内の住民の方々に対して避難要請が出されておりまして、それは適切であるというふうに我々は認識したわけでございます。
 いずれにしましても、今回事故が起きたということで、これを踏まえまして、防災対応をより実効性あるものにするために、原子力防災のための新法も含めまして鋭意検討を行ってまいりたいと考えております。

○福島瑞穂君 驚くべきことに、中性子線をはかる装置がそもそもここにはなかったと。ですから、八時間ぐらい中性子線をはかるデータがないわけです。
 そのことそのものも全く管理責任を問われるべきだと思いますが、それからもう一つ私がとてもひどいと思うのは、例えば十一時三十分、事故が起きたのは十時三十五分ですが、十一時三十分には施設敷地境界内で〇・八四ミリシーベルトのガンマ線が出ております。これは専門家に聞けばすぐ中性子線が出ているというふうに判断できる数値であるというふうに聞いています。ところが、避難命令は大変おくれますし、それから次の日の十月一日、中性子線がずっとまだ出続けている、臨界がまだ続いている段階において屋内退避が指示されていることです。
 御存じのとおり、中性子線は壁を通してしまいますから、屋内退避ですと中性子を浴び続けるわけです。そうしますと、屋内退避をしろと言われて忠実にそれを守って、水もない食糧もない、でも我慢して家にいた人たちは何と中性子を浴び続けた。中性子線を浴び続けて被曝しているわけです。これはもう本当に住民をばかにしているというか、命を本当に軽視していると思いますが、いかがですか。

○説明員(間宮馨君) 先生おっしゃいますとおり、中性子線はかなりのあらゆるものを通過するというのは事実でございますが、逆に距離の自乗に反比例するということで、距離が遠のきますと急激に落ちるわけでございます。
 我々としては、三百五十メートル圏内の方々が圏外に出られたという状況を踏まえまして、それから外の世界に関しましては必ずしも中性子がそれほど強くはないということも考えまして、総合的に、その後県とも相談いたしまして、まさにガンマ線の影響等を最小限にするというために屋内退避が念のために適当ではないかということで合意をいたした次第でございます。

○福島瑞穂君 三百五十メートル、それが妥当かどうかもまた別ですけれども、五十世帯の避難決定がされたのは十五時でありまして、それまではずっと屋内退避が一部に言われただけです。その後、中性子線が出ている段階で、次の日、十月一日の段階でも屋内退避です。これは明らかに政策ミスだというふうに思いますけれども、いかがですか。
   〔委員長退席、理事鹿熊安正君着席〕

○説明員(間宮馨君) 今申し上げましたように、中性子線、後でデータが出てきてわかったわけでございますけれども、最初に大きく一回出まして、後、あるレベルは保ったわけでございますが、そのレベルが三百五十メートルを超えて影響を及ぼすという度合いはさほど強いものではないということでございます。
 したがいまして、そうなりますと、中性子の直接の影響というよりは、ガンマ線を防いで全体のまさに積算的な影響を少なくする方がいいという判断で屋内退避、つまり三百五十メートルを超えて十キロ以内というところに関しては屋内退避が適当であろうというふうに考えたわけでございます。

○福島瑞穂君 住民に配るマニュアルなんですが、ここにたまたまコネティカット州原子力発電所非常事態対策ガイドというものがあります。これは住民に対して配られている、住民が動くためのマニュアルです。
 ところが、科学技術庁にずっとマニュアルを出してほしいというふうに言いましたけれども、これは内部のマニュアルしかどうもないようです。科学技術庁防災業務計画の中でつくられた原子力災害時の緊急時対応マニュアル、科学技術庁の内部のものです。これはまだいただいておりませんが、防災上必要なマニュアルとしては科学技術庁と消防庁でつくっている立地自治体のものもあるようですが、これも住民のものではありません。
 アメリカのコネティカット州の原子力発電所非常事態対策マニュアル、近隣住民の方々へのガイドブックでは、読みますと、半径十六キロメートル以内に三百八十一のサイレンがあって、鳴ると、そのサイレンの鳴り方によって何が起きているかがわかる。住民がほぼ全員知ることができる。電話はかけるな、テレビかラジオを聞けというのがあります。ハンディキャップがある人は事前に登録していると救助が得られる、そういうことまで全部あります。これには、州や地方自治体は住民が防護の行動をとらなければならない事故の際には十五分以内にお知らせすることになっていますというふうになっています。
   〔理事鹿熊安正君退席、委員長着席〕
 もちろん、アメリカでも完璧ではないでしょうけれども、十五分以内にほぼサイレンが鳴るのと、きちっとしたマニュアルがない、住民に対してきちっとした広報も避難要請もされないというこの日本の落差、今後きちっとした住民へのこういう対策マニュアル、本当に本人に役立つようなマニュアルをつくっていただけるのでしょうか。

○説明員(間宮馨君) いずれにいたしましても、今回反省すべき点多々ございます。まさに起きたことでございますから、今後もそういうことを想定しながら我々はやらなきゃいけないという中で、先生のおっしゃいましたマニュアルにつきましても当然検討の対象にいたしたいと思っております。

○福島瑞穂君 中性子を浴びた住民の人たちは被曝をしたのですね。

○説明員(間宮馨君) これまでわかっているところでは、中性子を浴びた住民の人の七名が被曝したということでございます。

○福島瑞穂君 測定データをください。
 それから、先ほど緒方さんもホール・ボディー・カウンター、全身入れて調べる。それも即座にやらないと中性子はどんどん測定できなくなるということなんですが、現在まで住民で受けているのは五十人しかおりません。なぜ住民のホール・ボディー・カウンターをすぐに行わなかったのでしょうか。

○説明員(間宮馨君) いずれにいたしましても、先ほど緒方先生の方からも同じような質問がございまして、経緯はお調べして後ほど御報告いたします。

○説明員(興直孝君) ホール・ボディー・カウンターは、体内にございます例えばナトリウム24とかそういうふうなものを使って体内の放射能の強度を測定するわけでございますが、先生御指摘のとおり、当然時間が経過しますと減衰してまいります、ナトリウム24の場合は半減期は十五時間ぐらいでございますので。
 したがいまして、実際、時間が経過しました後の住民の方々に対します健康診断とかあるいは健康相談、健康管理の観点からは、茨城県がその後行われました、例えば地域住民の方々に対しまして血液検査などというふうな形でいろいろな健康相談をやられてございます。そういうふうな形で県がおやりになられますのを厚生省が支援しながら対応してきているという状況でございます。

○福島瑞穂君 中性子を調べるには、血液ではなくてホール・ボディー・カウンターでやるのが一番よい。それから二番目には、即座にやらないと数値が出てこない。つまり、中性子で被曝はしているけれども数値が出ていかない。それで、しばらくたってがんになったとして、例えば三十年後にがんになったとして、それはなぜかということはわからないわけですよね。
 しかも、今の時点で住民で受けたのは五十人ということです。つまり周辺住民は十九時間にわたって中性子線を浴び続けた。どれぐらい被曝したかを調べるというのも広報が十分されていない。それから、損害賠償請求をするにも医学上基礎的なデータがないわけですよね。
 今からでもきちっと呼びかけるというふうなことは責任を持ってやっていただけるでしょうか。

○説明員(興直孝君) お答えします。
 先ほど御説明申し上げましたとおり、ホール・ボディー・カウンターで計測する場合、先生からも御指摘ございましたとおり、その直後に測定するのは非常に効果があるのだろうと思います。例えばこの中性子が体内にございますナトリウム23をたたきましてナトリウム24が出る。その結果として、後は計測機器の方で測定するわけでございます。
 他方、また中性子線等は血液の中のリンパ球とかそういうものに対する一つの、もしそれが影響を与えるとすれば、リンパ球を捕捉していくというのも一つの健康管理の手段でございまして、そういうふうな意味で、時間が経過しました後は、白血球のうちのリンパ球をフォローするというのが現実的な対処の仕方だろう、このように考えてございます。

○福島瑞穂君 興さんに端的に答えていただきたいんですが、ホール・ボディー・カウンターを即座にやるのが一番効果的であるのであれば、なぜ即座にやらなかったのですか。興さん、お願いします。

○説明員(興直孝君) お答えします。
 先ほど間宮局長からも回答申し上げましたとおり、その時点で比較的現場は混乱していたというのはあったかと思います。ただし、必要な方につきまして現場で可能な限り対応してきたものと実は考えてございました。
 しかし、ホール・ボディー・カウンターで測定するということになりましても、ホール・ボディー・カウンターが現場に置かれている数、それと測定するのに必要な時間という観点から考えますと、多くの方を受け入れるような状況ではないというのも現実的にはあろうかと思います。ただし、先生おっしゃいますように、できるだけ早くフォローするにはホール・ボディー・カウンターは意味がある、これは確かにそのように思います。

○福島瑞穂君 中性子の被曝量をはかるのに最も最適であるということを認められながら、混乱していたからそれができなかったと。つまり、住民がどれだけ被曝したかということを確認する一番有効な方法が失われているということなんですね。
 これは本当にひどいというふうに思います。住民にとってみれば一番最適な方法、それをなぜやってもらえなかったのか。これは、やっぱりそういう状況だったら、本当に原子力発電所を建てる資格があるのか、原子力行政をやる資格があるのかというふうに私は思います。
 今後、チェルノブイリなどもそうですけれども、周辺住民の人たちのきちっとした定点観測的な何十年単位にわたる健康管理等一人一人のフォローを、プライバシーの問題もありますけれどもやっていただきたいというふうにも思います。
 それで、核燃料サイクルにも日本原電にもホール・ボディー・カウンターがあって、一日百人以上検査できるわけですね。としますと、先ほどたくさんできないとおっしゃいましたけれども、それについてはいかがですか。つまり、核燃料サイクルにも日本原電にも一日百人以上は検査ができるホール・ボディー・カウンターはあったということです。

○説明員(間宮馨君) ちょっと物理的にどれぐらいということは私も今すぐにはわかりませんが、いずれにしましても、申し上げていますのは、希望者にはぜひと、こういうことを申し上げてきたわけでございまして、その結果で今百五十名までは……

○福島瑞穂君 いただいた資料では住民は五十人なんです。希望者にはというのはやっぱり無責任だと思います。一般の人は原子力についての知識や中性子線、あるいはどれだけで半減、すぐやらなくちゃいけないというようなことはわかりませんから、希望者にだけするということそのものが無責任だと思います。それは、国がもう本当に皆さんの健康管理のためにすぐ被曝量を調べてください。
 非常に意地悪く見れば、これはある意味で事故隠し、被曝はなかったというふうに言うためではないかとすら思いますよ。だって、即座にやったら被曝した人たちがたくさん出てくるかもしれない。だけれども、今からやったら被曝のデータが余り出てこないわけですね。そうすると、物すごく意地悪な見方をすれば被曝データ隠しというふうに社会的に見られても仕方がないと思いますが、いかがですか。

○説明員(興直孝君) お答えいたします。
 当日の現場の状況といたしましては、御案内のとおり、関係する住民の方々が避難をされている、あるいは建物の中に退避をされている、そういう状況でもございまして、また三百五十メートルの域内の方に退避を解除するというふうな状態の中にあって、そういう住民の方々に対してとられた現場における措置としましては、例えばサーベイメーターで放射線の測定をして問題がないかどうかというのを現場で捕捉されたわけでございますが、これも五万二千人以上の方が受けられたところでございます。
 そのほか、事故現場付近につきましては、先生今おっしゃられましたように、希望する住民の方に対しまして日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構でホール・ボディー・カウンターを使用しましてその測定をやってきたところでございまして、住民の方にその機会をもう少しさらに広げるべきだったというふうな点についてのお話はきょうしかと受けとめて、今後の防災対策というか今後の施策の中に反映させていかなければならない、そういう問題だろうと思ってございます。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、住民の方々の健康管理の観点からは、血液中のリンパ球を捕捉するという方法もございますので、そういういろいろな方法を同時に併用することによって、地域の住民の方々の健康相談、健康管理に国としても誠心誠意努力していくことが今必要なことだろうと思ってございます。

○福島瑞穂君 中性子の計測器はそもそもなく、それから臨界事故は想定をしていない。そして、中性子が二十時間以上にわたって出続けているのに屋内退避を言った。それから、中性子を調べるのに最も有効な方法であるホール・ボディー・カウンターをやらなかった。現時点においても五十人にしかすぎない。当日は無理でも、十月七日ぐらいまでの間にホール・ボディー・カウンターを全住民くらいやっていれば、被曝の結果はもっと適切な方法で出ただろうというふうに思っています。これで安全宣言などをすぐされないようにということは思っております。被曝のデータが明確にないにもかかわらず安直に安全宣言などはされないようにお願いをしたいというふうに思っていますし、根本的な日本の原子力政策が問われているということをぜひ考えてください。
 それから、この問題のあったジェー・シー・オーの施設の設計及び工事方法の認可申請書を二週間ぐらい前から、事故直後から出してくださるように要請をしておりますが、いまだにいただいておりません。ぜひ大至急出してくださるように、データの公表を速やかにしてくださることが信頼の確保だと思いますので、よろしくお願いします。

○説明員(間宮馨君) 最後の点でございますが、御請求のありました資料につきましては公開をするという方向で考えてきておりまして、ただ、内容に核物質防護にかかわること、あるいは財産権の保護の見地からやっぱり確認をしなきゃいけないという作業がございましておくれておりますが、近日中にまず一部お渡しできると。その後も作業を進めたいと思っております。我々、公開を前提として物事に対処していきたいと思っております。

○説明員(興直孝君) お答えをします。
 先生がおっしゃられますとおり、安全宣言の問題はございますけれども、今回のこの問題の非常に重要な問題は、地域住民の方々の健康の問題であろう。原子力施設の安全問題は当然のこととして、別途、今社会的に非常に大きい問題になっておりますのは住民の方々の健康の問題だろう、このように考えてございまして、これにつきましては当然、茨城県と東海村を初め関係する地方公共団体の方は非常に憂慮されているところでございます。先ほど申し上げましたように、国はそれに対して積極的な最大限の努力を払っていきたい、このように考えてございます。
 再三恐縮でございますが、ホール・ボディー・カウンターは、ある意味ではその瞬間の代表的な方をもし仮に測定することができましたら、どういう状況であるかというのは類推できるだろうと思いますので、それなりに非常に意味のある状況でデータというか健康の状態を示すことができたんだろうと思ってございます。ただし、それで十全だったかということにつきましては、先生の御指摘は十分わかってございます。それらを次の国としてのきちっとした防災対策の中に反映させていくことが今必要な問題だろうとも考えてございます。

○福島瑞穂君 時間ですので終わります。

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