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本会議 平成20年01月23日 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

169-参-本会議-3号 平成20年01月23日

○福島みずほ君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、福田政権に対して質問をいたします。
 まず、命の問題に政治家として取り組んできた、尊敬する山本孝史さんの御冥福を心からお祈り申し上げます。
 社民党は、今国会を命を守る国会と名付けます。命を守るため、特に税制、地方、医療、雇用の問題の政策転換を全力でやっていきます。
 社民党は、七年前から、新自由主義、規制緩和である小泉構造改革に対して、改革の方向が間違っている、国民の生活と命が破壊されると批判をしてきました。結果は、まさにそのとおりになりました。改革は偽装でした。
 私は、去年、特に地方を回りました。自治体財政の逼迫、三位ばらばら改悪の失敗、雇用の場がない、学校や病院の統廃合、病院がなくなる、医師がいなくなる、道路があってもそこに走るバスに補助金が出せない、農林水産業の切捨てで山や田が荒れるということが起きています。命の悲鳴が上がっています。これは、まさに自民党政治の結果です。
 総理の施政方針演説には、国民の痛みや悲鳴の原因を直視し、解決をしていくという処方せんはありません。まさに政治の責任の放棄です。今必要なことは、格差と貧困をまさに生み出し、地方を疲弊させてきた法制度を変えることです。三位ばらばら改悪は失敗だったとお考えになりますか。
 地域の疲弊の中でも、特に中小企業は疲弊をしています。日本の企業数のうち九九・七%が中小企業で、雇用者の七〇%が中小企業で働いているのに、中小企業対策予算は一般歳出の〇・三五%にすぎません。総理、中小企業への支援予算を増やすべきではないですか。
 次に、社会保障費の削減についてお聞きをします。
 政府・与党は、暫定税率をこれから十年間維持し、五十九兆円を聖域として確保しようとしながら、人々の命に直結する社会保障費については、二〇〇二年以降、十年間に毎年自動的に二千二百億円を削減していく方針を堅持をしています。政治の優先順位が間違っています。総理、社会保障費を自動的に毎年二千二百億円ずつ削減することはもうやめると明言をしてください。
 また、この二千二百億円は、日本が毎年在日米軍に払っている思いやり予算にほぼ匹敵をします。思いやりということであれば、米軍に対してではなく、まず国民に対してこそ必要ではないでしょうか。
 あの経済財政諮問会議の骨太の方針二〇〇六の財政削減計画は、社会保障費の削減は示されているものの、例えば毎年三兆円もの剰余金が発生している外国為替特別会計の削減については言及されていません。また、防衛予算の具体的な削減計画は全くなされておりません。財政再建の方向が間違っていると思いますが、いかがですか。
 総理、骨太の方針による財政削減計画は明らかに破綻しかかっていますが、新たな見直しは行わないのですか。
 次に、医療についてお聞きをします。
 医師不足、産婦人科医不足、医師の偏在は極めて深刻です。少子化対策と言いながら、子供をとても産めない状況が広がっています。自分の暮らす地域で安心してお産ができるという当たり前のことが各地から急速に失われていっています。岩手県では、遠くの病院へ行く車の中で子供を産んだという話を聞きました。命の誕生に格差が生じています。地方の実情を無視したお産施設の集約化と絶対的な産婦人科医不足を招いた責任をどう考えるのですか。特に、産婦人科医の確保や助産師さんの活用などは急務だと考えますが、いかがですか。
 医師不足や医師の偏在を生んだのは、まさに厚生労働省の行政の失敗だと考えますが、いかがですか。この医療崩壊を現場で働く人たちが犠牲的に何とか支えているのが現実です。
 また、妊婦さんの健診も一回一万円近く掛かるため、健診を受けない妊婦さんも増加をしています。政府は、健診補助について積極的な財政手当てをし、女性を応援することが必要だと考えますが、いかがですか。
 また、各地で減少している緊急医療施設はどう改善するのですか。具体的に示してください。
 社民党は、自分の暮らす地域で安心してお産ができる体制の確立や緊急医療制度の改善に全力を挙げていきます。
 社民党は、二〇〇六年に強行採決によって成立した医療制度改革法に反対をしました。後期高齢者医療制度は、七十五歳以上の人たちだけで健康保険制度をつくり、高齢者の負担を増やすものです。高齢者は死ねということかという怒りの声が上がっています。この医療制度改革は失敗です。社民党は、後期高齢者医療制度を廃止する必要があると考えますが、いかがですか。
 また、応益負担を導入した障害者自立支援法は廃止する必要があると考えますが、いかがですか。
 次に、格差と貧困の問題についてお聞きをします。
 総理は、日本に貧困の問題はあるとお考えでしょうか。あると考えるなら、それを具体的にどう解決をしようとしているのでしょうか。
 まず、不公平税制の問題があります。政府は、所得税の累進課税をどんどんフラット化してきました。社民党は、法人税と所得税の最高税率を一九九九年当時に戻すことで少なくとも二・三兆円の税収を確保できると試算しました。富裕層を優遇し、大衆課税で税収を上げようとしたことが間違っていたのではないですか。社民党は、消費税の増税ではなく、不公平税制の是正こそが必要だと考えますが、いかがですか。
 今、年収が二百万円以下の人が働く人の四分の一を占めるようになりました。それは、労働者派遣法が規制緩和されたからです。製造業も含め、ほとんどの職種で派遣が可能となりました。誤った法律が非正規雇用の拡大をまさに促進をしてきたのです。だからこそ、格差や貧困の拡大の大きな原因の一つである労働法制の規制緩和を見直し、派遣法を一九九九年改正以前に戻すべきだと考えますが、いかがですか。
 環境の問題についてお聞きします。
 社民党は、「もうひとつの洞爺湖サミット宣言・社民党」を発表する予定です。EUは、二〇二〇年までに自然エネルギーの導入率を二〇%にする目標を掲げています。日本はわずか三%です。環境問題でリーダーシップを発揮すると言うならば、原子力発電所のための電源特別会計を自然エネルギー開発に振り向け、雇用も広がり、地方分権型のエネルギーである自然エネルギーを促進すべきではないですか。
 社民党は、二酸化炭素も駄目だが、放射能も駄目という立場です。
 去年、中越沖で耐震設計の想定をはるかに超える地震が発生し、市民が指摘していたとおり、活断層があったこと、柏崎刈羽原子力発電所の耐震設計がでたらめであったことが明らかになりました。これをどう反省するのでしょうか。
 さらに、地震大国日本が大規模な地震が続く地震活動期を迎える中で、多数の原子力発電所の運転が行われている状況を根本的に考え直すべきではないですか。
 男女平等と少子化対策についてお聞きをします。
 現在の民法は、今を生きる女性たちの生き方にそぐわないものです。選択的夫婦別姓の導入や婚外子差別撤廃を含めた民法改正が必要だと考えますが、いかがですか。
 離婚後三百日以内に生まれた子は前夫の子と推定する民法七百七十二条によって戸籍のない子供たちが少なくとも百二十七人いることが明らかになりました。民法七百七十二条の改正が急務だと考えますが、いかがですか。
 社民党は、保育施設の増設、産休中や育児休暇中の所得保障の引上げ、パパクオータ制の導入、教育費の無料化など、根本的な改革こそが必要と考えますが、どうですか。
 平和の問題についてお聞きをします。
 総理は、憲法九条違反である自衛隊海外派兵恒久法について言及されています。このような憲法違反の法律は決して許されないと考えますが、いかがですか。
 また、憲法審査会において憲法改正案作りをすべきではないと考えますが、いかがですか。
 暫定税率についてお聞きします。
 社民党は、暫定税率を廃止すべきと考えています。その場合に、環境税を導入し環境への負荷をなくすべきだと考えますが、いかがですか。さらに、地方切捨てとならないよう財源の手当てを行います。
 不公平税制の是正ができないこと、労働者派遣法の規制強化ができないことなど、すべて既得権益や経済界への配慮のためではないでしょうか。自民党では利権の構造にメスを入れることができません。それは福田政権の限界であり、まさに本質です。
 国民の悲鳴を聞こうともしない自民党政治を終わらせ、命と生活を守り、未来に希望が持てる社会へとつくり直すため、社民党は全力を尽くすと申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕

○内閣総理大臣(福田康夫君) まず、三位一体の改革についてお尋ねがございました。
 三位一体の改革においては、地方の自主性、主体性を高めるとともに、国、地方を通じた財政の健全化を図るために補助金の廃止、縮小、税源移譲、地方歳出の見直しに伴う地方交付税総額の抑制を行ったところでありますが、結果として地方交付税の削減が急激に行われたということもありまして、特に財政力の弱い地方団体には厳しいという声もあったと認識をいたしております。
 今後とも、国と地方公共団体との役割分担に応じて地方財源を充実確保する観点から、補助金、交付税、税源配分の見直しの一体的な改革に向けて検討を進めてまいります。
 中小企業支援の予算のことでございますが、我が国経済の活力を支えるのは中小企業の底力でございます。
 平成二十年度予算案においては、厳しい財政状況の中で、農商工連携、地域連携拠点の整備、中小企業金融の円滑化など、中小企業の将来の発展につながる重要施策に重点化を図りつつ、予算全体が厳しい中にあっても中小企業支援のための予算は二・二%増の金額を確保しました。こうした予算を効果的に活用しつつ、地域に根差して懸命に汗を流している中小企業の皆様に対して手を差し伸べ、後押ししていく政策をきめ細やかに展開してまいります。
 社会保障費の抑制についてお尋ねがございました。
 本格的な人口減少社会が到来する中で、次世代に負担を先送りすることのないように、二〇一一年度には国、地方の基礎的財政収支の黒字化を確実に達成するなど、引き続き歳出全般にわたる抑制努力を行っていくことが必要であります。
 特に社会保障については、高齢化の進展等に伴い経済の伸びを上回って増大していくことが見込まれております。社会保障の国民の暮らしを支えるセーフティーネットとしての役割の重要性は十分認識しておりまして、こうした認識に立ちつつ、その持続可能性を確保していくために、給付の合理化、効率化にも引き続き取り組んでいく必要があると考えております。
 財政再建の方向が間違っているのではないかというお尋ねがございました。
 基本方針二〇〇六においては、歳出削減等と併せて、特別会計改革においても最大限の取組を行い、必要となる国民負担増をできる限り圧縮するということを明記しておりまして、平成二十年度予算編成に当たっても、外国為替資金特別会計より一・八兆円の一般会計への繰入れを行うなど、着実に実行しているところであります。
 また、防衛予算につきましても、基本方針二〇〇六において、二〇一一年度までの五年間、人件費を含む国の予算について名目伸び率をゼロ以下の水準とするなど、具体的な歳出改革の内容を明記しております。
 次に、財政削減計画の見直しについてのお尋ねがございました。
 政府としては、基本方針二〇〇六に沿って歳出全般にわたる改革を確実に実施してきているところであります。今後とも、財政健全化に向け安定した成長を図るとともに、歳出全般にわたってこれまで行ってきた歳出改革の努力を決して緩めることなく、国、地方を通じ、基本方針二〇〇六で示された五年間の歳出改革を着実に実施してまいります。
 医師不足などについてのお尋ねがございました。
 医師不足問題の背景には、大学の地域の医療機関に対する医師派遣機能の低下、病院勤務医の過重労働、出産、育児等による女性医師の離職、医療に係る紛争の増加に対する懸念などの複合的な要因が様々に関係しているものと認識しております。
 医師不足問題の解決に向けて、医師不足の地域や診療科の医師を確保するため医学部の定員を増員する、病院勤務医の働きやすい職場環境の整備などを進める、また、本年四月の診療報酬改定において医師不足が深刻な産科、小児科等の重点的な評価を行うなど、様々な対策を行ってまいります。
 後期高齢者医療制度の創設などを内容とする平成十八年の医療制度改革は、今後高齢化に伴う医療費の増大が見込まれる中で、現役世代と高齢者の負担の公平化を図りつつ医療制度を将来にわたり持続可能な制度とすることを目的としたものでございまして、その理念や方向性は適切なものと考えております。
 一方で、高齢者の方々の立場に立ったきめ細やかな対応に努める必要があると考えておりまして、与党プロジェクトチームにおける検討結果を踏まえ、保険料などについての激変緩和措置を講じ、制度を円滑に実施してまいります。
 障害者自立支援法の利用者負担についてのお尋ねでございますが、御指摘の利用者負担については既にきめ細やかな軽減措置を講じているところでありますが、与党における検討結果も踏まえ、来年度において低所得者を中心とした更なる軽減等の緊急措置を講じておるところでございます。
 次に、貧困の問題でございますが、国民生活の様々な局面で格差と言われる問題が生じておりまして、苦しい生活を余儀なくされている方もおられます。そういう社会状況を改善するために様々な取組を行っております。いわゆるワーキングプアといった状況については、日雇派遣の適正化等の労働者派遣制度の見直しなどを通じまして改善を図り、生活保護世帯などを対象に自立支援プログラムを一層推進するなど、国民が安心して生活できる社会を目指してまいります。
 不公平税制の是正が必要とのお尋ねがありました。
 近年、経済のグローバル化等に対応した税制改正も必要であったところでございまして、こうした努力もあって景気の回復や雇用の拡大等に一定の成果が上がってきたものと考えております。
 他方で、我が国の家計の所得再配分において社会保障が主要な役割を果たしていることを踏まえまして、税制だけでなく社会保障も勘案した政策全体の効果を考える必要があります。
 今後、社会保障を持続可能な制度とするためには安定した財源を確保しなければなりません。このため、社会保障給付や少子化対策に必要な財源をあらゆる世帯が広く公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的な改革について早期に実現を図る必要があると考えております。
 労働者派遣法についてのお尋ねがございました。
 これまでの労働者派遣法の改正は、経済産業構造の変化や価値観の多様化などによりまして企業と労働者の双方が多様な働き方を求めるようになってきたことから、労働者の保護に欠けることのないよう留意しながら、こうしたニーズに対応し実施してきたものであります。
 労働者派遣制度については、昨今の様々な問題を考慮し、まずは日雇派遣の適正化などのためのガイドラインを早急に策定するとともに、制度の根幹にかかわる問題については、厚生労働省に研究会を設け検討を進めてまいります。
 原子力と自然エネルギーの関係についてのお尋ねでございますが、原子力発電は発電過程で二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーであり、供給安定性に優れた電源であります。また、御指摘の自然エネルギーは、地球温暖化対策に加えてエネルギー源の多様化の観点からも重要でありますが、コストや供給安定性において課題がございます。そのため、電源特別会計と石油特別会計を統合して創設されたエネルギー対策特別会計において課題の解決に向けた技術開発や導入拡大のための支援措置など、既に対策を講じておるところでございますが、更に導入を加速するための方策を検討しております。
 柏崎刈羽原子力発電所で想定を超える地震が発生したことについてのことでありますけれども、原子力発電所については、安全の確保が大前提であり、耐震安定性についてもその時々の最新の知見に基づき最善を尽くすべきものと考えております。柏崎刈羽原子力発電所についても、当時の最新の知見に基づき設置許可を行ったものでありますが、新潟県中越沖地震により、同発電所では設計の際に用いた基準地震動を超える揺れが発生いたしました。今回の地震においても、同発電所では、止める、冷やす、閉じ込めるという基本的な安全性は確保されておりますが、今後、今回の地震により得られた最新の知見をしっかり反映させ、国自らが活断層などの現地調査を行うことなどによりまして、今後の耐震安全性の確保に万全を期してまいります。
 原子力発電所の運転状況を考え直すべきではないかということでありますけれども、原子力発電所については、安全の確保は大前提であり、地震についてもしっかりした対策を講じることが必要不可欠であります。現在、すべての原子力発電所について、新潟県中越沖地震などで得られた最新の知見も踏まえ、耐震安全性の再評価を行うよう電気事業者に求めております。政府としてもその評価結果を厳正に確認し、安全の確保に万全を期してまいります。
 選択的夫婦別姓、婚外子差別撤廃を含めた民法改正についてのお尋ねでございますが、これらの問題については、婚姻制度や家族の在り方と関連して、これまでも様々な議論がされてきたと承知しております。国民の意識の動向も踏まえつつ、与野党間でよく御協議をしていただきたいと考えております。
 次に、民法七百七十二条の改正についてのお尋ねでございますが、この民法の規定は嫡出推定の制度を定めるものでございますが、法律上の父子関係をどのように設定するかという身分法の根幹を成す規定であり、基本的に維持されるべきものと考えております。
 国際平和協力活動に関する一般法についてのお尋ねでございます。
 いわゆる一般法の整備は、我が国が平和協力国家としての役割を果たす上で迅速かつ効果的に国際平和協力活動を実施していくために望ましく、また、国際平和協力に関する我が国の基本的方針を内外に示す上でも有意義と考えております。
 一般法については、憲法の範囲内で活動を行うことを前提として、与野党における議論や国民的な議論の深まりを十分に踏まえて検討を進めてまいります。
 憲法審査会における憲法改正案作りについてのお尋ねでございますが、国の基本を定める憲法に関する議論につきましては、昨年の通常国会で関係各位の御努力により国民投票法が成立いたしました。
 もとより国会が決めるべきことでありますが、今後は、国会のしかるべき場において、国民投票法の審議過程で積み残された諸課題や、改正するとすればどのような内容かなど、すべての政党の参加の下で幅広い合意を求めて真摯な議論が行われることを強く期待いたしております。
 道路特定財源の暫定税率と環境税についてのお尋ねでございました。
 地球温暖化防止のための環境税については、国民に広く負担を求めることになるため、地球温暖化対策全体の中での具体的な位置付け、その効果、国民経済や産業の国際競争力に与える影響、諸外国における取組の現状などを踏まえて、国民、事業者などの理解と協力を得るよう努めながら、真摯に総合的な検討を進めていくべき課題であると考えております。
 いずれにせよ、欧州の主要国がガソリンの税金を段階的に引き上げている状況において、地球温暖化対策に逆行しかねない道路特定財源諸税の暫定税率の廃止を行うことは、国際的な理解を得難いのではないかと考えております。
 残余の質問は関係大臣から答弁させます。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣舛添要一君登壇、拍手〕

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