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2022年1月21日、本会議での代表質問 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
208-参-本会議-003号 2022年01月21日(未定稿)
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
私は、立憲民主・社民の会派を代表し、総理に質問いたします。
まず、年末年始、聖イグナチオ教会の大人食堂相談会、女性による女性のための相談会、池袋で行われたTENOHASIの支援の現場、大久保公園での支援の現場など、様々な現場に足を運びました。仕事がない、お金がない、住まいがない、地面の底が抜けるような人たちにたくさん会ってきました。お金がない、お米がない、暮らしていけない、そんな人たちです。横浜の寿では延べ三千人ほど来たということなので、全国では何万人という人たちが様々な支援の現場に足を運んだと思われます。しかし、これは氷山の一角です。民間NPO、NGOは人々の命を守る、救うために奮闘し続けていますが、その現場から政府が見えません。公助の出番なのに公助がありません。
総理、このような現実をどう受け止めていますか。何がこの状況を生み出したと分析をしていますか。
一九九四年、非正規労働者は九百七十一万人で全体の二〇・一%でした。それから二十五年後の二〇一九年、非正規労働者は二千百六十五万人、約四割になり、倍増しています。二〇二〇年はコロナ禍で、雇用の調整弁的に非正規雇用の人は七十五万人も減少しています。
総理の新しい資本主義は、人への投資や賃金を上げた企業への減税という従来と変わらない政策で、非正規労働者への対策は不足をしています。使い捨て可能な非正規雇用を増やしてきた政府・与党の責任は極めて大きく、転換が必要だと考えますが、いかがですか。
日本の実質賃金は、一九九六年、七年頃をピークに、約四半世紀の間、下がってきています。OECD調査によれば、二〇二〇年の世界の平均賃金比較で、三十五か国中、日本は二十二位です。実質賃金は下がっているにもかかわらず、二〇年度末の大企業の内部留保は四百八十四兆円にもなっています。二〇二〇年の民間給与実態統計調査によると、男性の非正規労働者の年収は二百二十八万円、他方、女性の非正規労働者の年収百五十三万円です。
男女とも賃金を上げていくこと、女性への賃金差別をなくすことが急務です。正社員を増やす法制度、同一価値労働同一賃金の徹底、最低賃金を大幅に上げていくことなど必要だと考えますが、いかがですか。
女性の低賃金も深刻です。日本は、ジェンダー平等指数、世界で百二十位です。政治の場における女性の政治進出が少ないことと、女性の低賃金が大きな要素です。女性による女性のための相談会に何度も参加をしてきました。女性の貧困と女性への暴力の両方が相まって、多くの女性たちが深刻な生きづらさを抱えています。
また、子供の七人に一人が貧困です。大きな理由は、シングルマザーの年間就労所得が低いことがあります。
四歳と五歳の子供を連れたシングルマザーに相談会で出会いました。コロナ禍で飲食店の仕事がなくなり、生活相談に来ていました。このコロナ禍で深刻化する貧困によって苦しんでいる女性は、一人ではありません。
女性の貧困、女性の低賃金をなくすために、より具体的で、かつ効果的な政策を実行すべきではないですか。また、シングルマザーに対する恒久的な支援策を根本的に考えるべきではないですか。
生活保護制度の立て直しも急務です。二〇二〇年十一月十六日、渋谷のバス停のベンチにいた六十四歳の住居を持たない女性が殴られて亡くなりました。彼女の所持金は八円でした。試食販売などで働いていた彼女がなぜ生活保護などの支援に結び付かなかったのか、本当に残念でなりません。
様々な支援の現場で、生活保護を受けることもあり得ますよと言っても、生活保護だけは受けたくないという声を随分聞きました。生活保護は、憲法二十五条が規定する健康で文化的な最低限度の生活を保障するための役割を果たしていません。
二〇一二年に自民党のある国会議員は、生活保護を受けることを恥だと思わなくなったことが問題だと言いました。生活保護バッシングが広がり、生活保護を受けることが恥だという意識は驚くほど人々の中に浸透してしまったと考えています。
厚生労働省は、生活保護は国民の権利ですと言っています。しかし、これだけでは生活保護を受けることに対する否定的なイメージを変えることはできていません。総理が率先して、責任を持って偏見を払拭するため取り組むべきではないですか。
〔副議長退席、議長着席〕
申請の際にためらう理由は、親族への扶養照会をすることにもあります。疎遠になった親族に対して、そもそも扶養照会をすべきではありません。二〇二一年三月三十日、厚生労働省は生活保護の扶養照会に関する事務連絡を出しました。扶養照会について、要保護者の意向を尊重するという内容です。しかし、なかなかこれが現場で徹底していません。生活保護の現場で扶養照会をやめるよう徹底すべきではないですか。
看護師、介護士、保育士など、女性に多いケア労働の現場で働く人たちの賃金がいまだに低く、コロナ禍でエッセンシャルワーカーの人たちの雇用を守ることが必要です。月額四千円や九千円の値上げが二月から始まりますが、そもそも賃金が安いことが問題です。一時的で一貫性のない賃上げでは不十分です。総理の見解をお聞かせください。
今年の十月以降、看護師は診療報酬で、介護士は介護報酬で賃上げの分を賄うということになっています。それでは介護における利用者負担が増えることになります。介護における利用者負担増は利用抑制を招く点で問題ではないですか。
住宅支援についてお聞きします。
非正規雇用なのは自己責任、賃金が安いのは自己責任、コロナ禍で職を失ったのは自己責任、住まいが得られないのも自己責任だと思わされてきています。しかし、そうではありません。政治の貧困であり、政治の責任です。
健康で文化的な最低限度の生活が保障されるならば、最低限度の居住も保障されるべきです。住まいは権利であるというハウジングファーストという理念が政策に必要です。
諸外国に比べて公営・公団住宅が少ないため、コロナ禍での一時的な給付金だけでは住まいの保障にはなりません。公営・公団住宅の確保や住戸確保給付金制度の拡充のほか、恒久的な制度として家賃補助を含めた住宅支援をすべきだと考えますが、いかがですか。
選択的夫婦別姓についてお聞きをします。
姓はその人の人格の一部です。長年生活や仕事で使ってきた姓を結婚によりどちらか一方の変更を強制することは、人格権の侵害です。選択的夫婦別姓は、自分の姓を選択できる制度であって、同姓を選択もでき、別姓を認めたところでほかの人の権利を侵害するものでは一切ありません。
総理は、車座集会において子供の氏はどうなるのかという質問が出たことを、選択的夫婦別姓については慎重な検討が必要だという理由にしています。しかし、法制審の議論で既に、あらかじめ子供の氏を決めることで問題とならないということで決着が付いています。
また、通称使用では限界があります。パスポートの記載など、通称では難しい場面に直面します。選択的夫婦別姓の実現によって、そうした問題は解決することができます。もはや別姓を拒む理由はありません。
選択的夫婦別姓の実現が必要だと考えますが、子供の氏、通称使用をすればよいという理由以外で総理が実現できないと考える理由を具体的にお答えください。
政治の私物化、公文書改ざんについてお聞きします。
安倍、菅政権の下で、森友学園、加計学園、桜を見る会、国土交通省における改ざん問題、日本学術会議の任命拒否といった問題が起きてきました。この政治の私物化、公文書改ざんの問題について、自民党総裁として解決をすべきではないですか。
森友学園についてお聞きをします。
赤木雅子さんにお会いしました。改ざんを強制され、自殺をしてしまった赤木俊夫さんについて、総理は十分な説明を果たしたと考えていますか。
当時の安倍総理が、二〇一七年二月十七日、国会で、私や妻が関係していたなら国会議員も総理大臣も辞めると答弁しました。改ざん指示のメールが本省から近畿財務局に来たのは二月二十六日です。安倍総理の答弁が引き金となって改ざんに至ったのではないですか。総理の見解をお聞かせください。
赤木雅子さんが提訴した国家賠償請求訴訟において、国は答弁書で棄却と主張しました。しかし、赤木雅子さん、弁護団の頑張りで、赤木ファイルが出てきました。裁判に負けると思ったのか、証拠調べをさせないために幕引きを図ったのではないですか。
国が一億円以上もの税金を使うことは、納税者である国民に対して説明責任が発生します。国民に対する説明として、今回の裁判を認諾としたことを税金の使い方としてどう説明するのでしょうか。
国家賠償法一条二項は、公務員の行為が故意又は重過失でなされた場合は、国は自ら賠償した後にその公務員に求償できると規定しています。赤木ファイルからは、当時の局長であった佐川宣寿氏の指示であったことが明確です。佐川氏には故意があります。政府が国家賠償法一条二項に基づいて佐川氏に一億数千万円求償するのが当然です。いつ求償するのか、答弁ください。
国土交通省の統計改ざん問題についてお聞きをします。
建設工事受注動態統計調査の不適切処理に係る検証委員会の報告書が出ましたが、過大な数字を導く目的で作為的にニジョウ計上を生じさせたことは確認できないとしています。しかし、このように長期的に継続したことは全く不自然です。いつ、誰が、どのような目的で改ざんを命じたのか、改めて調査すべきではないですか。
日本学術会議の問題についてお聞きをします。
総理大臣がどの学者を排除するかを判断することは、憲法二十三条が規定する学問の自由を明確に侵害するのではないですか。
今年は、沖縄復帰五十周年の節目の年に当たります。
復帰当時、沖縄県民が復帰を望んだ理由は、日本国憲法の下に戻り、平和で人権の尊重される暮らしを送りたいということであったと言われています。しかし、日本国憲法の上に、事実上、日米安保条約、日米地位協定があると言われるほど、県民の生存権、平和的生存権、幸福追求権が過重な米軍基地負担によって侵害されています。総理はそのことをどうお考えですか。
復帰五十年もたつにもかかわらず、県民所得は全国最下位であり、本土との経済格差が厳然と存在しています。翁長前知事は、基地は経済の阻害要因だと言いました。そのとおりです。返還された跡地に建設された新都心などの地域では、雇用が拡大し、経済も大きく成長しています。総理は、強い沖縄経済をつくるための取組を進めると施政方針演説で述べました。沖縄の経済を強くするために、政府として最優先すべきことは、これ以上新たな基地を造らず、宜野湾市の中心を占拠する普天間基地を、飛行場を即時返還させることではありませんか。
また、沖縄の南部戦跡の遺骨の混じった土砂を辺野古新基地建設に使う計画が進められています。防衛省が土砂採掘予定地としたために採掘が始まっています。遺骨収集を妨害することは絶対に許されません。非人道的です。南部の土砂を使うべきではないという意見書が全国百七十八の自治体から二〇二二年一月十九日までに参議院に提出されました。本島南部地域を土砂採掘予定地から外すべきではありませんか。
沖縄、山口、広島の米軍基地周辺自治体で新型コロナの感染が拡大しています。特に、沖縄で深刻です。在沖米軍の累進感染者数は二〇二二年一月二十日時点で七千九百五十三人にも上ります。日米地位協定の規定により、海外から米軍基地へ直接入る米軍関係者は米側が検疫を行うことになっていますが、これが水際対策の大きな穴となって、国民の暮らしや命を脅かしています。沖縄で指摘されてきながらも放置し、感染拡大を招いた政府の責任は甚大です。どうお考えになりますか。
総理は、今回、日米地位協定の改定には言及されませんでした。しかし、日米地位協定は明らかに日本の主権を脅かしています。同じように地位協定を結んでいる韓国やドイツは地位協定を改定しています。日米地位協定の第二十七条に「いずれの政府も、この協定のいずれの条についてもその改正をいつでも要請することができる。」とあります。国民の命と暮らしより日米地位協定が重要ですか。いつでも改定を要請できるなら、今すぐ要請すべきではありませんか。バイデンさんとの会見で、まずそれを言うべきではないでしょうか。
西之表市馬毛島への米軍機訓練移転と自衛隊基地整備計画について伺います。
石垣島、宮古島、沖縄本島、奄美大島、屋久島、そして種子島、そして馬毛島にも行きました。2プラス2で馬毛島が候補地から整備地に正式決定しましたが、地元西之表市への説明がなく、八板市長は、住民を置き去りにしていると反対表明しました。国として、地元に対する説明はどうなっているのでしょうか。結論ありきの強引な進め方は問題ではないですか。
憲法改正についてお聞きします。
コロナ禍で苦しむ国民は憲法改正など望んでいません。憲法九条を改正することは、戦争のできる国にすることです。戦争をしないようにすることこそ政治の役割ではないですか。広島出身の総理大臣として、平和への思いをお聞かせください。
緊急事態条項は、国会の承認なく内閣のみで法律と同じ効力を持つ政令を作ることができるものです。唯一の立法機関である国会を無視して、内閣のみで、基本的人権を制限できるようにするものです。国会を無視すべきではありません。総理としての責任はどうお考えですか。
今求められていることは、憲法が規定する生存権、表現の自由、思想、良心の自由、学問の自由、労働基本権、幸福追求権等を保障し、人々の命と暮らしを守ることです。憲法を生かすことこそ必要であり、憲法改正ではありません。憲法を守らない政府・与党に憲法改正を言う資格はありません。
憲法尊重擁護義務は、国務大臣、国会議員にこそ向けられていることを私たちは考えるべきです。憲法改悪ではなく、憲法を生かしていく政治を実現していくと申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 福島みずほ議員の御質問にお答えいたします。
NPO等の現場についてお尋ねがありました。
長引くコロナ禍により、貧困を抱える世帯の生活が厳しくなるとともに、孤独・孤立の問題が深刻な社会問題となる中、困難を抱える方々と行政の橋渡しをするNPOへの支援は非常に重要です。
令和四年度予算と令和三年度補正予算を合わせて約六十億円を活用し、孤独・孤立対策に取り組むNPO等の活動を積極的にきめ細かく支援をしてまいります。
昨年、車座で子供食堂や困窮者支援を行うNPO等の方々のお話を伺いました。こうした現場の声を反映し、昨年末に政府として初めて取りまとめた孤独・孤立対策の重点計画に沿って、官、民、NPOが緊密に連携しながら、貧困や孤独・孤立を抱える方々に支援を届けてまいります。
非正規労働者、雇用労働者への対策についてお尋ねがありました。
政府としては、誰もが納得した待遇の下で、一人一人の希望に応じて、多様で柔軟な働き方を選択できる社会を実現していくことが重要であると考えております。
非正規雇用の方に正社員、方の正社員化については、キャリアアップ助成金等による支援に加え、今般、人への投資を抜本的に強化するため、三年間で四千億円規模の施策パッケージを創設し、非正規雇用の方を含め、再就職や正社員化に向けた学び直しや職業訓練の支援を強力に進めます。
また、女性が七割を占める非正規雇用労働者については、同一労働同一賃金の導入など、必要な制度整備を行ってきたところであり、労働局による助言、指導等により、公正な待遇の確保に向け、法の履行確保を図ってまいります。
最低賃金については、できる限り早期に、全国加重平均千円以上となるよう、最低賃金の見直しにも取り組んでまいります。
女性の貧困対策、一人親支援についてお尋ねがありました。
長引く新型コロナにより深刻な影響を受けている女性への支援は重要な課題であると認識をしています。特に、一人親の方は、子育てと仕事を一人で担い、経済的にも厳しい状況にあると認識をしています。
政府としては、女性の貧困、低賃金をなくすため、また、一人親に対する支援として、非正規雇用労働者の待遇改善や正社員化、資格取得に向けた訓練中の生活費の支援、子育て・生活支援、養育費確保支援及び児童扶養手当の支援等の経済的支援などを進めており、引き続き、貧困に苦しむ女性への支援に取り組んでまいります。
生活保護についてお尋ねがありました。
生活保護の申請が国民に認められた権利であることは、厚生労働省のホームページ等で周知を行っているところであり、引き続き、保護を必要とする方が申請をためらうことがないよう、呼びかけを行ってまいります。
また、扶養、扶養義務者の扶養が保護に優先して行われることは生活保護法に明記された基本原理であり、扶養照会は必要な手続ではあります。
他方、自治体に対し、要保護者が扶養照会を拒んでいる場合には、その理由について特に丁寧に聞き取ることを求めており、こうした扶養照会の弾力的運用について引き続き周知徹底に努めてまいります。
看護師等の賃上げについてお尋ねがありました。
医療や介護、保育等に従事する方々の勤務環境や処遇改善は大変重要な課題であると認識をしております。
今般の措置が継続的なものになるよう、本年十月以降、看護、介護については診療報酬改定、介護報酬改定により、保育については公定価格の見直し等により措置することとしております。
介護保険制度は、保険料負担、そして公費負担、利用負担、これらの適切な組合せによって国民皆で支え合うことで持続可能なものとしており、こうした組合せの下で対応していくことが適切であると考えております。
住宅支援についてお尋ねがありました。
住まいは生活の基盤であり、様々なニーズに応じた住まいの確保を支援しております。具体的には、公営住宅等の供給やセーフティーネット住宅の登録の推進、また住居確保給付金の拡充、福祉施策と一体となった住居支援等に取り組んでいるところです。
引き続き、こうした取組を推進し、関係省庁が一体となって住まいの確保に取り組んでまいります。
そして、選択的夫婦別氏制度についてお尋ねがありました。
選択的夫婦別氏制度は、広く国民全体に影響を与えるものであり、現在でも国民の間に様々な意見があると承知をしております。それゆえ、その制度の導入については、しっかり議論をし、より幅広い国民の理解を得る必要があると考えているところであります。
森友学園案件等についてお尋ねがありました。
森友学園案件に関する今般の訴訟においては、裁判所の訴訟指揮に従い、真摯に対応してきたところであり、認諾の際にも、赤木さんが亡くなった経緯をできる限り詳細に記載した書面を提出し、御遺族の求めにも可能な限り対応するなど、丁寧な対応に努めてきたと認識をしております。
また、同案件における決裁文書改ざんなどの一連の問題行為について、これまでも財務大臣から、国会審議において案件が大きく取り上げられる中で、更なる質問につながり得る材料を極力少なくすることが主たる目的であり、安倍元総理の答弁が問題行為の出発点やきっかけになったとは考えておりませんとの答弁がなされていると承知をしています。
今後は、行政において国民の疑惑を招くことがないよう、公文書管理法に基づく文書管理の徹底等に取り組んでまいります。
森友学園案件に関する訴訟についてお尋ねがありました。
今般の訴訟については、財務省において、昨年十月に示された原告側の主張を踏まえて方針を検討した結果、赤木氏が当時様々な業務に忙殺され、決裁文書改ざんの指示への対応を含め厳しい業務状況に置かれる中、精神面、肉体面において過剰な負荷が継続したことにより自死に至ったことについて国の責任は明らかであるとの結論に至ったことから、損害賠償義務を認めたものと承知をしております。
なお、国が今回負うことになった損害賠償義務は、赤木氏が当時厳しい業務状況に置かれる中、国として安全配慮義務を十分尽くせなかったことに係る責任によるものと承知をしております。
国家賠償法に基づく求償については、当事者たる財務省において、国が個々の職員に対して求償権を有するとは考えていないと判断していると承知をしております。
そして、国土交通省の統計問題についてお尋ねがありました。
今般、建設工事受注動態統計調査における不適切な処理が検証委員会の調査により明らかになり、極めて遺憾であると考えております。
検証委員会では、統計の学者のみならず、元検事や弁護士から成る第三者委員会として、今回の不適切な処理について、調査票の合算や二重計上の原因を含め、徹底的に検証が行われたと考えております。
今回の報告も踏まえ、政府統計に対する信頼回復に全力で取り組んでまいります。
日本学術会議会員の任命と学問の自由についてお尋ねがありました。
憲法第二十三条に定められた学問の自由は、広く全ての国民に保障されたものであり、特に大学における学問研究及びその成果の発表、教授が自由に、発表、そして教授が自由に行われることを保障したものであると認識をしております。
これまでも、当時の内閣総理大臣や官房長官が繰り返し国会で答弁しておりますが、一昨年の日本学術会議の会員の任命は、憲法第十五条一項の規定の趣旨を踏まえ、任命権者である当時の内閣総理大臣が、日本学術会議法により、推薦に基づいて国の行政機関として職務を行う会議の一員として公務員に任命したものです。
こうした考え方に基づく任命権の行使が、会員等が個人として有している学問の自由を侵害することになるとは考えておりません。
沖縄の基地負担についてお尋ねがありました。
戦後七十五年以上たった今もなお、沖縄の皆様には大きな基地負担を背負っていただいております。到底是認できるものではありません。この事実を重く受け止め、国を挙げて基地負担の軽減に一つ一つ結果を出してまいります。
また、強い沖縄経済をつくるため、沖縄の優位性、潜在力を生かした競争力のある産業の振興、また各種の人材育成、産業を支えるインフラの整備などの取組を進めてまいります。
世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければなりません。これは、政府と地元の皆様との共通認識であると思います。
日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたときに、辺野古移設が唯一の解決策との方針に基づいて着実に工事を進めていくことが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながると考えております。
これからも、日米同盟の抑止力を維持しながら、沖縄の皆さんの心に寄り添い、沖縄の基地負担軽減に取り組んでまいります。
普天間飛行場の辺野古移設についてお尋ねがありました。
沖縄防衛局が沖縄県に提出していた変更承認申請書においては、変更承認後の埋立てに使用する土砂の調達の候補地として沖縄本島の南部地区が記載されていますが、採掘については変更承認申請書の提出以前から行われているものと承知をしています。
この変更承認申請については、昨年十一月の不承認処分を受け、現在沖縄防衛局が国土交通大臣へ審査請求を行っているところであり、この変更承認後の土砂の調達先について、現時点でお答えすることは控えなければなりません。
いずれにせよ、さきの大戦で悲惨な地上戦を経験した沖縄では、御遺骨の問題は大変重要であると考えております。
在日米軍における新型コロナ感染事案及び日米地位協定の見直しについてお尋ねがありました。
米国関係者に対する入国時の検疫に関しては、例えば英国、韓国においても、我が国と同様に、米軍基地から入国する場合には米軍が検疫を行うこととなっていると承知をしており、我が国が他国と比べて米軍に特別な扱いをしているとの指摘は当たらないと考えています。
今回の新型コロナ感染拡大の事案においては、速やかな対応が求められます。このため、私から、在日米軍の外出制限ができるだけ早期に実施されるよう強く申入れを行うよう指示をいたしました。その結果、米国は、必要不可欠な場合以外の外出は認めない、夜間の外出を禁止するなどの在日米軍の感染拡大防止措置を発表いたしました。
在日米軍の駐留に関わる保健衛生上の課題に関し、日米地位協定に基づく日米合同委員会において、感染拡大の防止及び地元の方々の不安解消に向けて、日米間で連携をより一層強化してまいります。
鹿児島県の馬毛島における自衛隊施設の整備についてお尋ねがありました。
我が国を取り巻く安全保障環境が急速に厳しさを増す中で、自衛隊の活動、訓練拠点となるとともに、日米同盟の抑止力、対処力の維持強化にも資する施設を南西地域に早期に整備することが必要です。このため、政府として、馬毛島における自衛隊施設の整備を着実に進めていく考えです。
その際には、地元の皆様の理解と協力が重要であり、防衛省において説明を積み重ねてきました。今後とも、地元の皆様の声を受け止めながら、丁寧な説明に努めてまいります。
なお、今般の2プラス2の結果等についても、鹿児島県及び西之表市等の地元に対し防衛省から説明を行っています。
そして、私の平和への思いについてお尋ねがありました。
私は、国民の命と暮らしを断固として守り抜くとともに、地域そして国際社会の平和と安定及び繁栄の確保に積極的に貢献していく覚悟であります。そのために、被爆地広島出身の総理大臣として、未来への理想、これはしっかり掲げつつも、同時に、急速に厳しさを増す我が国を取り巻く安全保障環境等も直視をし、徹底的なこの現実主義を貫く新時代リアリズム外交、これを展開してまいりたいと考えております。
そして、憲法改正についてお尋ねがありました。
国会は国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関であることに鑑み、御指摘のような緊急事態で国会の機能が確保できない場合における国民の生命、財産の保護のための行政権限の一時的な強化の在り方についても重要な論点であると考えます。
内閣総理大臣の立場からは憲法改正についての議論の進め方あるいは内容について直接申し上げることは控えなければなりませんが、現行憲法が今の時代にふさわしいものであり続けているかどうか、与野党の枠を超え、積極的な議論が行われることを心から期待をしております。(拍手)
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