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2025.5.21 参議院 憲法審査会での発言 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
立憲民主、社民、無所属の福島みずほです。
国会法第102条の6は、各議院に憲法審査会を設け、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査することを目的の一つとしています。
その意味で、本日、憲法と現実の乖離について議論がされる事は、憲法審査会の設置目的にまさにかなうものです。
日本国憲法98条は憲法が最高法規であると規定しています。
日本国憲法ができて、例えば民法の親族編相続編が大改正になりました。戦前、民法は妻は無能力者であると規定し、妻は婚姻によりて夫の家に入るとしていました。
しかし、憲法24条が家族の中の個人の尊厳と両性の本質的平等を規定し、家制度は廃止になり、また男女平等になりました。
まさに憲法の威力です。
そして、戦争しないと決めた憲法9条により、専守防衛、海外に武器を売らない、非核三原則、軍事研究はしないなどの原則が積み上がっていきます。まさに憲法を生かしていくという人々の動きが法制度や政策を作ってきました。だからこそ憲法と現実の間に乖離がある時に現実をどう憲法に近づけていくかが重要であり、憲法を現実の方に引きずり下ろすことは本末転倒の憲法を理解しないものです。
日本国憲法99条は天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官、その他の公務員は、この憲法を尊重し、擁護する義務を負うと規定をしています。まさに憲法を守らなければならないのは権力者です。
私たち国会議員も憲法尊重擁護義務を持っています。だからこそ、本当に憲法理念を生かしきれているのかということを常に問う必要があります。
憲法改正など憲法を十分に守ってから言えと言いたいです。
ところで、自民党日本国憲法改正草案は、国民に憲法を尊重する義務を課しています。つまり、憲法とは国民が国家権力を縛るものであるのに対し、自民党日本国憲法改正草案は180度回転をさせ、国家権力が国民を縛るものにしているのです。これはもう憲法ではありません。
憲法尊重擁護義務を持つ国会議員は憲法理念を実現するために多大なるエネルギーを注ぐべきであり、憲法理念がまだまだ生かされていない現実の中で、憲法改正を言う事は許されません。
まず、選択的夫婦別姓と同性婚について話します。
NHK日本語読み訴訟判決が述べたように名前は人格権です。結婚をするときに、どちらか一方が必ず改姓しなければならない事は、憲法13条が保障する人格権、個人の尊重と幸福追求権を侵害しています。また、夫または妻となっているものの女性が95% 氏を変えていることは、憲法14条の法の下の平等に反しています。また、一方が必ず結婚改姓を強制される事は憲法24条に反しています。
ところで、5月20日、自民党は公明党に選択的夫婦別姓について今国会では困難であり、650以上の法律や2700以上の政省令の見直しが必要であると説明しました。しかし、打越さく良議員の質問主意書の回答では4つの法律しか改正の必要はありません。間違った認識で違憲状態を放置することは許されません。
同性婚を認めない事は、明確な憲法違反であると5つの高等裁判所が断じました。憲法14条、憲法13条、憲法24条に反していることが理由です。好きになった相手によって、そもそも結婚届を一切出せないのですから、その不利益も極めて甚大です。5つの高等裁判所が違憲と言ったにもかかわらず、国会でまだ同性婚が成立していません。
選択的夫婦別姓と同性婚が認められていないことは、まさに憲法と現実の乖離です。憲法に合致するように法律を変えることで、幸せになる人を増やすことができます。実現できていない事は国会の怠慢です。
家族が崩壊するなどと言って、多くの人が幸せになることを妨害する事は、憲法理念を理解せず、憲法尊重擁護義務を踏みにじるものです。憲法と現実の乖離を埋める努力をすることこそ、国会議員はやるべきです。
憲法と現実の乖離と言うのであれば、生存権の規定が国民に保障されていないことは大問題です。
生活保護の基準を引き下げたことに対して、命のとりで裁判が全国で提訴され、勝訴判決が相次いでいます。まさに生存権の侵害です。
訪問介護の報酬を減額したことで訪問介護事業所が倒産をしていっています。これこそ介護を受ける権利の侵害であり、生存権の侵害です。
高額療養費の自己負担額引き上げも生存権の侵害です。
ほとんどすべての憲法学者が集団的自衛権の行使は憲法違反であると言っているにもかかわらず、2014年安倍政権は集団的自衛権の行使を認める閣議決定をし、2015年安保関連法・戦争法を強行成立させました。
安保関連法・戦争法は憲法違反です。
憲法9条をもとに、戦後積み上げられてきた海外に武器を売らない、軍事研究をしないということも破壊されていっています。
2022年12月に閣議決定をした安保3文書の具体化が進められています。
沖縄南西諸島における自衛隊配備とミサイル計画、それが九州にもそして西日本にも全国にも広がり、全国の軍事要塞化が進められています。
戦争のできる国から戦争する国へ。憲法9条破壊が進んでいます。
そして、次々と憲法違反の法律が成立していっています。
現在国会で審議中の学術会議改革法案は、学術会議破壊法案であり、憲法23条の学問の自由を侵害するものです。
小西洋之議員が菅政権のときの6人の任命拒否について内閣法制局の文書の黒塗りを開示するよう求める東京地裁の裁判で勝訴しました。
この黒塗りが開示されることなく法案の審議入りはあり得ません。
憲法の規定が守られない事は枚挙に暇がありません。
憲法53条後段は、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は召集の決定をしなければならないとしていますが、内閣が臨時会を招集しなかったことが今まで2015年、2017年、2021年など存在しています。まさに憲法を無視し、憲法規範の空洞化を政府自身が作っているのです。
たくさん存在する憲法と現実の乖離を埋めるべく、法律制定、法改正や政策の転換をすることこそ国会に求められています。なすべきは憲法改正ではなく、憲法理念の実現です。憲法を踏みにじっている人たちが憲法改正を言うことなど、言語道断図々しいにもほどがあると言わざるを得ません。
現実を憲法に合わせ、憲法が保障する基本的人権が生かされる平和な社会を作っていくべきです。
憲法審査会にもその役割が期待されています。