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2018年04月17日 厚生労働委員会で勝田東京労働局長を追及、加藤大臣には高プロ制度の問題点を質問 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
第196回国会 参議院 厚生労働委員会 010号 2018年04月17日
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
勝田さんにお聞きをいたします。三月四日の朝日新聞に労災申請契機で異例の指導という記事が出ております。この野村不動産の様々な指導は、労災の申請、労災がまさに契機だったという新聞記事なんですが、これは事実でしょうか、誤報でしょうか。
○参考人(勝田智明君) 個別の監督指導等につきましての端緒につきましては、コメントを差し控えさせていただきたいと思っております。
○福島みずほ君 でも、誤報だったら誤報だと言うべきじゃないですか。もし過労死の申請がこのきっかけでないんであれば、それは事実と違うので、それは違うと言うべきなんじゃないでしょうか。
こんなに大量の裁量労働制の適用の濫用が明らかになった契機はいろいろあるかもしれませんが、過労死の申請が大きなきっかけになったんじゃないか。この記事でもあるように、一六年九月に亡くなられて一七年春に遺族が労災申請したと、ここまで出ていて、この後、様々な調査が始まっているわけですから、これが契機だと思います。なぜ、しかし、その契機となった過労死の申請がかくも全く出てこないのかというところについてお聞きをいたします。
大臣、三月四日、朝日新聞の記事は御覧になって、三月五日、事務方から報告をもらったということでよろしいですよね。
○国務大臣(加藤勝信君) 労災保険の支給決定についてはそうでございます。
○福島みずほ君 大臣は、野村不動産のことについて国会で様々答弁をされています。この過労自殺の支給決定を新聞で見て、どう思われましたか。
○国務大臣(加藤勝信君) どう思われたというか、こういう、本来、過労死について御本人ないし御本人の代理人がお話をされるというのは一般的に承知をしておりましたが、その当該記事においてはちょっとその辺の記述がない中で、これはどういう経緯なのかなという、そんな思いも持ちながら読ませていただきました。
○福島みずほ君 加藤大臣、一月二十九日の大西議員、二月二日の西村議員、二月二十日の高橋議員、いずれも衆議院の予算委員会ですが、その答弁、この野村不動産についての答弁の打合せの段階で、事務方、これは局長にお聞きをしますが、野村不動産の過労死、これはもう認定されているわけですから、つまり、一般的に公表するという問題とは違って、大臣、この野村不動産のまさに裁量労働制の濫用の問題に関して、これは過労死がもう既に認定されておりますということは説明をしましたか。
○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
例えば、おっしゃっているのは、その十一月十七日の大臣に対する報告……(発言する者あり)失礼いたしました。その点についてはお答えは差し控えさせていただきたいと。
○福島みずほ君 冗談じゃないですよ、何で答弁しないんですか。つまり、過労死の事実は、遺族は公表していいと言っているんです。過労死の認定を十二月二十六日にしたことも認めているし、遺族もそれは公表していいと言っているんです。
大臣は、野村不動産のことについても、というか、裁量労働制がまさに国会で議論になっていて、一月二十九日の大西議員、二月二日の西村議員、二月二十日の高橋議員、衆議院の予算委員会で議論をされていますし、もちろん参議院でも議論になっております。そのときにこの過労死の認定がされているということを大臣に説明しましたか。
○政府参考人(山越敬一君) 失礼しました。
大臣にこの労災の支給決定について御報告いたしましたのは、三月五日でございます。
○福島みずほ君 何で過労死について、過労死の認定がされているということを説明しないんですか。
○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
繰り返しの御答弁になりますけれども、この労災の支給決定について大臣に報告させていただきましたのは、この報道が出ました後の三月五日でございます。
○福島みずほ君 全く答えてないですよ。
なぜ、野村不動産の裁量労働制の濫用が問題になっていて、既に労災の支給の、というか、労災認定が去年行われていて、国会で野村不動産のまさに裁量労働制の濫用が明らかになり、その結果亡くなって過労死の認定がされているのに、そのことをなぜ、というか、大臣に説明したのかしないのか、教えてくださいよ。
これ、質問変えます。済みません。
説明してないということなんですが、それはおかしいでしょう。対外的に公表するかどうかは別にして、野村不動産の裁量労働制の問題、過労死からスタートをしている。だとすると、このことについて大臣に説明しなければ全体像を把握できないじゃないですか。なぜ事務方は説明をしなかったんですか。
○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
労災に関しますことにつきましては、これは遺族の御意向を踏まえ、法律に従いまして、その範囲で私どもお話をさせていただくということでございまして、そのようなことについては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○福島みずほ君 全く不自然ですよ。過労死のことを対外的にメディアに対して公表するかどうかという問題と、それから大臣にこの問題はどういう問題かということをきちっと説明するために、それを発言するかどうかは別にして、きちっと説明すべきじゃないですか。だって、この時点でそこまで大臣に対して秘密にするというのも理解できないですよ。野村不動産の過労死、裁量労働制の濫用の問題が国会で議論になっているのに、肝腎要のあんこの部分を説明しないというのが理解できないんですよ。
だからなのか、だから、それは二通りあると思うんですよ。説明したにもかかわらず説明してないということで今みんなが合意しているかどうか、あるいは、説明をしてないというふうなことを本当に、でも、大臣は支給開始決定がとか微妙な言い方をされるので、本当に三月五日かどうかというのも分からないんですが、もし本当に過労死のことを一切知らなかったんであれば、認定も含めて、だとしたら、厚労省の体制としておかしいと思いますよ。あんこのことを説明してないわけだから、全体像、野村不動産問題とは何かということを大臣と総理大臣が理解してないということになるじゃないですか。
ですから、実際、もし後者であれば、総理大臣と大臣の答弁も、例えば総理大臣の答弁なんですが、一月、大西議員の答弁に対して、安倍総理大臣は、しっかりやっていますという答弁になっているんですよ、これが。つまり、この野村不動産の問題は、監督が不行き届きで過労死が出てしまって、百八十時間も働いて過労死が出てしまった失敗例で問題がある裁量労働制の問題点の事件であるにもかかわらず、実は、大臣の答弁は、一月二十九日の衆議院予算委員会の答弁で、野村不動産への特別指導の実施とその公表に言及した上で、政府としては、制度が適正に運用されるよう、今後とも指導を徹底してまいりますと、要するに、きちっとやっている例としての答弁になっているわけです。
加藤大臣も、この問題に関する国会の答弁は、これは二月二十日の議事録、衆議院予算委員会、今御指摘の野村不動産も一つの事例でありますけれども、この裁量労働制の中でそれなりにメリットをうまく活用されている方もいる、またそうしたことをしっかり進めている会社もある。一方で、今の野村不動産を始めとして、適切に運用していない、こうした事務所等もございますから、そういったものに対してはしっかり監督指導を行っているところでありますし、今後とも更に進めていきたいと思っております。総理大臣と厚労大臣の答弁は、しっかりやっておりますということの答弁なんですよ。
大臣にお聞きをいたします。もし野村不動産の過労死の認定のことを知っていたら、こういう答弁ぶりになっていたでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) 確かに、過労死事案が発生をしていると、我々は過労死ゼロに向けて努力をしているということでありまして、残念ながら発生したということ、これは大変私たちは重く受け止めなきゃいけないと思います。
ただ、特に失敗事例という御指摘をいただくんですが、それは確かにその事案があったけれども、更にそういったことを起こさせない、そういう意味でそれぞれ監督官がやっているわけでありますから、そこから先の監督指導については、それを失敗事例と言われると、実際、監督官、一体何を自分の誇りにしてやっていけばいいのか、こういうことになるんではないかということを申し上げているわけであります。
したがって、本件について、これまでの答弁で申し上げましたように、裁量労働制においてもいろいろな問題点があります、そして問題点を認識した場合にはそれが是正されるように我々はしっかりとやってきまして、これからもやってまいります、そういったことを申し上げたということでございます。
○福島みずほ君 問題のすり替えです。現場の職員が頑張って誇り持ってやっているのは知っております。そうではなくて、重要な点がこれ出てこなかったことが問題ではないか。
大臣、どうも何か血が通っていないというか、私は、もし大臣が本当に過労死の申請も認定も三月五日まで知らなかったんであれば、何でそれを大臣に野村不動産の件で上げなかったのかと。言わなかったんですか。
○国務大臣(加藤勝信君) いや、私が申し上げているのは、三月五日に支給決定、要するに認定というのは支給決定ということでありますから、支給決定された事実は三月五日に聞いたということを申し上げているだけであります。
それから、それ以上については、前から福島議員から、じゃいつ知っていたのかと、こういう話になるんで、これは今回の遺族の方との合意等々踏まえて、この範囲といって決めているものですから、それを超えるのでそこは丁寧に申し上げている。
ただ、これまで答弁させていただいたように、例えば労災事案があれば、これは認定じゃなくて事案があれば、申請があればそれに対して徹底的に監督を行うということ、これはもう通達の中で明示的に申し上げております。そして、今回は監督結果を含めてそれを判断の上で特別指導を行っている、こういうことも申し上げているわけでありますから、そこはそういった意味で申し上げていることは是非受け止めていただきたいと思います。
○福島みずほ君 これ、認定されたのが去年の十二月二十六日なんですよ。そして、野村不動産の裁量労働制の濫用がさんざん国会で議論になっているときに、総理も加藤大臣もしっかりやっておりますという答弁をしているんですよ。支給開始決定があったのを大臣が知ったのは三月五日でしょう。遅過ぎますよ。もしそのときに過労死の事案があるということを認定されているということを大臣が仮に知っていたら、答弁ぶり変わったと思いますよ、答弁ぶりは。単に監督してしっかりやっておりますではないでしょう。やっぱり裁量労働制は過労死を生むこともあり得ると、だからこそ、この件でじゃないんですよ、一般論として、だからこれはちゃんとしなければいけない。答弁ぶり変わったと思いますよ。いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 今委員がいみじくもおっしゃったとおり、ちゃんとしなければならない。ちゃんとしなければならないというのは、いろんな事案を見たらしっかりやらなきゃいけない、そういうことを私、答弁させていただいたつもりですけれども。
○福島みずほ君 いや、大臣は、何か本当に血が通っていない答弁なんですよ。何かを守っているのかもしれないけれど、結局前へ進まないというか、私たちは、というか、私自身はやっぱり変だと思っているからこの問題を追及し続けているんですよ。
十二月二十六日に労災認定があって、一切それが大臣に、特別指導までやった事案で過労死の事実すら三月五日まで伝わっていないとしたら、それはおかしいでしょうと思っているんです。大臣も総理大臣の答弁も、しっかりやっている事案ですという答弁になっているじゃないですか。それは違うでしょうと。過労死が出ているんですから、それは重く受け止めて野村不動産の問題を私たちは理解しなくてはいけないというふうに思います。
それで、勝田さんは先ほど石橋理事の質問に対して、去年十一月十七日の時点で、まさにこの特別指導の公表には蓋然的に当たるが、結局、是正勧告というか、あの過労死ゼロ等の公表のスキームには当たっていないというふうに答弁をされました。誠に分からないんですね。なぜあの是正、公表に行かずに、早々と十一月十七日の時点で特別指導、公表を選択したのか。いかがですか。
○参考人(勝田智明君) お答え申し上げます。
私どもとしては、この事案を放置した場合、全国的な遵法状況に重大な悪影響を及ぼすおそれがあるということで、この特別指導の方針で本省と御相談させていただいたところでございます。
○福島みずほ君 早々と特別指導で公表するということを決めたので、この過労死ゼロ対策のスキーム、公表まで行っていないんですよね。なぜか。これって、是正勧告の細かい中身がほかの事業者では出ていますよね、愛知県やいろいろな。これを出したくなかった、あるいは、そういうことをやっているうちに過労死の事案申請、認定がされるだろうという見込みがあるわけで、それが出るのが嫌だったということなんですか。
なぜ、いっぱいある事案の中で野村不動産だけ特別指導、公表をこんなに早々と決めるんですか。
○参考人(勝田智明君) お答え申し上げます。
十一月時点で、あるいはその後もでございますけれど、この公表制度には当たらないというふうに私ども考えておりました。ただ、しかし、このまま事案を放置した場合に全国的な遵法状況に悪影響を及ぼすということで、可能な方法の一つとして今回の特別指導を選択して実施させていただいたわけでございます。
○福島みずほ君 ただ、この過労死ゼロ緊急対策で事業名公表されたところは幾つも幾つもあるわけです。事業場ごとにどういう違反があったか、きっちり出ているわけですよ。その方がより透明性があって、より公平じゃないですか。しっかり出ているんですよ。
だから、せっかく厚労省が苦労してしっかりやってきた過労死等ゼロ緊急対策のこのスキームを、今日もおっしゃったよね、勝田さん、これを使わない、使えない、だから特別指導の公表だと。でも、特別指導は、今日もいろんな委員から出ておりますが、ないんですよ。そのマニュアルや規定がなくて、こういう場合にこうするという、それはないんですよ。特別指導の方が更に重いじゃないですか。野村不動産、踏んだり蹴ったりかもしれないですよ。
だって、過労死等ゼロ緊急対策では公表ができないのに、何で特別指導の公表を早々と決められてやったんですか。ぎりぎりぎりぎりぎりぎりぎりぎりやって、この公表ができるかどうかをやって、公表できないんだったら諦める、公表できるんだったら公表する。
なぜ野村不動産だけこのスキームを早々と諦めたんですか。
○参考人(勝田智明君) お答え申します。
繰り返しになって恐縮でございますけれど、今回の場合につきましては、野村不動産につきましてはこのスキームには当たらないというのがまず大前提としてございます。その中で、今回の、一定の役職以上の労働者を一律に企画業務型裁量労働制の対象にしていたと、法の趣旨を逸脱していると、こういったことから、全国的な遵法状況を確保する観点から公表させていただいたものでございます。
○福島みずほ君 スキームはちゃんと基準があって、そしてきちっと公表するとしたら事業場における違反事例がちゃんと出るじゃないですか。こっちの方が公平で透明じゃないですか。特別指導はもう胸三寸で決められているんですよ。おかしいじゃないですか。
何で、このスキームに当てはまらないのに、このスキームにすら当てはまらないのに、野村不動産は特別指導の公表を十一月十七日の時点で決めたんですか。分からない。
○参考人(勝田智明君) お答え申し上げます。
まず、十一月の十七日の時点ではやるということを決めたわけではございません。やるという方針、方向性、姿勢といったもので本省と相談させていただいていると。
もう一つ更に申し上げますが、この事案を放置すれば全国的な遵法状況の遵守に大きな悪影響を与える、しかも、是正指導段階での公表制度に当たらないけれど、これをこのまま放置しておくことはできないという、法の執行、履行確保をする機関としての東京労働局の判断をした上で、本省と相談させていただいたものでございます。
○福島みずほ君 全く答えになっていないですよ。
あのスキームにすら当てはまらないんですよ。あのスキームに当てはまった事業者は事業名公表されて、細かく数値も出ております。あのスキームに当たらないことが分かっているのに、違法事案だからといって特別指導で公表だけを十一月に決めるって邪道じゃないですか。やっぱりおかしいんですよ。
裁量労働制で点を上げたかったんじゃないか、頑張っているということをこれでやりたかったんじゃないか。しかし、過労死の申請と認定は隠したかったということではないかと思います。今日の答弁、全く納得しておりません。
以上で終わります。
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
裁量労働制、高度プロフェッショナル法案についてお聞きをいたします。
JILPTが、裁量労働制等の労働時間制度に関する調査の自由記述項目二次集計結果を公表をいたしました。
それを見ますと、自由記述の中で、例えば、残業代を払いたくない企業にしてみれば都合の良い制度、使用者側の賃金抑制のための方便にしかなっておらず労働者のための制度では全くない、賃金不払残業の温床であり到底容認できるものではないとか、あるいは、悪く言えばこの制度が社員のためになるとは思えない、自分の裁量で仕事が可能なのは人によって効率的かもしれないが、残業代を支払いたくない企業に見れば都合の良い制度である、社員の声を無視した制度にもなり得るとか、例えば、自由記述ですからいろんなものがあるんですが、裁量労働制はシステムとして導入されているが、適度な量の仕事を持つ人には良いものの、私のように人の三倍量の仕事を与えられているような人材もいるので、本当に重要な問題の解決策にはならない、各企業の身勝手な人員政策が大きな負担を一部の労働者に課していて大きな問題であるなどなどたくさん、自由記述の中で、裁量労働制、これは専門型と企画型と両方ありますが、そういう声が本当にあります。
残業代の抑制に裁量労働制が使われていることへの不満が強く表れていて、年収が減った上に会社から求められている要求の量、レベルが上がった、業務量が多くなり、労働時間も増え、裁量の範囲を超えているなど、業務量が更に増えたとする記述も見られる。定額働かせ放題になるという、そういうことが自由記述の中から出ております。
大臣、この裁量労働制の問題についての自由記述、これについてどうお考えでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) まさにそうしたいろんな皆さんから自由記述を書いていただいたものを先般JILPTが公表したということでありますので、こうした声もあるということをしっかり受け止めながら対応していく必要はあるだろうと思います。
○福島みずほ君 裁量労働制の拡充は問題ではないですか。
○国務大臣(加藤勝信君) このデータの中で、満足、やや満足と答えた方の割合等もありますので、そこをどう見ていくのかということがあるんだろうと思います。
いずれにしても、制度をうまく活用されているところも一方であるところ、またいろいろ問題点があるし、またうまく活用している中においても更に改善すべき点があるということもあるんだろうというふうに思います。
○福島みずほ君 しかし、このデータの取り方も問題です。これは人事担当者から調査票を配付して労働者本人に回答してもらう形で実施されております。回収率は労働者調査全体で二割弱ですし、問題を抱える事業場は回答に協力していない可能性もあるので、これが本当に人々の、というか、こういう状況でも問題があると自由記述をした人がこれだけいるということが問題ではないでしょうか。
大臣、裁量労働制の拡充、これはそもそも撤回すべきではないですか。
○国務大臣(加藤勝信君) まず、統計ということでやっておられますので、JILPTにおいては、この平成二十五年に実施したこの裁量労働制に関する調査ではサンプルサイズを大きくするといった調査設計の工夫をされているということでありますし、それから、今委員からお話があった事業場経由でというのは、これは大規模アンケート調査ではかなり一般的にやられているやり方というふうにも承知をしております。
その上で、先ほどお話がありましたように、様々なこうした、ここに自由記述等の御意見もあるわけでありますから、それらも踏まえて我々は対応していく必要があると思いますが、ただ、裁量労働制については、先般、私どものデータの比較等々の問題、あるいは把握等の問題もありました。これは全面的に削除をさせていただき、まずはこの実態把握をしっかりと行っていくと、その上に立って制度の在り方について労働政策審議会で御議論いただきたいと、こういうふうに思っております。
○福島みずほ君 誰が裁量労働制の拡充を望んでいるのか。二〇一三年のこの調査で、変えた方がいいと言った人は二一・一%、何を変えるのかという項目の中に規制の強化の質問がそもそもありません。誰が望んでいるんでしょうか。
以前もこの委員会で質問をしましたが、裁量労働制の拡充を削除すると総理が発表したときの、その後の経団連や経済界からは残念、失望というのが出ましたけれども、労働者の中から残念という声は出てないですよ。誰のための裁量労働制の拡充なんでしょうか。
これは、今回の法案の中には、削除しましたけれど、そもそも盛り込むべきではない。それこそ野村不動産の過労死の例を見てくれと言いたいんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) 今回の裁量労働制、もう削除をいたしましたけれども、当初の議論においては、一定の限定をしていく中でこうした幅について議論が労政審等でもあって、そして、おおむね妥当という中で出させていただいたという経緯であります。
ただ、いずれにしても、先ほど申し上げたように、この裁量労働制については、まずは実態把握をしっかりした上で労政審においてしっかり御議論をしていただきたいと考えております。
○福島みずほ君 労政審で労働者側は、ホワイトカラーエグゼンプション、高度プロフェッショナル法案と裁量労働制の拡充については反対をしております。これ、おおむね了としたわけでは全くありません。
それと、裁量労働制で働く労働者の労働時間の方が一般労働者の労働時間よりも短いというデータが大問題になりました。これはデータ捏造ではないかと思いますが、誰が指示したのか、誰が言ってこのデータを基に各大臣が今まで答弁し続けてきたのか、その点の調査は終わっているんでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) まず、私どもの方で、これ平成二十七年三月に当時の民主党の厚生労働部門会議に提出したのが最初でありますけれども、本来比較すべきでない、異なる仕方で抽出したデータを比較したということでございますので、それについては先般、撤回をさせていただいたところでございます。
提出に至った経緯については、必ずしも記録が残っているわけではありませんけれども、当時の労働基準局労働条件政策課において、当時の民主党の厚生労働部会会議における様子を踏まえながら、どういう資料を作るかということで検討し、そして、その方向についてそれぞれ課員が具体的に作成をし、その資料を課長が了とし、局長が了解をして出したと、こういう経緯であるというふうに聞いているところでございます。
○福島みずほ君 労働行政に携わる者であれば、裁量労働制の方が長くなるというのが常識だと思います。それが短いというのを厚生労働省の中で了として上げて、大臣、そして総理もこのことを基に答弁をしてきたというのは大問題だと思っております。裁量労働制の拡充をやるためにデータをどこかで捏造したんじゃないか、一体誰の指示なのかというふうに思って、これはまだ解明されていないと思います。
裁量労働制の拡充の問題に関して、予算委員会の公聴会で、過労死遺族、まさに小児科のお医者さんを夫に持って過労自殺死で失ってしまった方が陳述をいたしました。裁量労働制は問題であるということをとても言っておられます。
そして、この裁量労働制の拡充の延長線上であるホワイトカラーエグゼンプションについても、二月二十三日、加藤大臣のところに、残業代ゼロ制度などを法案から削除してほしいと全国過労死を考える家族の会が陳情をしておりますが、これをどう受け止められますか。
○国務大臣(加藤勝信君) 今お話がありましたように、二月の二十三日だったと思いますけれども、全国過労死を考える家族の会の方々、大臣室にお越しをいただいて、それぞれの方々からその悲痛な思い等々をお聞かせをいただきました。こうした過労死あるいは過労自殺、こうした悲劇は、そうしたことが二度と他において発生してはならない、そういった思いでしっかり取り組んでいかなければならないという思いを私自身も強くさせていただいたところでありますし、また、それがどれだけの悲痛な思いを家族の皆さん方にもたらしているのかということを改めて知らせていただいたというふうに思っております。
今回の関連法案では、一方で、御指摘の点もありますけれども、罰則付きの時間外労働の上限規制を導入するということでありまして、これは、これまで議論されながらなかなか法定化できなかった課題、これに盛り込まれたという大きな前進でもございます。
また一方で、高プロの話もございますけれども、これは、これからの時代、あるいは現在の経済の状況等を考えると、付加価値の高い財・サービスを生み出す革新的な分野においてイノベーションや付加価値化を担う高度専門職の方、そうした方が、もちろん自ら希望する方が、健康をしっかり確保した上で仕事の進め方や働く時間帯等を自ら決定し、その意欲や能力を有効に発揮していく、そういったことが求められているわけでありますし、また、そうした方々がその能力を発揮をしていただくということは、我が国の雇用の確保あるいは経済の成長、発展にもつながっていくと、こういうふうに考えているところでございます。
そういった整備を一方でするということも多様な働き方を提示していくということにもつながっていくということで、今回の法案の中に盛り込ませていただいたということでございます。
○福島みずほ君 経済の成長の発展、確かに、残業代払わない、働かせ放題であれば企業の利益は上がるかもしれません。でも、人間は三百六十五日、二十四時間働く機械ではないので、過労死が起きます。
大臣の今の答弁はおかしいですよ。残業の月、繁忙期における規制をやったところで、高度プロフェッショナル法案の該当者はその規制は一切入らないわけです。ですから、過労死がやっぱり増える可能性がある。絶対にそうですよ。ですから、過労死遺族の会は裁量労働制の拡充にも高度プロフェッショナル法案の導入にも反対をしているんです。この声を全く聞いていないじゃないですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 今度の高度プロフェッショナル制度、もう委員御承知のように、本人の同意を書面で決める、あるいは職務についても書面で記載をする、あるいは収入についても一定の収入以上にする等々様々な要件を課した上でそれに対応できる、そうした人たちにまさに時間の管理がない中で自分の思うように働きながらその創造性を発揮していただこうということでありますので、またそういう働き方、これは私も個々に聞かせていただく中で、誰もがそういうことをするというのではなくて、そういった働き方になじむような仕事をし、またそれだけの力がある人にそういった働き方を提供し、その力を十分発揮をしていただくと、これが必要なんだろうというふうに思います。
○福島みずほ君 それだけの力のある人が過労死するんですよ。労働時間、休憩、休日、深夜業、これの規制を撤廃するわけじゃないですか。ここで何度も言っていますが、二十四時間二十四日働かせても違法ではありません。これは違法ではないというところがポイントじゃないですか。
大臣、高度プロフェッショナル法案は裁量労働制の拡充というかスーパー裁量労働制、つまり裁量労働制はみなし労働でやるわけですよね。しかし、それ以上に高度プロフェッショナル法案は労働時間の規制を一切なくしてしまう。そんな労働者を誕生させたら、過労死が増えることは火を見るより明らかじゃないですか。いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) まず、その二十四時間働くような業務命令をという云々でありますけれども、これはこれから省令で定めるわけでありますけれども、働く時間帯の選択や時間配分、これは労働者自らが決定するということで明記をしていきたいと思っておりますので、仮にそのような業務命令が出されれば、これはむしろ法令の要件を満たさないということになるわけでありますので。それから、むしろ職務等を決めるということでありますから、そういったことを担保することによって、本当にその方が自分のリズムの中でより付加価値の高い、創造性の高い仕事をしていく、こういうことにつながっていくというふうに思います。
○福島みずほ君 違いますよ。付加価値の高いではなくて、労働者なんだから労働時間規制が必要じゃないですか。それを全部取っ払うというから大反対なんですよ。だから過労死の遺族の人たちも反対をしているわけです。
スーパー裁量労働制でしょう。裁量でやれ、おまえの裁量でやれ。二十四時間二十四日、本人が必死で働いても、これは違法ではないんですよ。歯止めのない働き方をすることを労働法は規制しているんですよ。この規制がなくなったら、絶対に過労死増えますよ。
大臣、過労死をつくらないというのが労働行政の基本じゃないですか。この高度プロフェッショナル法案を削除すべきじゃないですか。いかがですか。
○国務大臣(加藤勝信君) 今の点に申し上げれば、先ほど申し上げた対象業務、年収要件で対象者を絞った上で、労働時間、休日、休憩等の労働時間規制、これは外すことにはしておりますけれども、働く方の健康を確保するために、例えば年百四日かつ四週当たり四日以上の休日取得を義務付ける、あるいは健康管理時間の客観的な把握の義務付け、あるいはインターバル規制及び深夜業の回数制限など法律に規定する健康確保措置を選択して実施をする、さらには、そうした選択措置として講ずるものに加えて、健康管理時間の状況に応じた健康確保のうち労使委員会の五分の四以上の決議で選択した措置を法律で義務付ける等々、こうした仕組みを盛り込ませていただいているわけでありますから、先ほど申し上げている、一方で健康の確保をしていく、それから、要件を限定することによって、これは誰でもと言っているわけじゃありません、そういうことによって、まさにそういったことを希望し、そうした中で力を発揮できる、そうした方に今申し上げたような働き方、そうした選択肢を提供するということでございます。
○福島みずほ君 健康管理という仕組みを取っても、それは違法とか合法という話ではないんですよ。だから、今大臣がおっしゃった要件で二十四時間二十四日働いても合法なんですよ。それはこの委員会でも何度も確認をしています。そんな本当に働いてしまう人々、働かされてしまう、本人も働いてしまう人々をつくったら、ほかの人の労働条件だって悪くなると思います。
年収だって千七十五万円以上には絶対ならないわけで、定額働かせじゃないですか。ほかの人たちの年収も下がっていきますよ。ホワイトカラー層の没落が始まると思います。少なくともこの高度プロフェッショナル法案の下で過労死が増えますよ。年収は下がりますよ。こんな法案を労働行政を担当する厚労省が出してはいけないというふうに思います。
そして、山越局長にお聞きをいたします。
この千七十五万で、年収単位で働く人が、途中で辞める、あるいは首になる、更新されないという場合に、前回、私の質問に対して、その労働契約が半年間存続しているということでございましょうから、その部分の賃金を払っていただくということになるというふうにおっしゃっています。ということは、一千万の半分になるということなんでしょうか。説明してください。
○政府参考人(山越敬一君) お答え申し上げます。
今御指摘いただいたケースでございますけれども、これは半年で退職されるというケースだったと思います。この高度プロフェッショナル制度でございますけれども、労働契約において一年間に支払われると見込まれる賃金の額が一千七十五万円ということでございますので、その中で半年で辞めるということであればその分の給与の支払で見込まれているわけですから、それは足りているものだというふうに考えているところでございます。
○福島みずほ君 ということは、五百万になるということですか。
○政府参考人(山越敬一君) これは勤続期間が一年ではなく半年ということだと思いますけれども、その場合はその間の六か月分のその契約に基づく給与の支払をすれば、それはそれで契約は満たされているということだというふうに思います。
○福島みずほ君 端的に答えてください。半分の五百万、それで終わりということになるんですか。
○政府参考人(山越敬一君) これは労働契約で定められている、そして、それはその一年間に換算すると一千七十五万円以上でなければいけないわけでございますけれども、その賃金を毎月支払っていただければ、約定に従っていただければいいわけでございまして、そういった約定になっていればそういうことで可能だと思いますけれども、その場合は、一年間勤められているわけではなくて半年間勤められているということだと思います。半年勤務して、その半年分の給与としてその相当分が、それは恐らく半分ということに通常はなるんだと思いますけれども、そういうことでその契約上払われているということであれば、これはこの制度に適合しているということだと思います。
○福島みずほ君 五百万になるんですということの答弁が、今おっしゃったと思います。ただ、以前、別の方に、厚労省に聞くと、いや、一千七十五万、年収にならないわけだから、遡って残業代を払うというふうにもあったんですよ。
でも、もし山越局長がおっしゃるように半年で辞めてしまって五百万しか払えないんだったら、じゃ、その人は年収五百万、年収というか、首になるか辞めてしまうか、退職するわけだから、年収、その人は五百万なのに残業代が払われないんですよ、そんな変なことも起きるんですよ。今、だって五百万だから、それはそうなっちゃうんですよ。それっていいとこ取りというか、おかしいじゃないですか。五百万しか年収もらわないのに残業代が払われないんですよ。こんな変な制度では、やっぱりいいとこ取りというか、本当におかしいというふうに思います。
この働かせ改悪一括法案は絶対にこの国会で成立させてはいけないということを申し上げ、私の質問を終わります。