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組織的威力業務妨害罪などで誰もが対象になる共謀罪 2017年6月8日参法務委 | 福島みずほ公式サイト(社民党 参議院議員 比例区)
委員以外の議員(福島みずほ君)
希望の会(自由・社民)の福島みずほです。
本日は、この委員の皆さんたちの御厚意により、ここで委員外発言ができることを
心から感謝をいたします。
どうもありがとうございます。
貴重な機会ですから、早速質問に入ります。
共謀罪に関しては十数年来にわたる非常に論争がありました、論議がありました。
三回廃案になっております。杉浦正健法務大臣は、自民党の国対から指示があってま
さにこれは採決しないことになったと、かつて記者会見をやっております。
三回廃案になったわけです。この間、自民党も修正案を出しております。その修正
案に比べても随分後退している。厳しくしたどころか自民党のこの修正案に比べては
るかに後退している、そのことをまずお聞きいたします。
二〇〇六年六月十六日の与党修正試案、衆議院法務委員会議録に参考掲載されてお
ります。自首の必要的減免は、自民党、かつて修正案で削除しているんですよ、削除
すべきじゃないですか。密告を奨励する、スパイが入るかもしれない、自首の必要的
減免規定、自民党、かつて修正案で削除しているんですよ、いかがですか。
政府参考人(林眞琴君)
この自首の規定につきましては、その犯罪集団が行う犯罪というものの重大な結果
が発生する蓋然性に鑑みまして、それを未然に防止しなくてはいけないと、そのため
に自首規定を置きましてそういった申告を求める、これを政策的な判断として設けて
いるわけでございます。そこには合理性があると思います。
また、ほかの組織的な犯罪の予備罪等についても自首の規定がございます。そう
いったことから今回同様に自首の規定を残しているものでございます。
委員以外の議員(福島みずほ君)
かつての自民党、これ、削除しているんですね。
それから、次に、かつての自民党の二〇〇六年の与党修正試案、思想及び良心の自
由並びに結社の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限す
るようなことがあってはならず、かつ、労働組合その他の団体の正当な活動を制限す
るようなことがあってはならない、配慮規定があるんですよ、表現の自由などに関す
る。
この規定がかつての自民党の案にはありました。
これ、ないですよね、今回。この配慮規定、ほっぽっちゃったわけですよね。どう
ですか、問題じゃないですか。
政府参考人(林眞琴君)
この今回のテロ等準備罪の立案に向けましては、一般人が対象とならないというこ
と、あるいはその内心の処罰になるのではないかという懸念、こういったかつて示さ
れた懸念を払拭するために組織的犯罪集団という定義を置き、それによってその処罰
範囲を限定する、あるいは実行準備行為というものを新たに設けるということで処罰
範囲を限定する、このようなことを行ってきたわけでございます。
そういった意味で、しかも、組織的犯罪、テロ等準備罪というものにつきまして
は、思想、良心の自由を、内心の自由を処罰するものではございません。これはかつ
ての法案においてもそのように明確に説明をしてきたわけでございます。
そういったことから、今回、そのようなことを前提といたしまして立案しましたの
で、そういった配慮規定というものはあえて置いていないわけでございます
委員以外の議員(福島みずほ君)
実行行為って、自民党の修正案にもかつてありましたよ。
そして、一般人に適用しないというのは違うじゃないですか。盛山副大臣は、一般
人も嫌疑が掛けられた段階でそれは組織犯罪になるって言っていますよ。そして、参
議院の本会議で、環境団体も人権団体も対象になり得ると答弁しているじゃないです
か。嫌疑掛けられたら一般人じゃなくなるんですよ。だとしたら、全ての人は対象に
なり得るということです。
かつての自民党は、こういうのをちゃんと置いていたんですよ。今までの議論、全
部ほっぽらかして厳格にしたというのは違いますよ。かつての方がはるかにまだま
し。
次に、二〇〇七年の段階で、自民党は小委員会で対象犯罪を百二十八まで絞りまし
た。このとき、組織的威力業務妨害罪、組織的強要罪などは入っていないんですね。
今回、二百七十七、数え方によったら三百十六、組織的威力業務妨害罪、組織的強
要罪、組織的逮捕監禁罪、そして信用毀損罪などですね、これらは範囲が、先ほど糸
数さんからもありましたが、座り込みすると威力業務妨害罪で有罪になったケースが
あります。また、現にブロックを辺野古のゲート前に積んだことで威力業務妨害罪で
起訴をされています。組合など、威力業務妨害罪や逮捕
監禁罪になりかねないわけですよね。
まさにこれは、かつての自民党は絞り込んだんですよ。百二十八まで絞り込んだ。
さっき、大臣、ですから、今回の数、多くないですか。なぜ、組織的威力業務妨害
罪、これを外すということはないんですか。
政府参考人(林眞琴君)
今回、先ほど、条約、条約の犯罪化義務を履行するために、組織的犯罪集団が現実
的に計画することが想定される、こういった犯罪についてはすべからく対象犯罪とし
ませんと条約の義務を履行することができません。
したがいまして、今回、そのような観点から、現実的に計画が想定される犯罪とし
て、これまでの対象犯罪を選択したものでございます。
そういった観点で、組織的な威力業務妨害罪等につきましても、これは例えば組織
的犯罪集団が、例えばテロリズム集団が電力会社の従業員を発電所から無理矢理排除
して、制御装置を操作して電力供給を停止することを計画する、こういったようなこ
とが現実的に想定されるということから、今回、組織的威力業務妨害罪をこの対象犯
罪としているものでございます。
一方で、これが労働組合あるいは人権団体、環境団体に適用されるのではないかと
いうことの懸念が言われますけれども、この点につきまし
てはるる答弁しております
てはるる答弁しております
ように、労働組合でありますとか環境団体、人権団体というものが犯罪を実行とする
ことを目的として結合しているわけではございませんので、そういったものに対して
は適用ができないということでございます。
員以外の議員(福島みずほ君)
全然違いますよ。
まず第一点に、条約を批准できないと言うが、六百以上あったのを二百七十七、あ
るいは、この数え方は三百十六ですが、したのは政府じゃないですか。幾らだって伸
縮自在なんですよ。だったら、なぜこの犯罪なのか、その立証はないですよ。
かつて、自民党は百二十八まで狭めたんですよ。
局長はそう言いますけれども、まさにトートロジーなんです。
組織犯罪集団について限定はありません。また、労働組合も、まさに建造物損壊罪
や逮捕監禁罪、強要罪、犯罪で、威力業務妨害罪などで有罪になったケースたくさん
あるじゃないですか。だから、みんな心配しているんですよ。何の説得力もないとい
うふうに思います。
大臣にお聞きします。
大臣は、治安維持法は適法だとおっしゃいました。
戦後、治安維持法は廃止になりました。適法なんですか
委員長(秋野公造君)
盛山法務副大臣。(発言する者あり)
まず、盛山副大臣
副大臣(盛山正仁君)
委員長の御指名でございますので、答弁をさせていただきます。
治安維持法及びその下での運用につきましては、様々の意見や批判があったと我々
も承知をしております。
しかし、一方、戦前と異なりまして、現在の捜査機関による捜査につきましては、
日本国憲法の下、裁判所が、捜査段階においては厳格な令状審査を行い、また公判段
階においては証拠を厳密に評価して事実認定を行い、有罪か否かを判断することによ
り、捜査機関の恣意的運用を防ぐ制度が有効に機能していると我々は考えておりま
す。
また、今回のテロ等準備罪は、先ほど局長が御答弁申し上げましたとおり、組織的
犯罪集団に限定し、実行準備行為、計画行為、こういったことをかましておりますの
で、国民の基本的人権を不当に制約するような内容になっておらないと我々は考えて
いるところでございます。
国務大臣(金田勝年君)
福島委員から今非常にたくさんの質問をいただいております。
非常に残念なのは、残念なのは、通告のない質問を次々に乱発されると、私の方
は、技術的、細目的な部分を含めてうちの刑事局長に答弁させざるを得ない点を御理
解ください。
その上で、その上で、ただいま私どもから申し上げましたように、治安維持法につ
いてはどのように評価しているかというふうなお尋ねであったと思います。
ただいま副大臣から申し上げましたが、治安維持法及びその下での運用につきまし
ては、種々の意見や批判があるものと承知をしているという思いを申し上げておきま
す。
そして、日本国憲法の下では、戦前とは異なって様々な制度が有効に機能している
中で、この度のテロ等準備罪は、犯罪の主体を組織的犯罪集団に限定をし、計画行為
に加えて実行準備行為があって初めて処罰の対象とすることにいたしておりまして、
その処罰範囲は明確かつ限定的なものであるということで御理解をいただきたいと、
このように思っております。
委員以外の議員(福島みずほ君)
治安維持法は適法だったかと聞いたんです。
そして、それはなぜか。治安維持法と共謀罪は団体に対する刑事処罰規定だという
ところで共通です。
治安維持法は参加罪、この共謀罪は基本的には共謀が主眼です。
でも、濫用されるんではないかという点で非常に危惧を持っています。
大臣は、衆議院の法務委員会で治安維持法は適法だとおっしゃいました。
でも、戦後、廃止されたわけじゃないですか。問題があったから廃止されたんだと
思います。
大臣、治安維持法は濫用されたという認識ですか。
国務大臣(金田勝年君)
先ほども申し上げました。
治安維持法につきましては、種々の意見があるものと承知をしております。そし
て、同法の、治安維持法の内容や適用された事例を含め、歴史の検証については専門
家の研究、考察等に委ねるべきものとは考えておりますが、種々の意見や批判があっ
たことをしっかりと承知をしております。
委員以外の議員(福島みずほ君)
大臣は、治安維持法は濫用されたという認識ですか。
国務大臣(金田勝年君)
同じ答えになりますが、治安維持法及びその下で、運用については、種々の意見や
批判があるものと承知をしておりますが、問題も多かったと、このように考えて、受
け止めております。
委員以外の議員(福島みずほ君)
問題が多かった。問題が多かったんですよ。
国体の変革と私有財産の否定、この二つの目的を持つものに関して処罰をする参加
罪でした。
国体の変革とは何ぞや。これが宗教団体やいろんなところにも波及していった。大
本教は神殿が爆破をされて、起訴になります。創価学会やたくさんの宗教団体も弾圧
される。何で国体の変革をされるものとされなければならなかったんでしょうか。濫
用がありました。
今、大臣は問題があったということは認められました。治安維持法がこれだけ問題
があった、だから共謀罪に関しても、しっかり過去の反省をしなければ問題があり得
るというふうに思います。
次に、この条約に関して、共謀罪の成立をしなければならないことが必要かどう
か、いや、予備罪でこれは可能なんではないかという観点から質問をいたします。
条約の第五条においては、配付資料をお配りしておりますが、「次の一方又は双方
の行為(犯罪行為の未遂又は既遂に係る犯罪とは別個の犯罪とする。)」としており
ます。つまり、何が要求されているか。未遂、既遂以外の犯罪をつくれということで
余さん、これは平岡さんと神余外務省国際社会協力部長の審議ですが、ここで神余さ
んは、これは、二〇〇五年十月二十一日、衆議院法務委員会、オバートアクトの代わ
りに予備行為を要求することが条約の趣旨に反するか否かということについては確固
たる定義はないとはっきり述べています。議事録をお配りしておりますが、言ってい
ないんですよ。
そして、だから、もう一つ法務省の、これはちょっとお配りしておりませんが、
ホームページ、現在もあるホームページなんですが、そのホームページ、「現行法の
ままでも条約を締結できるのではないかとの指摘について」というものなんですが、
条約第五条について、未遂罪や既遂罪とは独立に、犯罪の実行の着手以前の段階で処
罰することが可能な犯罪を設けることを義務付けている、この点、我が国の現行法に
は、実行の着手以前の段階の行為を処罰する規定として、例えば、殺人予備罪、強盗
予備罪などの予備罪や、内乱陰謀罪、爆発物使用の共謀罪などの共謀罪等が設けられ
ており、また、一定の場合に殺人等の犯罪の実行の着手以前の段階の行為に適用され
ることがある特別刑法の例としてこういうものがあるという説明があります。つま
り、ここで法務省が説明しているのは、予備罪と、それから共謀、陰謀、両方説明し
ているんですね。これは、法務省の言葉です。
しかし、組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪には多種多様な犯罪があり、現行
法上、予備罪、共謀罪等が設けられているのはその中の一部のみにすぎません。そこ
で言われているのが、詐欺罪やそれから人身売買に関する犯罪等において、現行法で
は予備罪も共謀罪も設けられていないということなんです。これだけだったら二百七
十七、三百十六もつくる必要ないじゃないですか。
この法務省のホームページに明らかなように、予備罪と共謀罪ってあるんですよ。
日本は既に予備罪、共謀罪、陰謀罪など七十二あります。外国の重大な犯罪は、とい
うか、この条約を批准して、こんなにたくさんですね、こんなにたくさん共謀罪を成
立させたところはないじゃないですか。予備罪で、じゃ、何が足りないかという議論
だったら百歩譲ってまだ分かります。予備罪じゃ駄目なんですか。
政府参考人(林眞琴君)
法務省のホームページの記載についての言及ございましたが、法務省といたしまし
て、予備罪でこのTOC条約の五条を満たすことができるという見解に達したことは
一度もございません。
しかも、今もその予備罪ではこの合意を犯罪化するというこの犯罪化、条約の義務
を履行することはできないと考えております。今の御指摘のホームページの中でも、
法務省がこの条約を予備罪で履行できるというようなことを掲げているものではない
と承知しております。
その上で、何ゆえにその予備罪では条約を満たすことができないのかということに
ついては、外務省からの、所管でございますけれども、外務省の解釈によるわけでご
ざいますが、いずれにしましても、この本条約は、合意を処罰する、合意を処罰する
ということを前提として、オプションとしてその推進行為をその要件としてもよい
と、このように条約にはなっておりますので、予備行為、ここで罰する予備は合意を
処罰するものではないわけでございますので、予備行為をつくることによってこの条
約を履行することはできないと、これは終始一貫して法務省としては考えているとこ
ろでございます
政府参考人(水嶋光一君)
先ほど委員の方から平成十七年十月二十一日の法務委員会でのやり取りについて御
質問がございましたので、確認のために御答弁させていただきます。過去の法案審議
におけます御指摘の答弁ですが、これはオーバートアクトの代わりに予備行為を要求
することが条約の趣旨に反するか否かといったことについて、確たる定義はないが、
これについては、予備行為の概念をいかに解するかによると考えている旨の答弁を指
すものと考えております。
この答弁では、確たる定義はないとしつつも、予備行為の概念をいかに解するかに
よるとしております。
この答弁の前に、同じ日の法務委員会の中で、同じ委員からの質問に対しまして、予
備行為については、実行行為着手前の行為が予備罪として処罰されるためには、客観
的に相当の危険性の認められる程度の準備が整えられた場合たることを要件とするも
のと考えるのであれば、合意そのものをもって犯罪化するという本条約の趣旨に合致
しないことになるおそれがあるということで答弁をしております。
ですから、先ほど刑事局長から答弁ございましたけれども、この条約で締約国に求
めておりますのは、重大な犯罪の合意又は参加の少なくとも一方を未遂、既遂とは別
に犯罪化することを義務付けているということでございますので、今回、テロ等準備
罪を整備することなく条約の義務を担保するということはできないというふうに考え
ております。
委員以外の議員(福島みずほ君)
ただし、五条の中で、犯罪行為の未遂又は既遂に係る犯罪とは別個の犯罪とした上
で、その準備行為を予備罪というふうに理解し、そのことは可能だというふうに考え
ております。
先ほど外務省からそうありましたが、神余さんのこの答弁では、これは確固たる定
義はないというふうに言っていて、私は、先ほど局長が、これ共謀が主眼であるとい
うふうにおっしゃったけれども、やっぱり共謀罪じゃないですか、共謀罪なんです
よ。でも、予備行為の部分を予備罪とすること、あるいは外国の重大犯罪も、そんな
多くないんですよ。日本は既に七十二ある。
それで、この共謀罪必要ない、これ、なくても批准できる、あるいは個別にきちっ
と根拠を示せということを申し上げ、私の質問を終わります。