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1月21日、岸田総理大臣に代表質問しました。 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
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社民党の福島みずほです。私は立憲民主・社民の会派を代表し、総理に質問いたします。
まず、年末年始聖イグナチオ教会の大人食堂相談会、女性による女性のための相談会、池袋で行われたTENOHASIの支援の現場、大久保公園での支援の現場など様々な現場に足を運びました。仕事がない、お金がない、住まいがない、地面の底が抜けるような人たちにたくさん会ってきました。横浜の寿では延べ3000人ほど来たと言うことなので全国では何万人という人たちが、様々な支援の現場に足を運んだと思われます。しかし、これは氷山の一角です。民間NPO・NGOは人々の命を守る、救うために奮闘し続けていますが、その現場から政府が見えません。公助の出番なのに公助がありません。総理、このような現実をどう受け止めていますか。何がこの状況を生み出したと分析していますか。
1994年、非正規労働者は971万人で全体の20.3%でした。それから25年後の2019年、非正規労働者は2165万人、約4割になり倍増しています。2020年はコロナ禍で雇用の調整弁的に非正規雇用の人は75万人も減少しています。総理の「新しい資本主義」は、人への投資や賃金を上げた企業への減税という従来と変わらない政策で、非正規労働者への対策は不足しています。使い捨て可能な非正規雇用を増やしてきた政府与党の責任は極めて大きいと考えますがいかがですか。
日本の実質賃金は1996,7年頃をピークに約4半世紀の間、下がってきています。OECD調査によれば2020年の世界の平均賃金比較で、35カ国中日本は22位です。実質賃金は下がっているにもかかわらず、20年度末の大企業の内部留保は484兆円にもなっています。2020年の民間給与実態統計調査によると男性の非正規労働者の年収は228万円、他方女性の非正規労働者の年収153万円です。男女ともに賃金を上げていくこと、女性への賃金差別をなくすことが急務です。正社員を増やす法制度、同一価値労働同一賃金の徹底、最低賃金を大幅に上げていくことなど必要だと考えますがいかがですか。
女性の低賃金も深刻です。日本はジェンダー平等指数世界で120位です。政治の場における女性の政治進出が少ないことと女性の低賃金が大きな要素です。女性による女性のための相談会に何度も参加をしてきました。女性の貧困と女性への暴力の両方が相まって多くの女性たちが深刻な生きづらさを抱えています。また、子どもの7人に1人が貧困です。大きな理由はシングルマザーの年間就労所得が低いことがあります。4歳と5歳の子どもを抱えたシングルマザーに、相談会で出会いました。コロナ禍で飲食店の仕事がなくなり、生活相談に来ていました。コロナ禍で深刻化する貧困によって、苦しんでいる女性は、一人ではありません。女性の貧困、女性の低賃金をなくすためにより具体的かつ効果的な政策を実行すべきではないですか。また、シングルマザーに対する恒久的な支援策を根本的に考えるべきではないですか。
生活保護制度の立て直しも急務です。2020年11月16日、渋谷のバス停のベンチにいた64歳の住居を持たない女性が殴られて亡くなりました。彼女の所持金は8円でした。試食販売などで働いていた彼女がなぜ生活保護などの支援に結びつかなかったのか本当に残念でなりません。様々な支援の現場で、「生活保護を受けることもあり得ますよ」と言っても「生活保護だけは受けたくない」という声をずいぶん聞きました。生活保護は憲法25条が規定する健康で文化的な最低限度の生活を保障するための役割を果たしていません。2012年に、自民党のある国会議員は、「生活保護を受けることを“恥”だと思わなくなったのが問題だ」と言いました。生活保護バッシングが広がり、生活保護を受けることが恥だという意識は驚くほど人々の中に浸透してしまったと考えています。厚生労働省は、生活保護は国民の権利ですと言っています。しかし、これだけでは生活保護を受けることに対する否定的なイメージを変えることはできていません。総理が率先して責任をもって、偏見を払拭するため取り組むべきではないですか。
申請の際にためらう理由は、親族への扶養照会をすることにもあります。疎遠になった親族に対して、そもそも扶養照会をすべきではありません。2021年3月30日、厚生労働省は生活保護の扶養照会に関する事務連絡を出しました。扶養照会について要保護者の意向を尊重するという内容です。しかし、なかなかこれが現場で徹底していません。生活保護の現場で扶養照会を止めるよう徹底すべきではないですか。
看護師、介護士、保育士など、女性に多いケア労働の現場で働く人たちの賃金がいまだに低く、コロナ禍でエッセンシャルワーカーの人たちの雇用を守ることが必要です。月額4000円や9000円の賃上げが2月から始まりますが、そもそも賃金が安いことが問題です。一時的で一貫性のない賃上げでは、不十分です。総理の見解をお聞かせください。
今年の10月以降、看護師は診療報酬で、介護士は介護報酬で賃上げの分をまかなうことになっています。それでは、介護における利用者負担が増えることになります。介護における利用者負担増は、利用抑制を招く点で問題ではないですか。
住宅支援についてお聞きします。非正規雇用なのは自己責任、賃金が安いのも自己責任、コロナ禍で職を失ったのも自己責任、住まいが得られないのも自己責任だと思わされてきています。しかし、そうではありません。政治の貧困であり、政治の責任です。健康で文化的な最低限度の生活が保障されるならば、最低限度の居住も保障されるべきです。住まいは権利であるという「ハウジングファースト」という理念が、政策に必要です。諸外国に比べて公営・公団住宅が少ないため、コロナ禍での一時的な給付金だけでは住まいの保障にはなりません。公営・公団住宅の確保や、住居確保給付金制度の拡充のほか、恒久的な制度として家賃補助を含めた住宅支援をすべきだと考えますがいかがですか。
選択的夫婦別姓についてお聞きします。姓はその人の人格の一部です。長年、生活や仕事で使ってきた姓を結婚により、どちらか一方の変更を強制することは人格権の侵害です。選択的夫婦別姓は、自分の姓を選択できる制度であって、同姓を選択もでき、別姓を認めたところで他の人の権利を侵害するものではありません。総理は、車座集会において子どもの氏はどうなるのかという質問が出たことを、選択的夫婦別姓については慎重な検討が必要だという理由にしています。しかし、法制審の議論ですでに予め子どもの氏を決めることで問題とならないことは決着がついています。また、通称使用では限界があります。パスポートの記載など、通称では難しい場面に直面します。選択的夫婦別姓の実現によって、そうした問題は解決することができます。別姓を拒む理由はもはやありません。選択的夫婦別姓の実現が必要だと考えますが、子どもの氏、通称使用をすればよいという理由以外で、総理が実現できないと考える理由を具体的にお答えください。
政治の私物化、公文書改ざんについてお聞きします。安倍・菅政権のもとで、森友学園、加計学園、桜を見る会、国土交通省における改ざん問題、日本学術会議の任命拒否といった問題が起きてきました。この政治の私物化、公文書改ざんの問題について、自民党総裁として解決をすべきではないですか。
森友問題についてお聞きをします。赤木雅子さんにお会いしました。改ざんを強制され、自殺をしてしまった赤木俊夫さんについて、総理は十分な説明を果たしたと考えていますか。
当時の安倍総理が、2017年2月17日、国会で、「私や妻が関係していたなら国会議員も総理大臣も辞める」と答弁しました。改ざん指示のメールが本省から近畿財務局に来たのは2月26日です。安倍総理の答弁が引き金となって、改ざんに至ったのではないですか。総理の見解をお聞かせください。
赤木雅子さんが提訴した国家賠償請求訴訟において、国は、答弁書では棄却と主張しました。しかし、赤木雅子さん、弁護団の頑張りで赤木ファイルが出てきました。裁判に負けると思ったのか、証拠調べをさせないために幕引きを図ったのではないですか。
国が一億円以上もの税金を使うということは、納税者である国民に対して説明責任が発生します。国民に対する説明として、今回の裁判を「認諾」としたことを税金の使い方として、どう説明するのでしょうか。
国家賠償法1条2項は、公務員の行為が故意または重過失でなされた場合は、国は自ら賠償した後にその公務員に求償できると規定しています。赤木ファイルからは、当時の局長であった佐川宣寿(のぶひさ)氏の指示であったことが明確です。佐川氏には故意があります。政府が国家賠償法1条2項に基づいて佐川氏に1億数千万円求償するのが当然です。いつ求償するのか答弁ください。
国土交通省の統計改ざん問題についてお聞きします。建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る検証委員会の報告書が出ましたが、過大な数値を導く目的で作為的に二重計上を生じさせたことを確認できないとしています。しかしこのように長期的に継続した事は全く不自然です。いつ誰がどのような目的で改ざんを命じたのか、改めて調査すべきではないですか。
日本学術会議の問題についてお聞きします。総理大臣がどの学者を排除するかを判断する事は憲法23条が規定する学問の自由を明確に侵害するのではないですか。
今年は、沖縄復帰50周年の節目の年に当たります。復帰当時、沖縄県民が復帰を望んだ理由は、日本国憲法のもとに戻り、平和で人権の尊重されるくらしを送りたいと言うことであったと言われています。しかし、日本国憲法の上に事実上日米安保条約、日米地位協定があると言われるほど、県民の生存権、平和的生存権、幸福追求権が過重な米軍基地負担によって侵害されています。総理はそのことをどうお考えですか。
復帰50年も経つにもかかわらず、県民所得は全国最下位であり、本土との経済格差が厳然と存在しています。翁長前知事は、「基地は経済の阻害要因だ」と言いました。その通りです。返還された跡地に建設された新都心などの地域では、雇用が拡大し、経済も大きく成長しています。総理は「強い沖縄経済を作るための取組を進める」と施政方針演説で述べました。沖縄の経済を強くするために、政府として最優先すべきことは、これ以上新たな基地をつくらず、宜野湾市の中心を占拠する普天間飛行場を即時返還させることではありませんか。
また、沖縄の南部戦跡の遺骨の混じった土砂を辺野古新基地建設に使う計画が進められています。防衛省が土砂採掘予定地としたために採掘がはじまっています。遺骨収集を妨害することは絶対に許されません。南部の土砂を使うべきではないという意見書が全国178の自治体から2022年1月19日までに参議院に提出されました。本島南部地域を土砂採掘予定地から外すべきではありませんか。
沖縄、山口、広島の米軍基地周辺自治体で新型コロナの感染が拡大しています。特に、沖縄で深刻です。在沖米軍の累計感染者数は2022年1月19日時点で7827人にも上ります。日米地位協定の規定により、海外から米軍基地へ直接入る米軍関係者は米側が検疫を行うことになっていますが、これが水際対策の大きな穴となって、国民のくらしや命を脅かしています。沖縄で指摘されてきながらも放置し、感染拡大を招いた政府の責任は甚大です。どうお考えになりますか。
総理は今回、日米地位協定の改定には言及されませんでした。しかし、日米地位協定は明らかに日本の主権を脅かしています。同じように地位協定を結んでいる韓国やドイツは地位協定を改定しています。日米地位協定の第27条に「いずれの政府も、この協定のいずれの条についてもその改正をいつでも要請することができる」とあります。国民の命とくらしより日米地位協定が重要ですか。いつでも改定を要請できるなら、今すぐ要請すべきではありませんか。
西之表市馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備計画についてうかがいます。2プラス2で馬毛島が候補地から整備地に正式決定しましたが、地元西之表市への説明がなく、八板市長は「住民を置き去りにしている」と反対表明しました。国として、地元に対する説明はどうなっているのでしょうか。結論ありきの強引な進め方は問題ではないですか。
憲法改正についてお聞きします。コロナ禍で苦しむ国民は憲法改正など望んでいません。憲法9条を改正する事は、戦争のできる国にすることです。戦争をしないようにすることこそ政治の役割ではないですか。広島出身の総理大臣として、平和への思いをお聞かせください。
緊急事態条項は、国会の承認なく、内閣のみで法律と同じ効力を持つ政令を作ることができるものです。唯一の立法機関である国会を無視して、内閣のみで、基本的人権を制限できるようにするものです。国会を無視すべきではありません。総理としての責任はどうお考えですか。
今、求められている事は憲法が規定する生存権、表現の自由、思想良心の自由、学問の自由、労働基本権、幸福追求権等を保障し、人々の命と生活を守ることです。憲法を生かすことこそ必要であり憲法改正ではありません。集団的自衛権の行使を認める安保関連法・「戦争法」という憲法違反の法律を作り、臨時国会の召集の憲法規定すら無視し、憲法を守らない政府与党に、憲法改正を言う資格などありません。憲法尊重擁護義務は国務大臣、国会議員にこそ向けられていることを私たちは考えるべきです。憲法改悪ではなく、憲法を生かしていく政治を実現していくべきだと申し上げ、私の質問を終わります。
以上