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2019年3月27日、本会議での防衛調達特措法改正案に対する反対討論 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

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198-参-本会議-010号 2019年03月27日(未定稿)

○福島みずほ君 立憲民主党・民友会・希望の会の福島みずほです。
私は、会派を代表して、本法案に反対の討論を行います。
反対をする第一の理由は、武器の購入について国庫債務負担行為を十年までとすることは、憲法八十六条が規定する予算単年度主義を踏みにじり、財政を硬直化させ、十年にわたり未来の国会と国会議員を縛り、国会の予算審議権を侵害するものだからです。
現行法が審議された二〇一五年、当時の中谷防衛大臣は、財政の硬直化を招くことがないように実施すると答弁をしました。しかし、財政の硬直化がますます強まっています。
契約の翌年度以降に分割で支払う後年度負担が年々増大し、二〇一九年度は過去最大の五兆三千六百十三億円になっています。二〇一九年度の防衛予算を上回る莫大な額です。武器の購入は、まさにローン地獄となっています。財政はまさに硬直化し、長期にわたり国会の予算審議権を縛るものとなっています。十年の長期契約を更新することは、このローン地獄を更に深めてしまいます。
第二の理由は、十年間の長期契約を更新することは、この防衛予算の急増に更に拍車を掛けることにつながるからです。
防衛予算は安倍政権の下で上昇し続け、二〇一九年度の予算では七年連続過去最大を更新し、五兆二千五百七十四億円になっています。補正予算は、二〇一八年度は四千五百四十五億円です。合わせれば五兆七千百十九億円です。本来本予算として組むべきものを補正予算で組むことは、財政法二十九条に反するものです。このままのペースでいけば、中期防の今後五年間で二十七兆四千七百億円程度という限度を上回る勢いになります。
この防衛予算の増大について、国民からの批判が高まっています。F35戦闘機を百四十七機購入すると防衛省は言います。一機百十六億円、維持管理、修理費を入れれば三十年間で六兆二千億円とも言われ、莫大な金額になります。生活保護費は百五十億円削減され、生活保護世帯の六七%の人に打撃を与えています。F35戦闘機一機分にまさに当たります。税金の使い道を変えるべきです。
第三の理由は、審議の中で立法理由がないことが明らかになりました。
防衛省は、五年ではなく十年の長期契約にすることで経費節減やスケールメリットで金額を縮減できることを立法理由にしています。しかし、審議の中で防衛省は、例えば五年ではなく七年にした場合のコストの比較を聞かれても、そのような契約にはなっていないので比較はできないという答弁に終始し、コスト縮減について明確で説得力のある答弁はできませんでした。
長期契約には、物価変動や価格変動、調達環境の変化などのリスクが高まる側面もあり、一概に経費削減につながるとは言えません。日本を取り巻く安全保障環境、とりわけ北東アジア情勢の変化にも対応できません。
第四の理由は、この法案によってアメリカ政府からのFMS、有償軍事援助が急増するからです。
二〇一五年、初めて長期契約法が成立するきっかけとなったのは、二〇一三年、経団連から防衛予算の大綱に向けた提言が要望として出され、長期契約の導入を要請されたからです。今回の法改正は、アメリカからの武器の購入を増大させる危険性が極めて高いものです。
一九九八年には三百四十六億円だったFMSは、二〇一九年度予算では過去最大の七千十三億円です。二〇一八年度予算の四千百二億円に比べて約三千億円も急増しています。FMSは、アメリカが価格や納期に主導権を持ち、代金は前払で、アメリカの言い値で購入することが多いという極めて大きな問題があります。
今回の改正法案が年度内に成立することを前提に、PAC3ミサイル用部品の一括取得と早期警戒機E2Dの九機のまとめ買いを予定しています。E2DはFMSによる調達です。今回、限時法である長期契約法を延長してまでFMSによる契約を実行しようとしていることが極めて問題です。トランプ大統領のバイ・アメリカン、アメリカの製品を買えという強力な圧力の下、アメリカ製の武器の爆買いの暴走が更に加速をしていきます。まさに、この改正案はアメリカ製の武器の爆買い法案です。
二〇一七年十月、会計検査院は、FMS取引の不備を指摘しました。パーツ番号が合わない、数値が異なる、空欄のままになっているなどです。早期警戒機など二〇一四年から一五年の六十四契約、六百七十一億円の全てについて、アメリカ側から届いた納品書と精算書の記載が食い違っていました。
このような状況であるにもかかわらずFMS契約を増大させていくことは、まさに税金の無駄遣いです。本法案は、国益を損なう極めて危険な法案です。賛成するわけにはいきません。
さて、安倍政権は、辺野古沖に土砂の投入を続けています。安倍総理は、軟弱地盤であること、改良工事が必要なこと、埋立工事の変更申請が必要であることを認めています。埋立工事の変更申請をせず、許可されていないにもかかわらず、なぜ土砂投入を続けることができるのですか。
防衛大臣の、沖縄には沖縄の、国には国の民主主義があるという発言にも強く抗議をします。違う民主主義などあり得ません。自治体の、住民の意見を踏みにじってもいいんですか。踏みにじられているのは、まさに日本の、私たちの、みんなの民主主義です。
二〇一六年三月に、辺野古の軟弱地盤などについて報告書が作成されています。大浦湾にN値ゼロのマヨネーズ状の超軟弱地盤が広がっていることを防衛省は分かっていたわけです。情報公開請求によって二〇一八年三月にこの報告書は明らかになりました。二〇一六年三月の時点で防衛省は、安倍政権は、軟弱地盤であること、改良工事が必要なことを、沖縄県に、沖縄県民に、国会に、国民に隠したことは、重大な問題です。
沖縄県の埋立工事承認撤回は正当な根拠があるのです。
先日、野党の頑張りで、深度七十メートルから九十メートルの部分について強度の検査をして、あっ、ごめんなさい。
先日、野党の頑張りで、二〇一九年一月付けの地盤に係る設計・施工の検討結果報告書などがようやく提出されました。B27地点で深度七十メートルから九十メートルの部分について強度の検査をしていません。そのことを予算委員会で防衛大臣は認めました。深度が九十メートルあるのに強度の検査をしないことは、致命的な欠陥です。
防衛大臣は、二月の衆議院予算委員会で、七十メートルを超える深さでは非常に固い粘土層に分類される強度があり、安定性を確保できると答弁しています。この答弁が全くの虚偽答弁であることが明らかになりました。
防衛大臣は、S3地点、B58地点、S20地点で検査をしているので問題ないと言っています。しかし、B27地点からの距離は、S3地点は百五十メートル、B58地点は七百五十メートル、S20地点は三百メートルです。防衛大臣は、B27の粘性土とS3、S20、B58で確認された粘性土は同じ地質と主張しています。しかし、これら三か所の地質はそれぞれ違います。B27の七十メートル以下の地質と同じとは必ずしも言えません。類推できるとする防衛大臣の答弁は虚偽でしかありません。
直径二メートルのくいを七・七万本、全体で七十三万平方メートル、大浦湾の工事の半分の面積にわたり打ちます。しかも、そのくいは七十メートルしか打てないというもので、改良工事は欠陥工事でしかありません。
辺野古に基地は造れません。沖縄県民の反対の意思で基地は造れません。また、沖縄県知事は、改良工事の許可をしません。にもかかわらず、土砂の投入を更に続ける安倍内閣は、民主主義を踏みにじり、大量の税金の無駄遣いをするものです。
アメリカの武器の爆買い、できない工事をして環境破壊する、大量の税金を投入し続けるなど、安倍政権は国民の生活や政治を破壊しています。
また、森友学園、加計学園、統計偽装に端的に表れているように、うそが支配する政治を変えなければなりません。うその上に政治はつくれません。
国民の生活と民主主義を救うため、安倍政権の一日も早い退陣を強く求め、私の反対討論を終わります。(拍手)

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