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本会議 平成18年01月25日 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
164-参-本会議-3号 平成18年01月25日
○福島みずほ君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、小泉首相に対して質問をいたします。
まずは、豪雪によって亡くなられた皆様に哀悼の意を表すとともに、今もなお雪の中で苦労されている皆様に心からお見舞いを申し上げます。
さて、政治は何のためにあるのか、だれのためにあるのか、今このことが問われています。
ライブドアの堀江さんが逮捕されました。堀江さんは著書の中で、人の心はお金で買える、女はお金に付いてきますと書いていました。また、選挙のときには、公的年金はなくなってもいいと話しています。竹中大臣が、郵政民営化、小さな政府づくりは、小泉純一郎、ホリエモン、竹中平蔵でスクラムを組んでやり遂げると語ったように、堀江さんは、金持ちの金持ちによる金持ちのための政治である小泉政治の象徴でした。そして、自民党は衆議院選挙でその堀江さんを全面的にバックアップし、武部幹事長は彼を、堀江君は将来の日本を背負っていくリーダーになる方だ、私は大いに応援したいともてはやしたのです。
社民党は、衆議院議員選挙のときも、勝ち組のための政治では人は生きられない、国民を見ずして改革なし、改革の方向が間違っていると批判してきました。
私たちの暮らしは、保育、医療、介護、福祉、交通など様々な公共サービスによって支えられています。そして、これらの公共サービスは、小泉政権の官から民へ、小さな政府のスローガンの下、年金、介護、障害者福祉、医療と、どんどん切り捨てられていっています。小泉首相、武部幹事長は、今回の逮捕について、別の問題であるとしらを切っていますが、そうでしょうか。自民党があおり立てたものは何だったのか。道義的な責任があると考えますが、いかがですか。
また、勝ち組のための政治は、私たちの暮らしの根本である働くことを壊しています。小泉首相は、労働者派遣事業法の改悪を行い、ほとんどの業種で派遣労働が可能となりました。首相は、格差は拡大していないとジニ係数を挙げていますが、平成十四年のデータで古いものです。ここ数年で格差は拡大をしているのです。小泉政権下で非正規雇用の労働者数は約五百万人増加し、年収二百万円以下の世帯が五世帯に一世帯、暮らしの実感からも格差は拡大をしています。この格差拡大社会は、天然現象、自然現象ではありません。小泉自民党政治は、チャップリンの言った夢と希望とサムマネーをたたき壊しています。格差拡大社会をつくっていることをどう考えますか。
社民党は、働く人たちと非正規雇用フォーラムをつくり、同一価値労働同一賃金の立法化をしなければ労働条件の改善はあり得ないと取り組んできました。雇用の破壊を続ければ、暮らしは成り立たず、少子化はますます進んでいきます。ヨーロッパの多くの国々のように、パート・有期契約法など、労働法制の規制強化が不可欠だと考えますが、いかがですか。
小泉改革が目指した利益がすべての市場万能主義、自由競争原理の強化が耐震構造偽装の問題やライブドアの問題を生み出してきたのです。私たちの危惧は的中をしました。その政治の対極にあるのが社民党の掲げる社会民主主義です。競争にあって公正を確保し、社会保障を充実させ、だれもが希望を持って生きられる社会、お互いに支え、大事にし合う社会をつくるためにこそ政治はあるのです。
今、格差社会の是正、所得の再分配のためには、税制と社会保障が重要です。社民党は、税制について、消費税の値上げではなく、累進課税の最高税率と法人税を少なくとも一九九九年以前の段階に戻すことで二・三兆円増収になることを提案していますが、いかがですか。
今国会では、医療の改悪法案が提出される予定です。改悪法案では、お金のない人は病院に来るなと言っているようなものではないですか。所得の格差は健康の格差につながっています。命の問題です。医療について国民の負担増は行うべきではないと考えますが、いかがですか。
小泉首相、あなたは、日本の国民のための政治ではなく、アメリカだけを向いた政治を行っているのではありませんか。
まず、命を大事にしないBSE問題です。
米国産牛肉の輸入再開に当たって、政府は、輸入再開を決めた十二月十二日の後となる十三日から査察を行っています。しかも、特定危険部位除去の確認をしておりません。このようなずさんな政府の査察は全く意味がありません。日本政府がいかに輸入再開を優先させ、国民の命を無視したのかが問われます。私は愛国者です。日本人の命をアメリカに売り渡した政府の対応を許せません。
首相、なぜ査察を輸入再開決定後に行ったんですか。また、この査察がずさんだったことを認めますか。輸入再開をすべきではないと考えますが、いかがですか。
また、在日米軍基地の再編問題についてお聞きをします。
三月末に最終報告を出す予定と言っていますが、すべての地元自治体が反対をしています。どうするつもりですか。
〔副議長退席、議長着席〕
そして、横須賀港がアメリカ原子力空母の母港になることにも反対です。東京湾にできの悪い原子力発電所がぷかぷか浮かんでいるようなものです。日本政府は、原子力空母の中を査察できるのですか。事故はないと言い切れるのですか。このような危険なものを母港化することはやめるべきです。いかがですか。
また、米軍基地再編問題では、普天間飛行場の代替地のために特措法がまた作られるのではないかという不安が広がっています。このような特措法が作られたら、これまで作ってきた地方分権への流れは根こそぎ崩されてしまいます。首相、沖縄の問題で特措法は作らないと、ここで明言をしてください。
基地周辺の人々は、これまで多くの負担を強いられてきました。基地周辺の爆音問題は解決されていません。また、神奈川横須賀での強盗殺人事件、八王子での小学生ひき逃げ事件、沖縄F15戦闘機の墜落と、米軍兵士の事件が多発をしています。米軍基地があるゆえの問題ではないですか。事件は減るどころか増えていることをどう考えますか。また、日米地位協定の改定が不可欠だと考えますが、いかがですか。
さて、今の政治は女性を応援していません。育児も家事も働くことも、女性たちの肩に重くのし掛かっています。また、働く場でも、女性が一般職やパートの仕事に偏っているなど、間接差別を受けている環境も変わりません。女性差別撤廃委員会から勧告されているように、間接差別の撤廃やシングルマザーへの支援などを含め積極的に対処すべきだと考えますが、いかがですか。
女性たちが生き生きと暮らすための改革として、選択的夫婦別姓の導入や国連子どもの権利委員会などから何度も廃止を勧告されている婚外子差別について民法改正を行うべきだと考えますが、いかがですか。
次に、共謀罪です。犯罪の予備ですらなく共謀のみによって処罰をする法案が継続審議となっています。共謀が目くばせだけでも成立するというのが政府の答弁であり、このような法律は近代刑法を壊すもので大問題だと考えますが、いかがですか。
最後に、この国の政治が変わり、憲法が変えられようとしています。小さな政府小さな政府と言いながら、なぜ大きな軍隊を持とうとするのですか。二度と戦争をしないと定めた憲法九条は、さきの大戦で亡くなった多くの尊い命の犠牲の上に得たものです。だからこそ憲法九条は、アジアに対する、世界に対する公約なのです。
今、首相の靖国参拝のため、日中韓において首脳会談が開けない異常な状況が続いています。首相は、靖国参拝をやめ、憲法を守り、アジアの人たちとの共生をこそ進めるべきです。いかがですか。
今こそ、政治を変えるべきときです。社民党は、平和を願う人たちとともにありたい。働く人たちとともにありたい。生活に困難を感じ、将来に希望を持てない人たちとともにありたい。人間を粗末にする政治ではなく、普通の人が働き続け、普通の人が生きられる社会をつくる政治、人間を大事にする政治を元祖格差社会是正の政党の社民党として全力でつくっていくことをお約束申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 福島議員にお答えいたします。
堀江氏の件についてでございますが、現在捜査当局による捜査が行われているところであり、その状況を見守っていきたいと思います。この件と昨年の衆議院総選挙において自民党幹部などが応援したこととは別の問題であると考えております。新しい時代に様々な人がチャレンジすることは大事なことでありますが、いかなる場合であっても法律を守ることが大前提であります。違法行為があれば、これに厳正に対処すべきことは当然であります。
格差拡大社会についてでありますが、所得や資産の格差の問題については、予算、税制、規制改革などの検討に当たってはよく注視していく必要があると考えます。
この点について、近年、ジニ係数の拡大に見られるように所得の格差が広がっているとの指摘がありますが、統計データからは、所得再分配の効果や高齢者世帯の増加、世帯人員の減少といった世帯構造の変化の影響を考慮すると所得格差の拡大は確認されない、また、資産の格差についても明確な格差の拡大は確認されないとの報告を受けております。
しかし、将来の格差拡大につながるおそれのあるフリーター、ニート等、若年層の非正規化や未就業の増加、生活保護受給者の増加、また東京などの都市と地方の格差といった最近の動きには注意が必要であります。このため、政府としては、これまでニート、フリーター、生活保護受給者の自立支援対策の充実や地方の再生を進めております。
引き続き、景気の回復を図るとともに改革を進めて、地域や国民の多くが持っている潜在力が発揮されるように努力していきたいと思っております。
労働法制の規制強化でございますが、パートタイム労働者の処遇については、正社員との均衡処遇に取り組む事業主への支援の強化や、公正な処遇が確保される短時間正社員制度の普及など、だれもが安心して働くことができる労働環境の整備を進めてまいります。なお、同一労働同一賃金を確保するために法規制を強化することについては、労使を含めた国民的な合意形成を図りつつ対応していくことが必要と考えます。
また、労働契約の在り方については、就業形態の多様化、個別労働関係紛争の増加等の状況を踏まえつつ、労使双方の意見を参考にしながら検討を進めているところであります。
税制による所得再分配でございますが、所得課税の最高税率の引下げ及び法人課税の実効税率の引下げは、勤労意欲への配慮や国際化の進展といった構造変化へ対応する観点から行われたものであります。今後、公正で活力ある社会にふさわしい税制の実現に向け、税体系全体の抜本改革を総合的に論議する中で、税制全体として国民にどのような税負担を求めることが適当かといった観点から、消費税、所得税、法人税、資産税など各税の果たすべき役割や構造についても幅広く議論していく必要があると考えます。
医療に関してでございますが、高齢化に伴う医療費の増加が見込まれる中、国民皆保険の下、給付と負担の均衡を図り、将来にわたり持続可能な医療保険制度を構築していくことが必要であります。
今般の改革におきましては、現役並みの所得を有する高齢者の患者負担について、負担の均衡の観点から、現役世代と同じ三割負担とするなどの見直しを行うとともに、国民負担の軽減を図り、医療提供側にも応分の負担をしていただく観点から、平成十八年度診療報酬改定についておおむね三・二%のマイナス改定を行うこととしております。低所得者につきましては、こうした見直し後も自己負担限度額を据え置くなど十分な配慮を行っていくこととしており、必要な医療まで抑制されることはないと考えています。
米国産輸入牛肉についてですが、昨年末の米国産牛肉の輸入再開は、食品安全委員会において科学的な議論を尽くし、国民の意見も聴取した上で取りまとめられた答申を踏まえて決定されたものであります。日米間で合意したルールは、輸出国である米国政府の責任でその遵守が確保されるべきものであり、査察は、このルールが的確に機能しているのか確認するため輸入再開後に実施したものであります。
米国産牛肉の輸入手続を再開するためには、日米間で合意したルールの遵守が必要であり、二度とこうしたことが起きることのないよう国民に食の安全、安心を大前提に米国に対し原因究明と再発防止を求めております。
在日米軍の兵力態勢再編については、地元公共団体を含め、国民の理解なくして実行することは困難であります。このため、関係閣僚などが関係自治体を訪問し、その内容や方向性について誠心誠意御説明しているところであります。今後、三月の具体案の取りまとめに向けて、地元の御理解を得ながら、日米協議を加速してまいります。
キャンプ座間の問題についてでございますが、昨年十月の在日米軍の兵力態勢再編についての共同発表では、キャンプ座間の在日米陸軍司令部は改編されることとされていますが、その中核的な任務は日本国の防衛及び極東の平和と安全の維持となります。これは、日米安保条約第六条の規定する施設・区域の使用目的に合致したものであります。
原子力空母についてですが、軍艦については軍事機密の制約がありますが、いずれにせよ、政府としては、米国政府による安全性の保証や安全運航の実績を踏まえ、米国の原子力軍艦の安全性は確保されていると判断しております。
普天間飛行場についてですが、在日米軍の兵力態勢再編について、関係閣僚以下が実際に現地を訪問し、その内容や方向性について誠心誠意説明しているところでありますし、特措法について現在の状況において、御指摘のような法案を検討しているということはありません。
日米地位協定についてでございますが、米軍にかかわる事件の発生は極めて遺憾であり、政府としてアメリカ側に対して、綱紀粛正、再発防止措置を強く求めております。政府としては、今後ともアメリカ側に徹底した対応を求めてまいります。
日米地位協定については、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるとの考えの下、運用の改善に努力しております。例えば、先日も、起訴前の容疑者の身柄引渡しが日本側要請後直ちに実現するなど、種々の分野で改善例を積み重ねております。
シングルマザーについてでございますが、女性が性別により差別されることなく、また家庭を持ちながらでも働きやすい社会環境をつくることは極めて重要であります。政府としては、間接差別を含む性差別禁止の範囲の拡大などを内容とする男女雇用機会均等法の改正法案を今国会へ提出することとしています。また、一人親家庭に対する子育て・生活支援策や就業支援策などを進めることにより、男女がともに個性と能力を発揮できる社会の実現を目指してまいります。
選択的夫婦別姓制度、婚外子差別についてですが、これらの民法改正の問題については、婚姻制度や家族の在り方と関連してこれまでも様々な議論が行われてきたと承知しております。国民の意識動向を踏まえつつ、与野党間でよく協議していただきたいと考えております。(拍手)