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2021年4月13日、厚生労働委員会で育児休業と労働、男女賃金格差などの問題について参考人に質問 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)

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204-参-厚生労働委員会-008号 2021年04月13日

○福島みずほ君 立憲・社民共同会派の福島みずほです。
三人の参考人の皆さん、お忙しい中、本当にありがとうございます。
まず、井上参考人に、出生時育児休業について、男女平等の観点に留意することが重要とおっしゃいましたけれど、この点についてもう少しお聞かせ願えますでしょうか。

○参考人(井上久美枝君) ありがとうございます。
出生時育児休業の期間である子の出生後八週間というのは、女性は産後休暇で就業制限されている期間であります。一方で、男性は、休んだり仕事に行ったりできること、できることで所得のロスやキャリアの断絶が軽減をされるということになります。加えて、心情的に、だったら休まなくてもいいんじゃないかということの夫婦間での亀裂みたいのもできるんじゃないかというふうに思っています。
仕事から離れづらいという男性特有の事情があるがゆえではありますけれども、それはひとえに、男は仕事、女は家庭、あるいは男性が主な稼ぎ手であるといった固定的性別役割分担意識が根源にあるものと考えております。
もちろん、その取得が出生直後の短期間に固定されることも避けなければならないというふうに考えます。男女問わず安心して希望する日数を取得できるようにすることが重要であるという意味で、男女平等の観点に留意ということで発言をさせていただきました。

○福島みずほ君 労働者への個別周知と職業環境整備について、雇用環境・均等分科会で労働者側委員は当初から義務化を求めていました。その背景などをもう少しお聞かせください。

○参考人(井上久美枝君) ありがとうございます。
先ほどの意見陳述でも申し上げたことと重なるんですけれども、二〇一六年の育児、介護のハラスメント防止措置が義務化されたにもかかわらず、相変わらず男性が育休を取得しづらい、それから取得しにくい雰囲気があること自体、法改正が職場で徹底されていないというふうに考えています。
加えて、連合が行った調査では、育児・介護休業法で定められている両立支援制度の認知について聞いたところ、一番認知度が高いものでも短時間勤務等の措置で、これが五一・四%でした。不利益取扱いの禁止ですとか育児休業等に関するハラスメントの防止措置は三割程度にとどまっています。当事者の認知率ですらこの数字では、とても休業を取得しやすい職場環境とは言えないというふうに思っています。
そのため、取得しやすい職場環境のためには、職場の周りの理解も極めて重要であると思います。当事者である労働者への個別周知のみならず、職場全体への制度周知が必要と考えているところです。
以上です。

○福島みずほ君 井上参考人にお聞きをします。
この法案は、休業中の就労が規定されています。だから、休んでいるんだけれども働くという、なかなか後ろ髪引かれるというか、どっちなんだという、心が引き裂かれるような状況も起こるかもしれませんが、事業者の過半数代表との合意により育児休業期間中の労働者を就労させることが可能となるとの規定ですが、労働時間管理も含め、就業と休業の線引きが曖昧になってしまうのではないかという懸念を持ちます。
第九条の五の二項では就業可能日等を申し出ることができるとされ、三項では育児休業開始予定日とされた日の前日までに変更や撤回ができるとされています。職場で実際にこの制度を運用する場合、やはり様々な問題が実際は起きるんじゃないか、例えば時間外労働をしなさいとなったりとか。いかがでしょうか。

○参考人(井上久美枝君) ありがとうございます。
就業ができる日とその労働時間は、当該労働者の同意を基に決めることになると思います。そのため、時間外労働というのは発生しないはずなんですが、実際仕事をすると現場で何が起こるか分かりません。その意味では、現場で突発的に時間外労働が求められる場合がないと言い切れるのかどうかというのは、少し疑問が残るところです。
そもそも、当該労働者は就業可能日と時間を申し出て働くわけですので、時間外労働は想定はしていないわけですね。本人同意を厳格に適用して、仮に事業主から時間外労働お願いされて、まあどうしても、元々時間外労働想定していませんから、お願いされて断った場合に当該労働者が不利益な取扱いがなされないようにすべきだというふうに今回のこの就業可能のところに関しては考えているところです。

○福島みずほ君 この間、政府は少子化対策に取り組んでおりますが、なかなか効果は上がりません。その原因は一体何なんでしょうか。
私は、ずっと、採用段階からというか、竹中平蔵さん、小泉構造改革じゃないけれど、物すごい規制緩和をし、労働法制を規制緩和し、長時間労働ができるようにし、ホワイトカラーエグゼンプションとかいろいろありますが、それと、やっぱり採用段階から非正規雇用を増やしてきた、今四割が非正規雇用です。
ですから、もちろん、職場で育休が取りにくい、あるいは保育園がどうだという以前に、年収二百万、あるいはそういう状況で自分の将来が不安定で子供を持とうと今の若者はなかなか考えづらいという問題があります。つまり、今こそ雇用をちゃんとしない限り、子供を産み育てることに夢を持てる社会なんて来ないんだというふうに思いますが、この点について、井上参考人、どうお考えでしょうか。

○参考人(井上久美枝君) ありがとうございます。
結婚や出産は本人の選択であるということを前提に、それらをためらう一番の理由は経済的理由というふうにされています。これは連合の調査でも出ています。その点で、この間、報道等にありました結婚祝い金や多子世帯への児童手当の増額は、結婚や出産を選択できることが前提となっています。
しかし、多くの場合、多くの女性の場合、雇用と所得が不安定で、そもそもそういう選択ができないような状況であり、それにこのコロナ禍が拍車を掛けています。ここのずれが原因の一つ目であるというふうに考えています。選択できるように、国は、採用段階から非正規雇用を増やしてきたこれまでの労働政策を見直すとともに、正規雇用化の実現へ向けて指導力を発揮すべきだというふうに考えています。
また、二点目ですが、少子化問題は、出生率ではなくて、実体経済に直接の影響を与える出生者数、これは出生率掛ける過去の出生者数になります、それこそが重要であるというふうに考えています。
バブル崩壊以降、生まれた子供の絶対数は確かに減少傾向にありますが、激減したわけではないというふうに考えています。また、出生率が改善しても、分母が減り続ければ出生率は減り続けます、あっ、出生数は減り続けます。出生率と先のことばかり考えて絶対数で見てこなかったこと、ひいては現に生まれてきている子供たちを大切にしている、大切にする視点が不十分だったこと、ここのずれが原因の二つ目だというふうに考えています。
さらに、国民生活にとって切実な問題という意味で大事なのは、数量的に子供の数を増やすことを目的とした少子化対策ではなくて、質的にストレスのない子育て生活を実現する子育て支援だというふうに考えます。
子育て支援は子供が一人でも二人でも必要です。一人目の子育てでストレスが小さければ、もう一人子供が欲しいと思っても不思議ではありませんが、そのもう一人は、当事者である夫婦にとって結果であって、目的ではありません。ここのずれが原因の三つ目であるというふうに考えています。少子化対策と子育て支援は区別して考えるべきだというふうに思っています。
また、先日のジェンダーギャップ指数で、日本は特に政治分野が課題とされています。子育て支援や男女平等を本当の意味で政治の中心課題とするためには、やはり女性の議員を増やす必要があるということは申し上げるまでもないということで述べておきたいと思います。

○福島みずほ君 鈴木参考人にお聞きをいたします。
先ほど宮下参考人の方からも、夫に休んでと言っても夫はもう疲れているし大変だから言えないみたいな切実な声がありました。今、井上参考人からも、長時間労働の規制や非正規雇用を増やさない政策が必要ではないか、雇用の安定ということがありましたが、どう思われますか。

○参考人(鈴木重也君) ありがとうございます。
先ほど御発言もありましたとおり、どうしても男性が忙しく仕事をやっているということになると育児、家事ができない、これを何とかしないといけないというふうに思っております。私どもも、業務の効率化を始め働き方改革ということで企業に呼びかけをさせていただいておりますが、まだまだ道半ばだというふうに思っておりますので、こうした労働時間の改善ということがまずは大変重要だというふうに思っておるところでございます。
また、ちょっと先生の御指摘から外れるかもしれませんけれども、育児休業を取るというのは単に休むということではなくて育児、家事をするということでございます。したがいまして、経営トップの役割というのが大きいんではないかというふうに思っております。といいますのは、この男性の育児休業を取る場合には、何で取るのか、更に申し上げますと、夫婦で共に育児、家事を行っていくという価値観を管理職とともに旗振り役となって広めていく、このようなことが重要ではないかというふうに思っているところでございます。

○福島みずほ君 鈴木参考人にお聞きをいたします。
有価証券報告書に男性の育児休業取得率、取得していることを書くことを義務付けることや、公共調達において男性の育児休業の取得率を公共調達の一つのファクターとするということなどは効果があるんじゃないでしょうか。

○参考人(鈴木重也君) ありがとうございます。
様々な形でこの問題取り組まないといけないというのは大変重要な御指摘だというふうに思っております。
有価証券報告書について申し上げさせていただきますと、今般、百一人以上の企業に対しまして男性の育児休業取得率というものを義務化をするというようなことで、私ども重く受け止めております。これは全く同じ対象ではございませんけれども、有価証券報告書の対象となるような上場企業、これが百一人以上と、かなりオーバーラップするところもございますので、まずはそういった形で公表に努めて、しっかりと公表したいというふうに思っております。
また、公共調達の件でございますけれども、これは様々、くるみん等の、何でしょうか、取ったことによるインセンティブということで、私どもも大変重要だというふうに思っているところでございます。そこで、そういうような様々な形でインセンティブを付与していくということを検討することは重要ではないかというふうに思っておるところでございます。
先ほど男性の育児休業取得率、取得率の公表ということについては、済みません、千一人以上ということでございました。
以上でございます。

○福島みずほ君 ジェンダー平等指数が百二十番目になっております。これをどうやってもっと上げていくのか。鈴木参考人には、ちょっとフィールドが違うかもしれませんが、どうやって取締役を増やすか、男女の賃金格差をどうやってなくしていくのか。そして、井上参考人、宮下参考人からは一言ずつお願いいたします。

○参考人(鈴木重也君) ありがとうございます。
この度、世界経済フォーラムの発表したジェンダーギャップ指数が百二十位ということで、これも経団連としてもいろいろとこれまで女性活躍推進ということで取組をさせていただいておりましたけれども、まだ海外との比較の中では大きな差があるということで、真摯に受け止めておるところでございます。
経団連としては、本日皆様に附箋を貼ってお配りをいたしております「。新成長戦略」の中で、二〇三〇年までに女性の役職、済みません、女性の役職比率を三〇%以上を目指すという目標を掲げさせていただきました。既にこの実現というのに向けて会員企業に二〇三〇年三〇%へのチャレンジという、こういう取組を展開をしております。
ちょっと御紹介をさせていただきますと、例えば、ダイバーシティー・アンド・インクルージョンの考え方を経営戦略に取り入れていきましょうとか、あるいは、取締役会に注目してガバナンス等に多様な視点を活用していきましょう、それから、女性の方を中心に管理職とかその前とか、そういったキャリアのステージごとに能力開発等の支援をしていきましょうというようなことの呼びかけをさせていただいておりまして、四月一日現在、八十六社の賛同をいただいているようなところでございます。
経団連としても、この外部からの目線というのは重要だと思いますけど、まずは経団連傘下自らが行っていけるように、経団連としてもいろいろと、例えば女性活躍推進のための研修会の実施でありますとか、あるいは理工系ですと女性が少ないというような御指摘もありますので理工系女子の方々の育成といったことも含め、様々女性活躍推進に取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。

○参考人(井上久美枝君) ありがとうございます。
ジェンダーギャップ指数を引き下げるもう一つの要因は、経済ですね、男女間賃金格差です。これは、男性と女性の勤続年数の違い、それから、女性の管理職が少ないということが大きな要因になっています。
その意味でも、先ほどから申し上げておりますが、今まで女性は雇用の調整弁として非正規雇用の方が多かった、それをやはり変えていかなければ変わっていかないというふうに思いますし、それから、企業に入るとまだまだ研修の段階で女性と男性の差があって、そのことが結果としてキャリアに影響するということも出てきています。そういうものを解決しない限りはジェンダーギャップ指数は上がっていかないというふうに考えています。

○参考人(宮下浩子君) 先ほどお話しされたように、賃金の格差もそうですが、女性活躍推進、まだ女性が活躍できていないです。普通に働き続けることがまだできていない現状ですので、まずはそこの解決ではないかと思います。

○福島みずほ君 どうもありがとうございました。

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